見つめあえたら、きっと運命。近代日本画史上、最も有名な黒猫からの誘惑に負けて、ノコノコと会いに・・・
とかいって、今年始めからずっと楽しみにしていたんですけどね
しかも、後期展示の君↑に会えないのはわかっていて、今週行ったんですけどね
今週末のアート番組で紹介予定なので、混む前に取り合えず前期展示を観に行きました
菱田春草 (1874―1911)・・・
わずか36才で早世した近代日本画を代表する画家です
明治期、横山大観や下村観山達と共に岡倉天心のもとで日本画の発展に尽力しました
15年ほどの画業の中で行った様々な絵画上の実験が、後の日本画を変えたと言われています
この展覧会は、総計108点の作品からなる、彼の生誕140年の大回顧展です
展示は制作年代順に4章立ての構成でしたが、10/13までの前期と10/15からの後期で展示がえが多くあります
◆1章 日本画家へ:「考え」を描く 1890-1897年
「西洋画で言へば此によい景色があるとすれば其の色を取り光線を其のまゝに出さうとする、日本画では(中略) 画家自身の考へを画くのだらうと思ふ。」
西洋画の写実と対置する日本画の特性として、この「考え」をとらえていたそうです
「水鏡」1897年10月 (前期展示)
作品発表後の雑誌上の談話で春草は、「天女の衰相」を描いたと言うことを言っているそうです
美しい天女もやがて衰えるという考えを、姿を映す水を濁らせ、色の移り変わりがある紫陽花を添えて、更に紫陽花は天女を暗示するために衣装に同じ色彩を用いています
そういった深い思いを知らなくても、天女の無垢な表情や淡くニュアンスのあるパステル調の色彩、全体を包む金色から発する神々しさなどにしばらく見つめずにはいられないのです
そしてキャプションを改めて読み、作品の意味するものを探ろうと再び動けなくなるのです
◆2章 「朦朧体」へ:空気や光線を描く 1898-1902年
東京美術学校の教員だった春草は、校長職を追われた岡倉天心が新たに日本美術院を創立するにあたり、自身も多くの同僚と共にそれに参加しました
そこで、大観とともに新しい日本画の表現方法を追求し、墨の輪郭線を描かない、いわゆる「朦朧体」が生まれます
そもそもは、日本画で「空気、光線」を描きたい、しかし西洋画の線遠近法や陰影方で空間を写実的に表現するのはやはり違う 、空気や光を描いて画面に情緒を与えたいと考えたとか
しかし、筆線のない色彩主体の絵画は西洋絵画の亞種だと世間の酷評を受けました
「朦朧体」の言葉はこの新表現への反発や拒絶を含む蔑称だったのです
「菊慈童」1900年4月 (前期展示)
中国・周の時代、菊の力で仙人になったという物語を主題にした作品です
科学調査によって、上部の白っぽいところ以外に金泥が掃いてあることがわかったとか
薄く暈した描き方が山々の果てのなさを表していると思います
「暮色」1901年4月 (通期展示)
この暖かな色みはどうでしょう

明るい夕焼け色を背景に柳のシルエットが映えています
……うっとりします…
「王昭君」(重要文化財) 1902年3月 (通期展示)
この章のハイライトですねー、沢山の美女たちが泣いてます…
中国・前漢の時代、匈奴の王へ後宮から女性を差し出すこととなり、一番醜い女を肖像画で選んだところ、それは絵師に賄賂を贈らなかったために醜く描かれた美しい王昭君だったのです
驚いた元帝が策を高じるも時すでに遅く、王昭君は敵国に嫁すこととなるのです
この絵は、その高貴な王昭君との別れの場面を描いています
女性たちの陶器のような肌と、透ける薄衣の美しさが目を引きます
朦朧体が結実した作品ということでした
◆3章 色彩研究へ: 配色を組み立てる 1903-1908年
大観と共に北米・欧州への外遊の中で、日本では酷評された作品が高値で売れました
これに自信を深め帰国後には、一層色彩の研究を進めていきます
「賢首菩薩」(重要文化財) 1907年10月 (通期展示)
高僧の纏う袈裟には、近づくと細かい刺し子が点描で描かれているのがわかります
地色との補色表現が意図されているそうです
椅子にかかる布には日本画では初検出となるカドミウムイエローを始め、数種の西洋顔料が使用されているそうです
この作品を含め、10点を科学調査した結果も、とても興味深く、春草がいかに新しい絵画を求め研究熱心だったかが窺い知れます
「雨中牡丹」1907年7月 (通期展示)
儚すぎて夢の中で鑑賞しているようです・・・
近くで観てらしたご年配の方が「葉だけのお軸かしら…あの黄色いのは虫か何か?」とお連れに言っているのを聞き、そんなにも儚いのか…と…
(単に目が悪かったみたいですが)
とにかく、描かれているはずの雨はどこまでも薄く、一方写実的に表現された牡丹はどこまでも淡く・・・素敵な作品です
第4章のお話は、次で

猫ちゃんたちは写真入れたいのです、自分用ですね (笑)