青島先生のTwitterで薬の効果を示す理解しやすい表記方法についてアンケートしたところ、7日10時時点で「薬で病気のリスクが20%減る」(RRR)を選んだ人の割合が36.4%で最多でした(青島周一Twitter2022年10月5日)。筆者は「333人に薬を投与すると病気が1人減る」(NNT)を選んだのですが、「薬で病気のリスクが0.3%減る」(ARR)(27.7%)よりさらに少なかった(22.9%)のはちょっと意外でした。まだ投票が続いているので、最終結果が出た時点で追記します。

 

薬の効果は相対リスク減少(RRR)で示されることが多いので、多くの人がそれに慣らされているからではないかと想像しました。提示されたシナリオでは、発症リスクが1.5%から1.2%に減っただけなので、効果の大きさを誇張した表現であり(くすり×リテラシー2020年12月5日12月11日2021年6月30日8月2日12月6日)、「認知バイアス」(くすり×リテラシー2022年3月20日)を生じさせています。これは根の深い問題だと思います。

 

Journalist's Resourceに、パーセントを表記する際の注意点が解説されていました(Journalist’s Resource2022年10月5日)。どれもその通りだと思いますし、『ニュースの数字をどう読むか』でも「○パーセントポイント」という表現を使いました。

 

1. パーセントで示された量の変化を示す際は”パーセンテージポイント”を使う(Keep in mind the “percent change” is the rate of change. Use “percentage point” to indicate the amount of the change.)

2. 多くの人が間違うので、パーセント同士を比較する際はさらに用心する(Be extra cautious when comparing percentages because this is where many people make mistakes.)

3. 数値を基にする記事では、数字で表現せずに済む方法を探す。たとえば授業料が「100%増えた」と書く代わりに「倍増した」という(When covering a story based heavily on numbers, look for ways to eliminate some numbers without sacrificing meaning or context. For instance, instead of reporting that tuition at a local college increased 100%, say it doubled.)

4. 算数のスキルが不足しているなら訓練しよう。算数をきちんと理解しておくことは、記者が誤情報や算数の誤りを指摘するのを助ける(If your math skills need sharpening, get training. A firm understanding of key math concepts helps journalists spot misinformation and math errors.)

 

具体的なインフォグラフィックも示されていました。

 

(2022年10月9日追記)

青島先生のTwitterアンケート青島周一Twitter2022年10月5日の最終結果です。

薬で病気のリスクが0.3%減る(1.5-1.2) 27.1%

薬で病気のリスクが20%減る(1-1.2/1.5) 38.5%

薬で病気のリスクは0.8倍になる(1.2/1.5) 13.4%

333人に薬を投与すると病気が1人減る(NNT) 21.0%