嘘 | ~詩を贈りたい~埴輪の気持ち

今でも心を揺さ振る物


其れは箱

思い出を全部詰め込み

何重にも鍵を掛け

深い海に沈めた箱

過去と名づけた箱


今でも心を揺さ振る物


其れは手紙

喉まで出かかった愚痴の様な

そんな見せる事はなかった弱い顔を

無心に書き綴った手紙

それでもポストを前に出せなかった手紙


今でも心を揺さ振る物


其れは声

僕を疑い

心と心の壁を跳ね返り

こだまし続ける声

やがて跳ね返る速度すら失った声


其の時の僕に

それ以上の答えが出だせなかっただけ

後悔や未練ではなく

ただ突然蘇る日々


早く忘れようと

世界に吐いた一つの嘘が


『もうなんとも思っていない』だった