さき「なにこれ、むっちゃおもしろいじゃん！」
ひろじ「え？ そう？ これ発表した時は、あんまりそういう反響がなかったよ。なんかよくわからない、みたいな感想で」
さき「なんか、自分と周りが溶け合って、どんどんわからなくなっていくところが、孤独感がすごく出てていい。本当に自分一人って感じで？」
ひろじ「え、わかるの？」
さき「意識の森、木がいっぱいあるけど、葉っぱはもっとさらにもっとあるよね」
ひろじ「あっ、わかるんだ！」
さき「葉っぱがいっぱいあるのが、意味があるんでしょ？」
ひろじ「・・・それ、指摘したの、さきが初めてだよ」
さき「うーん、やっぱ、親子だからかな？ なんか、わかるの。この葉っぱ、一枚一枚描いてあるの、すごいなあっとか。木だけじゃなくて葉っぱはさらにたくさんあるのって、意味があるんでしょ？」
ひろじ「・・・その通りなんだけど・・・よくわかるな」
さき「これを描いたとき、まわりにいた人たちは大学生とかなんでしょ？ それでもわかってもらえなかったの？」
ひろじ「うーん・・・これを発表した当時は、あんまりわかってもらえなかったな。それまではどんな人にでもわかってもらえるマンガを、と思って描いていたんだけど、卒業記念号に載せるってことで、新しいことに挑戦したんだ。誰かにわかってもらえるかどうかというのはうっちゃっておいて、自分にしか描けないマンガを描いてみたい、って。だから、同じ漫研の講評会でも、ほお〜とかいわれるだけで、さきみたいな本質的な感想はもらえなかったよ」
さき「だって、これ、すごいじゃん。内容が」
ひろじ「さきの好きなTRPGも、最近はこういう感じのが多いから、わかるのかな」
さき「うーん、時代、かもね」
さき「ところで、昨日いっしょに見てもらった、ゆるりるさんの動画『きみの名に花束を』もよいでしょ？」
ひろじ「ええと、川犬さんのシナリオ＆キーパーのTROPGだね。最後まで通したのを一本にまとめたやつ」
さき「うん。まとめたといっても、全部で３時間以上あるんだけど」
ひろじ「一区切りずつ見ていくよ。川犬さんのシナリオは面白いから。ディズムさんのと比べると、同じTRPGでもずいぶん違うんだなあと思うよ」
さき「うん、そうなんだよ」
ひろじ「ディズムさんのはライブ重視というか、プレイヤーとどうやりとりをするかがメインな感じで、川犬さんのはよく練られたストーリー重視のシナリオって感じ。ぼくは、どちらかというと、川犬さんのシナリオの方が好きだけど」
さき「この『きみの名に花束を』って、お父さんが前にいっていた『アルジャーノンに花束を』からとったタイトルでしょ？ お父さんに貸してもらった『アルジャーノンに花束を』、今読み始めてるよ。まだ最初だけだけど、気がついたら３０ページくらい読んでた」
ひろじ「でしょ？ 最初はとくにたどたどしい幼稚園児みたいな日記だから、ぐいぐい読めちゃうんだよ。これね、原文で読むとまた、さらにぐっとくるから、英語がある程度できるようになったら、読んでみて。ぼくも原文の本はわりと短い時間で読めたし、最後はやっぱり、泣いちゃった・・・」
さき「それはまだ無理かな。ところで『きみの名に花束を』って、『アンドロイドはシンギュラリティの到達を夢見る』の続編なんだよ。そっちは前にいっしょに見たけど、覚えている？」
ひろじ「ああ、『きみの名に花束を』はダニエル・キイスの『アルジャーノンに花束を』のオマージュタイトルだけど、『アンドロイドはシンギュラリティの到達を夢見る』はフィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』のオマージュタイトルだね」
さき「それって、映画かなんかになってるよね？ 前にちらっと見せてもらった」
ひろじ「うん、映画のタイトルは『ブレードランナー』で、原作のいい感じのタイトルはぶち壊しだけどね。でも、あの映画は、映像の世界にサイバーパンクを持ち込んだ、伝説的な映画になっている。ディックの原作はサイバーパンクじゃなくて、より思索的だけど」
さき「その２作はね、日常組のぺいんとさんがプレイヤーで参加しているんだよ。イラストに描いた人」
ひろじ「これは、エビフライ？」
さき「そうそう、日常組の動画でこの衣装を身にまとったことがあって、すごく良かったから、わたしもイメージイラストを描いてみたの」
ひろじ「川犬シナリオTRPGはすごく作り込んであるから、続きが楽しみだな」
さき「また、いっしょに見ようね」
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