「私の目的はきわめて古い対象についての全く新しい科学をうちたてることである」
ガリレオの「新科学対話」(岩波文庫下巻)「第3日」の序文に、この文章が出てきます。
「私は実験により、従来観察もされず、証明も試みられなかった、自然の極めて重要な特性をいくつか見いだした」
ガリレオがそれまでの哲学者・科学者と決定的に異なるのは、まさにこの一点。
実験によって確かめられたものだけを科学的事実とするという、明確な方針。ここから近代の科学が始まったといわれています。
古い時代の偉い先生の書物をうのみにせず、なんでも自分で確かめたガリレオ・ガリレイ。
信じるのではなく、疑問に思うことが、科学の第一歩。
「これは今説明しているヒマがないから、とりあえず、先生を信じて」というのではなく、むしろ、「先生がいったからといってカンタンには信じるな」という方が、よっぽど自然科学の神髄を伝えられると思うのですが、どうでしょう?
月面を観測した手作り望遠鏡は「星界の報告」によれば、あるオランダ人が望遠鏡を作ったという話から、自分で工夫し、「屈折理論にもとづいてそれを発見した」とあります。
オランダ人もまた、他の人間が作ったものを見てまねをして作ったと伝えられていますから、本当の起源はあいまいです。その望遠鏡はおもちゃのようなレベルだったのですが、ガリレオの作った望遠鏡は性能が高くて評判を呼び、ガリレオにとって重要な収入源にもなったそうです。
ガリレオの「星界の報告」によれば、最初の望遠鏡は、鉛の筒に、凸平と凹平の2枚のレンズを組み合わせて作ったそうです。倍率は9倍(距離は3倍近くに見える)。さらにたくさんの望遠鏡を作り、1000倍(距離は30倍近くに見える)のものも作れるようになったと、記述があります。
最初に月面を見たのがどの段階の望遠鏡なのかは不明です。もちろん、ガリレオのことだから、一番最初の望遠鏡でも月面を覗いたとは思いますが、それを明確に示す文章は、この本には見られません。
ただ、この本には、天空の観測をするのには「400倍も大きく、20倍も近くにあるようにみせる筒眼鏡」が必要だと書かれていますから、ガリレオが月面のスケッチに使ったのは、ガリレオが制作にある程度なれてから作成した望遠鏡だと思われます。
物理アドベンチャーゲーム「ガリレオの秘宝」にもこの望遠鏡や月の話が出てきます。ゲームのイラストに描いた望遠鏡は、こうした背景を踏まえて、オモチャっぽく描きました。実際にガリレオが月面のスケッチに用いた望遠鏡はもっと長く、飾りのないものだと思われます。
「いずれ俊敏新鋭の士が次々に現れ、いずれも私の拓いたこの貧しい道を通って、この科学の秘奥を拓いてゆくであろう」
ガリレオは「新科学対話」(下)「第三日」の冒頭近くで、こんなことをいっています。
ガリレオが拓いた道は「科学の道」。
のちに、ニュートンやアインシュタインが通る道です。
*検索しやすいように、タイトルに「〜ガリレオの言葉」を追加しました。2020.11.24
関連記事
〜ミオくんと科探隊 サイトマップ〜
このサイト「ミオくんとなんでも科学探究隊」のサイトマップ一覧です。