虹の約束♪ -13ページ目

虹の約束♪

「いつも喜んでいなさい・・・」

・・・

 

エセは打ち明けたことに少々気が差したようで、彼らの釈明をする。

 

 

 

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「誰も初めから盗賊になりたい人間なんかいないわ。

私だってこんな踊り子になりたくてなったわけではない。

売られてしまったんだもの、しょうがないわ。

他に選の道なんかなかった。サブたちも同じ。

サブは勿論だけど、イウイアだってそう。

親に捨てられて生きる方法がなかったのよ。

アハやハブ、ケン、パネブ、バ、ジャウ、サフ、みんなもそう。

孤児だったり、家が貧しかったり、みんなそれぞれ理由は違うけど、

他に行くところも住むところもなくて、生きるためにそうしたのよ。

誰も彼らを責める権利なんかないわ」

 

アルは以前、泥棒や強盗事件のニュースを聞くたびに、そういう輩を軽蔑していた。

 

 

 

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盗むくらいなら餓えて死ねばいいと思った。

彼らにはプライドがないのかと、心で蔑んでいた。

 

今はそんな自分を恥じている。

そう思えたのは、自分は安全な場所にいて、充分に食べていけたからだ。

 

強い人間からしたら、自殺したアルも同等だろう。

現実から逃げた弱い人間に違いない。自分に負けた、負け犬だ。

 

だから彼らの気持ちは理解できた。

 

 

 

 

 

「パピルスの詩」

 

 

 

 

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・・・

 

女の足で砂漠を行くので、ラーモセには到底追いつかない。

アルは慣れていないのでなおさらだ。

それでもひたすら歩いた。

 

 

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・・・

 

「彼らの仕事の内容を知っているの?」

 

アルはかぶりを振る。

 

エセは話すべきか迷っているようだった。

 

・・・

 

エセはとうとう諦めた。

「彼らのアケトはテーベでは有名だって話したわよね。

神出鬼没で百戦錬磨、砂漠の狼とも呼ばれているわ。

誰もその実態を知らない。彼らは即ち盗賊なのよ」

 

アルはさすがに息を呑んだ。

 

 

 

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「主に狙いのは金持ちの貴族や商人たち。

しかし彼らには特別な掟があって、人を殺したり傷つけたりはせず、

持ち物全てを奪わずに、半分だけを頂くという規定を守っているの。

余波の盗賊たちとは少し違っているのよ。

だから、砂漠を行く商人たちは初めから彼らに護衛を頼む者もいて、

アケトに通行料を支払い、砂漠を無事に旅する商人たちもいるわ。

砂漠には様々な盗賊がいるから。

暗黙の了解で盗賊たちも自分たちの領域を越えたりしないみたい。

テーベの官僚たちもそれを見て見ぬ振りをしているわ。

サブたちが彼らに貢物をしているからよ。

だからその官僚たちから、サブたちアケトは情報をもらうのよ。

でも最近、その均衡が破られてしまった。

軍隊が出動し、砂漠の掟もすでに守られなくなっているの。

例の飢饉がひどくなったせいでね。

みんな生きるのに必死なんでしょう。

それで・・・サブたちも危険を承知でやらざるを得なくなっているわ」

 

 

 

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ある程度想像していたが、やはりやりきれない思いがあった。

 

 

 

 

 

「パピルスの詩」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・

 

それから数日が過ぎ、ラーモセは出かけた。 入れ違いにエセが来訪した。

その顔には不本意な色が濃く滲んでいた。 当然だった。

だが、アルは急いでいた。

心も焦っていて、細かいことにかまってなどいられなかった。

 

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「ラーモセがどこへ行ったか教えて。

密かに彼の後をつけようかと考えたんだけど、絶対追いつけないだろうと思って。

迷惑だってわかっていても、エセに頼むしかなかったの。

時間がないわ。お願い、教えて」

 

エセは不意をつかれたのか、面食らった様子で聞き返す。

「なんのこと?」

 

「ラーモセに今の仕事を止めさせる。 サブに直接頼んでみたいの。

だから彼らが今どこにいるのか教えてほしい。 お願い」

アルは必死にエセに頼んだ。

 

 

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彼女は皮肉な笑いを浮かべ、腕を組むときっぱりと言う。

「無理よ。 彼らにもいろいろな掟があるのよ。

一度始めたことを、途中で抜け出すのは難しいわ。

たとえそれがラーモセでもね」

 

「エセ、知っていた?ラーモセは仕事から帰ると、必ず倒れてしまうのよ。

初めは一日休んだら起き上がれたのに、今では三日も寝込んでしまうの。

このままでは彼は必ず壊れてしまうわ。

そんなのエセも望まないでしょう? 彼の心は仕事を拒否しているのよ。」

 

エセはアルの正視に耐えられなかった。

「だからってどうしろと言うの?

さっきも言ったけど、これはそう簡単な問題じゃないのよ。

仮にあなたが行ったとしても、どうにもならないわ。 無駄よ」

 

アルは自分の手をきつく握りしめた。

「それでもいい、場所を教えて。 何もしないでただ待っているのは嫌なの。

ラーモセをこのままにはしておけない。 彼を助けたい」

 

 

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エセはアルにつっけんどんに言い放つ。

「あなたないラーモセが救えると思うの? 案外自惚れが強いのね。

むしろそんなことをしたら、彼はあなたを憎むわよ」

 

「そうでようね、でもそんなのかまわない。

彼に嫌われることを恐れるよりも、彼が壊れてしまうことの方が怖い。

苦しむ彼を見たくない。 エセだって本当はそう思っているんでしょう?

だから教えて、時間がないわ」

 

エセはしばらく思案顔を見せていた。

「私はラーモセやサブに嫌われるのが怖かった。 だから見ない振りを続けた。

あなたはどうしていつもそんなに強いの?」

 

 

 

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「強くなんかない。 自分が誰よりも卑怯で卑劣者であることを知っているわ。

本当に強い人間なら、私は今ここにはいなかった」

 

アルの真摯なひたむきにエセは折れた。

「わかった。 一緒に行くわ。 ただし私は案内するだけ。

あとは何もできないわよ」

 

アルは大きく頷くと急いで支度した。

 

 

 

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「パピルスの詩」

 

 

 

 

・・・

 

 

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ずっと長い間一緒にいたような感覚になる。側にいるだけで心が温かくなるような安心感だ。

 

これからもきっと、離れていても互いのことを思うとき、心が強くなれるはずとアルは確信した。

 

「お前がここで待っていてくれるって思うと、元気が出る。どんなことも我慢できるんだ。

俺の帰りを待っていてくれるのか?俺にこんなことを言わすお前はすごいな」

 

アルは胸がちくりと痛んだが、顔には出さない。ラーモセを不安にさせたくなかった。

 

 

 

 

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「待っているよ、ここでラーモセの帰りを。それに私がすごいんじゃないよ。

私は何もしていない。でもすごくうれしい。

そんなこと言われたの生まれて初めてだもん。誰かに必要とされたのも。

私こそありがとうって、いっぱいラーモセに言いたい。本当だよ」

 

ラーモセは今までで、一番優しい笑顔を見せた。

 

 

 

 

「パピルスの詩」

 

 

 

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・・・

 

数週間しか経っていないというのに、不吉なあのエジプトハゲワシが大きな翼を駆って、大空を舞っていた。

狙いを定め急降下したかと思えば、いつものようにテーブルの上に飛来した。

本当に大きな鳥だ。鋭い目がラーモセとアルを見据えている。

 

 

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ラーモセは表情もなく括り付けられた紐を解く。

自分のお役目がすんだとばかりに、ハゲワシは翼を広げ何度か羽ばたくと、再び大空へと昇って行った。

 

 

この時代の人たちの伝達方法は色々で、五感が優れている彼らは、アルの想像を遥かに超えていた。

視力、聴覚、臭覚は到底真似できるものではなかった。

 

 

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人類は進化したと言われているが、果たしてそうだろうか。

確かに科学は進んだ。

しかし人間本来所有していた生命力は退化したとしか思えない。

 

 

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進化したのは人間ではなく、機械だけだ。

 

そのお蔭で人間の脳は働くのを止めてしまった。

その心の鈍さが、すぐ眼の前にある素晴らしい命を見落としてしまっているのだろう。

 

 

 

 

「パピルスの詩」

 

 

 

 

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