sauda-ji

盛田隆二さんの作品です

『夜の果てまで』、『ラスト・ワルツ』と、合わせてこの人の三部作なんですがね、個人的にはこれが一番、好きです

この人、独特のタッチと言うのが今作まで読んで、やっとおぼろげながらつかめてきた感じもしますね

ホント、大人の恋愛と言うのか、簡単に単純に何が善で何が悪でというような感じではないんですよ

ただただ、それが現実に起こっていることをただただ、単純に書き綴っている

あくまでも主人公、登場人物の主観を大切にしてあり、それぞれの行動を非難、悲観的に書かないんですよ

たとえば、浮気の描写なんかを普通の作家にかかすと、意識せずともどこか非難めいたところがでちゃうんですよね

それが、まったく、感じられないんですよね


はてさて、前置きが長くはなりましたが、今作にも触れてみたいと思います


ところで、サウダージって言葉を知っていますか?

以前、日本で人気のあるバンドが同名タイトルの曲を歌っているのでご存知かもしれませんが、ポルトガル語で「孤愁」だとか「追慕」だとか「思慕感覚」だとかで訳されるそうですが、感情を表す言葉をモノを指し示す言葉のように翻訳をするのは難しいと思います

「失われたものを懐かしむ、寂しい、やるせない想い」

そういえば、少しはサウダージの意味に近づけるそうで

で、閑話休題

この物語は日本人を父親にインド人を母親に持つ主人公、パキスタン人の労働者、日系四世の学生、フィリピン人のバーの雇われママ

そんな人間が日本で、日本ではないどこかに故郷を感じながら、さまざまな思いが交錯する

そして、自我の目覚めやお互いに分かり合う瞬間を分かち合いながら、様々な矛盾や無力感を感じながらもただたさ、生きていく

ちょっぴり、甘酸っぱく、そしてちょっぴり切ない物語です


今まで読んだ2作品に比べると、この作品は完成度はかなり高いかな?と、思います

好き嫌いは分かれるかもしれませんが、もしよろしければどうぞ