2026年2月13日(金)から公開の作品でしたが、人気が今ひとつだったからか、3月に入ってから、1日当たりの上映回数が1回になる前に、上映スケジュールが切り替わる金曜日までにと、3月5日(木)に、慌てて、第98回アカデミー賞ノミネート作品だったこともあり、イオンシネマ草津まで1人で観に行った作品です。
今更ながらにはなりますが、備忘録的に拙ブログにも、あくまでも記録として感想記事を残しておきたいと思います。
※尚、予想外に血飛沫ドバーッ系の描写もあったりと、グロテスクな暴力的表現や拷問シーンなど、必要以上に、所謂、残虐なゴア描写もあったので、残虐なシーンが苦手な方々は、今後、お家鑑賞する際には少々要注意かもしれないですね。
今年度の3本目の劇場鑑賞作品。
(今年度のイオンシネマ草津での3本目の劇場鑑賞作品。)
「陰謀論による混乱を社会風刺的に描くハリウッドリメイクの怪作(26.3/5・2D字幕版)」
ジャンル:ブラックコメディー/スリラー
原題または英題:Bugonia
製作年/国:2025年/アイルランド・イギリス・カナダ・韓国・アメリカ合作
製作会社:エレメント・ピクチャーズ / スクエアペグ / CJ ENM / ピス / フルーツツリー・エンタープライズ
配給:ギャガ
公式サイト:https://gaga.ne.jp/bugonia/
上映時間:118分
上映区分:PG12
劇場公開日:2026年2月13日(金)
【スタッフ】
原作:韓国映画『地球を救え!』(2003年/チャン・ジュナン監督)
製作:エド・ギニー / アンドリュー・ロウ / ヨルゴス・ランティモス / エマ・ストーン / アリ・アスター / ラース・クヌードセン / マイキー・リー / ジェリー・キョンボム・コー
撮影:ロビー・ライアン
美術:ジェームズ・プライス
衣装:ジェニファー・ジョンソン
編集:ヨルゴス・モブロプサリディス
音楽:イェルスキン・フェンドリックス
キャスティング:ジェニファー・ベンディッティ
オリジナル脚本:チャン・ジュナン
脚本:ウィル・トレイシー
監督:ヨルゴス・ランティモス
【主なキャスト(配役)】
エマ・ストーン(大手製薬会社のCEOミシェル・フラー) / ジェシー・プレモンス(テディ・ギャッツ) / エイダン・デルビス(テディの従弟・ドン) / スタブロス・ハルキアス(副保安官ケイシー)/ アリシア・シルバー・ストーン(テディの母親サンディ・ギャッツ) その他
【解説・あらすじ】
「哀れなるものたち」「女王陛下のお気に入り」などで知られる鬼才ヨルゴス・ランティモス監督が、これで5度目のタッグとなるエマ・ストーンを主演に迎えて描いた誘拐サスペンス。
「エディントンへようこそ」「ミッドサマー」の監督アリ・アスターがプロデューサーに名を連ね、2003年の韓国映画「地球を守れ!」をリメイクした。
世界的に知られた製薬会社のカリスマ経営者ミシェルが、何者かに誘拐される。犯人は、ミシェルが地球を侵略する宇宙人だと固く信じる陰謀論者のテディと、彼を慕う従弟のドン。2人は彼女を自宅の地下室に監禁し、地球から手を引くよう要求してくる。ミシェルは彼らの馬鹿げた要望を一蹴し、なんとか言いくるめようとするが、互いに一歩も引かない駆け引きは二転三転する。やがてテディの隠された過去が明らかになることで、荒唐無稽な誘拐劇は予想外の方向へと転じていく。
エマ・ストーンが髪を剃った丸坊主姿も披露し、陰謀論者に囚われたミシェル役を熱演。彼女を宇宙人だと信じてやまない誘拐犯2人組を、「憐れみの3章」「シビル・ウォー/アメリカ最後の日」のジェシー・プレモンスと、オーディションで抜てきされた新星エイダン・デルビスが演じる。
2025年・第82回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品。第98回アカデミー賞では作品賞、主演女優賞ほか計4部門にノミネートされた。
(以上、映画.comより引用抜粋。)
ブゴニアとは・・・。
そもそも「ブゴニア(Bugonia)」とは、古代ギリシャ・ローマで信じられていた「牛の死骸からミツバチが生まれる」という再生の儀式を指す言葉だそうです。
【語源と歴史的背景】
「ブゴニア」はギリシャ語の bous(牛) と gone(出生・子孫) に由来し、「牛から生まれたもの」を意味します。古代ギリシャやローマでは、太らせた牛を殺し、その死骸を閉鎖された場所に置くと、腐敗した肉からミツバチが自然発生すると信じられていました。この儀式は、死(腐敗)から新しい生命(ミツバチ)が生まれる再生の象徴として扱われ、文学や農耕詩にも記録されています。
【映画『ブゴニア』における象徴】
映画『ブゴニア』では、この古代の信仰がタイトルの由来となっています。物語では、主人公テディが愛するミツバチの大量死や、腐敗した現代社会を背景に、死からの再生や新しい秩序の象徴として「ブゴニア」の概念が描かれています。ラストシーンでは、地球や生命全体の視点から見た「調和」や「救済」として、古代の儀式の象徴的意味が反映されていると解釈されているとのこと。
つまり、「ブゴニア」とは単なる映画のタイトルではなく、死と再生、崩壊からの新しい生命の誕生を象徴する古代の儀式を指す言葉であり、映画のテーマやラストシーンの象徴性を理解する上で重要なキーワードとも言えるでしょう。
イントロダクション。
生活格差と分断が深刻化する世界の黙示録とでも言うべきなのか。
『女王陛下のお気に入り』『哀れなるものたち』の鬼才ヨルゴス・ランティモス監督が主演女優にエマ・ストーンを迎え5度目のタッグを組んで、毒っ気とユーモアたっぷりに描く誘拐劇。徐々にあぶり出される人間の愚かさが実に滑稽でもあり、少々悲しくもあり、じわじわと恐ろしくもある作品でした。
或る日、大手製薬会社オークソリスのCEOミシェル・フラー(エマ・ストーン)は、帰宅し車を降りたところを、茂みから覆面をした男2人に襲いかかられます。
ミシェルも日頃に鍛錬している護身術を駆使して応戦するのですが、麻酔薬を打たれてしまうや誘拐されてしまいます。
その誘拐犯は、ミシェルを地球を滅ぼす「アンドロメダ星人」だと信じ込む養蜂家で陰謀論者のテディ・ギャッツ(ジェシー・プレモンス)と自閉症気味の従弟のドン(エイダン・デルビス)。
以前、テディの母親サンディ・ギャッツがオークソリス社の薬の臨床試験に参加するも、それにより昏睡状態に陥ってしまったのでした。
その母親のこともあり、テディはミシェルが地球侵略に来た「アンドロメダ星人」だと信じており、地球のミツバチを殺し、コミュニティを破壊し、人間を自分の母親のように麻痺した従属に追い込んでいくという思考に凝り固まってしまっているのでした。
ミシェルを自分の家の地下室に閉じ込めたテディは、彼女の麻酔薬から醒めるまでの間に、宇宙船に彼女が救難信号の送信が出来ないようにと髪の毛を丸坊主に剃り落とし、抗ヒスタミンクリームを全身にくまなく塗りまくるのでした。
そして麻酔薬から目を醒ました彼女に、4日後の月食までにアンドロメダの皇帝と会談をさせ、地球の支配から手を引くように要求するように迫るのですが、ミシェルは何の事やら意味不明で唐突な要求に答えることが出来ません。怒ったテディはミシェルの頭に高圧の電流を流す電気ショックの拷問をし、遂には気絶させてしまいます。
目を覚ますとミシェルは何故か地下室から解放され食卓に着いているのでした。
テディは高圧の電流の拷問でも我慢出来たミシェルの高い生理的耐性から彼女はアンドロメダ星人の中でも王家の特に高位のメンバーの証拠だと判断し、「以後は大切に扱う」と話します。
何だか訳は分からないが状況が良くなったと感じたミシェルは何とかその場所から逃げ出そうと陰謀論に凝り固まったテディと彼を慕う自閉症気味のドンに交渉を試みるのですが・・・。
といった強烈なイントロダクションで始まる映画でした。
韓国映画『地球を守れ!』のリメイク。
私は今回の作品については全く何の予備知識もなく劇場鑑賞に臨みましたが、鑑賞後にWikipediaにて調べてみますと、韓国のカルト映画『地球を守れ!』(2003年)というSFブラックコメディ作品の舞台設定を今作ではアメリカ中心部に変え、また誘拐されるCEO役を男性から女性に性別の配役設定の変更するなど脚色した上でリメイクを施した作品とのこと。
▲『地球を守れ!』(原題:SAVE THE GREEN PLANET/2003年)
誘拐犯との噛み合わない遣り取りは今日世界の分断と不理解を可視化したかのよう。
秘密裏に地球を支配しつつある宇宙人を地球から撤退させるという妄想に取り憑かれたテディと、ひたすらその考えに付き従うドン。
監禁されても毅然とした態度で犯人たちに自分の身の解放の説得を試みるミシェル。
しかしながらも、全く噛み合わない遣り取りは、あたかも今日の世界に蔓延る分断と不理解を可視化したかのようでもありました。
陰謀論がもたらす混乱は、今日のアメリカ合衆国をはじめとした各国の状況を見渡すにすごくホットなテーマなのかもしれないですね。
今作『ブゴニア』の製作にも名を連ねるアリ・アスター監督の近作『エディントンへようこそ』(2025年)でも形は異なるようですが、新型コロナウイルス禍のニューメキシコ州を舞台にした陰謀論が描かれているらしいのですが、ただ単に陰謀論に囚われた人々を終始冷笑でもするのではなく、この『ブゴニア』の場合には、多少同情的な眼差しものぞく部分もあるようです。
テディの過去が断片的に明かされるにつれて、陰謀論にハマってしまうのは必ずしも決して個人の責任ばかりとは言えないのかもと思えてきます。
あたかも社会の底辺とも言えるテディの側に立ってこの状況を鑑みますと、決して罪を犯した訳でもないのに生活は苦しく、また誰にも頼る事が出来ない。そんな厳しい状況下では、荒唐無稽な陰謀論であってもこの現状を打破できるかも知れない言説に心を揺り動かされ希望を見出したテディを、誰がいったい責められるでしょうかと、現代社会の有りようにこそ、その責任が問われるべきかとも思えて来ます。
今や人気俳優のジェシー・プレモンスが、まるで頓珍漢にも思える虚勢を張った中に見え隠れするテディのそんな孤独感を繊細に演じてみせてもいました。
新たな複雑化した支配構造にみるブラックコメディ。
鬼才ヨルゴス・ランティモス監督がこれまで過去作で繰り返し描いてきた支配・被支配の関係性は、今作では決して人間同士の権威勾配にとどまらないといえるでしょう。
自分の意思で行動していると思っていても、特定の閉ざされたコミュニティの中では、極端に偏り、過激化した思想に言動を左右されがちとなってしまう恐れがあります。
フィルターバブル現象の危険性について。
そういった、昨今のインターネット社会の到来により、例えばSNSなどで、所謂、【アルゴリズムによるフィルターバブル現象】といった、或るユーザーの興味関心に基づいた情報ばかりを拾い上げ表示し、全く異なる意見や価値観には触れにくくし、自分の見たい情報しか見えなくしてしまう事で、視野が狭まり、思考の偏りや孤立を招く危険性や可能性があるなど、更に新たな複雑化した支配構造を浮かび上がらせました。
格差と分断が深刻化した現代社会を風刺。
強烈な皮肉を利かせながらも希望を残し、ある意味爽やかにも観えて終えた『哀れなるものたち』(2023年)に対し、今作の結末はかなりの意外性こそあれ、ブラックユーモアを利かせた皮肉なハッピーエンドとみる人もいるかもしれないですね。
▲『哀れなるものたち』(2023年)の私の感想をまとめた過去記事です。ご興味が惹かれましたらばクリックの上ご一読下されば幸甚です。
いずれにせよ、生活格差と分断が深刻化した現代社会が、インターネット社会の中で、更に複雑化した支配構造の有りようを社会風刺的に描いた作品とも言えるので、荒唐無稽な作風ながらも、現実社会に照らして考え、鑑賞後に深く語り合いたくなる作品になるかもしれないですね。
私的評価:★★★★☆(90点)。
荒唐無稽な陰謀論に翻弄させながらも、最後まで観終えると、その展開の意外性が実に面白い作品であり、インターネット社会の中にある現代社会の複雑化した支配構造の有りようについても、深く考えさせられるブラックユーモアに満ちたホラー映画でした。
ですが、私的には過度なゴア描写にやや不快感を感じざるを得なかったので、その点で☆半分の10点減点対象とさせて頂きました。
私の様にゴア描写が苦手と思われる観客など、好き嫌いが大きく分かれる作風の映画かも知れないですね。
従いまして、五ツ星評価的には四ツ星半評価の★★★★☆(90点)。ほぼ満点の評価が相応しい作品かと思いました次第です。
〇映画『ブゴニア』本予告 | 2026年2月13日(金)全国公開
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⠀⠀映画『ブゴニア』
— 映画『ブゴニア』公式 (@bugonia_jp) January 24, 2026
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— HALU6700 (@HALU7100) April 11, 2026
ご返信が大変遅くなりましたが、先週4月4日(土)に『ブゴニア』海外版ポスターが無事に私の手元に届きました。
この度は、本当にどうも有り難うございました。
大事に飾らせて頂きたいと思います。
取り急ぎ御礼まで。
HALU6700より。 pic.twitter.com/wIGKYGjXYR
🌍🌎🌏🌍🌎🌏🌍🌎🌏🌍🌎🌏#イオンシネマ草津 で『ブゴニア』鑑賞。製薬会社のCEOが陰謀論者に拉致されるが彼らの妄想に毅然と説得を試みるも、噛み合わない遣り取りは今日世界に蔓延る分断と不理解を可視化したかの様でオチも含めて(笑)
— HALU6700 (@HALU7100) March 5, 2026
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▲今回当選した映画『ブゴニア』海外版ポスターと同種の画像。
今回も最後までブログ記事をお読み下さり有り難うございました。


























