開運童子のブログ -17ページ目

雨のあとに虹・Part2 その47

「おはようございます。」

陽子は俊之が社長室に入って来ると立ち上がって言った。

「おはよう。」

俊之は笑顔で言うのを陽子は見ているだけであった。俊之はいつものように書類に目を通してから決済書類に印鑑を押すとパソコンの画面に視線を移した。

「社長。」

陽子が言うと俊之はパソコンから目を離して陽子を見た。俊之の前に陽子が珈琲を置くと

「ありがとう。」

俊之は言った。珈琲を口に持っていく俊之を見てから

「少しお話していいですか?」

陽子が言うと

「大丈夫だよ。」

俊之は言った。

「育子さん。」

久美子が右手を上げて言うと

「久美ちゃん。」

育子は笑顔で言った。駅の改札口は混雑していたが久美子はすぐに育子の姿を見つけることが出来た。

「少し時間が早いからゆっくり歩いて行きませんか?」

久美子が言うと

「たまにはゆっくり散歩をするのもいいね。」

育子は言った。

「お昼から開始だからゆっくりホテルの隣にある庭園でも見ましょう。」

久美子が言うと

「お昼から赤坂総武ホテルで何があるの?」

育子が言うと

「それは内緒ですよ。」

久美子は笑顔で言った。

「そろそろ時間ですね。」

陽子が言うと

「急に赤坂総武ホテルで何があるの?」

俊之は言った。

「それはあとでお話しますね。」

陽子が言うと

「昨日までは予定になかった事だよね?」

俊之は言った。

「行きましょう。」

陽子は俊之を無視して言うと先に社長室を出て歩き出したのであった。

「具合はどうなの?」

早苗は病室のドアを開けてすぐに言うと矢島が黙ったであった。早苗は不審に思ってベッドを見るとそこには矢島の姿がなかったのである。早苗はすぐに病室のドアを開けて廊下を見たのであるが矢島がいるはずもなく担当の看護師が台車を転がしながら病室の前まで来る姿が見えただけであった。

「矢島さん。」

看護師が言った。

「あの主人は?」

早苗が言うと

「検温の時間です。」

看護師は言った。

「主人の姿が見えないので診察の時間では思いましてね。」

早苗が言うと

「今日は矢島さんの診察はありませんよ。」

看護師は言った。

「そうですか?」

早苗が言うと

「もしかしたら?」

看護師が言うと

「そうようですね。」

早苗は苦笑いをして言った。

「さすに手順がいいな。」

矢島は関口が運転する乗用車に乗って言った。

「そんな身体で大丈夫ですか?」

同乗している翔太が言うと

「俺はこれでも不死身の男だぞ。」

矢島が言った。

「それでも無理はダメですよ。」

泰子が助手席で言うと

「高村のためなら病院で刑務所でも抜け出さないわけにはいかないだろう?」

矢島は言った。

「矢島さんも凄い精神力ですね。」

関口が言うと

「高村や笹川さんほどではないよ。」

矢島は言った。

雨のあとに虹・Part2 その46

「陽子。」

国分が待ち伏せ陽子の前に現れて言うと陽子の行く手をふさいでいた。

「そこを退いてください。」

陽子が言うと

「そんなに冷たい事を言うなよ。」

国分は言った。

「あなたとはもう終わりました。」

陽子は突き放すように言うと

「もう一度やり直そうよ。」

国分は言った。

「あなたには疲れました。」

陽子は歩き出そうとして言った。

「そんな事を言うなよ。」

国分は言うと陽子の腕を掴んでいた。

「離してください。」

陽子は少し大きい声で言った。

「陽子とやり直したいだけだよ。

国分は言うとさらに陽子の腕を引っぱる形になって陽子は国分に引きずられるような体勢になっていた。

「国分さん。」

立花が現れて言うと陽子も国分も立花を見たのであった。その時の陽子は初めて立花が頼もしい男に見えたのであった。

「立花さん。」

国分が言うと

「うちの社員に変な事をなさると情報堂さんとの取引に影響しますよ。」

立花は毅然とした表情で言った。

「堀田さんはいつまで東京にいらっしゃるのですか?」

俊之が言うと

「1週間ほどしたら岩手に帰るよ。」

堀田は言った。

「それでしたらお帰りになる前にもう一度会いましょう。」

俊之は自分の名刺を堀田の前に出して言うと堀田は俊之の名刺を凝視していて俊之は黙ってそれを見ていると

「高村さんが俺みたいな男とこんなおしゃれな喫茶店で珈琲を飲む事は少ないだろうな。」

堀田は言った。

「あの時はお世話になりっぱなしで失礼しました。」

俊之は言った。

「ご協力いただきましてありがとうございました。」

桜田が丁寧な言葉で久美子に言うと

「お忙しいのにすみません。」

菊池も言った。

「矢島さんの事故が故意だとおっしゃるのでしたら早く犯人を捕まえてください。」

久美子が言うと

「我々も全力を尽くして解決に努めます。」

桜田は言った。

「矢島さんのためにもお願いします。」

久美子が言うと

「またご協力をお願いするかもしませんのでその時にはよろしくお願いします。」

桜田が言った。

「解りました。」

久美子は桜田の目を見て言った。

「我々はこれで失礼します。」

桜田は言った。

「失礼します。」

菊池も久美子に言うと久美子は少しだけ笑顔を見せてから歩き始めていた。駅前の交差点で赤信号久美子が赤信号で立ち止まると青に変わるまでわずかな時間に夏の暑さが周囲に漂っていた。信号が青に変わって歩き出す久美子を離れた所で三田が見ていたのに久美子は気づいていなかったのであった。

「高村さん。」

携帯電話の向こうで田崎は言った。

「僕も田崎さんに電話をしようと思っていたよ。」

俊之は言うと人通りが多い周囲のざわめきが田崎にも携帯を通じて伝わっていた。

「外国人労働者受入れの件で高村さんのご意見を聞かせてください。」

田崎が言うと

「その件なら明日にでも時間を作るからきちんと時間をかけて話し合おうよ。」

俊之は言った。

雨のあとに虹・Part2 その45

「堀田さん。」

都心でおしゃれなブティックや喫茶店が立ち並ぶ一角を歩いていた俊之は偶然に堀田宗光を見かけて嬉しそうに言った。

「高村さん。」

堀田は振り返って言うと4年ぶりの再会で懐かしさが込みあげてきたのであった。

「あの時はお世話になりました。」

俊之が言うと

「高村さんもしばらく見ないうちに出世したね。」

堀田は言った。

「せっかくだからどこかで珈琲でも飲みませんか?」

俊之は笑顔で言った。

「これからは自動車の運転には気をつけるのよ。」

早苗はベッドに横たわる矢島に言った。

「そうするよ。」

矢島は静かな声で言った。

「自動車は車検をしているのにあんな事になるとは危険だわ。」

早苗が言うと

「あれは誰かに細工をされたのかもしれないな。」

矢島は言った。

「誰かに細工をされたとはただ事ではないわよ。」

早苗が言うと

「未確認だからみんなには言わなかったよ。」

矢島は言った。

「誰かに恨みを持たれる心当たりがあるの?」

早苗がいうと

「ひとりくらいは俺を恨んでいる奴がいるはずだよ。」

矢島は言った。

「背が高いイケメンさんにはその事を話したでしょ?」

早苗が言うと

「笹川さんには話しておいたよ。」

矢島は言った。

「素敵な男性ね。」

早苗が言うと

「お前は高村から乗り換えたのか?」

矢島は冗談交じりで言った。

「バカを言わないでよ。」

早苗が言うと

「こんな事でも言わないと病院は退屈でいけないからな。」

矢島は言った。

「堀田さんに東京で会えるとは思わなかったですよ。」

俊之は珈琲を口に持っていきながら言った。

「高村さんが総武のトップになるとは思わなかったよ。」

堀田は嬉しそうに俊之を見て言った。

「東京には何か用件でもあったのですか?」

俊之が言うと

「ちょっと野暮用があったものだからね。」

堀田は言った。

「堀田さんが住む岩手県にも総武がホテルと百貨店を出しますよ。」

俊之が言うと

「俺のところは寂れてしまったよ。」

堀田は寂しそうに言った。

「僕が考えている事に目途がつけば総武としてもお手伝い出来るようになりますよ。」

俊之は言った。

「何を手伝ってくれるのかね?」

堀田は俊之と視線を合わせて言った。

「街の活性化ですよ。」

俊之は微笑んで言ったのである。

「堀川久美さんですね。」

桜田は偶然を装って駅の改札口で久美子に警察手帳を見せて言った。

「失礼ですがどちら様でしょうか?」

久美子が言うと

「警視庁の桜田です。」

桜田は警察手帳を出して言った。

「同じく菊池です。」

菊池も桜田の横で言った。

「何か事件なのでしょうか?」

久美子が言うと

「矢島正一さんの事故についてお話を伺えればと思いましてね。」

桜田は微笑みながら言った。

「私に何かの容疑がかかっているのですか?」

久美子が言うと

「まさかあなたがするはずがない。」

桜田は言った。

「では私に何を聞きたいのですか?」

久美子が言うと

「矢島さんの乗用車には細工されたと思われる痕跡がありましてね。」

桜田が言った。

「細工ですか?」

久美子が言うと

「何かお心当たりでも思いましてね。」

桜田は穏やかに言った。

「ついでに入江麗子さんの事件はご存知ですか?」

菊池が言うと

「それは聞かなくていいよ。」

桜田は言った。