『夜明けのすべて』(2024年)#T・ジョイ京都 #夜明けのすべて #上白石萌音 #松村北斗 | HALUの映画鑑賞ライフのBlog

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~映画鑑賞雑記帳 &京都・滋賀の季節の歳時記 & 読書などのお気儘ライフ~

この作品も、2月9日(金)公開の作品ですので、既に多くの映画館では公開終了になっていることかとは思いますが、今更ながらで恐縮ですが、あくまでも個人的な備忘録的に本作品の感想について、拙ブログにも記録に残しておきたいと思います。

 

◎いま現在は何とか寛解状態をキープしてはおりますが、私自身が、長い期間、パニック障碍の当事者でもあったので、本作品を観に行こうかどうか迷っていましたが、映画ブロガーのトシさんの本作『夜明けのすべて』のレビュー記事を拝読して、その記事に触発され背中を押されて、先々月の3月4日(月)に、T・ジョイ京都まで鑑賞に出向いて来ましたので、その際の感想を記させて頂きたいと思います。

 

※この度は、トシさんのレビュー記事にて後押しして下さったお蔭でこんな素敵な映画を観に行くことが出来て本当に良かったです。

トシさん。本当に有り難うございました。

 

 

今年度の11本目の劇場鑑賞作品。

(今年度のT・ジョイ京都での1本目の劇場鑑賞作品。)

 

 

 

「生きづらさを抱えた二人の気遣い合う”同志”の物語(24.3/4・劇場鑑賞)」

ジャンル:人間ドラマ

英題:All the long nights

製作年/国:2024年/日本

企画・制作:ホリプロ

制作プロダクション:ザフール

制作:「夜明けのすべて」製作委員会

配給・宣伝:バンダイナムコフィルムワークス / アスミック・エース

公式サイト:https://yoakenosubete-movie.asmik-ace.co.jp/

上映時間:119分

上映区分:一般(G)

劇場公開日:2024年2月9日(金)

原作:瀬尾まいこ『夜明けのすべて』(水鈴社/文春文庫刊)

製作:河野聡 / 牟田口新一郎 / 竹澤浩 / 中村浩子 / 津嶋敬介 / 古賀俊輔 / 奥村景二 / 小山洋平 / 篠原一朗 / 池田篤郎 / 宮田昌広

企画・プロデュース:井上竜太

チーフプロデューサー:西川朝子

プロデューサー:堀内政芳

撮影:月永雄太

照明:秋山惠二郞

録音:川井崇満

美術:禪洲幸久

装飾:高木理己

衣装:篠塚奈美

ヘアメイク:望月志穂美

音響効果:岡瀬晶彦(J.S.A.)

音楽:Hi'Spec

編集:大川景子

制作担当:菅井俊哉

助監督:山下久義

脚本:和田清人 / 三宅唱

監督:三宅唱

キャスト(配役名):

松村北斗(山添孝俊) / 上白石萌音(藤沢美紗) / 渋川清彦(辻本憲彦:山添くんの前の会社の元上司)/ 芋生悠(大島千尋:山添くんの恋人) / 藤間爽子(岩田真奈美:藤沢さんの友人) / 久保田磨希(栗田科学の先輩社員)/ 足立智充 / 宮川一朗太(藤沢さんの主治医) / 内田慈(山添くんの主治医) / 丘みつ子 / 山野海 / 斉藤陽一郎 / りょう(藤沢倫子:藤沢さんの母親)/ 光石研(栗田和夫:栗田科学の社長) その他

 

 

【解説】

「そして、バトンは渡された」などで知られる人気作家・瀬尾まいこの同名小説を、「ケイコ 目を澄ませて」の三宅唱監督が映画化した人間ドラマ。


PMS(月経前症候群)のせいで月に1度イライラを抑えられなくなる藤沢さんは、会社の同僚・山添くんのある行動がきっかけで怒りを爆発させてしまう。転職してきたばかりなのにやる気がなさそうに見える山添くんだったが、そんな彼もまた、パニック障害を抱え生きがいも気力も失っていた。職場の人たちの理解に支えられながら過ごす中で、藤沢さんと山添くんの間には、恋人でも友達でもない同志のような特別な感情が芽生えはじめる。やがて2人は、自分の症状は改善されなくても相手を助けることはできるのではないかと考えるようになる。

NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」で夫婦役を演じた松村北斗と上白石萌音が山添くん役と藤沢さん役でそれぞれ主演を務め、2人が働く会社の社長を光石研、藤沢さんの母をりょう、山添くんの前の職場の上司を渋川清彦が演じる。

 

2024年・第74回ベルリン国際映画祭フォーラム部門出品。

 

(以上、映画.comより、引用抜粋。)

 

 

 

 

 

はじめに 

 

生理のある女性の3人に1人がPMS(月経前症候群)を、また、性別や年齢を問わず100人に1人の割合でパニック障碍を発症すると言われています。

それほど身近な病気なのにも拘らず、悲しいかな、まだまだ社会での理解・病気の認知度は追い付いてはいないのが現状です。

 

 

そんなPMSの女性とパニック障碍を患う男性とを主人公に現代社会の「生きづらさ」などを問う、瀬尾まいこさんの同名小説『夜明けのすべて』を、一昨年末に公開された、耳の不自由な女性ボクサーの実話を基にした映画『ケイコ 目を澄ませて』(2022年)を撮られたことでも脚光を浴び、数々の映画賞を受賞した、三宅唱監督が映画化した作品。

 

 

 

 

あらすじ(ほぼネタバレ無し) 

 

普段は温厚な藤沢さん(上白石萌音さん)は、月に一度、PMS特有の症状でイライラが抑えきれなくなる。まるで別人格が取り憑いたかの様に。

 

 

或る日、些細なことで、転職してきたばかりの後輩の山添くん(松村北斗さん)にも怒りを爆発させるのでしたが、彼がやる気がなさそうに見えたのも、実はパニック障碍に起因するもので、藤沢さんと同じく病気の症状が原因で前に勤めていた職場を辞めざるを得なくなっていたのでした。

 

 

そんな一件を通して、逆に仲間意識が芽生えた二人は次第にお互いを気遣うようになるのでした。

 

 

 

二人が働く、子供向けの理化学の実験玩具を扱う小さな会社の栗田科学の社長(光石研さん)や先輩たち、山添くんの以前に勤めていた大手企業の元上司(渋川清彦さん)、同僚や後輩たち、そして山添くんの恋人・大島千尋(芋生悠さん)も、皆、当然それぞれの事情を抱えて生きています。

 

 

なので、病気による発作や症状を決して非日常として取り立てて強調するのではなく、日常の風景の中で淡々と描いています。

 

 

そうしたドキュメンタリー調の演出とカメラワークで、彼女らを取り巻き見守ってくれている周囲の協力もあって、藤沢さんのPMSも山添くんのパニック障碍の持病も、ある種の個性の一つでもあるかのようにも感じてくるのでした。

やがて同僚を超えた二人の特別な関係性について焦点が当たっていく事で、この物語の中でも更にそれが前景化してくるのでした。

 

 

例えば、発作の心配のために長時間の外出が難しく、散髪屋さんにも行けない山添くんのために、藤沢さんが押しかけて散髪をするシーンがあったりしますが、その際には、山添くんのアパートの一室で二人きり。普通ならロマンチックな展開にもなりそうなところが、本作の二人はそうはならないのでした。

誰かにとって、意味のある存在、相手を気遣う特別な関係性になれる純粋な喜びについて、その焦点を当てているのでした。

 

 

NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』で夫婦役を演じた上白石萌音さんと松村北斗さんが、恋愛模様とはまた違った感情でも成立するといった、幸せな男女のあり方をごくごく自然体で魅せてくれていました。

 

感想 

 

劇中のPMSもパニック障碍も、それ自体は、あくまでも作劇の上で物語を動かすための人物設定の一つであって、作品自体が目指しているのは、大きな主題としては、おそらくですが、あくまでも特定の病の存在を社会全体に周知させるためだけのものでもないだろうかとは思います。

むしろ、逃れられないような苦しさまで個人に帰するような、行き過ぎた自己責任論や不寛容な社会に向けた問題提起と解釈することも出来るのではないかとも思われました。

例えば、性的指向や家庭環境のあり方などに置き換えてみると、主人公が直面するそのしんどさは様々な状況にも当てはまるはずかとも思われました。

 

 

但しながら、この作品の最たる主題が、特定の病の存在の周知を社会全体に図る目的ではないとしても、PMS(月経前症候群)という女性特有の病気について、私も、この映画で初めて知りましたが、毎月の事なので、自分の感情を上手く自己制御出来ないのは、かなり大変そうで、今回、この女性特有の病気についても知る機会を得たのは良かったとは思いました。

 

私の場合にも、パニック障碍のために、長年、電車などの公共交通機関に乗れなくて、いわゆる、曝露(ばくろ)療法に何度も挑戦したりしていたので、劇中の松村北斗さん演じる山添くんの思い切った行動やその努力を通して、私も、その当時の事を想い出して、映画を観ながらついつい感涙してしまうほどでした(泣)

 

全ての人に、この心の病の辛さを理解してもらうのは、この病気の当事者でもない限り、かなり難しいとは思いますが、100人に1人の割合で存在する、ごくごく身近な病気だということくらいは知っていただければと思います次第です。

 

 

私が以前に勤めていた会社の関連子会社にも、ちょうど、主に子供向けの理化学実験器具の取扱いなどをしているグループ会社もあったのですが、(その会社は私が実際に出向した会社とはまた違う会社でしたが)、もしも、その実験器具の関連子会社に出向していたら、「あんな感じで仕事をしていたのかな?」などと、当時を回想して、勝手に想像を膨らませていました。

 

それにしても、山添くんの前の会社の元上司(渋川清彦さん)や同期や後輩にしても、栗田科学の社長さん(光石研さん)をはじめ先輩社員の方々など周囲の人々が皆さん温かく見守ってくれる良い人ばかりだったのが、映画の中の設定による人物像・人間関係とは言え、実に羨ましかったです!

 

 

「夜明け」は闇に包まれた夜の終わりで、1日の始まり。

このまま続くと信じた道が突然断たれると、一時的に恐怖や不安に襲われますが、同時に新たな人生の方角を指し示しているのかも知れない。夜明けの直前が一番暗いだけで、明けぬ夜はない。

そのことに気付いた藤沢さんと山添くんが見せる晴れやかな表情も実に良かったですね。

 

半径数メートル内のささやかな人間模様を描いた物語に、あえて壮大なタイトルがつけられた理由もよく分かりました。

 

 

私的評価:★★★★☆(90点)。 

 

劇中に登場する周囲の人達が皆さん温かく見守ってくれる良い人ばかりだったのが、いくら映画の中の設定とは言え、私のこれまでの実際の社会生活の経験上、やや現実味が欠けるくらいに、実に羨ましく思うほどだった点から、若干の減点は致しましたが、ほぼ満点評価に近いほど、本当に私にとっては共感出来る映画でしたので、五ツ星評価的にも★★★★☆の四つ星半の90点の高評価も相応しい作品かとも思われました。

 

 

私に限らず、日々生きづらさを抱えて人生思い通りにいかなくて困っている人も、さぞや多いことかとは思いますが、そんな中でも「いつか新しい夜明けがやって来る。光だって射すはず。」といった、ささやかな人間模様を描いた本作品に感動したあまり、ついつい原作本も読みたくなり購入しちゃいました。

 

▲実写映画化に伴い主演の上白石萌音さんの写真を使ったダブル表紙仕様になっています。

※ダブル主演のはずの、SixTONESの松村北斗さんの写真が載っていないのは、邪推かも知れませんが、旧ジャニーズ事務所のジャニー喜多川性加害問題を暴いた文藝春秋社の文春文庫だからなのでしょうか(?)

 

▲瀬尾まいこ著『夜明けのすべて』(文春文庫刊、定価:本体730円+税)。

 

○映画 『夜明けのすべて』ロング予告【2月9日(金)公開】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

尚、現在、京都のミニシアター出町座では、この映画『夜明けのすべて』のセカンド上映をロングラン上映中らしいので、ご興味が惹かれる方は、是非、出町座まで足をお運び下さればと思います。

 

 

今回も最後までブログ記事をお読み下さり有り難うございました。