最近、読んだばかりですがまた、星新一さんの作品を読んでみました
前回の長編とは異なり、短編集なんですがいやー、簡単に書いておきながら、すごい哲学的でまた娯楽性に富みある種の完成型なんでしょうね
また、書かれた時期が私の生まれる前の作品であっても、なくても(星先生は97年に他界されております)古さというものを一切感じず、最近、書かれたような新しさを感じさせるんだから、やっぱり天才ですね
で、中の作品についても何作か少し触れてみたいと
まずは表題作である『天国からの道』では死後の人間の魂を導く天使がだらけ、その様子に憤慨した神様が、2グループに分け、競争させるというユーモアにとんだ作品でした
しかしながら、その努力の方向が段々と、神様の意図する方向から外れていく、なにか天使を通して人間社会を風刺しているような感じでしたね
『禁断の実験』では、知識欲を満たすために暴走してしまった学者の様子に触れているんですが、ついつい、現実では日常に追われ、知る喜びというものが希薄になっている感がします
それはある種、今の詰め込み式の受験のための学校教育にも問題がある気もしますがね…
と、少々、話がそれましたが、そこには性欲だとか、食欲だとか、睡眠欲だとか動物の根底をなすものから離れ、他の動物と人間がどう異なるのかなんて、ちょっと高尚なことまで考えさせられてしまいましたね
『けがれなき新世界』、これは読んでて考えさせられますね
人間は考える葦だとか言われますが、たいていのことって先入観や他人の評価で決め付けてませんか?
本当に自分の判断で、また、正しい認識を持って捉えれてますか?
例えばヒトラーにしても彼は当時のドイツ国民に支持されてたといいます
また、日本国民にしても戦時中はそれを正義と信じていました
そんな中で、深く考えず、物事の本質を捉えずに特定の人間に強力な力を持たすことの危うさを痛烈に批判してますね
『火星航路』では他の作品とは異なり、純粋に恋愛について書かれております
そもそも、恋愛という感情は生物学的に捉えるのであれば、自己のDNAの保存に基づき、種の繁栄を考えて起きる感情なんでしょうが、それだけだと、ただの動物と同じですよね
人間として生まれてきたからこそ抱くことの出来る感情ではないのでしょうか?
登場人物は少々、ひねくれたところのある二人ですが、そんな二人が不器用でも手探りで互いに求め合うえ様は種の保存という、生物の大原則からも逃れ、愛するということが出来るということを気づかせてくれます
この作品が、いちばん、好きでしたね
『狐のためいき』ではもう、ちょっと涙が出てきそうでした
ごくごく、短い話なんですがね、人間の悲哀だとか苦痛だとかを悟ってしまった狐の哀しい哀しい物語です
日本て、いつからこんなに住みにくく、生きにくくなったのでしょうか…
『担当員』これまた、星新一先生のすごい空想力が生み出した代物ではないでしょうか?
人間の老いと死について、ここまで簡潔にかつ、解りやすく書かれた作品は未だに見たことはないですね
もちろん、それが個人の見解であり、正誤の問題とは遠く離れている訳なんですけどね、それにしてもこんな考え方が浮んでくる思想には驚かされるばかりです
世が世なら、孔子や孟子と並んで現在に評される思想家、哲学家になられていたと思うのはいき過ぎでしょうか?
まぁ、長々と紹介した割りに、作品の本質を捉えきれていない気もしますが、そこら辺は私の勉強不足とご了承くだされ
それにしても、星新一作品の良さをもうちょっと伝えるために、もっともっと読んでみたいと思いましたね





