スミソニアン・ミステリ・シリーズの長編第1作。ドタバタ劇。薀蓄物。消えた黄金像。(∪^ω^)わんわんお! [?]

ヘンリー・スクラッグズ:渉外業務室職員
ヴァイオレット・ストラウス:展示設計部職員
ハーバート:ヴァイオレットの愛犬
レッド・ローザ:ヴァイオレットの友人
タイロン:同
フロイド:同
ヘイゼル:同
バーガット・グプタ:ワシントンのインド大使館文化顧問
ソームナート・グプタ:バーガットの甥
アデア・ブレーク:ニュー・デリーのアメリカ大使館文化顧問
ヘイワード・ボッド:法律顧問
フィービ・ケイシー:法律顧問補
リリー・ヴァーノン:スミソニアン協会長官
ロスモア・オーエンズ:同次官
ハンナ・ノートン:ヴァーノンの秘書
ジェラルド・ブラックマン:渉外業務室室長
ロナルド・ヒップスター:同副室長
ドリーミー・ウイークス:特別外貨計画主任
ルーファス・ファット・ドッグ:歴史技術博物館館長
ダグラス・クロス:博物館担当次官補
ハミルトン・シーリハム:会議課長
テイラー・メイドストーン:南アジア専門家
ヴィンス・マッキューン:警護部長
ドーソン・アップル:監察官
ディリヘイ・プローヴァー:広報部長
カール・ハリスン:新聞記者



スミソニアン協会によるインド展の目玉として、インドから持ち込まれ、設置されていた黄金の像が公開前日に消え失せる。190cm、500kgの立像はいかにして消え失せたのか? そしてそれは誰によって?


※以下すべて反転表示。ネタバレ注意。



スミソニアン・ミステリ・シリーズの第1作。(邦訳の順序は都合により「スミソン氏の遺骨」のほうが先)

「スミソン~」は事件に絡まない人物がダラダラと大量に登場し、うんざりしたが、本来の第一作目である本作を読んで納得した。なるほど彼らの何名かはシリーズ・キャラクターなのか。物語の時系列では「スミソン~」のほうが前の話ということで、このような邦訳順になったということだが、本作を先に読んだほうが登場人物を整理しやすかったと思う。

これはたとえばラノベの一派みたいな、薀蓄混じりのキャラクター小説なんじゃないかなぁ。事件の謎解きなんてのはオマケで。作中には登場人物の冗談交じりの会話が垂れ流され、誰かが何かをやろうとすると、その手続きや法的処理で数ページ。ドクター・リケッツなる人物の雇用に関するトラブルを、終盤に唐突に挿入した作者の意図が未だにわからない。それらのどこかに手掛かりでもあるのかと、万が一の可能性を考慮して熟読する苦労は決して報われない。300ページ目にもなろうというところでやっと作者が思い出してくれたのか、黄金像の行方の手掛かりがようやく書かれる。

んで、黄金像は金メッキによる紛い物で、それを壁のパネルの後ろの空間に持ち込み、その床板を開け、下水道に流したことを突き止める。保険金詐欺を狙ったものだったことも判明して、事件解決。


ナニコレ?


「黄金像は来歴からまったくのデタラメなもので、最初からずっと偽物でした!誰も気づきませんでした!」って言われてもなぁ。まあ、僕は「スミソン~」を既に読んでたこともあるし、この作者なら、「黄金像はハリボテで、分解して持ち出しました」なんてオチもあるかとは思ったけどw しかし、いったいどんなチェック体制になってるんだ。誰一人として信頼できる目利きは関わってないのか。実際のスミソニアンってのは、こんなにいいかげんなもので、それを参考にした作品なのかねぇ…。

それに何だ、壁がめくれて裏に小部屋、その床には穴が空いて外部に通じてるって。主人公・ヘンリーは、終盤になってからごく当たり前のようにそこに行き、真相を喝破するが、そんな登場人物には周知のものがあるなら、最初から書いとけ!と言うか、普通に調べて、それくらいは検討して当然だろう。そこから持ち出されたとは、警察も気づかないなんて、そんな馬鹿な話があってたまるか。

それから、これは作者のうっかりなのか、もしそうでないならちょっと信じがたいのが、「はじめに」と書かれた序文。そこに「スミソニアン協会内の詐欺事件の物語である」という一文がある。「詐欺事件の物語」と、明記してあるのだ。この物語は「窃盗のように見せかけて、実は保険金詐欺でした」というものなのに、その真相を序文に書いてしまっている。やはりこの作者は、とりあえずフォーマットとして利用してるだけで、謎解き小説なんてあんまり興味ないのでは。少なくとも、「ミステリとは、謎が論理的に解かれていく経路の面白さを主眼とする~」なんてのには、まったく興味ないだろうw
スミソニアン・ミステリ・シリーズ。次々と変わった処理方法の死体探し。[?]

ヘンリー・スクラッグズ:渉外業務室職員
ジェラルド・ブラックマン:同
サリー・ウィギンズ:同
スチューベン・クラドック:同室長
ロナルド・ヒップスター:同副室長
フィービ・ケイシー:法律顧問補
ハミルトン・シーリハム:会議課長
テイラー・メイドストーン:南アジア専門家
ドリーミー・ウイークス:特別外貨計画主任
ハーラン・ホイットフィールド:スミソニアン協会長官
ロスモア・オーエンズ:同次官
ヴィンス・マッキューン:警護部長
ジョン・アーマー・クラフト:科学担当次官補
オリーヴ・ブルー:クラフトの秘書
ウィリアム・ライト:法律顧問
ヘイワード・ボッド:副法律顧問
ディリヘイ・プローヴァー:広報部長
レベッカ・ハース:図書館国際交流部副部長
アーリントン・メイズ:人類学名誉先任研究員
ユリシーズ・オッサム:人類学部長
パーシー・ジャマーズ:大学プログラム部長
ディラード・ヘイリー:財務部長



スミソニアン博物館に出向しているヘンリー・スクラッグスが、データバンクのシステムを客に紹介しようと、手近にあった頭蓋骨を検索すると、それは協会創設者であるジェイムズ・スミソンと表示された。ならば、スミソンの遺骨が本来納められるべき石棺には何が入っているのかと調べてみれば、そこには凍結乾燥された死体。しかもそれは明らかに最近の死体だった。それをきっかけに、死体が次々と発見されることとなった。


※以下すべて反転表示。ネタバレ注意。



冒頭から殺人事件が描かれるが、そこから物語は過去へと遡る。そして協会創設者の頭蓋骨が、本来あるべきではない場所に置かれていたという出来事をきっかけとして、他殺らしき死体が続々と発見される、という流れなのだが、その興味深い事実が発覚するまでは、70ページもの協会の薀蓄やら人物描写に付き合わされる。すぐに職場を去って行ったという、後に再登場することもない、「ジェイニー」じゃなくて「ジェーン」のほうがしっくり来るかも知れなかった、ジェイニー・クラリッジとのランチなんてどうでもいい。何名もの臨時雇いの秘書との遣り取りなんてのは、実際のスミソニアン協会での経験に基づいたものなのかも知れないが、こんな文章はまったく邪魔。

とにかく無駄に登場人物が多い上に、どれも協会内の職員ばかり。それがダラダラと登場するので、各々の人物像の区別が困難で、後に再登場しても、それがいったいどんな人物だったのか、それどころか、既に登場済の人物であったのかすらロクに思い出せない。事件に絡むわけでもない人物までいちいち意味ありげに性格描写するものだから、人物の軽重が掴みづらく、作者本来の意図とは逆であろうが、全員が「職員A、職員B、職員C、…」なんて文章を読まされてる感じ。

基本的には、「主人公・ヘンリー・スクラッグズが死体の在り処を思いつく→確認」という作業を繰り返す。それも推理によってではなく、本当に単なる思いつき。死体処理方法のアイデアの発表会の隙間を会話で埋めているだけの形式。展示された飛行機のコクピットに死体が置かれているであろうと確かめるためだけに、なぜ冒険が必要になるのか、まったく理解しがたい。

ミステリとして読んだらゴミ。死体発見だけなら数ページでも事足りる、そしてそれだけを描いたものなのだが、それを延々と引き伸ばしている。解決編は犯人による告白で、事件に至った経緯などを語るが、これは本編から推理されるものではなく、まったく独立した話と言っていい。

映像作品にならあるいは向いているかもな、薄味ミステリ風小説。
18世紀の欧州の城館で発生する、古色蒼然たる殺人劇。密室殺人。(「・ω・)「にゃおー [???]

ヴォルフガング・ゴットフリート・フォン・ブリーセンエック:伯爵, 琥珀城当主
イザーク:伯爵の長男, 非嫡出, 31歳
アンドレアス:次男, 伯爵嗣子, 母はハンガリー名門貴族ナダスティ家のユリアーナ(7年前に死亡), 16歳
ユーディット:長女(ユリアーナの第2子), 盲目, 15歳
ユーリウス:三男(ユリアーナの第3子), 14歳
ゾフィーア(ソフィー):伯爵の現在の妻, フランス人, 28歳
シュテファン:四男(母はゾフィーア), 4歳
ベアトリーチェ:伯爵の養女, イタリア人, 18歳
アデルハイト:伯爵の姉, 未亡人, 64歳
ライナルト・フォン・トラウト:伯爵の弟, 58歳
ヴィルヘルミーネ:その妻, 42歳
ウィレム・ヴァンデルベルク:伯爵の侍医, オランダ人, 57歳
ヨーゼフ:伯爵の侍従, 62歳
ジョルジュ・F**:ゾフィーアの血縁, フランス人, 17歳
フランチェスコ・プレラッツィ:謎の男
テルシテス:プレラッツィの従者



時は18世紀。ハンガリーの山中にある、ベルンシュタインブルク城館は、その内部に塔を抱えるという、変わった構造をしていた。その塔は今では書庫として使われており、その扉の鍵は二つあった。一つは当主であるブリーセンエック伯爵自身が所持し、それには派手な意匠が施されている。もう一つは主治医・ヴァンデンベルクが保管していた。

ある朝。姿が見当たらぬ伯爵を捜す侍従・ヨーゼフが、施錠された書庫の扉の上部に開いた小さな覗き穴から中を見ると、そこにはほかならぬブリーセンエック伯爵がうつ伏せに倒れていた。その右手には鍵が握られており、背中には短剣が突き立てられていた。

無論、合鍵を持つヴァンデンベルクが伯爵を殺害した犯人とすれば、問題はないのだが、もし彼がこのような密室を作り出したとすれば、わざわざ自身を犯人と名指しするようなものである。当然、彼はそれを否定した。

元より閉ざされた城館の中での話ゆえ、犯人は即座に判明するであろうという期待は叶えられなかった。そして、たまたま館に滞在していた客人・フランチェスコ・プレラッツィがその謎の解明に当たることとなった。

その矢先、またもや奇妙なことが起こった。伯爵の遺体が消え失せたのである。


※以下すべて反転表示。ネタバレ注意。



うーむ、まあまあ面白かったけど、謎解きの面白さよりも、どちらと言えば雰囲気モノの面白さかなぁ…。フィクションは、作者の作為を読者には作為と感じさせないところも重要だけど、そこが上手く処理されてないので、トリックを成立させること自体を目的としてる印象を受ける。

作中で二つの「密室」が扱われるけど、どちらもオマケみたいなもの。書斎の件は、そもそも合鍵はあるんだから、「犯人に脅されて…」とか適当な理由を付けて、それを使用したことにするのは可能だろう。作中で語られた実際の真相にしても、それと大差ないしw 園亭の周囲の雪に足跡がなかった謎の真相は、あまりにもあまりにもなもの。そもそも本来の意図としても、あそこでメインに扱うべき謎は「密室」ではないのだろう。

伯爵の行動からは不自然さが拭えず、無理筋感は否めないと言うか、もう少しきちんとした計画の説明が欲しいところ。“幽霊”になってイザークを殺すとか、もうわけがわからない。確かに“幽霊”になってしまえば容疑の圏外に置かれるだろうが、いずれその後に“復活”などしたら、むしろ真犯人として名乗り出るようなものではないか。一時的に容疑を逃れるためにこんな手の込んだことをして、いったい何の意味があるのか。

アンドレアスの設定もなぁ。「そうせざるを得なかった」と一応は納得できる反面、「そうしたいのは山々としても、実際問題としたら、隠し通せないだろうと考え、果たしてそんなことするだろうか…」と否定したくもなる。

「耳」「目」「口」が彫られた扉の小部屋から、プレラッツィが疲れ切った様子で出てくる描写に、ふと、「Yの悲劇」でのドルリー・レーンを思い描いてしまうのは、考えすぎだろうかw