(1)試験に合格してもケアマネの仕事はやらない
私はケアマネの試験を6回受験したのちに合格した。なぜ5回も落ちたのかと言えば理由は簡単。勉強しなかったからだ。現場で働いているから、試験位何とかなるだろうという甘い気持ちで受けたらこの様である。やはり試験を受けるとなれば、それ相応の準備はしなければならない。
それで試験に合格したのち、実務研修を経て晴れてケアマネの資格が与えられ、仕事が出来るという仕組みになる。実はこの試験というのは「介護支援専門員実務研修受講試験」というのが正式名称で、この実務研修を受講するための試験、という位置づけなのだ。
この実務研修は各都道府県で行われる。つまりケアマネの資格というのは各都道府県の認定資格であり、国家資格では無いのだ。
まあ、故国家資格云々の話は次の機会にするとして、ではケアマネの試験に合格した後にその仕事をするのかどうか、という事を語ってみたい。
(2)医療系の人はケアマネをやらない
令和6年度の試験合格者の内訳をみると、まず圧倒的に多いのが介護福祉士である。次いで看護師、社会福祉士、理学療法士と続く。そしてざっくりと医療系・福祉系・その他に分けると福祉系が約75%を占める。
| 種別 | 合格者数(人) |
| 医師 | 7 |
| 歯科医師 | 8 |
| 薬剤師 | 18 |
| 保健師 | 17 |
| 助産師 | 1 |
| 看護師 | 224 |
| 准看護師 | 28 |
| 理学療法士 | 84 |
| 作業療法士 | 38 |
| 社会福祉士 | 111 |
| 介護福祉士 | 1,063 |
| 視能訓練士 | 2 |
| 義肢装具士 | 1 |
| 歯科衛生士 | 13 |
| 言語聴覚士 | 2 |
| あん摩マッサージ指圧師 | 8 |
| はり師・きゅう師 | 15 |
| 柔道整復師 | 37 |
| 栄養士(管理栄養士を含む) | 15 |
| 精神保健福祉士 | 11 |
| 相談援助業務従事者 | 58 |
問題は25%の医療系資格も保持者だが、おそらくこの人は余程の事が無い限りケアマネの仕事をやらない。資格別に見ると医師・歯科医師・薬剤師・保健師・助産師・看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士・視能訓練士・義士装具士・歯科衛生士・言語聴覚士・あんまマッサージ指圧師・針きゅう師・柔道整復師であるが、今の仕事を辞めてまでケアマネの仕事はしないだろうと思う。
福祉系で見れば、社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士・相談援助業務従事者となるが、例えば同じ法人の人事異動などでケアマネになるというケースはあるだろうが、一念発起してケアマネになろうというのはどのくらいいるか?という事になるだろう。
やはり慣れた仕事を変えてでもやりたい仕事かと言えば、今は介護従事者の処遇が改善されて、ケアマネよりも給料が高いというケースも見られる。
しかも同じ事業所にケアマネがいると、その仕事ぶりは見ており、あまりやりたいとは思わないだろう。
とすると、まずは他の業種の人から見てもやりたい仕事、憧れる仕事にケアマネがならないといけない。
受験要件を緩和したり、大学で課程を作ってとかいう産めよ増やせよというだけでは難しい。やはり本質に目を向けないとこの問題は進まない。
(3)公務員を活用せよ
ケアマネというのは介護保険が始まった当初から介護保険のキーマンと言われ、そこを目指す人が多かったのは事実だろう。しかしそれは資格として目指すのであり、仕事として目指すのは一部というのが現実だと思う。
だから要件を緩和して受験者というπを増やすのは分かるが、「ケアマネの仕事をやりたい」という人を増やすべきであり、医療系・介護系の資格があるから受験させても仕事に結びつかないだろうと思う。
それは全国で毎年数万人もの合格者がいるのに、なぜ人不足になるのかという事からも明らかだ。
やはり個人的には公務員のOB,つまり天下りでやらせるのが良いと思う。公務員経験者であれば、公的な仕組みや手続きも分かるし、ケアマネにはそうした仕事もあるからだ。
まあ、やらないだろうけど、公務員なら試験なしでケアマネをやらせても良いんじゃないかとは思うな。

