米食品医薬品局(FDA)は7月30日に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する抗体カクテル療法(カシリビマブ+イムデビマブ、商品名ロナプリーブ、くすり×リテラシー2020年11月24日2021年6月30日7月31日)の暴露後の予防投与に緊急時使用許可(EUA)を認めました(FDAプレスリリース2021年7月30日FDA2021年7月30日)。

 

暴露後の予防投与の対象となるのは、感染者の濃厚接触者または同じ施設(ナーシングホーム等)の入居者で、ワクチン接種が済んでいないとか接種しても十分な免疫反応が期待できないために、もしかかったら重症化のリスクがある、12歳以上で体重40㎏以上の人です。ありそうなのは、高齢者施設で感染者が出た場合に、同居の他の入居者に使用するケースです。ただし、暴露前の予防投与に関してはEUAは認められていません。

 

今回のEUAの根拠は、ベースラインで検査陰性の人を対象にしたフェーズⅢ試験で、有症状COVID-19の発生が81%減少したことです(Renegeronプレスリリース2021年4月12日)。このプレスリリースによると、day29までの発症者は、ロナプリーブ1200㎎群1.5%(11/753)、プラセボ群7.8%(59/752)で、相対リスク減少は確かに81%(p<0.0001)ですが、絶対リスク減少は6.3%ポイント(だけ)です(相対リスクだけだと過大評価しがちです)。この試験では点滴ではなく皮下注で投与されていました。

 

(2021年10月12日追記)

中外製薬は10月11日、ロナプリーブをCOVID-19の予防薬、および無症状の感染者に対する治療薬として適応拡大を申請しました。特例承認を希望しています(中外リリース2021年10月11日)。報道(日経2021年10月11日)によればやはり感染者の濃厚接触者を想定しています。