『哀れなるものたち』(2023年) #哀れなるものたち #イオンシネマ京都桂川 #エマ・ストーン | HALUの映画鑑賞ライフのBlog

HALUの映画鑑賞ライフのBlog

~映画鑑賞雑記帳 &京都・滋賀の季節の歳時記 & 読書などのお気儘ライフ~

現在では公開している映画館もほぼ無く、また、来たる5月初旬にも、ソフト化される運びの作品でもあり、今更ながらで恐縮ではありますが、1月26日(金)公開の作品でしたが、2023年・第80回ヴェネチア国際映画祭で、本作品(ヨルゴス・ランティモス監督)が最高賞・金獅子賞を受賞していたのに加えて、アカデミー賞の前哨戦とも言われる、第81回ゴールデングローブ賞のミュージカル/コメディー部門で最優秀作品賞、最優秀主演女優賞(エマ・ストーン)を受賞したこともあって、日本時間3月11日(月)の第96回アカデミー賞授賞式の前までには観ておこうかと思い立ち、ちょうど、2月29日(木)の閏日の上映終了日に滑り込みセーフで、イオンシネマ京都桂川まで観に行って来ましたので、その際の感想を備忘録として、拙ブログにも書き留めておきたいと思います。

 

本作品ですが、計11部門にノミネートされた第96回アカデミー賞では、結果的には、主演女優賞のエマ・ストーンのほか、美術賞、衣装デザイン賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞の4部門を受賞。

 

今年度の8本目の劇場鑑賞作品。

(今年度のイオンシネマ京都桂川での1本目の劇場鑑賞作品。)

 

 

 

「胎児の脳を持つ女性の成長と愚かな人間たちの生態観察記(24.2/29・2D字幕鑑賞)」

ジャンル:SF/ファンタジー/コメディ

原題:Poor Things

製作年/国:2023年/イギリス

製作会社:TSGエンターテインメント / エレメント・ピクチャーズ / フィルム4・プロダクションズ

配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン(サーチライト・ピクチャーズ)

公式サイト:https://www.searchlightpictures.jp/movies/poorthings

上映時間:142分

上映区分:R18+

劇場公開日:2024年1月26日(金)

原作:アラスター・グレイ『哀れなるものたち』(早川書房)

製作:エド・ギニー / アンドリュー・ロウ / ヨルゴス・ランティモス / エマ・ストーン

製作総指揮:オリー・マッデン / ダニエル・バトセック

音楽:イェルスキン・フェンドリックス

撮影:ロビー・ライアン

編集:ヨルゴス・モヴロプサリディス

美術:ジェームズ・プライス / ショーナ・ヒース

衣装:ホリー・ワディントン

脚本:トニー・マクナマラ

監督:ヨルゴス・ランティモス

キャスト(配役名):

エマ・ストーン(ベラ・バクスター/ヴィクトリア・ブレシントン) / マーク・ラファロ(ダンカン・ウェダバーン:放蕩者の弁護士) / ウィレム・デフォー(ゴッドウィン・バクスター:天才外科医・通称ゴッド) / ラミー・ユセフ(マックス・マッキャンドルス:ゴッドの教え子・助手) / ハンナ・シグラ(マーサ・フォン・カーツロック:クルーズ船の老婦人の乗客) / ジェロッド・カーマイケル(ハリー・アストレー:クルーズ船の黒人青年の乗客) / スージー・ベンバ(トワネット:パリの売春婦仲間) / キャサリン・ハンター(スワイニー:パリの売春宿の元締め) / ビッキー・ベッパーダイン(プリム夫人) / マーガレット・クアリー(フェリシティ:人造人間の女性) / クリストファー・アボット(アルフィー・ブレシントン将軍) その他

 

 

【解説】

「女王陛下のお気に入り」のヨルゴス・ランティモス監督とエマ・ストーンが再びタッグを組み、スコットランドの作家アラスター・グレイの同名ゴシック小説を映画化。2023年・第80回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で最高賞の金獅子賞を受賞した。

不幸な若い女性ベラは自ら命を絶つが、風変わりな天才外科医ゴッドウィン・バクスターによって自らの胎児の脳を移植され、奇跡的に蘇生する。「世界を自分の目で見たい」という強い欲望にかられた彼女は、放蕩者の弁護士ダンカンに誘われて大陸横断の旅に出る。大人の体を持ちながら新生児の目線で世界を見つめるベラは時代の偏見から解放され、平等や自由を知り、驚くべき成長を遂げていく。

プロデューサーも務めるエマ・ストーンが純粋無垢で自由奔放な主人公ベラを熱演し、第96回アカデミー賞で自身2度目となる主演女優賞を受賞。

天才外科医ゴッドウィンをウィレム・デフォー、弁護士ダンカンをマーク・ラファロが演じた。

脚本は「女王陛下のお気に入り」「クルエラ」のトニー・マクナマラ。

 

アカデミー賞では作品賞ほか計11部門にノミネートされ、ストーンの主演女優賞のほか、美術賞、衣装デザイン賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞の4部門を受賞した。

 

(以上、映画.comより、引用抜粋。)

 

 

 

  あらすじ

 

ある不幸から欄干から身投げをした臨月の主人公・ベラ(エマ・ストーン)は、遺体を発見した、異端的な天才(マッド?)外科医のゴッドウィン・バクスター(ウィレム・デフォー)の手により命を救われる。

 

 

但しながら、胎児が生きていたので、胎児の脳を母親に移植をして蘇生するという極めてSF的な展開になるのでした。

 

 

やがて、驚異的な速さで「学習」をする胎児は見た目は大人、中身は幼児のままに純粋無垢に自由奔放に生き始める事となるのでした。

性に目覚め始めて、人目をはばからずに自慰行為に耽る頃には、ゴッドウィンから彼女の観察を命じられていた医学生マックス・マッキャンドルス(ラミー・ユセフ)と婚約をするまでに至るのでした。

 

 

ベラは自然と家の外の世界に興味を持ち始めたのでしたが、「自由」を求めるあまりに、マックスとの結婚の契約書作成のために家に上がり込んだ放蕩者の弁護士ダンカン・ウェダバーン(マーク・ラファロ)の誘惑に乗り、言われるがままに駆け落ちし、大陸横断の冒険旅行に旅立つのでした。

 

 

ベラとダンカンは、リスボンに降り立ち、あたかも動物かの如く、ただひたすらセックスに夢中になり性行為三昧に耽る毎日を送るのでした。

 

 

しかし、ベラは好奇心に駆られて1人で外に出かけては、酒を飲んだり、大事なところに刺青を入れたり、他の男性と性的な行為をしたりして耽るのでした。

ベラの自由奔放な振る舞いに困り果てながらも、ベラの魅力に惹き付けられたダンカンは、そんなベラを監禁し、クルーズ船に乗り込むのでした。

 

 

当初は、残酷な実験のモルモットとなっていたベラの悲劇から、次第に野放図なベラに振り回される男たちの悲喜劇と変わるのでした。

 

 

  感想

 

これは好き嫌いがハッキリと分かれる作品でしょうね。

個性的で、哲学的な映画を観たいという人にはウケる作品かもしれませんが、観ている途中で、女性客などが連れ立って席を立って、戻ってこなかったりもしましたが、私自身もあまりに露骨な獣のような性描写の連続には正直ドン引きしてしまいました。

R18。いわゆる18禁映画で、エログロ系ドラマなので、特に日本人はこの手の映画は苦手な人も多いかも知れないですね!

 

 

ただ、哲学的な事は私にはよく分かりませんが、先ずは、「女性を縛り付ける足かせからの解放」といった現代的なテーマが見てとれます。

もう一つの大きな問いは、「人間と動物とを隔てるもの、その大きな違いは何か」という点。

 

 

ひと昔前の平成時代の頃の某自動車メーカーの有名なキャッチコピー「くう・ねる・あそぶ」ではないですが、まさしく、「食べて、寝て、愛し合う」。

そういった、身体は成人女性、知能は胎児のベラは生理的欲求を抑えきれないといった、まさに本能におもむくままの動物的ではありましたが、クルーズ船の乗客のマーサ・フォン・カーツロックという老婦人やハリーといった知識人との交流から、やがて哲学の話しに夢中になり、本を読み始めて徐々に知性的になっていくベラを横目に、ダンカンは、ただひたすらに、酒とギャンブルに溺れていくのでした。

 

 

その後、アレクサンドリア、パリへの旅を通して、更に未知の世界に触れて、目覚ましく成長していくベラなのでした。

 

 

このベラ役を演じるのは前作『女王陛下のお気に入り』でもヨルゴス・ランティモス監督とタッグを組んだエマ・ストーン。

 

今作での大胆な娼婦役をもこなす、まさに身体を張った捨て身の演技は、ギリシャ出身ヨルゴス・ランティモス監督の欲する、人間本来の本能的なといった感もある高度な演出と格闘しているかのようでもありました。

 

 

一部モノクロ画像や魚眼レンズの多用、或いは、部分的にリバーサルフィルムを使うなど、ロビー・ライアン氏の撮影手法も目を引き、広角で捉えた劇的な船上シーンなどが、あたかも夢うつつな世界に誘うかのようでもありました。

 

 

固定観念にとらわれない、ベラの無秩序な魅力を強調する衣装、木管楽器を多用した荘厳な音楽も相乗効果となり、これまでにない映像体験をもたらしてもいました。

 

 

本作品の狂気の技術者が創造主として異形の存在を生み出すといった構造は、かの『フランケンシュタイン』の系譜にも連なる作品とも言えるでしょう。

 

 

ベラが「ゴッド」(神)と呼ぶゴッドウィン・バクスター邸の庭には、同じく実験で生まれたらしい気味の悪い動物たちが遊んでいるのでした。

 

あたかも日本のギャグ漫画の「天才バカボン」のウナギイヌのような如何にも人工的な出で立ちの存在たち。

 

 

今作の全編を通して感じたのは、人物たちをあたかも「標本」であるかのように愛でて、凝視するような創造主の視線。

 

かなり奇抜な作品ではありましたが、要は、一皮剥けば、欲とエゴ。

神の前では人間もまた哀れなる存在とでも言えようか。

屈託のない、強烈な自虐的表現に笑えてもくる、大いにブラックユーモアの効いた作品でした。

 

  私的評価:★★★★(80点)

 

物語自体は、ベラの性体験によって、価値観が覆っていく部分もあったりと、ファンタジーというより、むしろエロティックコメディのような路線の作品でしたが、特異な環境下でもたらせられる倫理観の先にある何かも見せていて、R18+で無修正で公開されるといった潔さも込みで、充分に伝わるものになっていたとも思います。

その意味合いでは充分に合格点の映画でした。

 

また、「人間は見せかけの理性を被った獣なのか」といったような多少心に刺さる部分もある、かなり哲学的な内容の作品でした。

ただ、たしかにアーティスティックな映画でもあった訳ですが、観ようによっては、悪く言えば、単なる「18禁のエロ映画版のフランケンシュタイン」に過ぎないとも思えるほどに、エマ・ストーンの身体を張った捨て身の演技があまりに生々しくて凄かったのですが、私が、こういった系の映画を見慣れていないからなのか、疑似的な性行為の描写にしても、なかなか凄すぎて、かなりドン引きしてしまうほどでした。

 

ですので、その点を若干差し引いて、五ツ星評価的には、高評価ではありますが、四ツ星評価の★★★★(80点)に留まる評価とさせて頂きました。

 

○第80回ヴェネチア国際映画祭最高賞、金獅子賞受賞!『哀れなるものたち』新予告│2024年1月26日(金)公開!

 

 

 

尚、ミニシアターの京都・出町座にて、来たる4月26日(金)からゴールデンウィーク期間中に、本作品『哀れなるものたち』のセカンド上映を実施される予定のようです!!!

 

ご自宅でも、18禁映画の本作品の視聴に支障がない環境下にお住まいでしたらば、来たる4月24日(水)16:00より、Disneyプラスにて見放題独占配信が開始されますので、期間限定でDisneyプラスとの契約をされるのも良いかも知れないですね!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回も最後までブログ記事をお読み下さり有り難うございました。