まぼろしを織る

ほしおさなえ ポプラ社 2024年1月


 



 

 

 母の死をきっかけに生きる意味を見いだせなくなった槐は、職も失い、川越で染織工房を営む叔母の家に居候していた。そこに、水に映る風景を描いて人気の女性画家・未都の転落死事件に巻き込まれ、心を閉ざしていた従兄弟の綸も同居することに。藍染めの青い糸に魅了された綸は次第に染織にのめり込んでいく。 ある日、槐の前に不審な男が現れ、綸が未都の最後の言葉を知っているはずだと言う。未都の死の謎を探りながら、槐は自分の「なぜ生き続けなければならないのか」という問いと向き合っていく――。 





 


生きる意味を見失っている槐。

心を閉ざした従弟の綸。

ふたりは染織工房を営む叔母の家に居候し、仕事を手伝ううち、自分自身を取り戻していく。


草木染めや機織りの様子が詳しく 描かれていて、手仕事で行うそれらの様子が、目に浮かぶようで、魅力あることに感じた。


死ぬことができないから生きていただけの槐や綸が生きる意味を見いだしていくところがよい。


ミステリー要素もあり、楽しめた。



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