心臓病とまちがわれる甲状腺機能亢進症 | 春月の『ちょこっと健康術』

春月の『ちょこっと健康術』

おてがるに、かんたんに、てまひまかけずにできる。そんな春月流の「ちょこっと健康術」。
体験して「いい!」というものを中心にご紹介します。
「いいかも?」というものをお持ち帰りくださいませ。

おはようございます ニコニコ


甲状腺機能低下症 の代表が橋本病とすると、甲状腺機能亢進症の代表はバセドウ病です。甲状腺の機能低下は、甲状腺ホルモンの分泌が少なくなる。反対に、機能亢進は甲状腺ホルモンの分泌が多くなりすぎる状態。


甲状腺ホルモンは、細胞の新陳代謝に働くホルモン。少ないと代謝が悪くなって老廃物がたまり、多いと代謝しすぎてエネルギーを浪費します。どちらにしても、だるい、疲れやすい状態になるのが、甲状腺の病気です。


バセドウ病は、昨年歌手の絢香さんがこのために休業することになり、一躍有名になりましたね。残っていたスケジュールを、全部ではないにしても、こなしたその精神力はすごいと思います。かなりしんどかったはずです。


1 バセドウ病の症状


① だるい、疲れやすい、息切れがする

② 安静にしていても動悸が激しい

③ 手指がふるえる

④ 甲状腺全体が腫れてくびが太くなる

⑤ たいして動かなくてもすぐ汗をかく、暑がりになった

⑥ 食欲があってよく食べるのに体重が減ってきた

⑦ 3食きちんと食べていてもすぐおなかがすく

⑧ 集中力が低下して、イライラしやすい

⑨ 眼球が突出する


④と⑨はバセドウ病の特徴的な症状ですが、これらが出ないうちは、①・②があるために心臓病とよく間違われます。また、⑤・⑧があるために、更年期障害と間違われることもあります。尿検査で糖が出ることもあり、体重が減ってくるので、糖尿病を疑われてしまう場合もあります。


2 原因不明の自己免疫疾患


橋本病 と同様に、自分の免疫細胞が、自分のからだの細胞を異物として認識し、抗体をつくって攻撃してしまう自己免疫疾患です。バセドウ病の場合にできてしまう抗体は、抗TSH受容体抗体と甲状腺刺激抗体。


橋本病の場合は、甲状腺ホルモンをつくるために必要な材料や酵素を破壊しますので、甲状腺ホルモンをつくれなくなりますが、バセドウ病では、TSH(甲状腺刺激ホルモン)の代わりに抗体が働いてしまい、甲状腺ホルモンが必要以上につくられてしまいます。


3 家族性にみられる


バセドウ病は、1840年に研究発表したドイツの医師カール・フォン・バセドウにちなんで名づけられました。ドイツ語圏以外の国では、もうひとりの研究者であるイギリス人医師の名前から、グレーブス病と呼ばれています。


甲状腺の病気全体では男女比1:9、バセドウ病では1:4と言われています。橋本病では1:20~30ですから、甲状腺の病気の中では、男性にも発症しやすいほうなんですね。


近親者にバセドウ病あるいは橋本病患者がいることが多く、このために遺伝子上になんらかの問題があるのではないか?と推測されています。現在はまだ発見されていませんが、いずれわかるかも?


4 治療


ほとんどの場合は薬物治療です。薬の種類と分量とをコントロールしながら、治療をしていきます。安定すれば投薬が不要になることも多く、私の姪もすでに投薬も通院もしていません。しかし、薬には大なり小なり副作用があり、皮膚のかゆみや発疹、関節痛、筋肉痛、発熱、肝機能障害、無顆粒球症などがあげられています。


薬では治りにくい人や薬の副作用が出た人は、放射性ヨードを含んだカプセルを飲む治療法をすすめられることがあります。ヨードは体内で甲状腺に集まるため、放射性ヨードも甲状腺に取り込まれ、弱い放射線を放って甲状腺細胞を攻撃し、細胞数を減らすことでホルモン分泌を減らすというしくみです。ほとんど副作用はないとは言われていますが、10年くらいたつと甲状腺機能低下症になってしまうことがあるそうです。


甲状腺の腫れが大きい人、短期間の治癒を望む人、通院できない人、薬の副作用がある人などに対しては、甲状腺の中央部を切り取ってしまう手術もあります。合併症としては、神経を傷つけてしまうことで起こる声の変化や、副甲状腺への血行不良によるカルシウム低下などがあげられます。


最新の治療法としては、エタノール注入療法があります。これは、高濃度のエタノールを注射することによって、甲状腺細胞を壊死させる方法。まだ新しいだけに、治癒の確実性は手術ほど高くはありません。


5 日常生活上の注意(甲状腺機能が亢進している場合)


① 生活リズムを守る(特に夜更かししないように気をつける)

② 心臓に負担をかける運動や労働をさける

③ 暑さ対策に気を配る

④ 食事は1日3回きちんと、栄養のあるものをバランスよく

⑤ 唐辛子やアルコール、タバコなどの刺激物をさける

⑥ ストレスや疲労をためない

⑦ あせらず気長に病気とつきあう


我が家では父と姪がバセドウ病で私が橋本病。お客様でも祖母と従姉もバセドウ病という方がいらっしゃいます。甲状腺の病気そのものは遺伝しませんが、発症しやすい体質は遺伝するってことでしょう。なので、ご家族にバセドウ病や橋本病の方がいらっしゃる場合は、それが発症しないような生活をすることが大事。我が家の事例で考えると、やっぱり短期間集中のストレスには要注意です。参考にしたのは、『甲状腺の病気の治し方』、伊藤病院HP 他でした。


一天一笑、今日もいい1日にしましょう。


春月の『ちょこっと健康術』-100316_122525.jpg
東洋医学講座の目次→満月
ツボの目次→やや欠け月
リフレクソロジーの目次→半月
妊娠・産後・授乳・子どものケアの目次→三日月
アロマセラピーの目次→新月
『養生訓』の目次→星空
体操とストレッチの目次→夜の街
からだのしくみ・食・栄養の目次→打ち上げ花火
からだの不調と対処法の目次→お月見