こっくり倶楽部02〜二重人格

ひろじ「これは、トリッキーな絵だね」

さき「タイトルは＜二重人格＞だよ」

ひろじ「っていうと、人狼の二重人格キャラ？」

さき「ううん、あれとは違う。自分で二重人格キャラをイメージして描いたの」

ひろじ「瞳の模様で違う性格を表しているのかな」

さき「まあね。背景の模様も見てほしいな」

ひろじ「ああ、赤い瞳の模様と同じか。象徴的だね。青い瞳の人のほうが実体を持たない人格の方かな。からだの下半分が消えているから」

さき「えへへ、そのへんは自由に想像して。他にもいっぱい絵を描いたから、＜こっくり倶楽部＞の連載に使ってね。

ひろじ「サンキュー。じゃ、今回の分ね」

【こっくり倶楽部02】

柴田　　菊栗高校生徒会の名において、きみたちこっくり倶楽部の本日の新入生勧誘活動の中止を命令するっ！

SE／ざわざわざわ。

美穂　　おーら、柴田、どーいうことなんだ？

ハルナ　あてらのじゃまする気なんですかい。

柴田　　菊栗高校生徒会は、きみたちの勧誘活動が健全な生徒会活動を破壊する行為であると判断したっ！　新入生諸君はすみやかにこの場を立ち去りたまえ。以後、こういう不健全な集会には参加しないよう、生徒会長として強く希望する。

SE／不平不満の声。

あきら　そりゃ、ちょっとやりすぎじゃないかね。われわれは極めて健全に活動しておるよ。

柴田　　（声高に）極めて不健全かつ不純、冒涜的、インチキでいいかげん、まったくもって不道徳。きみたち一年生も彼らのそばにいつまでもたむろしていると、道を誤ることになるぞ。さあ、ただちに立ち去りたまえ！

SE／ざわざわの声、遠ざかる。

SE／出て行く音。

ハルナ　あほっ、待つんだよ、こら！

あきら　新入生の諸君っ、こんなつまらん脅しに屈しちゃいかんっ！

柴田　　ふっふっふ、新入生諸君は十分理性があったようだ、きみたちと違って。

美穂　　うちらは、理性がないのかっ！

柴田　　ふん、理性などというものがあったら、誰がこんなくだらん同好会をつくるか。

あきら　がるるっ！

ハルナ　行けーっ、ガメラーっ！

あきら　ぐぎゃおろろおーん！（SE／炎の音）

柴田　　あちーっ、ちちちちーっ！

大西（副会長）　か、会長、大丈夫ですかっ！

柴田　　な、なんで火なんか吹けるんだーっ！

大西　　野蛮だからですわ、きっと！　誰かっ、消火器を持ってきて！

佐竹（書記）　はいっ。

美穂　　あっ、こらっ、なにするんだ。

ハルナ　やめろよっ、おいったら！

BGM／地球防衛軍のテーマ。

佐竹　　準備完了！

大西　　構えーっ！

佐竹　　仰角１５度、方位南へ３２度。

あきら　あんぎゃあああーっ！

柴田　　お…大西くん、ぼくに。

大西　　どうぞっ、会長。

美穂・ハルナ　や、やめろーっ！

柴田　　撃てぇーっ！

SE／消火器の放出音。

以下、つづく。

さき「なんか、この頃のお父さんの絵って、今より表情とかおもしろいね」

ひろじ「そうだなあ。科学マンガばかり描いているうちに、表情がちょっとおとなしくなっちゃったかも。それに、この＜こっくり倶楽部＞は３〜４日で１７０枚くらいの絵を描いたから、一枚一枚、じっくり吟味せずに、勢いに任せて書いたんだ。マンガって、そのくらいの方が生き生きした絵になるのかも。まあ、これはマンガじゃなく、動かないアニメだけど」

さき「この絵の表情、どれもおもしろくて、好きだよ」

ひろじ「自分にとっても、この連載はよかったかも。いろいろ気づきがありそうだ」

さき「動画になってるの、見たいなあ」

ひろじ「残念ながら、ビデオテープに撮ったのしかないから、ちょっと見られないかなあ。ひょっとしてDVDにダビングしたのがなかったかどうか、探してみるけど・・・期待しないで。そのビデオテープももう残っていないかもしれないし。そもそも、このシナリオやイラストも、とっくに処分したと思っていたのが、たまたま見つかったんだしね」

さき「じゃあ、見つかったらもうけものって感じで待つよ」