ヘルツの実験コトハジメ | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

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 今日は試験的にちょっと新しいことを。

 

 別記事で物理サークル通信復刻版DVDのことに触れました。

 

 お試しで、その復刻版DVDから、ちょっと記事を紹介してみます。

 

 いわば復刻版DVDお蔵だし、という次第です。

 

 冒頭は、1980年4月の通信の一部。

 

 ヘルツの実験のことが報告されています。

 

 ぼく自身は、この実験は逆輸入で、岐阜物理サークルの人から教えてもらったんですね。てっきり岐阜の人たちが開発した実験だと思いこんでいました。

 

 でも、その原典はこちら。愛知物理サークルでした。

 

 まるで、ねずみの嫁入りみたいな話です。

 

 さて、右ページを拡大してみましょう。

 

 

 『いきいき物理わくわく実験1』に載っているヘルツの実験とほぼ同じ解説図が載っていますね。

 一宮工業高校で伊藤昇さんたちが工夫して開発した装置であることなど、実験開発にまつわる経緯が、きちんと書かれています。

 

 最初に発表されたときに、すでに最終的な装置の姿が完成していたんですね。お見事。

 

 ところで、この実験を見せるときに、ちょっと誤解があるかもしれないので、コメントしておきます。

 

 よく、イギリスのマクスウェルの理論から電磁波の存在が予言され、ドイツのヘルツはこの装置で離れた場所においたギャップの間に火花が散るのを示し、電磁波を実験的に発見した、といわれることがありますが、それは間違っています。

 

 別に、電磁場が存在しなくても、送信側の金属球の電荷と受信機側の金属球の電荷が直接、遠隔力(この場合はクーロン力)で力を及ぼしあっていれば、やはり受信機側のギャップには火花が散ります。

 

 ただし、その場合は、電磁場が存在するときと違って、二つの火花の間に時間差は生まれません。電磁場が存在するときには、電磁波(つまり光)が伝わるのにかかる時間の分だけ、反応が遅れます。

 

 では、ヘルツはどうやって、この実験で電磁波の存在を発見したのでしょうか?

 

 じつは・・・

 

 ヘルツは、送信機から離れた場所に金属板を置き、送信機から出た電磁波が金属板で反射することで、送信機と金属板の間にできるはずの定常波の観測を、図にある受信機を使って測定したんですね。

 

 定常波ができていれば、腹・節がありますから、火花が大きく散るところと、まったく散らないところが、交互に等間隔に並ぶことになります。

 

 ヘルツは送信機と金属板の間で受信機の火花の散り方を調べ、それが定常波のあるときの様子にそっくりであることを確かめたんですね。

 

 したがって、電気の波は存在する、という結論に達したのでありまする。

 

 

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