フジワライブキ先生に施術してもらいながらインタビュー
その87
太い筋肉を見て「スジ」という人はいない
藤原 それでは、右肩上の横向きに・・・。
綿谷 はいはい・・・よいしょ・・・。あのー、前にも一度教わっているんですけど・・・「スジ」ってあるじゃないですか。
藤原 はいはい、前にもお話をしましたね。
綿谷 で、前に藤原先生から「スジは筋肉の俗称」だと教わりました。・・・で、その後に、思ったんですけど・・・「腱」っていうのもあるじゃないですか。
藤原 あー、なるほど。
綿谷 「スジ」と「腱」の違いってなんですか? ・・・あのー、手首の内側のところにゴリゴリしているところがあるじゃないですか。硬い管みたいな・・・こういうところを僕みたいなシロウトの人って「スジ」って言っている気がするんですよ。
藤原 えーと、それが「腱」です。
綿谷 あ、これが「腱」ですか。一般の人って「腱」のことを「スジ」って言ってるんじゃないのでしょうか・・・。
藤原 なるほど・・・んーとですねー・・・シンプルに言うと、筋肉の末端が「腱」です。
綿谷 あー、そうなのですか。
藤原 で、筋肉は伸び縮みする素材ですけれど、「腱」は伸び縮みしません。
綿谷 ふーん・・・端と端の「腱」は伸び縮みしなくて、真ん中辺りの「筋肉」しか伸び縮みしないってことですか? ん? けど全部「筋肉」なんですよね・・・ということは「腱」も「筋肉」ですか?
藤原 そうですね・・・うーんと・・・アキレス腱で言えば・・・。
綿谷 あ、アキレス腱も「腱」ですね。
藤原 アキレス腱は下腿三頭筋というのが存在して、それの末端がアキレス腱なんです。
綿谷 へー、そうなのですか・・・。
藤原 けど、アキレス腱は別物扱いですね・・・下腿三頭筋と一体として説明することはあんまりないかなぁ・・・。
綿谷 そうなんですか、アキレス腱って筋肉の一部なんだ・・・。
藤原 アキレス腱は太くて存在感がある「腱」ですけれど、他の筋肉にも「腱」はあります。
綿谷 そういえば、「アキレススジ」とは言いませんね・・・えーと、筋肉の末端が「腱」。アキレス腱は、カタイサン・・・何でしたっけ?
藤原 下腿三頭筋です。
綿谷 ・・・その筋肉の末端が「アキレス腱」。なるほど・・・で、えーと、「アキレス腱が切れる」のは・・・「肉離れ」。
藤原 違います。また別です。
綿谷 ・・・あ、今、ほめられようとして言ったんですけど・・・「綿谷さんもだいぶ、わかってきましたねー」とかって。違いましたか・・・。
藤原 ははは。違うんです。これも前にも言ったような気がしますが・・・「アキレス腱が切れる」のは「腱断裂」になります。
綿谷 「腱断裂」ですか・・・「肉離れ」は・・・。
藤原 「筋断裂」です。
綿谷 ややこしいなぁ・・・えーと・・・同じ筋肉が切れるのだけど、末端の部分の伸び縮みしない「腱」が切れるのと、中間地点の伸び縮みする、一般人が「筋肉」と言っている部分が切れるのとでは違うってことですかね?
藤原 ・・・え? あ、ごめんなさい、聞いてなかったです・・・。
綿谷 ははははは。
藤原 ははははは。
綿谷 ぜんぜん、僕の話を聞いてないじゃないですか・・・。
藤原 ははは。スイマセン・・・えーとですね、まとめて説明しますと・・・えーと・・・筋肉の端っこの伸び縮みしないところを「腱」と言いまして、そこが切れるのが「腱断裂」です。
綿谷 はいはい。
藤原 筋肉の伸び縮みするところが切れるのが「筋断裂」です。それを「肉離れ」とも言います。
綿谷 はいはい。
藤原 それから、「スジ」は筋肉の俗称です。で、おそらく筋肉の端っこの伸び縮みしない「腱」の部分を、一般の方は「スジ」と言っているんだと思います。
綿谷 なるほどー。
藤原 ちなみに、あれです・・・「腱断裂」って、アキレス腱以外では起こらないと思います・・・「肉離れ」も基本的には足回りですね・・・太ももとか、ふくらはぎとか・・・。
綿谷 腕ではならないんですか?
藤原 腕では、ほとんどならないですかね・・・自分の筋肉の収縮力に耐えきれずに切れるんで、そもそも、筋肉の収縮力が強くないとダメなんだと思います。そうすると、足回りの筋量でしか起こりえないのかもしれません・・・。
綿谷 「収縮力に耐えきれず」ってことは・・・アスリートとかすごく鍛えている筋肉の人が「腱断裂」や「肉離れ」なって、一般人でなることは、ほとんどないってことですかね?
藤原 いや、そんなことはありません。一般の方でも、ぜんぜんなります。普段運動してない方が急に走る瞬間とかになってしまいます。
綿谷 ふーん、そうなんだ・・・あとですね、この「スジ」と「腱」の話をややこしくしている要因として・・「牛スジ」って食べ物があるじゃないですか。
藤原 はいはい、ありますね。
綿谷 「牛スジ」ってのがあるから、人間の身体の中にも「スジ」があるんじゃないかと思っちゃってるんで・・・いや、違うか、「スジ」はあるのか。ん? わからなくなってきました・・・えーと・・・「牛スジ」も「筋肉」ですよね?
藤原 「牛スジ」は「筋肉」・・・なのかな? それはちょっと、僕は料理人ではないので、わからないですが・・・おそらく、そうだと思います・・・。
綿谷 「牛スジ」も正しく言えば「牛腱」なのかなぁ・・・で、えーと・・・結論として・・・一般の人が「スジが痛い」とか「スジをひねった」とかって言っている「スジ」は「腱」ってことですよね。
藤原 おそらく、そうでしょうね。あのー・・・細くて硬いものを「スジっぽい」って言いますからね・・・「腱」は細いので「スジ」と呼ばれているのだと思います。・・・太い筋肉を見て「スジっぽい」って言う人はいないと思いますので・・・。
綿谷 あー、それ、わかりやすい! 「太い筋肉を見て『スジ』という人はいない」。それ、タイトルにいただきます!
藤原 ははははは。どうぞどうぞ・・・。
綿谷 ・・・しかし、この話もブログにアップしても、あんまり、アクセス数が上がらなそうな内容のですよね・・・こんなこと知りたい人いるのかなぁ・・・。「太い筋肉を見て『スジ』という人はいないんだぞ!」って他人に言っても、「え、何の話?」って言われそうですよね・・・。
藤原 ははははは。
綿谷 ・・・あれです、今度、藤原先生と、いっしょに牛スジ鍋を食べに行きましょう。で、その写真を載せながら、「スジ」と「腱」と「筋肉」の解説をブログにアップすれば、ちょっとはアクセス数が上がるかもしれません・・・。
つづく・・・