ロン・ハワード1) 監督
3度目の月面着陸を予定していたアポロ13号が爆発事故に遭い,3人の乗組員が地球への帰還を試みる実話をもとにしています。限られた資源と時間の中で,アメリカ航空宇宙局(NASA)の地上チームと連携して奇跡の生還を果たす物語
「フットルース」 とのつながりはケヴィン・ベーコン2) です
アポロ計画は,冷戦下の米ソ宇宙開発競争のさなかの1961年に,時のアメリカ大統領ジョン・F・ケネディが発表した人間を月に到達させる計画です。
1961年から1972年にかけて実施され,計6回の有人月面着陸に成功しています。
それ以来,50年以上にわたって月に行った人間はいません。
この映画ではアポロ11号の人類史上初の月面着陸中継も描かれていました。
50年以上も前に月を歩いた人がいるということはすごいことですね。
今もそうでしょうが,この当時はある程度死を覚悟して宇宙船に乗っていたのでしょうね。
前半はアポロ13号に搭乗するまでのできごとが描かれています。
親指で月を隠して空を見上げる主人公のジム・ラヴェル(トム・ハンクス)
宇宙飛行士で次々回のアポロに搭乗予定でした。
しかし,奥さんのマリリン(キャスリーン・クインラン3) )に感謝祭に予定していたアカプルコ(メキシコのリゾート地) 旅行は行き先変更になりそうだと告げます。
どこなの? To Moon
この時流れていた曲はJefferson Airplane のSomebody to Love (あなただけを)でした。670902
マリリンは喜びつつも,「何で”13”号なの」とつぶやきます。ジムは「12の次だから」と返答。13が不吉は数字だという認識はありません
その後もマリリンはジムが宇宙空間に投げ出される夢を見たり,シャワー中に指輪を排水溝に落としてしまうという,不吉な予感満載です。イイですね。でも指輪の話は実際にあったエピソードのようです。映画には描かれていませんが現実ではどうやったか知りませんけど回収できたようです。
搭乗予定の3人はトレーニングに精が出ます。
スタッフの1人が風疹になり,ケン(ゲイリー・シールズ4) )が風疹の免疫がないことが判明したため,発症の可能性を指摘され,アポロ13のクルーから外れます。これは無念・・・
かわりに入ったのがジャック・スワイガート(ケヴィン・ベーコン)
主席管制官ジーン・クランツ(エド・ハリス)が各部門の状況を確認して,そして発射
13時13分
この場面の映像もすごいですね。迫力ありましたね
本体からの切り離しのシ-ンやロケットからの炎,素晴らしいできばえでした。
遠くで見守るケン
流れる音楽もイイですね
音楽はジェームズ・ホーナー
5基あるエンジンの1基が停止したけれどミッションに問題ないとして継続
ここまでは成功
無重力状態になりましたが,どうやって撮影されたのかと思っていました。
ハワード監督は無重力状態をリアルに描くことの難しさを予期して,スティーブン・スピルバーグに相談したそうです。
NASAが宇宙飛行士の訓練に使っている無重力状態を作り出すことができるKC-135飛行機を使うことを提案され,NASAの協力を得て,複数のKC-135に搭乗し撮影しました。
KC-135が放物線の下降する時に23秒間,無重力になる時を捕らえて撮影しています。
ジェットコースターの坂を下る時のあの何とも言えない感じですよね。
フレッド・ヘイズ(ビル・パクストン)の嘔吐シーンは12回撮影したようです。
このあとの食事をする時の「死んだサイのケツでも食ってやる」というセリフはアドリブです。
KC-135での撮影は612回行い,無重力環境での54分間の映像を撮影しました。
ジムの娘がビートルズ解散のことを口にしていますが,1970/04/10,ポール・マッカートニーがデイリー・ミラー(イギリスのタブロイド紙)でビートルズからの脱退を発表しています。ただし娘の部屋から聞こえてくる曲はジミ・ヘンドリックスの"Purple Haze" でした。ビートルズはこの頃,他のメディアへの音楽使用を許可しなかったからのようです。
発射から約56時間後、エンジンや燃料を積んだ機械船の酸素タンクが爆発し,3つの燃料電池と2つの酸素タンクが失われました。
"Houston, we have a problem."「ヒューストン,問題発生だ」
実際の発言は”Houston, we've had a problem."だったようですがhave hadでは問題が去ったことを意味するため,ハワード監督は"we have a problem."にしたようです。
このセリフはアメリカ映画協会が選ぶ映画の名言50位(2005年)に選ばれました。
爆発シーンもリアルでしたね
LEM(月着陸船)の横揺れ,縦揺れの補正計算し,ヒューストンに合っているか検算を依頼する場面
出てきたのは電卓ではなく,計算尺だよ。電卓はどうした?
どちらもシャープの電卓です。左 1964年発売,535,000円,右 1969年発売,98,000円
いまや100円ショップで買える電卓ですが,この時代は高嶺の花
しかしこんな時代に良く月まで行ったと改めて驚きです。
酸素を失い,電力を失い,まず,13号は月面着陸を諦めます。それどころか帰還できるかの問題に直面します。
地球に戻るために月の裏側を回りますが,足を踏み入れることのできなかった月の表面を見て,降り立つ自分を想像します。
遠くに地球が見えました。地球に親指をあわせます。
家に帰ろう,そんな感じでしょうか。
電力が足りない。60アンペアを12アンペアに落とせ,ってウチの電力の話をしているのかって言いたくなります。
12アンペアだったら,下手すれば電子レンジーつけたらブレーカー落ちますよね
ロケットの話なのに本当にこんな感じだったのでしょうか
一方,地上ではどうやったらアポロ13号を帰せるか,こちらも必死です。
主席管制官のクランツは設計者をすべて招集し,ミッション・コントロールでチームに指示を出します
"Failure is not an option!" 「失敗は選択肢にない」
これもいいセリフです。後にこの言葉は自身が出版した自伝のタイトルになっています。
地上での不眠不休の救出活動には,のべ2万人が動員され,全米のコンピューターが地球に戻る軌道計算に使われたそうです。
風疹問題でアポロに搭乗できなかったケンが地上でシミュレーションして電力消費を極限まで落とし込んでいく所は,みんなチームなんだと感じます。
電気も酸素も水もぎりぎりという制約の下,軌道修正を繰り返し,地球を目指した13号は,アメリカ国民がテレビの特別番組に釘付けになる中,南太平洋の海上に着水しました。
交信が途絶える時間帯,見ている方も手に汗を握る時間,実際に現場を経験した人たちの気持ちを想像するとすごいことです。
わかってても最後は感動の名シーンですね。
最後にトム・ハンクスが握手する人物はアポロ13号の本物の船長ジム・ラヴェルです
1) ロン・ハワード
スプラッシュ(1984),コクーン(1985),バックドラフト(1991),遥かなる大地へ(1992),「アポロ13」,身代金(1996)の監督を経て,ラッセル・クロウ主演のビューティフル・マインド(2001)でアカデミー賞作品賞,監督賞を受賞しました。その後もダ・ヴィンチ・コード(2006),天使と悪魔(2009),インフェルノ(2016)でトム・ハンクスと組んだ映画がヒットしています。
元々は俳優です。
映画での代表作はジョージ・ルーカス監督のアメリカン・グラフィティ(1973)でしょうか。
テレビ番組の「ハッピー・デイズ」という番組に出演していました。
その番組から グラムロックの女王スージー・クワトロとロン・ハワードの共演
このYouTubeはスージー・クワトロを検索していてたまたま目についたものです。
画質も良くないのでギターを弾いている男がロン・ハワードに似ているとは思いましたが本当?って感じでした。
でもHappyDaysを検索し,ロン・ハワード本人だと分かりました。
若かりし頃のロン・ハワード,髪も金髪フサフサです。
ぼくはスージー・クワトロも大好き,ロン・ハワードも大好きです。
ぼくにとって,ロン・ハワードはいつになってもアメリカン・グラフィティ(1973)のスティーブ・ボランダーです。
2) ケヴィン・ベーコン
ジョン・ベルーシ主演のコメディ映画 アニマル・ハウス(1978)で映画デビュー。この映画 トム・ハルスも出演していました。とってもばかばかしくて,とっても面白い映画でした。
13日の金曜日(1980),フットルース(1984),トレマーズ(1990)に出演,その後に出演したJFK (1991),ア・フュー・グッドメン(1992),「アポロ13」,ミスティック・リバー(2003),フロスト/ニクソン(2008)はいずれもアカデミー賞作品賞にノミネートされています。激流(1994),スリーパーズ(1996)では悪役も演じています。
3) キャスリーン・クインラン
「アポロ13」でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされました。
羊たちの沈黙(1988)のジョディ・フォスターが演じたクラリス役の候補だったそうです。
アメリカン・グラフィティ(1973)が映画初出演でロン・ハワードと共演しています。ロン・ハワード演じるスティーブの彼女ローリーの友達役でした。
4) ゲイリー・シニーズ
代表的な映画はフォレスト・ガンプ(1994),「アポロ13」,グリーン・マイル(1999)と,みなトム・ハンクスとの共演です。フォレスト・ガンプでアカデミー賞助演男優賞にノミネートされました。ダン中尉がやっぱり印象的ですね。
「フォレスト・ガンプ」のワンシーンでダン中尉が,「ガンプがエビボートの船長になる日は,自分が宇宙飛行士になる日だ」と言っていました。その1年後,「アポロ13」で宇宙飛行士を演じています。
21世紀になってからはシリーズ化されたCSI (Crime Scene Investigation,科学捜査班)のテレビドラマに出演しています。
ミュージシャンとして活動もしており,Lt. Dan Bandでベースを担当しています
Lt. Dan = ダン中尉です。アメリカ,ベルギー,日本,韓国,オランダ,イラク,アフガニスタンなどで24万人以上の兵士とその家族のため演奏しました。その多くはチャリティだったようです。