「鳥獣の硬い肉は、前日から醤油や味噌汁で煮て、その汁を用いて翌日再び煮れば、大きく切ったものでも、やわらかくなって味がよい。しかも、痞えることがない。大根もまた同じである。」
「前日から煮る」というのは、ここでも「大根もまた同じ」とあるように、「根菜類の調理」 にも同様に書かれていました。そのようにすれば、大きく切ったものでも気を塞ぐことはないと。
また、薄く切ったほうがよいことは、「肉類はひかえめに」 や「魚と野菜の調理」 などでも述べられていました。これは、「甘い野菜の食べ方」 にも書きましたが、気が短くて早食いの江戸っ子に対する益軒先生からの提案であると、私個人的には考えています。「いくら言っても、よく噛まないのなら、せめて薄く切っておけ。」というこじゃないかと、そんなふうに思うのです。
『養生訓』の原文はこちらでどうぞ→学校法人中村学園 『貝原益軒:養生訓ディジタル版』