コボール・マチカ | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

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ハンガリー会議02
 

 1992年8月にハンガリーと日本の合同物理教育会議がありました。場所は、ハンガリーのヤスベレーニョという町。

 バッカスの角笛は、この町の象徴だとか。町のパンフレットを見て、ぼくたちのらねこ(STRAY CATS)が角笛を吹くイラストを描いたら、向こうで出版された会議の記録の表紙に使われました。

 マジャール語で描かれた文字は「ヤスベレーニョのコボール・マチカ」。コボール・マチカというのはマジャール語でかわいい猫、くらいの意味ですかね。

 ちょうど、岐阜のOさんがNHKの取材を受けていた時期に当たり、NHKのスタッフが同行しました。このときの遠征の様子は、彼らが作ったドキュメンタリー「のらねこの挑戦」に一部場面が出てきます。

 地元の小学生を集めたイベントも企画されていたので、子供が喜べる内容をということで、ぼくがブーメランや紙猫の遊び方を教える講義を担当することに。トス・エステルさんが通訳してくれたので、無事に終了できました。

  エステルさんは、交流会の実質的な中心の物理教師。当時のハンガリー物理学会会長だったジョージ・マルクスさんの右腕の女性です。

 その交流会のとき、「私はハンガリーのノラネコだ」と、ぼくたちが得意とするローコストの物理実験装置を、机の上いっぱいに広げて披露した人がいました。ぼくたちが、まっさきに彼と仲良くなったのは、いうまでもありません。シャンドールさんで、先日フェースブックで見つけたので「STARY CATSはあなたのことを忘れませんよ」とメッセージを送ったら、「私も同じです」と返事がきました。
 

 

 

ハンガリー会議01

 

 

 こちらは、交流会から1年くらいたったときに作られた、ハンガリーの冊子。そのときの会議の記録です。

 この冊子の中身は、その会でのぼくたちSTRAYCATSの発表論文。もちろん、ハンガリー国内向けのものですから、マジャール語に訳されています。たぶん、エステルさんたちが訳したんでしょうけど、大変な労力。

 前にもちょっと書きましたが、当時のハンガリーの人は日本人と同じくらい英語が得意でなく、お互いの意思疎通には苦労しました。ぼくらのテキトー英語をエステルさんがマジャール語に訳して他の人に伝え、彼らのマジャール語はエステルさんが堪能な英語でぼくらに聞かせてくれる、という具合。

 でも、ぼくらには「物理」という共通言語があるので、専門の話をするのには、あまり苦労しませんでした。実験を見せながら話せば、だいたい意味が通じるので。これは初めてアメリカにいったときも同じでした。
 
ハンガリー会議03

 

 


 この図はエステルさんの描いたイラスト。すばらしい。

 エステルさんは高校生相手でも大学レベルの物理を教えていました。

 水の表面張力から仮想的に水をナイフで切り刻んで分子レベルまで小さくするのに必要なエネルギーを求め、それが水の沸騰するときの蒸発熱に一致する、という講義内容にはかなりびっくりしました。

 村の家家の地下にたまっているラドンガスを高校生とともに調べたり、とにかくアクティブな人でした。

 のちに、ジョージ・マルクスさん、シャンドールさんとともに、日本を訪れたときには、わざわざ愛知まで来てくれました。ラドンガスの研究方法はそのときに詳しく聞きましたが、これも面白かったですね。掃除機の口にガーゼをあてて長時間吸引すると、ガーゼに埃とともにラドンが濃縮するというやり方。(このラドンの研究についてはいろいろとおもしろい話題もあったんですが、今回は省きます)

 その物理教育の実際は、「トス先生の物理教室」として3冊が翻訳出版されていますが、絶版になったものは、中古本でかなりの値がついています。

 アマゾンで調べたら、3冊のうち「原子核物理」だけは安く入手できるようですので、興味のある方はどうぞ。
 

 

 
 

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