ヘンリー・メルヴェール卿シリーズの長編第1作。黒死病が猛威を振るう時代の、絞刑吏にまつわる因縁の家。泥の海に囲まれた、扉を固く閉ざされた石室での殺人事件。現場に残された凶器は、博物館から盗まれた絞刑吏愛用の短剣。[???]

ディーン・ハリディ:<プレーグ・コート>の持ち主
ジェームズ・ハリディ:ディーンの兄, 故人
アン・ベニング:ディーンの伯母
マリオン・ラティマー:ディーンの婚約者
テッド・ラティマー:マリオンの弟
ウイリアム・フェザートン:退役少佐
ロジャー・ダーワース:心霊研究家, <マグノリア・コテイジ>に住んでいる
グレンダ・ダーワース:ロジャーの妻, 旧姓ワトスン
エルシー・フェンウィック:ダーワースの最初の妻
ジョセフ・デニス:ロジャーの弟子, 霊媒
メランザ・スウィーニー夫人:<マグノリア・コテイジ>の家主, 元霊媒

ハンフリー・マスターズ:スコットランド・ヤードの警部
バート・マクドネル:巡査部長
トーマス・バンクス:同
ジョージ・フォレット卿:副総監, マスターズの上司
ケンウッド・ブレーク:本書の語り手, <エドワーディアン・ハウス>に住む
ヘンリー・メルヴェール卿(H・M):陸運省情報部の部長

ザラ・メリッシュ:マリオンとテッドの母
サーク:ラティマー家の執事
ポーター:ダーワースの執事兼召使
アガサ:ブレークの姉
アンジェラ・ペイン:アガサの親友
ポプキンズ:<エドワーディアン・ハウス>の召使
カースティアズ:<ホワイト・ホール>の受付の特務曹長
ロリポップ:H・Mの秘書
ホースフェイス:捜査関係者
ワトキンズ:殺人犯を目撃した労務者

[<プレーグ・コート>の過去に関わる人々]
ライオネル・リチャード・モールデン:シーグレーヴ卿
チャールズ:ライオネルの弟
ジョージ・プレーシ:執事
G・ビートン:召使
ウィルバート・ホークス:荷役係
ハンス・スローン:医師
メアリー・ヒル:メイド
ルイス・プレージ:ジョージの腹違いの弟, 絞刑吏の助手
トマス・フレデリック・ハリディ:シーグレーヴ卿から<プレーグ・コート>を購入
J・G・ハリディ:書簡を筆写
J・トルファー卿:ライオネル・リチャードの知人



黒死病が猛威を振るう時代にまでその歴史を遡る<プレーグ・コート>にて、悪霊退治のためと称して石室に篭っていた心霊研究家ロジャー・ダーワースが殺害された。

そこは裏庭に建てられた独立の長方形の建物で、石壁と煉瓦床、天井と一体化した屋根に囲まれ、四方の壁にはそれぞれ鉄格子の入った小さな高窓、出入りするための扉は一つだけという部屋。事件の際にはその出入口は内から閂、外から南京錠で固く閉ざされていた。

被害者は体中に複数の切り傷を負っており、その中でも最も深い、心臓まで刺し貫かれた傷が致命傷となっていた。その凶器は犯人からもぎ取ったかのように被害者の手に握られていた。それは最近博物館から盗まれたもので、<プレーグ・コート>にも関わりを持つ、かつて絞刑吏として知られたルイス・プレージ愛用の、鉛筆ほどの太さの丸い針のような品だった。

もう一つ奇怪なことに、石室の周りは降り止んだばかりの雨の影響で泥の海となっていたが、そこには誰の足跡もなかった。


※以下反転表示部のネタバレ注意。



H・M初登場作にして、カー作品のベストの一つとしても数えられる。ハヤカワ文庫版の後書きで訳者の仁賀克雄が書いている通り、トリック、オカルティズム、まとまりの良さのバランスに優れた作品。特殊で奇妙な凶器を用いた密室以外にも複数のトリックを贅沢に用いているのも特筆すべきところ。

ただしそれはあくまでもカー作品を好む者にとってはの話で、そうでない者にとってはまた別の感想も抱くかもしれない。たとえば各設定があまりにも特殊で、作者の御都合主義が鼻につく、なんてね。でもまあミステリというのは多かれ少なかれそういうものだw


雰囲気に流れされて楽しく読んでしまうが、冷静になってみると不満もないわけではない。その一つは石室の周囲に足跡がない謎の真相がチャチなこと。とは言えそこで重要なのはその謎自体よりも、そこから導き出される共犯者の正体についてなのだろう。

ダーワース殺害のトリックは、殺害自体は可能であるとしても、それで果たして凶器を偽装できるのか、当時の科学捜査のレベルで可能だったのかは疑問。しかし作中では、過去の因縁話に結び付けることによって、凶器の不自然さを上手く隠しているように思う。

また、これは作者に罪はなかろうが、冒頭に付された登場人物表が厳選されすぎていて、ある人物があからさまに怪しくなってしまっているw



[1 プレーグ・コートの屋敷] <プレーグ・コート>の持ち主ディーン・ハリディ、伯母アン・ベニングや婚約者マリオン・ラティマーたちが心霊現象にハマってしまって困っている。ペテンを暴こうと、ケンウッド・ブレークとハンフリー・マスターズ警部を連れ、<プレーグ・コート>へ向かう。
[2 やせた男の噂に乗りこむ] ロンドン博物館から、絞刑吏の助手ルイス・プレージが愛用していたと推測される短剣が盗まれる。「猫背の痩せた男」が犯人と思われる。その短剣はJ・G・ハリディの所有地から発掘され、寄贈された物。短剣といっても、それは鉛筆ほどの太さの針のような刺すためのもので、切るために使用されるものではない。
[3 四人の信者] アンが心霊現象にハマッてしまった原因を辿ると、それはディーンの兄ジェームズの死。悪霊はジェームズと同じようにディーンも狙うという。彼女たちを巧みにそそのかしているのは心霊研究家ロジャー・ダーワース。ディーンたちが到着したとき、<プレーグ・コート>にいたのは6人。ダーワースとジョセフ、アン、マリオン、その弟のテッド・ラティマー、アンの友人のウイリアム・フェザートン。ダーワースは霊媒としての役割はほとんど彼の弟子ジョセフ・デニスに任せているが、今回は彼一人が石室に篭り、悪霊と対決するという。残った者たちは居間へと向かう。マスターズ、広間の物入れの前の床の染みに気づき、中を調べる。そこには首を切られた猫の死体。
[4 教祖の恐怖] 居間へと向かう途中、階段の上からディーンの目の前に鉢が落ちてくる。階段の上には誰もいない。マスターズ、バート・マクドネル巡査部長と合流。ダーワースを見張っているという。彼が入った石室は長方形で石壁に煉瓦床。屋根の裏が天井になっており、出入口の扉は一つだけ。暖炉は人が通過できるものではない。四方の壁にはそれぞれ鉄格子の入った、1フィート四方の高窓。部屋の内外どちらからも、踏み台にでも乗らなければ人の頭は届かない高さ。扉は内からは閂、外からは南京錠が掛けられている。マクドネルはテッドの友人として、フェザートンの家での彼らの降霊会に参加したことがある。そこにはジョセフは来ていなかった。彼は麻薬の常習者らしい。そのとき書かれたメッセージを見て、ダーワースは怯えを示した。彼はそれを大したものではないと装って暖炉の中に投げ込んだが、マクドネルはその最後の一行だけは読み取れた。「あと7日の生命」
[5 疫病日誌] 石室の窓からは針金が伸び、鐘に繋がっている。ダーワースの緊急連絡用とのこと。マリオンが呼ぶ声を聞き、ディーンは彼女たちの待つ居間へと向かう。マスターズとマクドネルは辺りの様子を調べに部屋を出る。そこに一人残ったブレーク、<プレーグ・コート>の歴史についての書簡を読む。プレージの怨念の由来が書かれている。裏庭に足音、そして廊下が軋む音を聞く。鐘が鳴った。
[6 教祖の死] ブレーク、裏庭へ向かう途中でマスターズと合流。石室の周りは先ほどまでの雨の影響で泥の海となっているが、足跡はない。二人で石室の前に到着。扉には南京錠。マスターズ、鍵を持って来させるためにマクドネルに呼びかける。ブレークに支えられて窓を覗きこんだマスターズ、ダーワースが死んでいると告げる。テッドが持っていた鍵を、マクドネルが持ってくる、もう片方の手にカードを持っている。マクドネルに誘われてラミーをしていたという。鍵を開けたが、内側からは閂が掛かっており、扉は頑丈で開かない。丸太を使って破る。床に倒れたダーワースの死体には多くの切り傷がついている。致命傷は背後から心臓を貫く傷。右手にはもぎ取ったように、凶器と思しき、盗まれたプレージの短剣が握られていた。流血がやけに多い。暖炉に火が入れられ室内は暑くなっているが、それを考慮しても、殺されてからまだ数分といったところ。室内には香料が焚かれていた。
[7 カードとモルヒネ] ディーン、アン、マリオン、テッド、フェザートンは暗闇の中、同室にいた。ディーン「マリオンと手を繋いでいた。誰かが部屋を出た気配を感じた」 ジョセフは麻薬をやった症状が現れている。ジョセフ「降霊会のときにはいつも薬を使用している。今回はダーワースに止められていたが、我慢できずにやってしまった。ダーワースから、同室せずに集まった連中の話を立ち聞きしておくように言われた。カードをいじるのが好き」 アンは自制心を失い、ジェームズの名を呼んでいる。
[8 五人のうちだれが?] 先日の降霊会のとき、ダーワースが破棄した紙片の内容の一部をフェザートンは見ていた。「エルシー・フェンウィックの埋葬された場所を知っている」
[9 石室の密室] 石室には秘密の抜け穴の類はない。マスターズ、屋根に上っている記者を咎める。記者は警察には許可されたと主張。
[10 事件の証言] アン「ダーワースが殺されたとき、居間に集まっていた5人の中の誰かが部屋から出るような気配は感じなかった」 テッド「ダーワースとは現代美術の展覧会で知り合った。そのとき彼は岩塩の彫刻を気に入って購入していた。自分が彼をマリオンやアンに紹介した。ジョセフが麻薬常用者であろうとは推察していた。部屋から誰かが出て行った気配は感じなかった」 フェザートン「部屋から誰かが出て行った気配を感じた」
[11 短剣の柄] エルシーはダーワースの最初の妻。砒素中毒で死にかけたことがある。ダーワースの関与が疑われたが、メイドの証言によって否定された。それからしばらくして、エルシーは失踪。7年が経ち、死亡と認定された。マリオン「ダーワースは自分への愛を告白した。部屋の中で誰かが動く気配があり、首筋に短剣の柄のようなものが触れたと感じた」
[12 暁に消え失せたもの] ディーン「鐘が鳴る前に誰かが着席した気配があった。鳴ったとき、居間にいた者は扉に殺到したが、室内は暗く、皆が揃っていたかどうかは断定できない」 石室の暖炉から、焼けて変形したガラス片が見つかる。マスターズ、石室のそばの枯れ木に目をつける。非常に身軽な者なら塀からこの樹を使って、足跡を残さずに石室まで到達することは可能なのではないかと。マクドネルもそれに気づいたが、試してみたところ、樹はすっかり脆くなっており、枝も簡単に折れてしまい、断念したとのこと。庭に唯一残ったこの樹の下には、プレージが埋められたと伝えられているという。石室の中にあった凶器の短剣が盗まれる。
[13 ホワイトホールの思い出] 新聞には超自然な怪奇事件として書き立てられている。ブレーク、マスターズには何か思惑でもあって、わざとそのように誘導したのかと訝しむ。フェザートン、ブレークを訪ねる。二人の共通の知人であるヘンリー・メルヴェール卿(H・M)に事件調査を頼むことにする。マスターズもそこに合流。テッドが行方をくらます。
[14 死んだ猫たちと死んだ妻たちについて] H・M、石室の奇怪な状況は、元々はダーワースの計画によるものと指摘。誰かと協力して体中に傷を付け、その後、石室を内外から密室化。心霊現象を演出する。ところが協力者が裏切り、それを利用して彼を殺害した。
[15 幽霊のやしろ] ダーワースは器用な人物で、インチキ仕掛けを自作していた。精巧な人面もあった。その仕事場には精密な旋盤まであり、その周囲に白い粉が落ちていた。
[16 第二の殺人] テッドからマリオンに心配するなという電話があったが、彼女は相手が本当に彼なのか半信半疑。いなくなる前の明け方、テッドが甲高い声の誰かと話しているのを召使が聞いている。テッドは自身の信仰深さを否定しているが、十字架を持っているところを見られたりしている。ダーワースの部屋にはジェームズの面がある。ジョセフがプレージの短剣で殺されたという報告が入る。
[17 チョコレートとクロロフォルム] スウィーニー夫人の家の庭の修繕に来ていた労務者バンクス「地下室から明かりが漏れており、床に倒れた人物が見えた。靴だけが見えたもう一人の人物が炉の中をかき回していた。2名の警官とともに中に入ると、死体は炉の中に頭から突っ込まれ、激しく焼かれていた。もう一人の人物はすでにいなかった。<マグノリア・コテイジ>は元々ダーワースの持ち家。
[18 魔女の告発] パリにいるというダーワースの現夫人グレンダには女優経験がある。
[19 仮面をつけた人形] H・Mの主導により、石室にて事件の再現を行う。
[20 殺人者] ジョセフの仕事部屋にあった白い粉の正体。共犯者として相応しい人物の指摘。テッドのそばに鉢が落ちてきたときの状況。ダーワース殺害の動機。記者が許可を得て石室の屋根に上っていた。新聞の論調。有能な人物がダーワースに張り付けば、彼の妻について知ることはさほど難しくない。フェザートンの家での降霊会の出席者。
[21 事件の結末] H・Mの温情に逆らった人物の英雄的行動。それに応えない殺人者。
物理的に完全なる密室での殺人としては世界初とも言われる作品。扉を破ったとき、閂とともに内側から施錠されていた部屋。窓も閉ざされ、人が出入りすることができなかった部屋には死体しかなく、誰も隠れていない。凶器は見当たらず、死体の状態も他殺を示している。[???]

ドラブダンプ夫人:下宿屋の女主人
アーサー・コンスタント:下宿人, 労働運動指導者
トム・モートレイク:同, 同
ルーシー・ブレント:アーサーの婚約者
ジェシー・ダイモンド:トムの恋人
ジョージ・グロドマン:元刑事
ジェイン:グロドマンの女中
エドワード・ウィンプ:ロンドン警視庁捜査課刑事
キティー:ウィンプの女中
デンジル・キャンタコット:詩人
ピーター・クラウル:靴修理屋
クラウル夫人:ピーターの妻
リチャード・エルトン:サマートンの教区牧師, コンスタントの親友
チャールズ・ブラウン=ハーランド卿:勅選弁護士
ロバート・スピゴット:同
クローギー:裁判長
ハウレット:警部
ラニミード:巡査部長



いつまで経っても起きて来ない下宿人を心配し、下宿屋の主人は近所の元刑事を連れて来た。下宿人は呼びかけにもまったく応えなかったので、ついに扉を破ることにした。

部屋の中では下宿人がベッドの上で、首を掻っ切られて死んでいた。扉が破られたとき、鍵は内側から差し込まれていた。押し上げ式の閂も掛かっていた。部屋の窓もしっかりと閉ざされていた。室内には誰も隠れていなかった。

しかし凶器は見当たらず、死体の状態は他殺を示していた。


※以下反転表示部のネタバレ注意。



不可思議な謎が推理によって解明される物語は古代よりあったが、現代の推理小説のフォーマットを確立させたのは、一般的にはエドガー・アラン・ポオであると言われる。彼の作品には推理を用いたものは多いが、推理小説として認められるのはせいぜい5作。しかしそのたった5作で、「密室」「意外な犯人」「論理的分析」「盲点」「暗号」etc.、後の推理小説の定番パターンの多くを提示しているのみならず、オーギュスト・デュパンという探偵役のキャラクターをもその基本パターンの一つにしてしまった。

その彼の作「モルグ街の殺人」での密室は、密室としてはまったく不完全であり、そして読者にとってはアンフェアであることは否定できないが、そのマイルストーンとしての価値は揺らぐことはない。世界で初めて密室を扱った推理小説と称するに相応しいものだろう。

それに対して本作は、世界で初めて物理的トリックではない、心理的トリックによる密室を扱ったと言われる作品。「モルグ街~」ではその部屋に物理的な仕掛けがあったが、本作ではその代わりに心理的な盲点を突いている。(現代においてはすでに使い古されたトリックなので、ほとんどの読者はすぐに気づいてしまうかもしれないが) その点において、これもまた「モルグ街~」と同様に、推理小説の重要な道標としての価値を持つ作品であろう。

ただし現代の基準で、単なる一作品として読んでみると、とても褒められたものではないというのが僕の感想。


本作の筋書きは、最後に容疑者の恋人が見つかり、その証言によって、検察が築き上げた容疑者の動機が崩れ、無実となるというのがポイント。容疑者の恋人と被害者が接近し、なんだかんだあって恋人が失踪し、そしてあるいは自殺してしまったことへの復讐というのが検察側が推測した殺人の動機。その恋人が見つからぬため、容疑者(被告)はそれを否定できずに死刑を待つ身となっている。動機があるから有罪、動機が見当たらないから無罪なんて、つまらないというかどうでもいい。そんなことよりも、重要なのは密室の謎だw

ところがこの作者、筆を割くのはその動機についてばかり(しかも実際にはまったく的外れ)で、密室の謎については終盤に辿り着くまではほとんど置き去りにされたまま。被告の死刑が宣告される裁判において、そしてそれが覆される解決編になっていきなりその解決が示され、そこに辿り着くまでの過程がまったくない。

作者は推理小説について、「物語の主要部分でデータは全部出しておかなければならない」と、フェアプレイ精神が重要と表明しており、本作でもそれは感じられるが、読者が事件を解決するには無駄なデータばかり提示していると思える。その大半はレッドヘリングでしかない。個人的には、完全に的外れな動機を追いかけるだけの中盤はほとんど必要ない。重要なのは読者投稿の部分だけだろう。100ページ未満の短編で充分。

まあ、良くも悪くも古典的。



[1] ボウ地区の下宿屋。その2階には独立した2部屋があり、その2部屋を労働運動指導者アーサー・コンスタントが借りていた。その日、コンスタントは集会で演説する予定があるため、朝食は7時に、いつもよりも早く起こして欲しいと、下宿の主人のドラブダンプ夫人に頼んでいた。しかしいつも朝6時には目を覚ます彼女が、その日はに限って30分ほど寝坊した。慌てて2階のコンスタントの寝室の扉を叩いて、彼に大声で呼びかけ、階下に戻って朝食の用意を始めた。ところがいつまで経っても彼は下りて来ない。ドラブダンプ夫人は、彼が歯の痛みを訴えていたのを思い出し、歯痛でなかなか寝付けなかったのだろうと考えた。8時になった。何度も扉を叩いた。コンスタントは起きて来なかった。8時半になり、彼女の不安は限界を超えた。近所に住む元刑事ジョージ・グロドマンを連れて来た。彼女の依頼で、グロドマンはコンスタントの寝室の扉を体当りでぶち破った。グロドマンとドラブダンプ夫人は部屋に入った。コンスタントが喉が掻っ切られて死んでいたというニュースはすぐに広まった。
[2] モートレイクの紹介。彼はコンスタントの友人。コンスタントに下宿を紹介したのも彼。それまで使っていた2階の部屋を明け渡した。検死審問。モートレイク、ドラブダンプ夫人、詩人デンジル・キャンタコットらが証言。
[3] 検死審問。コンスタントの親友のリチャード・エルトンらの証言。ロンドン警視庁捜査課刑事エドワード・ウィンプの証言。「グロドマンが扉を壊し、寝室に入ってみると、コンスタントは喉を掻き切られて、ベッドの上で死んでいた。そばに凶器と思しき物は見当たらず、傷の状態などから、自殺の可能性は低い。グロドマンが死体発見直後に死体の状態をざっと調べたところ、まだ死体は温かく、死んでから時間はあまり経っていない様子だった。それから1時間後に死体を調べた専門医の推定もそれに一致し、コンスタントの死んだのは7時頃ではないかと推定される。もちろん正確な死亡時刻の割り出しは不可能なので、それよりも1~2時間前ということもあり得る。ウィンプ自身としては6時半頃と推定している。グロドマンが破ったとき、扉は内側から施錠され、さらに扉上部の押し上げ式閂も掛かっていた。窓も閉まっており、寝室は密室状態だった」
[4] 新聞には“ビッグ・ボウの怪事件”についての投書が殺到している。
[5] デンジルはクラウル夫妻の家に下宿している。ピーター・クラウルは彼が好きなので気にしないが、クラウル夫人はロクに下宿代も払わぬ彼を責め立てる。デンジルは下宿代の3ポンド少々を工面しようと、グロドマンを訪ねる。グロドマンのヒット作である自伝「わたしの捕えた犯罪者たち」は、デンジルがゴーストライターとして書いたもの。グロドマンは素っ気ないが、とりあえず手元にあった1ポンドをデンジルに与えた。ないよりはマシとデンジルはありがたくそれを受け取り、家を出た途端、グロドマンの女中のジェインに新しいドレスをせがまれた。デンジルは貰ったばかりの1ポンドを彼女に渡して去って行った。
[6] デンジル、モートレイクの恋人ジェシー・ダイモンドに関する情報をウィンプに売る。1ポンドを得る。部屋を出た途端、美しい女中に遭遇した。新しい帽子をせがまれデンジルは、貰ったばかりの1ポンドを彼女に渡して去って行った。
[7] グロドマン、ウィンプの家に招かれる。彼らはお互いにまったく反りが合わず、お互いがそれを理解していることも知っているのだが、表向きは親密そうに振る舞っている。彼らは事件について、お互いが持っている情報を探り出そうとしている。話の中でデンジルについて触れた結果、グロドマンはどうやってウィンプの女中に近づこうかと考え、ウィンプはどうやってグロドマンの女中に近づこうかと考えていた。雨の中、ドラブダンプ夫人がコンスタントの墓前に立っている。
[8] コンスタントが住んでいた部屋に新たな下宿人が入った。その白髪混じりの長い顎髭を生やした老紳士は、モートレイクが留守のときにはしょっちゅう彼の部屋に入り込んでいた。コンスタント追悼の集会。壇上にモートレイクが登場したとき、ウィンプは叫んだ。「モートレイク! コンスタント殺害容疑で逮捕する!」
[9] 会場は大混乱。ウィンプの思惑とは違い、人々はモートレイクに味方し、ウィンプには罵声が浴びせられた。混乱の中、モートレイクはまんまと脱出に成功し、その足で警察署に出頭した。
[10] 裁判。ウィンプの説明。「モートレイクの部屋のソファからコンスタントの寝室の鍵と同じものが見つかった。モートレイクはその部屋に住んでいたとき、鍵をなくしたふりをして隠し持っていた。コンスタントが死んだとき、扉の鍵は外から掛かっていた。偽装のため、扉の内側のそばにもう一つの鍵を落としておくか、内側の鍵穴に軽く引っ掛けておいた。押し上げ式の閂は、閂が差し込まれた状態の受け口を予めもぎ取っておいた。そうしておけば扉を破った際に破損したのか、予め壊れていたのか判別できない」 グロドマンは扉を破る前に揺すった際に閂の手応えがあったし、部屋に入ってから鍵穴も見たが鍵はしっかりと差し込まれていたと主張し、ウィンプの推理を否定したが、それは断定できるものではなく、ウィンプが優勢だった。モートレイクには死刑が宣告された。
[11] グロドマン、モートレイクの死刑の反対運動に没頭。モートレイクの無罪の鍵となる、彼の恋人ジェシー・ダイモンドの行方を捜している。グロドマン、重要な情報を手に、内務大臣との面会に成功する。
[12] ジェシーの行方が突き止められる。ウィンプの築いた砂上の楼閣が崩れ去る。
カーター・ディクスン名義の第1作。探偵はジョン・ゴーント博士。古城内の薄暗い甲冑室での密室殺人。第一の被害者は変わり者の当主。第二の被害者は妊娠し、暇を出される寸前だった女中。なぜかその死体は見つけてくれと言わんばかりに通路に置かれていた。第三の死者も殺害現場から引き離されていた。(∪^ω^)わんわんお! [???]

ヘンリー・スタイン:レイル卿, 弓弦城の主
アイァリーン:レイル卿の妻
フランシス・スタイン:レイル卿の息子
パトリシア・スタイン:レイル卿の娘
ブルース・マシイ:レイル卿の秘書
ソーンダーズ:フランシス付きの召使
ウッド:弓弦城の執事
カーター夫人:弓弦城の女中頭
ドリス・マンドオ:弓弦城の女中
アニイ・モリスン:同
ホレイショ・マニング:医師
ジョージ・アンストラザー卿:英国博物館長, 準男爵, レイル卿の友人
マイクル・テヤレイン:英文学教授, アンストラザー卿の友人
ラリー・ケストバン:映画俳優
ジョン・ゴーント:犯罪学の権威
テイプ警部:地方区の警部



城主の友人によって古城に招かれたマイクル・テヤレインは、その当主レイル卿に甲冑室を案内されることとなった。そこでテヤレインは甲冑室に面した図書室でレイル卿を待っていたのだが、その前を素通りし、まっすぐ甲冑室に入ったレイル卿は、二度と再び生きた姿を見せることはなかった。

悲鳴を上げ、甲冑室から飛び出してきたのは当主の娘パトリシア・スタイン。そのただごとならぬ様子に、テヤレインたちが甲冑室に入ると、そこには絞殺されたレイル卿の死体があった。甲冑室の出入口はテヤレインが見張っていた一つきりしかなく、室内には隠れている者はいなかった。

体力的にも性格的にも、パトリシアが彼を殺したとは誰も考なかった。では誰が、どうやって彼を殺し、そして部屋から消え失せたのか?


※以下反転表示部のネタバレ注意。



「大きなのっぽの古時計 おじいさんの時計~♪」

そんな平井堅の歌声が聴こえてきそうな導入から始まる本作は、ジョン・ディクスン・カーが初めて「カーター・ディクスン」名義として発表した作品。別名義になったのは契約上の都合のため。カーは金銭面で鷹揚な人物だったので、必要に迫られてのことだったという。本作は英米初版発行時には「カー・ディクスン」名義だったが、その後、「カーター・ディクスン」名義で統一されている。

最初期のカーは主にアンリ・バンコランを名探偵として書いていたが、この時期のカーは方向性を新たな探っていたのか、作品ごとと言えるほどに新たな探偵を次々と生み出している。その中には、ギディオン・フェル博士とヘンリー・メルヴェール卿といった、後に彼の代表的名探偵となる者もいるが、「毒のたわむれ」に登場するパット・ロシターのような地味な存在もいて、本作に登場するジョン・ゴーント博士も同様。


面白く読めたんだけど、粗が目立つ。

図書室で待つテヤレインの視界をレイル卿が通り過ぎて行った記述はどう考えてもアンフェア。作中でゴーントがアンストラザー卿に城の見取り図を描かせるが、それは読者には示されず、部屋の配置など、城内の構造を読者の目からなるべく隠しているのも頂けない。(それが最重要ポイントとなっている犯行もある) 構造がよくわからないのは甲冑室内も同様で、90フィートの部屋とされているが、果たしてそれは正方形に近いものなのか、それとも長方形なのか、その周囲の部屋の位置関係など、細部がはっきりしない。もし正方形だとすれば、真相を読む限り、甲冑室の中央辺りに死体があったという状況は想像しがたく、犯人はどんだけ力持ちなのか、あるいはよほど特殊な構造の部屋なのかとツッコミたくなる。甲冑室内でパトリシアが聞いた物音の正体もはっきりしない。そしてそのパトリシアをあっさりと容疑の圏外に置いてしまうのもどうかと。



[第一章 弓弦城(ボウストリング)] 弓弦城を引き継ぎ、新たなレイル卿となったヘンリー・スタインは変人で、新しいものを好まぬどころか忌み嫌うようでさえあった。渋々電燈を取り付けることは受け入れたものの、図書室やその先にあるだだっ広い甲冑室のそれを点けることは極力避け、また彼の許可(まず許可されないのだが)なくしては客がそれを点けることも許されなかった。甲冑室――そこには彼の愛する古い甲冑が多数収められていた。奥行き90フィートほどの甲冑室は、真ん中辺りよりも先に進むと、外の滝の音が大きくて物音はあまり聞こえなくなる。城でのちょっとした事件――女中ドリス・マンドオが甲冑姿の幽霊を見た。弩の弦が盗まれた。古い貴重な弦ではなく、新しく丈夫で大した価値のないもの。
[第二章 消え失せた籠手] ひどく汚れた白い僧衣を身に着け、頭巾を被り、山羊髭を生やし、なぜか手にハンマーを持った小男のレイル卿が騒いでいる。籠手がなくなったという。彼に怒鳴り散らされ、困った様子なのが彼の秘書ブルース・マシイ。鞄の留め金を鳴らして書類鞄を開き、その中の事務上の書類を読むように主人に頼んでいるが、籠手をなくしたほうが重要な主人はなかなか耳を貸さない。
[第三章 何か気狂いじみた、恐ろしい、危険なこと] 食事会。レイル卿が突然にドリスの妊娠を告げる。相手は不明だという。客人たちが応接室へと向かうとき、マシイはようやくレイル卿から書類に目を通す約束を取り付け、反対側の大広間のほうへと向かう。レイル卿、客人のマイクル・テヤレインを甲冑室に案内する前に事務仕事を片付ける必要があるので、彼を図書室に待たせ、マシイを捜しに行く。テヤレイン、図書室でレイル卿を待つ。ところがようやくレイル卿がやって来たかと思うと、その彼はテヤレインに目もくれず、そのまま素通りして甲冑室への扉をくぐり抜けた。マシイがレイル卿に書類に目を通すように嘆願しているらしき声がする。内容は不明なものの鋭い口調の返答が響く。マシイは甲冑室から追い出されるように図書室に現れる。扉は閉まる。マシイが言うには、レイル卿はいよいよおかしくなったような表情で、真珠がどうのこうのと喚いていた。テヤレインとマシイが話していると、フランシス・スタインがやって来た。そして甲冑室から悲鳴。扉が開き、パトリシア・スタインが出て来る。フランシスが中の様子を見に行くと、その奥にはレイル卿の死体。
[第四章 釘づけの扉] レイル卿の死体は、90フィートほどの奥行きのある甲冑室のほぼ中央に位置する、巨大な人馬像の台座の上に倒れていた。その首には弓の弦が巻き付いている。死体の状態をもっとよく確認するために電燈のスイッチを入れると、「カチリ」と音がした。テヤレイン、いつだったのかはっきりしないが、こんな感じの音を図書室にいたときに聞いたことを思い出す。パトリシアは甲冑に興味はなく、なぜ甲冑室にいたのか不明。甲冑室は2階まで吹き抜け。バルコニーの窓の向こうはレイル卿の寝室だが、向こう側から固く閉ざされている。幅4フィート、手すりの高さは3フィートのバルコニーにはそこらじゅうに埃が厚く積もり、しばらくは誰もそこに触れてさえいないことが確かめられた。図らずもテヤレインは、死体発見の直前まで甲冑室の扉を見張っていた。殺人犯が彼の目に留まらずにそこから逃げ出せたはずはない。甲冑室の中に隠れている人物はいなかった。フランシス、甲冑室と城の本丸との間の秘密の扉を思い出すが、そこは両側から釘が打ち付けられ、塞がれ、開かなくなっていた。その日、レイル卿が急に思い立ち、そうしたという。レイル卿がその手にハンマーを持っていたのはそのため。それを知っていたのはソーンダーズだけだった。
[第五章 真珠の首飾り] パトリシアの証言。「図書室でうとうとしているテヤレインの前をこっそり通り過ぎ、甲冑室の奥へと入り、ただそこにいた。室内で何かが動くような気配を感じたが、滝の音が大きいため、それが何なのかわからない。それから大声と扉が閉じる音を聞いた。(レイル卿とマシイとのやり取りであろう) パトリシアはストーブの後ろで縮こまっていたので、特に何も目撃していない」 パトリシアは甲冑室にいた理由を明かさなかったが、フランシスには心当たりが付いた。彼女が甲冑室に入り、映画俳優ラリー・ケストバンは裏庭へ。秘密の扉を使えば、二人は怪しまれずに容易に密会できる。それを察したレイル卿が扉を塞いだのだろう。絞殺されたドリスの死体が、両側に部屋の窓が並んだ、屋根のない通路で見つかる。その手には真珠の首飾りを持っている。
[第六章 召使いの部屋] 執事ウッドは自室にいたというが、フランシスの呼びかけに応えなかった。レコードの音で聞こえなかったという。金庫から、現金と無記名債券がなくなっている。
[第七章 ジョン・ゴーント登場] 妊娠したドリスはレイル卿に暇を出されることになっていた。そこで彼女はアイァリーンの部屋にやって来て、取り成して欲しいと頼んだが、アイァリーンはそれは無理だと断った。ドリスはすぐに部屋を出て、その後、殺された。犯罪学者の権威ジョン・ゴーントが、捜査を請われてやって来る。
[第八章 カチリという音の正体は?] ゴーント、テヤレインが聞いた甲冑室の中で響いたらしき「カチリ」という音に興味を示す。もし扉が閉じていればそんな音はまず聞こえない。だとすると、それが聞こえたのは、扉が開いていたとき、レイル卿とマシイのやり取りの前後と思われる。テヤレインは、それは電燈のスイッチの音なのではないかと思っていたが、もし扉が開いた状態で電燈が点いたりすれば、薄暗い図書室では、甲冑室から漏れるその明りはまず確実に目に入る。その記憶がテヤレインにはないのだから、その音が電燈のスイッチによるものである可能性は低い。甲冑室の奥のほうでは滝の音のために少々の音はかき消されてしまう。ゆえに謎の音は部屋の手前に近いほうで発生したもの。
[第九章 籠手発見さる] レイル卿の死体は、まるで弓の弦で首を吊られ、落とされたような格好。彼は首を絞められ殺されているが、弦は彼の死後に巻きつけられたもので、それが死因ではない。ドリスの部屋から籠手が見つかる。
[第十〇章 開いた窓] 格闘の際にちぎれたと思しき、レイル卿のカフスボタンなどが、なぜか彼の服ポケットの中に入っている。見つかった籠手は割と小さめ。それを各人が嵌めてみる。テイプ警部とジョージ・アンストラザー卿には小さすぎて無理。フランシスはなんとか嵌めた。マシイ、テヤレイン、ケストバンは簡単に嵌めることができた。ドリスは元々、別の女中アニイ・モリスンと同室だった。しかし悪影響を与えかねないとして、アニイは他の女中たちの部屋に移されており、ドリスの部屋は彼女一人の個室となっていた。その部屋の窓の真下には、彼女の死体があった通路。犯人は部屋で彼女を絞殺し、窓から落としたと説明がつく。しかしそうであるならば、死体が発見されやすくなる、あるいはその落とす瞬間を目撃される危険さえある行為をなぜ行ったのか不明。
[第十一章 甲冑の幽霊] 紛失したもののうち、500ポンド以上の現金はともかく、1万ポンドにも達する無記名債券についてはマシイが番号の控えを持っているので、犯人が現金化するのは容易ではないはず。フランシスはアイァリーンが籠手を使って迷信深いドリスを脅かして楽しんでいたのではないかと疑っている。
[第十二章 明りのついた窓] テヤレイン、アイァリーンの飼い犬の鳴き声を聞く。しばらくして、女中の絶叫が響く。アイァリーンが自室で射殺体となって見つかった。
[第十三章 レイル卿の押入れ] アイァリーンが殺された夜、テヤレインは犬の鳴き声はかすかに聞いたが、銃声は聞こえなかった。アイァリーンは彼女の部屋から続くレイル卿の寝室から物音を聞き、銃を手にその様子を探り、押入れの中に隠れた犯人を見つけたが、その人物によって押入れの中に引きずり込まれ、射殺され、それから彼女の部屋に運び込まれたらしい。テヤレインは押入れの中に、以前見たときとの微妙な変化を感じた。長衣の一枚がやけに皺だらけだった。アイァリーンの着衣は、親しい間柄の男に会いに行くようなものではない。
[第十四章 嘘の分析] 犯行に使われた銃についての調査。城内には銃はそれほど多くはない。フランシスが所有する拳銃が手頃だが、その所在は不明。フランシスの忠実なる召使ソーンダーズによると、海に沈んでしまったというが、その説明は明らかに怪しい。ゴーント、嘘についての講義をする。とっさの嘘の中には、真実の断片が現れると。
[第十五章 ピストル発見さる] ゴーント、レイル卿の寝室にある、高さが3~4フィートほどの櫃が動かされていたことを指摘する。この城は隠し場所には事欠かず、犯人が現金や債券を一時的に隠しておくのも難しくはない。ソーンダーズの上着からフランシスの拳銃が見つかる。
[第十六章 庭園の散歩] テイプ警部としてはソーンダーズを逮捕せざるを得ないが、ゴーントはまったく彼が犯人とは信じていない。忠実なるソーンダーズはフランシスをかばうためなら自ら罪を被るのも厭わない人物。ゴーントは、犯人がフランシスに罪を被せようとしていると語る。
[第十七章 時計止まる] ゴーント、犯人を罠に掛ける。
[第十八章 ゴーント、謎を解く] ゴーント、レイル卿とその他諸々についての時間経過の中の、噛み合わない点を指摘する。
[第十九章 解決] ゴーント、自身が仕掛けた罠の正体を明かす。