幻告 

五十嵐律人 講談社 2022年7月





 

 

裁判所書記官として働く宇久井傑(うぐい・すぐる)。ある日、法廷で意識を失って目覚めると、そこは五年前――父親が有罪判決を受けた裁判のさなかだった。冤罪の可能性に気がついた傑は、タイムリープを繰り返しながら真相を探り始める。しかし、過去に影響を及ぼした分だけ、五年後の「今」が変容。親友を失い、さらに最悪の事態が傑を襲う。未来を懸けたタイムリープの果てに、傑が導く真実とは。リーガルミステリーの新星、圧巻の最高到達点!




父親の冤罪に気づいた裁判所書記官の宇久井。


タイムループを繰り返すが、

過去を変えると未来が変わる。


父親の冤罪を晴らすと

最悪の事態が待っている。


タイムループを繰り返す中で、宇久井は、最悪の事態を回避できるのか?

どんな未来にたどり着くのか?




万引きにも、万引きする品物や動機により、罪の種類がいろいろあることを知る。

法律に関しての説明も興味深い。



裁判官の鳥間、一番いい答えを出すことに強い葛藤があっただろうな。



ややこしくて、こんがらがる部分は 多々あったけど、宇久井が、 少しでもいい未来にしようと、奮闘する姿がよかった。



お気に入り度⭐⭐⭐⭐



青空と逃げる

辻村深月 中央公論新社 2018年3月





 

 

深夜の交通事故から幕を開けた、家族の危機。押し寄せる悪意と興味本位の追及に日常を奪われた母と息子は、東京から逃げることを決めた――。



 父親が起こしたトラブルから、東京から逃げることにした母と子-力。


さまざまな土地を転々とするが、どの地でも、親切な人達に囲まれて、そこで精一杯生活していく様子は、たくましい。



子どもでできないことがあれば、大人に頼る。

助けて下さいと言うことにも勇気がいっただろうけど、力は、よくがんばったよ。



母も 力も、成長していったと思う。

その土地土地での人のあたたかさがよかった。



お気に入り度⭐⭐⭐⭐


タクジョ!みんなのみち

小野寺史宣 実業之日本社






 

 

運転手とお客さん。タクシーの車内で響き合う、一期一会の心もよう……
人生の機微を紡ぐ名手が贈る 味わい深い人間ドラマ。新人女性タクシー運転手の物語『タクジョ!』待望の続編!

[主な登場人物]
●東央タクシー東雲営業所の仲間たち
高間夏子(26) 女性客が安心して乗れるよう、自分が運転手になると決め、四年目を迎える。
姫野民哉(28) イケメンでお調子者。航空会社の仕事が肌に合わず転職。ドライバー歴六年。
霜島菜由(26) 夏子の同期ドライバー。内勤業務に職種変更をしようか迷っている。
永江哲巳(26) 夏子の同期で、採用課所属。「コロナ後」を見据え、人材発掘に尽力。
道上剛造(56) ベテラン運転手。強面の風貌から元スジ者と噂されるが、実はほろ苦い過去が…

●道央タクシー
川名水音(38) 夏子の元同僚。再婚後に転居した札幌で、ふたたびタクシー運転手に。




東央タクシーで働くタクシードライバーたち。
お客さんを乗せての仕事の様子、仲間たちとの交流などの日常を描いている。
失敗や悩みもあるだろうけど、それぞれに真面目に仕事をしている様子がよくわかる。

お客さんとの会話、人生相談みたいなのがあったり、夫婦げんか聞こえてきたりとおもしろい。

私は、タクシーあまり乗らないし、乗っても運転手さんとほとんど話をしないけど、こんなタクシーなら、長距離を運転手さんと話をしてみたいと思った。

「タクジヨ」の主人公の高間夏子のその後も知ることができ、ずっとタクジヨとして働きたいという彼女を応援したい。

あのコロッケ店 !!
ここで登場とは、にくい!

お気に入り度⭐⭐⭐⭐

ブックジャーナリストの内田剛さんの講演を聞いて来ました。


本屋大賞が設立された理由は、

本が売れなくなってきた

アメリカで、このような賞があった

直木賞に違和感を感じた

現場の本屋をもりあげたい

という理由から、本屋大賞が始まった。


書店員のコメントを読んで、集計しているのは、手間のかかることだと思いました。

それだけに信用できる。



歴代の受賞作品の話では、


今までの本屋大賞の 中で得点が一番多いのは、

第15会 辻村深月「 かがみの弧城」 


本屋大賞と直木賞のダブル受賞は

第14会 恩田陸「蜂蜜 と遠雷」のみ


本屋大賞候補にあがった作家

伊坂幸太郎 13回

森見登美彦 6回

三浦しをん 5回

西加奈子  5回


デビュー作で大賞 受賞は

第6回 湊かなえ「告白」

そして、今回の

第21 回 宮島未奈 「成瀬は天下を取りにいく」


この大賞は、納得です。

成瀬の人柄に惚れたもの。


今回の11位の作品が、加藤シゲアキ「なれのはて」だったそうです。


もし、この作品が、10位内に入っていたら、上位に入ったかもと思うのは私の見解。


今回 10作品の内、まだ、5作品しか読んでないので、これから、読んでいきたいと思います。


別冊の本屋大賞のこの本↓は、1票でも入った作品も掲載されていて、昨年どのような本が読まれたかのことがよくわかるというこでした。

 

 




 講演は、裏話もあり、「成瀬は天下を取りにいく」が印刷された黄色いTシャツを見せてもらったりと、2時間あっという間で、貴重な時間でした。


婚活探偵

大門剛明 双葉社 2017年6月





 

 

私は今日もさがす、未来の妻を――。不惑を過ぎた探偵・黒崎竜司は元警視庁の刑事だった。
ある事件がもとで辞職し、いまは新宿の探偵事務所に勤めている。
そして密かに結婚相談所に登録し、婚活をしているのだ。
事務所では強面のハードボイルドを気取っているので、明かせない。
そんな苦労をして婚活に励んでいるのに、勘違いやタイミングの悪さでトホホなことばかり。
竜司は妻を娶ることが出来るのか!? ユーモアとペーソスあふれる連作短編。





ドラマ化されたけど、見ていない。

大門剛明さんの小説だから読んだ。


黒崎は、探偵の仕事にも、婚活にも、一生懸命なのがよくわかる。



結婚相談所に行っていることも隠している黒崎。


女性 とつきあったことがなく、恋愛には不慣れな黒崎。


アドバイザーに教えてもらい、タバコをやめるとか、スーツを新調するとか、ふりまわされながら、婚活を成功させようとしている様子がおかしい。


さまざまな女性と出会うが、結婚相手は見つかるのか?


強面だけど、女性に優しく、誠実に接している黒崎に、好感が持てた。


ユーモアいっぱいの中にちよっとしたオチもあり、楽しめる小説。



お気に入り度⭐⭐⭐⭐




花ざかりを待たず

乾ルカ 光文社 2023年4月







 

 

末期がんが判明した椎名利夫の余命は一年。予期せぬ宣告に家族や周囲の人々は戸惑いを隠せなかった。利夫のために何をすべきか焦燥は募るばかり。妻は夫に四十路の娘の晴れ姿を見せるために結婚を求め、娘は自分の思いを曲げようとはしない。すれ違いながらも、それぞれの脳裏によぎるのは利夫との思い出の数々。だが、想像を絶するスピードで彼の体調は崩れ始め……。別れの日を前にした人々の思いが胸を打つ、感動の傑作。




俊夫はガンで余命一年と診断される。

その時、妻、ふたりの娘に何ができるのか?


俊夫に花嫁姿を見せてほしいと躍起になる慶子。


親は、娘の花嫁姿をみたい。安心したいという気持ちはわかる。

でも、圧力かけすぎ。


結婚しない、由紀子のような生き方もある。

本人がそれで幸せなら、それもあり。

これも、多様性。


この由紀子と結婚して子どもふたりいる真理子の姉妹の関係、いいなと思った。



俊夫は病院から、定時に毎日かけてくる電話。

家族に心配かけまいとする俊夫のことを思うと苦しくなる。



病が進んでいく後半は、つらかった。


俊夫は、慶子に、普段、子どもたちのこと、育て方が悪いと悪態ついていたけど、最後の言葉に救われる。




お気に入り度⭐⭐⭐⭐⭐






シリウスの反証

大門剛明 角川書店 2021年10月



 



 

冤罪被害者の救済活動に取り組む、弁護士や学者などのスペシャリストで構成された団体「チーム・ゼロ」のもとに、無実を訴える一通の手紙が届く。それは平成8年に岐阜県郡上郡で起きた一家四人殺害事件の犯人として、死刑判決を受けた死刑囚・宮原からのものだった。理想に燃える若手弁護士・藤嶋翔太は事件について調べ始め、信頼の置けない科学捜査や心理的なバイアスなど、様々な要素から真相を手繰り寄せるが――。 冤罪における”救済”を問う、迫真の社会派ミステリ!




指紋の一致って、こんな風にしてするというのを知った。

科学捜査でも、心理的なバイアスにより、変わってしまうこともある。

それで、冤罪がおきる。


宮原の冤罪をどうやって晴らすのか、興味を持った。



あの人は、あの時のあの人だったのか。


悪い人だと思ってた人、そんなに悪くなかった。


 裁判所から送られてきた鑑定書、その結果を見るのにドキドキした。


もし、冤罪だと判明しても、真犯人を捜すことはしない。

 だから、犯罪を犯してまでも …


(ネタバレしないように感想を書いたら、わけのわからない文章になってしまった。)


思いがけない展開あり、面白かったです。


お気に入り度⭐⭐⭐⭐

愛の色いろ

奥田亜希子 中央公論新社 2020年2月




 

 

ポリアモリー(複数愛)に理解があること」が条件のシェアハウスで暮らす四人の男女。たがいの愛のありようをはかり、揺れ動く感情に翻弄されつつ、表面上は日々はおだやかに過ぎていくが……。



題名だけ見て、読み始めたら、ポリアモリー(複数愛)の小説?

私には無理だと思ったけど、読み進むうちに、

苦しい過去があり、性格で悩み、日々を送っている。

そんなシェアハウスで暮らすそれぞれ の人の生き方に引き込まれた。


 


ポリアモリー(複数愛)とは、

複数の人を同時に、誠実に愛するライフスタイル 。

相手に不満や不安を抱いたときは、その都度話し合いで解決する。

  相手は複数いるというだけで、それぞれに真剣なのだと知る。

でも、難しそう。


複数愛に関しての世間の考え方や嫉妬の感情の方に共感できる。



複数愛を主張する人たちと言っても、ひとまとめにすることはできなくて、それはやはり人それぞれなのだと思う。


愛の形って色いろだな。



ラスト、シェアハウスの使い方、いいと思った。


お気に入り度⭐⭐⭐⭐

まぼろしを織る

ほしおさなえ ポプラ社 2024年1月


 



 

 

 母の死をきっかけに生きる意味を見いだせなくなった槐は、職も失い、川越で染織工房を営む叔母の家に居候していた。そこに、水に映る風景を描いて人気の女性画家・未都の転落死事件に巻き込まれ、心を閉ざしていた従兄弟の綸も同居することに。藍染めの青い糸に魅了された綸は次第に染織にのめり込んでいく。 ある日、槐の前に不審な男が現れ、綸が未都の最後の言葉を知っているはずだと言う。未都の死の謎を探りながら、槐は自分の「なぜ生き続けなければならないのか」という問いと向き合っていく――。 





 


生きる意味を見失っている槐。

心を閉ざした従弟の綸。

ふたりは染織工房を営む叔母の家に居候し、仕事を手伝ううち、自分自身を取り戻していく。


草木染めや機織りの様子が詳しく 描かれていて、手仕事で行うそれらの様子が、目に浮かぶようで、魅力あることに感じた。


死ぬことができないから生きていただけの槐や綸が生きる意味を見いだしていくところがよい。


ミステリー要素もあり、楽しめた。



お気に入り度⭐⭐⭐⭐

七度笑えば、恋の味

古矢永塔子 小学館 2020年2月




 


自分の容貌に強烈なコンプレックスを抱く28歳の日向桐子は、人目に触れぬよう外では常にマスクと眼鏡を身につけて暮らしている。勤務先である、「優しい料理」のサービスに力を入れる単身高齢者向けマンション『みぎわ荘』でも、職場の人間関係をうまく築くことができない。もう辞めよう、そう思っていた桐子の前に現れたのは、『みぎわ荘』最上階の住人で、72歳の不良老人・匙田譲治だった。小粋な江戸弁で話す匙田に連れてこられた「居酒屋やぶへび」で、大雑把ながら手際よくつくられた温かい料理と、悩み多き人生を懸命に生きる心優しい人々との対話を通じ、桐子の心は少しずつほぐされてゆき……。





自分の容貌に強烈なコンプレックスを抱く28歳の日向桐子。

職場では、顔を隠しているから、何があるのだろうと思ったら……

そっちのコンプレックスね。


夫がSNSで発信している理想の夫婦。

 でも、これは作りもの。

桐子は耐えられないだろう。



桐子が「居酒屋やぶへび」で過ごすうち、だんだん 気持ちがほぐれていく様子がよかった。


匙田さんって、魅力的な人物だな。


祥太郎は、大人を小ばかにしたようなところがえるだけど、彼の生い立ちにつらいことはあって、打ち勝とうとしているエピソードにもじーんときた。


ここで紹介されている料理は、どれも、体が温まりそう。心も癒されそう。


お気に入り度⭐⭐⭐⭐