『養生訓』 補湯の飲み方(巻七27) | 春月の『ちょこっと健康術』

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「いいかも?」というものをお持ち帰りくださいませ。

「補湯は、煎じた湯がまだ熱いうちに少しずつ飲めば、つかえることはない。少しずつ飲んで、ゆるやかに効果を得ることだ。一時に多く服用してはいけない。

 補湯を服用している間は、とくに酒食を過ごしてはいけないし、滞りやすいものは一切食べてはいけない。酒食が滞塞し、あるいは薬を飲みすぎて、薬力がよく循環せずに、気の流れを塞ぎ、腹中に停滞すると、食欲をなくして、病気を重くする。効果がないどころか、かえって害になる。

 それゆえに、補薬を用いることは、その節制がむずかしいものだ。良医は用い方がうまいので滞りを起こすことはない。庸医(ようい)は使い方があやしいので滞る。

 古人は、補薬を用いる間に、邪を取り除く薬を併用する。邪気が去れば、補薬に力がある。補薬のみにすると、滞って益が少なく、かえって害がある。これは古人の説である。」


補薬そのものが滞りやすいところに、気を滞らせやすい飲食物をとってしまっては、せっかくの薬の効き目がなくなってしまうということですね。前にも「薬を服用するときの食べ物」 として、注意されていました。


滞りやすい・つかえやすい飲食物、具体的には「夕食は軽くする」「薄味なものを食べる」「煮物の調理」「新鮮な物を食べる」「生魚の調理」「肉類はひかえめに」「塩酢辛を少なく」「菘(な)の調理」「豆腐の食べ方」「飲酒の後」「飲んでよい酒と悪い酒」 などに記載があります。


補薬が滞りやすいことについては、「補薬について」 にその解説を載せていますので、そちらをご参照くださいね。いくら良い薬であっても、使い方を間違えては元も子もない。良医にかかるにこしたことはないってことですね。


補薬は、たいていは、他の薬草と組み合わされた方剤として処方されます。「邪を取り除く薬を併用」というのは、おそらく処方における組み合わせのことを指しているものでしょう。たとえば、補気剤の代表に四君子湯がありますが、これには人参(にんじん)、百朮(びゃくじゅつ)、甘草(かんぞう)、大棗(たいそう)などの補薬に、解毒薬の茯りょう(ぶくりょう)や解表薬の生姜(しょうきょう)が入っています。


『養生訓』の原文はこちらでどうぞ→学校法人中村学園 『貝原益軒:養生訓ディジタル版』


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