17歳の駆け引き⑩
ミツと私はとりとめのない話をしながら歩き始めた。
と、ミツが私の手をとった。
「この前のことは…」
冗談だから、、、と言う言葉は掻き消されてしまった。
壁を越えてしまうと、どうしてこうも、どうでもよくなってしまうのだろう。chuしてしまうその瞬間までは、ベルしたことを後悔していたし、やっぱり彼氏しかいない、そう思っていたのに。
考えてみると、あれからの私の精神状態は、とても安定していたように思う。教室の中で彼氏が他の子と話していても、バイトに行けばミツが待っていると思うと、嫉妬も和らぐ。
ミツは私に彼がいることを知っていたはずだったけれど、会話の中にその話は出てこなかった。そして「付き合う」という言葉も。それでも学校をサボってデートしたり、お泊りもした。今から思うと、2人ともお子ちゃまだったなと笑えちゃうのだけれど、一線を越えることはなかった。
ある日、ミツと私は花火大会に出掛けた。
17歳の駆け引き⑨
完全に勢いだった。
「お待たせ」と言って出て来た彼の顔を見ると、バイト先の男の子、ミツにベルをしたことを後悔した。チャリでニケツをして一緒に彼の部屋へ戻り、いつもと変わらない時間を過ごす。「いちゃついてたでしょ」「馬鹿言え」そんなやりとりも笑いのままで終わった。その女の子が例の手紙の子だったかどうか、そんなことはどうでも良かった。
私の頭は、ミツへのベルのことで頭がいっぱいだったのだ。
あくる日、私が自分のバイト先へ行くと、ミツはいつもと変わらぬ様子だった。ミツは当時で言えば今時の男の子で、髪は茶髪で長く、肌はキレイに焼けていた。制服のズボンは腰パンで、公立高校であるのに、私立特有の青いバッグを肩からだらしなくかけている(合コンで女の子にもらったらしい)、普段の私なら苦手とする感じの子。バイト先ではいつもしかめっ面でなんとなくとっつきにくい感じだったのだけれど、ある時から私に笑顔を見せるようになった。そのはにかんだ笑顔にちょっぴりドキドキしたこともあったっけ。
バイト中、ミツと私は普段通りのやりとりしかしなかった。もしかしたらベルのことはただの冗談だと思っていてくれているかもしれない。ほっと胸をなでおろし、バイトを終え帰ろうと歩き出した時、自転車置き場にミツはいた。
「一緒に帰ろうよ」
17歳の駆け引き⑧
それは、彼のバイト先に彼を迎えに行った時のことだった。
彼のバイト先はガラス張りになっているので営業時間中は外から様子を見ることが出来る。いつもなら彼がバイトを終え、裏で帰る支度を始める頃に出口で待っているのだが、その日は10分ほど早く着いてしまった。
中をのぞくと、働いている彼の姿が見えた。
隣にいるバイトの女の子と何やら楽しそうに話していた。その時、女の子が彼のわき腹をひじでつついた。そして彼も笑いながら彼女のわき腹をひじでつつき返して、、、
何故か私は近くにある公衆電話へ走っていった。ベル番を押す。
『15542104122104119355』
---『5152』---
『428313324112』
---『1303』---
相手は、私のバイト先の1つ年下の男の子だった。