どれだけしっかり準備をしていたとしても、思いがけず、不都合が起こることはだれにでもあります。
そのためにみなさんができることのひとつは、日ごろから最悪の事態に備えておくことです。
事前に先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態に備えておくことで、なにかが起きた時にも、しっかりと対応ができ、準備をしていない場合と比べて、よい結果を得ることができます。
それは経歴においても同じで、意図せずに予想外の状態に陥る可能性は誰にでもあります。
特にだれもが予想しない変化が激しく先行き不透明な社会情勢などによって、自分の経歴に黄色信号がともってしまうこともあるでしょう。
経済やビジネス、個人のキャリアに至るまで、ありとあらゆるものが複雑さを増し、将来の予測が困難な状態にあります。
たとえば、グローバルの流れに目を向けても、様々な国の政治の先行きが不透明であり、今までやってきたことやスタンダードだと思われてきたことが、ここにきて崩れていっているような気さえします。
さらに、新型コロナウイルスの流行や、地球温暖化に伴う気候変動や異常気象、台風や自身といった災害など、予測が困難な事象が次々と起こっています。
そんな時のためにできる準備のひとつが、予想外の状態の備えを持っておくことです。
予想外の状態とは、偶然性や不確実性を意味し、その備えは、予期外の危険性が発生したときの対応を定めた計画のことを示します。
予想外の状態の備えは、会社の撤退や縮小、解雇などの予想外の状態が起きた場合に備えて、事前に準備をしておく経歴のバックアッププランのことをいいます。
予想外の状態の備えの重要性
予想外の状態が起きたときに大切なことは、十分な適応力を持っているかどうかです。
そしてプランBを持っておくことは、その適応力を得るための最初のステップとなります。
「考える力」にフォーカスし、高めていく必要があります。
予想外の状態の備えは、予想だにしない状況に迅速かつ効果的に対応するためのガイドラインです。
十分に職歴を積んだ人にとっても、年長者にとっても、急に予期しないできごとが起きた際は、間違いを犯してしまうことがあります。
そのような状況に陥らないためにも、事前にきちんとした予想外の状態の備えを作成し、取れるアクションを明確にしておくことが大切です。
予想外の状態の備え作成の5つのステップ
ステップ1 特定する
予想外の状態の備えは、もしものことに対処するための計画書です。
その計画書を作るためには、まずあり得ないことはない危なさを、特定する必要があります。
危難を特定する際には、単純な内容だけでなく、考えられ得るすべての危うさを洗い出してみましょう。
恐れを特定する際には、下記3つの質問に回答しながら、掘り下げていくことをおすすめします。
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みなさんの職歴に、なにが起こりそうでしょうか
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みなさんはそれに応じて、なにをするでしょうか
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準備のために、事前に、なにができるでしょうか
ステップ2 優先順位を付ける
危機には、みなさんがコントロール可能なものと、コントロールが出来ないものがあります。
ステップ1で特定した危なさを、起こる可能性と起こった際の効果をベースに分類し、優先順位をつけてみましょう。
起こる可能性が最も高く、最も衝撃が大きいものが、最も高い順位になります。
ステップ3 計画する
優先順位付けをした後は、実際に予想外の状態の備えを作成する必要があります。次の3つの基準を念頭に置いて、現実的なプランの作成を行いましょう。
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どの問題を最初に解決する必要があるでしょうか
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それぞれの問題に対処するために必要な時間
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各解決手段がみなさんの必要性に対してどのように作用するのでしょうか
ステップ2で付けた、優先順位付けされた危難の上から順に、計画を考えてみましょう。
同時に想定されるシナリオが、現実に起こった際に、どのように推移するかの発言ラグを作成することをおすすめします。
将来、実際に想定される恐れが発生した際に、きちんと対応できるよう、計画はできる限り細かく、理解しやすい形で作成しましょう。
ステップ4 実行する
予想外の状態の備えに、将来の発生に備えて行動を起こすことが含まれている場合は、できるだけ早く準備をはじめる必要があります。
計画に同僚や家族などの協力が必要な場合は、実際に何をしてもらいたいのかを事前に伝えておきましょう。
何が起こるか予測不可能な時代には、すべてを計画通りに行うことは難しく、現場で状況を的確に判断し、柔軟に対応していくことが求めらます。
個人としても必須の能力ですが、チームや部署、組織レベルでも実行できる迅速で柔軟な姿勢が今後不可欠になっていくでしょう。
ステップ5 レビュー
予想外の状態の備えは、不測の事態に対して対処するための手順書であるため、柔軟である必要があります。
実際に辞退が起こった際には、状況が想像よりも大幅に変化したり、リスクが想定よりも大きくなったりする可能性があります。
予想外の状態の備えの有効性を保つために、数か月ごとにレビューを行い、必要に応じて修正する必要があります。
効果的な予想外の状態の備え作成のヒント
最新に保つ
求人市場と採用方法は常に変化しています。
もし今すぐの転職を考えていなかったとしても、定期的に転職市場についての情報を手に入れることをおすすめします。
「AIに人間の仕事が奪われる時代が来る」といった話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
オックスフォード大学の調査結果によると、10~20年後には日本の労働人口の半数が就いている職業がAIやロボットに代替されると推計されています。
転職市場の最新情報を把握していれば、不測の事態が起きた際にも落ち着いて対応できるでしょう。
また、要覧は必要な時に作成するのではなく、常に最新の状態にアップデートしておきましょう。
ただしひと通り、通常は応募するポジションに合わせて、カスタマイズする必要がありますが、事前に準備をしておく概論はどのような状況でも使用できるように、できるだけ一般的な内容になるように作成してみましょう。
個人のブランドを高める
人脈や今まで培ってきた能力などみなさんの積み上げてきたものは、なににも代えがたい財産です。
特にネットワークを広げることは、自分の能力の可能性を広げる事にもなります。
Lnkedin等のビジネスSNSでプロフィールを更新するだけでなく、つながりの維持、拡大を行うことで、オンラインでの存在感を高めましょう。
積極的に仕事を探していない時でもネットワークを広げることは大きな意味があります。
その結果として、仮に問題が起きた際にも、活用できるネットワークを持つことができるのです。
取得したいまたは向上させたい腕前について考える
予想外の状態の備えを作成するときは、みなさんの閲歴にとって、どのような手の内が重要かを考えてみましょう。
その重要な技を次の仕事で習得できるか、または成長させられるかが今後の履歴を考えるうえでの要点のひとつとなります。
5年後、10年後、さらには15年後の理想的な仕事について考え、手並みのギャップを診断し、なにをした方が良いかをなにが必要かを検討しましょう。
キャリアのお金以外の側面について検討する
キャリアを考えるうえで、お金以外の側面についても考えてみましょう。
もちろんお金は重要ですが、素晴らしい職歴の構築を通じて、みなさんはお金以外のものも手に入れることができます。
仕事を通じて成し遂げたい事や、得られるスキル、コミュニティなど、そのほかの面がみなさんにとってどれほど重要かを考え、予想外の状態の備えに組み込みましょう。
予想外の状態の備えでは、みなさんが望む人生に最も適した経歴を検討しましょう。
それは、緊急時以外でも、仕事を通じてより大きな満足感を得たいと考える人にとっての指針となるはずです。
冷静に着実に過程を進める
予想外の状態備えは、予想外の状態について考える必要があるため、作成する際にはストレスを感じてしまう人も少なくありません。
ですが、将来のことを考えるうえでリスクについての検討は避けては通れないことでもあります。
そういった予想外の状態に直面するときのために、精神面、感情面、社会動向などを踏まえて前向きで今後の役に立つプラン作りに時間を費やしてみましょう。
作成した予想外の状態の備えは、今後の自分にとってかけがえのないものになるはずです。
結局のところ、効果的な予想外の状態の備え作成の目的は、将来の幸せな生活を送るための準備に他なりません。
みなさんのキャリアを成功させるために、決して受け身ではなく、自発的に行動を起こしてみましょう。