カリスマたち
手元においてある地図帳は帝国書院の高校地理で使うもので昭和53年(1978年)版。
この地図では、アフリカにはローデシアがあってジンバブェはなく、コンゴではなくザイール共和国。東欧・ロシアも今とはかなり違う。
ユーゴスラビアという国も載っている。そのころは超求心力を持ったカリスマ、チトー大統領がいたが1980年に亡くなった。しばらくは集団指導体制で国家は維持されサラエボ冬季五輪も開催にこぎつけたが冷戦終結とともに民族問題が一気に噴出してあっと云う間に国家がなくなってしまった。
国家も組織も、まとまるには真ん中に強く求心力があり、外側からは締め付ける「たが」が必要で、ユーゴの場合は真ん中にチトー大統領、そして共産主義が「たが」となって外側からまとめて「七つの国境、六つの共和国、五つの民族、四つの言語、三つの宗教、二つの文字、一つの国家」になっていた云う説明があったが、分かり易い説明だと思う。
現在のミャンマーの軍事政権は「たが」にはなっているが求心力がない。
新首都ネーピードゥで建設中の巨大構造物は、テレビでみる北朝鮮の軍事政権がやっていることを見いてるようで気味が悪いが、あれは求心力にはならない。
スーチーさんは求心力を持ったカリスマにはなれても、100以上といわれる民族を纏め上げる「たが」はあるのだろうか。
1960年前後にアフリカの国々が独立したが、初代大統領になった指導者たちはカリスマ性があって求心力もあったように見受けられたが独立して時間が経つとともにだんだんカリスマ性も指導力も薄れていってしまった。
「Harambee」や「Nyayo!」などと云う掛け声だけでは国家はまとまらない。
ミャンマーの食の文化圏
中近東の食を研究している人と話す機会だあったとき、バングラディッシュから西へ中東・地中海を抜けてイベリア半島までトマトが重要な調味料として使われているが、トマトが南米から伝わるまではどんなうま味成分を使っていたのでしょうかと聞いたことがあるが、どんな説明をいただいたか覚えていない。
インドもアラブも地中海料理も、よく目にするのは鍋に油を熱して玉ネギを炒め、トマトを加えてベースを作ればそこからいろいろな料理になる。
唐辛子を含む各種スパイスを加えて鶏肉を入れて煮込めばマサラだったりチキンカレーだし、別種のスパイスを入れてヤギ肉を入れればアラブ料理にもなる。米を入れて炊き上げればビリヤニ、ピラウ、リゾット、パエリヤだ。
タイからインドシナ、中国、朝鮮半島からさらに東へ日本までは、醗酵とうま味の食文化だと思う。
いろいろなタイプの魚醤、醤油、味噌、醗酵豆腐、鰹節の醗酵食と、うま味は椎茸・昆布など。
そのトマト文化圏と醗酵文化圏の接点となるミャンマーはどちらの食文化圏なのか興味があったが、先週、じっくりと体験できた。
どっちもアリだ。
米粉麺もあればチキンマサラもあり、露天のひとつの屋台でサモサと春巻きと香港あたりでよく見かける揚げパンをピーナッツ油の鍋で揚げていた。
米も何種類もの長粒種、短粒種、さらに陸穂もち米と種類が豊富。
お茶も緑茶・半醗酵茶(中国茶)とめちゃくちゃ甘いチャイ(ロイヤル・ミルクティ)みんな有る。
たぶん、圧制・抑圧などなどと内なる苦悩があるのだろうが、ミャンマーの人たちはみんないい笑顔でいろいろなものを食べていた。
ミャンマーの第一印象
6月20日の朝、無事ミャンマーから帰着。
今回の訪問は、日本外務省の外郭団体・日本アセアンセンターが企画した「投資環境視察ミッション」というものの一員として参加したので主目的ははっきりしているが、ビルマ/ミャンマーという国にはそれ以外にもいろいろと興味があって、行く前からわくわくしていた。
日本でよく言われるアフリカのイメージは「貧困やHIVエイズから何とかしてやらなくてはならないアフリカ」というステレオタイプのものばかりだが、日本のメディアに現れるミャンマーの話題も軍事政権とスー・チーさん、それに抑圧される少数民族というネガティブなものばかりのようだ。
アフリカが単にひとつのイメージでまとめられず、大多数の普通の人たちが彼らの普通の生活を送っているように、ミャンマーの5千万人以上の人たちがどんな「普通」を暮らしているのかが見たいと思っていたが、そのほんの少しを垣間見ることができてとても良かった。
お隣タイのことを「微笑みの国」と呼ぶのをしばしば耳にするが、少ないタイでの経験に照らし合わせても、ミャンマーの人たちの笑顔はどれもステキだった。
アフリカのモザンビークに行くと女性が両頬に植物から採った白い顔料を塗っているのを目にするが、ミャンマーで同様の習慣があるを知った。ついこの間まで内戦が続いていたために近隣諸国より取り残されたモザンビークと環境が似ていると云う印象も受けた。
モザンビークからインド洋を越えた遠い反対側のこのアジアの国にハマりそうだ。