~詩を贈りたい~埴輪の気持ち -4ページ目

今でも心を揺さ振る物


其れは箱

思い出を全部詰め込み

何重にも鍵を掛け

深い海に沈めた箱

過去と名づけた箱


今でも心を揺さ振る物


其れは手紙

喉まで出かかった愚痴の様な

そんな見せる事はなかった弱い顔を

無心に書き綴った手紙

それでもポストを前に出せなかった手紙


今でも心を揺さ振る物


其れは声

僕を疑い

心と心の壁を跳ね返り

こだまし続ける声

やがて跳ね返る速度すら失った声


其の時の僕に

それ以上の答えが出だせなかっただけ

後悔や未練ではなく

ただ突然蘇る日々


早く忘れようと

世界に吐いた一つの嘘が


『もうなんとも思っていない』だった

ソラ

君の帽子が風に飛ばされた時

笑いあって追いかけた様に

小さな今日を追いかけた


いつの日かの思い出の場所も

少しでも解かりあったあの時間も


もう一度探しては見たのだけれど

今ではすっかり変わっていて

結局答えは見つからなかったよ


でも本当のことを言うとね

途中から気付いていたんだよ

過去から来るものなんて無いって


探しているモノは

今も胸の中にあるんだって



君は今何を思っているかな

僕は君の事思っているよ


君は今何を見ているかな

僕は空を見ているよ


真っ白な入道雲

何処までも変わらない空

何処に居ても繋がっているから

遠心力

行ったり来たりいつもの電車は
いつもの場所へ連れて行く



飛び込んでくる特急電車
あれは何処に連れてってくれるのだろうか



嵐の前触れ
風も雨も止んだ台風の目


目まぐるしく移り変わる季節
あれは何処に行ってしまったのだろうか



電車に乗る前のどしゃ降りは
走っている限りやみ続ける
窓を突き抜けて澄み渡る空
置いてきぼりの世界の中心で