電流戦争〜発明王の光と闇1〜ミオくんと科探隊 | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

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 ミオくんと科探隊新シリーズ第2弾です。3回連載です。

 前回の「アルキメデスと王冠」が2022年3月。そのあと、『これ、科学?』『のらねこ、海を渡る』シリーズを描きましたが、科探隊新シリーズ第2弾のネームを描いた段階で、23年の夏に例の「古いMacクラッシュ事件」がありまして、漫画制作(デジタル仕上げ)を一時中断せざるを得なくなりました。(このへんの執筆事情は、いずれ、別記事で書きます)

 新しいソフトの操作も、不完全ながらだいたいわかるようになりましたので、漫画制作再開。じつに1年ぶりになります。ん〜、時間かかっちゃったなあ・・・

 

 今回のマンガは、以前描いた記事「発明王、光と闇の覚書1・2」を科探隊の冒険譚としてマンガ化したものです。

 科学技術の闇の部分にスポットを当てた話なので、案内役はミオくんではなく、ダークミオくんにしました。科学に関わることなら、能力的にはなんでもできるミオくんですが、問題がこと人間関係の話になると手が出せません。こういうときには、ダークサイドの分身、ダークミオくんの方が行動の自由度が高いですね。

 

 発明王エジソンの「闇」はとても広くて深いので、短いページ数ではそのすべてを描ききれません。今回は有名な「電流戦争」(といっても、一般の方には知られていないでしょうが)に関わるあるお話を描くことにしました。

 

 p1でロダンがキッズたちに見せてくれているのは、「光るシャー芯」という実験。『いきいき物理わくわく実験1」に載せた実験です。それまで、鉛筆の芯に電流を流して光らせるというのがあったのですが、当時、三井さんがシャー芯の方が手軽でよく光るということで、新しく開発した実験です。

 

 アメリカの発明王トマス・アルバ・エジソン(トマス・アルヴァ・エディソン)は、19世紀末から20世紀にかけて、「メンロパークの魔術師」「蓄音機の父」として世界的な有名人でした。フランスの作家ヴィリエ・ド・リラダンのSF小説『未来のイヴ』の主役にもなっています。

 

 メンロパークの発明工場でエジソンは白熱電球を開発し、一躍有名になりました。この白熱電球は、エジソンだけでなく世界中で何人もの発明家が研究をしていました。エジソンは、先んじて白熱電球を研究していたイギリスの発明家スオンから権利を買い、フィラメントを工夫して長時間点灯するようにしました。(スオンは不承不承だったのですが、相手が有名なエジソンで戦っても勝ち目はないと考えたようです)

 

 エジソンはすでにある発明品を改良するのが得意で、ゼロから生み出した発明は、相場受信機と蓄音機の2つだけではないでしょうか。

 白熱電球も映画の映写機も、他人の発明を買って自分の名前で発表しています。映写機の場合は、改良すらしていません。(詳しくは発明王、光と闇の覚書2を御覧ください)

 

 スオンができなかった電球の寿命を実用できるまで伸ばす改良は、フィラメントに金属でなく、竹から作った炭素繊維により成功しました。(1879年)

 ありとあらゆる金属を試してだめだったのですが、エジソンは諦めず、電流の流れるものを何でも試した結果、炭素繊維に行き着きました。さらに、長く持つ炭素繊維を作るには日本の竹がよいということまで突き止めます。日本の会社と契約し、電球用の竹を輸入しています。

 エジソンの凄さは、この「あきらめない、尋常でない努力」でしょうね。

 天才肌のテスラと違い、エジソンは愚直に「他あたり次第実験する」という方法で、まさに「わらの中から針を一本捜し出す」ことに成功したのです。

 

 なお、現在使われている白熱電球(といっても、今やLED電球に駆逐されつつありますが)は、タングステンのフィラメント+ガラス球内の窒素封入で、電球の寿命をエジソンの物より遥かに長くしたものです。

 フィラメントにタングステンを使ったのは、アメリカの物理学者クーリッジ。(1909年)

 窒素封入電球を作ったのは、アメリカの化学者ラングミュア。(1913年)

 

 ダークミオくんの「電気抵抗改変機」は空想の産物ですが、フィラメントの電気抵抗が小さくなると電流量が増え、フィラメントの消費電力が大きくなり、発生する熱も光も強くなります。

 エジソンの電球は真空と言ってもある程度の空気は残っており(のちの窒素封入電球のように酸素を完全に追い出していない)、温度が急上昇すると酸素との化学反応(燃焼)で炭素繊維はあっという間に二酸化炭素になって消えてしまうでしょうね。

 

 ダークミオくん、悪いですねえ・・・

 キッズ科探隊は激オコですが・・・

 

 つづく。

 

 

関連記事

 

発明王、光と闇の覚書1

発明王、光と闇の覚書2

アルキメデスと王冠その1〜ミオくんと科探隊

アルキメデスと王冠その2〜ミオくんと科探隊

 

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