映画、音楽、アート、小説、料理など芸術に関する話題について、思いつくまま気の向くままアットランダムに書いていきます。★★★★★
葛飾北斎とその娘、応為の物語だ。北斎の娘にして弟子となり、独自の画風は絵に生涯を捧げた北斎をも唸らせた。応為の代表作、「夜桜美人図」、北斎が物の形や動きを表現したのに対し、応為は光と影と物語を描いたと作家と言えるだろう。見所は、なんといっても、応為役の長澤まさみと、北斎役の永瀬正敏の熱演だろう。長澤まさみの、男前な演技は応為の気質を自分なりの解釈で見事に表現していたし、永瀬正敏も絵を追求した、頑固な北斎の人柄を見事に演じていた。永瀬さんのここ最近の出演作の中では、自然体で一番はまっていたように思う。(濱マイクのマイク役を思い起こしました。)ふたりの相性も良い感じで、お互い役に入って北斎と応為親子のいい雰囲気をだしていた。応為がいかにして応為になったか、応為がどのように生きたか、当時の江戸庶民の生活や家族のあり方や文化をシーンの中でうまく活かした演出は物語として見応えがあった。(★★★★)●おーい、応為 公式サイト映画『おーい、応為』公式サイト | 10月17日(金)公開主演:長澤まさみ、監督・脚本:大森立嗣「悪かったな、北斎の娘で」映画『おーい、応為』2025年10月17日(金)公開oioui.com
映画「この夏の星を見る」は、新型コロナウィルスパンデミックで、普通の学校生活が送れなくなった中・高校生が天体観測で繋がる物語。自分たちでは、どうすることも出来ない状況の中で思いついたアイデア「スターキャッチコンテスト」手作りの望遠鏡で、指名された星をキャッチしスピードを競うコンテストだ。さらに、オンラインを活用して茨城、東京、長崎五島列島の3箇所で、同時にスピードを競い合う。離れたもの同士が、一つのイベントでつながり、同じ時間を共有する。人との接触が限定され、ソーシャルディスタンスであっても、屋外なら大丈夫だし、なにより世界は空でつながっている。「何ならできるか?」そんな逆境にもめげない、前向きな想いが全国の苦しんでいる生徒たちの心を結びつけ、本当に大切なこととは何かを教えてくれる。(★★★★☆)
話題の映画「国宝」を観た。175分の長さを感じさせない物語性に加え、豪華キャスト人の演技が素晴らしい、特に主役の二人、吉沢亮(喜久雄)と横浜流星(俊介)の女方の圧巻の演技には度肝を抜かれた。演技の域を超え、歌舞伎役者としても通用するような完成度の高さだったし、吉沢亮の有名なアドリブのシーンもそうだが、なにより役になり切っていた。血筋が重んじられる歌舞伎界において、任侠一家に生まれた人間が芸でそれを超えることができるのか、別々の運命を背負った二人が厳しい歌舞伎の世界を生きる人生に感動する。曽根崎心中をはじめ、歌舞伎の演目も難易度の高いものであり、表現的な面でも二人の違いが出ていて、興味深かった。歌舞伎の世界で生きる人間にしかわからない、苦悩と歓喜の人生がそこにあった。(★★★★☆)
物語は娘をなくした母親が、骨董市で見つけた古い日本人形を購入するところから始まるのだが、その展開がとても秀逸で面白い。Jホラーのエッセンスがうまく盛り込まれて、脚本的にもかなり怖いストーリーになっている。母親役を長沢まさみ、その夫役を瀬戸康史が演じているが、二人の明るく元気なキャラのせいか、陰湿な感じがなく、ある種コメディ的な要素も感じられる。アットホーム的な展開とのギャップや科学検証的な点も面白く、想像を裏切りながらも、期待通りの展開に思わずニヤリとしてしまう。この脚本、ハリウッドでリメイクしたら、かなり怖い作品になるんじゃないかな。「ドールハウス」新しいタイプのジャパンホラーを堪能できる一本です。(★★★★)
Xトリロジーの最終章「MaXXXine マキシーン」は、ミア・ゴス演じるマキシーンがハリウッド女優を目指すエンターテインメントホラーだ。時代は1985年、つながりとしては、X(エックス)のマキシーンのその後を描いている。三部作としてのマキシーンは、Xのその後の物語なので、Xを先に観ておくと、より映画を楽しめる。>Xトリロジー相関図はこちら何と言ってもこの映画、ハリウッドの映画愛に溢れた作品で、シーンのいたるところで、ハリウッドの名作で登場するセットや、何か見覚えや聞き覚えのあるキャストや映画のオマージュがいたる所に登場するので、映画ファンとしては至極嬉しい。マキシーンのハリウッド女優への憧れや執着の根源となるエピソードが実にうまく脚本としてまとめられている点も秀逸だ。「MaXXXine」に3つのXになっているタイトルも実に巧妙で、XXXは三部作を表す?と同時に、アメリカにおける映画レイティングでハードコアポルノを表す。ミア・ゴスが三部作を通して、マキシーンとパールの両方を演じているこによって、人間の夢への執着や、その裏にある、ある種の心理的な恐ろしさといったテーマがつながり、Xトリロジーが見事に完結する。タイ・ウェスト監督、流石です。(★★★★)
必死の形相で逃げる女、誰に追われているのか?不思議な緊張感が連続する。6つの章、物語は順番に展開されないため、鑑賞者は困惑し、無意識のうちに事の真相を勝手に想像しはじめる。予想を裏切る展開、息を飲む描写が面白い。「あなたは、シリアルキラーなの?」このキーワードが一種の呪文となり、不安を煽る。話が進むにつれ、徐々にその真相が明らかになっていく。エンディングでは謎がとけたような不思議な達成感を感じる。主演のウィラ・フィッツジェラルドの演技も見所の一つ、今後の活躍も期待したい。(★★★★)◎ストレンジ・ダーリン公式サイト
F1はチームスポーツ、ドライバーだけで勝てるわけではない。チーム運営はもちろん、メーカーやスポンサー、スタッフ全員の協力があって初めてレースで勝負できる世界だ。映画F1は、そんなF1の魅力を、奇を衒うことなく、ドライバー同士の確執や、チームの裏側を、真正面から描いた作品であった。ニキ・ラウダとジェームス・ハントのライバルと友情を描いたRUSHなど、F1を扱った映画は過去にも何作があるが、本作ほどチームの裏側やドライバーの生き様を丁寧に描いた作品はなかったのではないだろうか。(見方を変えれば、スポ根的でもあり、ドキュメンタリー的でもあった。)本作の見所は、なんと言っても、ブラッド・ピット演じるベテランドライバー、「ソニー」がチームに合流することによって、才能はあるが伸び悩んでいる若手ドライバー「ジョシュア」や、コンプレックスを抱える女性テクニカルディレクター「ケイト」、旧友であり運営難に悩むオーナー「ルーベン」を巻き込み、チームがチームとして成長していいくところにある。クルマは、ウルフを思い起こさせる黒とゴールドでカッコ良く、映像面での迫力も凄い。地上のトップガン的な表現をしている人もいるようだが、コースを滑走する映像や没入感は想像以上で、大スクリーンで見るべき作品であることは間違いない。ソニーのドライバーとしての人生とはどんなものなものだったのか?是非スクリーンで確認してほしい。(★★★★)※1990年代のセナプロ対決や、ホンダとフェラーリの戦いの記憶が重なり、当時の興奮が蘇ってきます。(ちなみに私はマンセルのファンでした。)◎F1(エフワン)公式サイトラッシュ/プライドと友情 [DVD]Amazon(アマゾン)
映画「サブスタンス」。「老いの恐怖と若さへの執着、築き上げてきた名声を失うことの苦しみ」を描いたサイコホラー。と思っていたが、ところがどっこい、自分の分身を作るという奇抜なアイデアと、予想を超える展開が待っていた。物語は、元トップ女優が、その年齢から降板を余儀なくされ、諦めきらない彼女は、再生医療に手を出すのだが、その再生医療がとんでもない代物。溺れるものは藁をも掴むというが、まさにそんな感じだ。この作品、ストーリーの奇抜さもさることながら、主演のデミ・ムーアとマーガレット・クアリーの演技が思った以上に激しい。とくにデミ・ムーアは62歳とは思えない体を張った演技で、彼女の並々ならぬ役者魂を感じずにはいられなかった。後半は、かなりぶっ飛んだ演出でどうなるかと思ったが、きっちりエンディングに持っていくところは流石ハリウッド。(★★★★)
リー・ミラー、報道カメラマンとしての彼女のことはよく知らなかったが、映画を見終わった後、その生き様に感銘を受けた。映画では、モデル引退後のカメラマン、ジャーナリストとしての半生が描かれている。(モデルとしてはマン・レイのモデルとして有名)第二次世界大戦下では女性従軍カメラマンに志願し、女性の視点で戦場での人々の様子を映し撮っている。特にドイツが降伏した後、前線に赴きその悲惨さと、極限状態に陥った民衆の姿が印象にのこった。リー・ミラー役のケイト・ウィンスレットの演技もすばらしく、被写体への敬意や、戦争に対する怒りをカメラを武器に戦っている様子に引き込まれる。そして、なにより心に残ったのは、プロフェッショナルとしての彼女のパーソナリティだ。信念をもった頑固さと、その意志の強さがなければ、このような写真は撮る事がでないであろう。現実を記録として残す写真の力と、真実を伝えるジャーナリストの凄さを再認識した。(★★★★)◎リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界公式サイトマンレイと女性たちAmazon(アマゾン)4,450円リー・ミラー: 自分を愛したヴィーナスAmazon(アマゾン)Lee Miller's War: Beyond D-DayAmazon(アマゾン)
宗教視点のサスペンスホラー。二人の宣教勧誘員が訪れたのは、キリスト教の教えに疑問を抱く「異端者の家」だった。訪問先の家に入った二人は、異端者との問答により追い詰められ、仕掛けられた罠に囚われる。異端者役(リード)にはヒュー・グラント。明るく明瞭な会話とは裏腹に、そのサディスティックな行為が強烈。宣教員役のソフィー・サッチャー、クロエ・イーストの演技も良い。映画としては密室劇であり、その閉塞感と底無し沼のような家の仕掛けが恐怖心を煽る。異常者の視点では「セブン」「羊たちの沈黙」、信仰的な視点で見れば「沈黙」などを連想させるが、そのいずれでもない新しいタイプのホラーだ。異端者が言う「信仰とは何か?」その答えは、映画で確認してほしい。(★★★☆)
映画、侍タイムスリッパー。幕末の武士が、あろうことか時代劇の撮影所にタイムスリップし、切られ役で身を立てる話であるが、設定の面白さに加え、脚本が実に面白かった。場所は京都の太秦撮影所、お金のかかる時代劇はかつての勢いを失いつつあった。そこで本物の侍が切られ役に大抜擢とくる。切られ役には2021年に77歳でお亡くなりになった名俳優、福本清三さんへのオマージュが感じられ、実際にその衣装が本編で使われている。映画を引っ張るのは、助監督でヒロイン役の沙倉ゆうの。彼女のテキパキとした関西弁の語り口と、侍役、山口馬木也の会津なまりの掛け合いが不思議な違和感があって面白い。そしてクライマックス、時代劇のセットで行われるシーンはスポ根的な緊張感に包まれる。笑いあり、涙あり、人情ありのエンターテインメント作品だ。安田監督が車を売ってまで作り上げた映画愛にあふれた自主映画作品、低予算でありながら、日本映画の素晴らしさを実感できる作品です。(★★★★☆)amazon primeで観られるので、まだ観てない方は是非!
刈谷日劇で「バッドランズ」を観た。この作品、製作は1973年、日本では初のロードショー。時代は1950年代、アメリカサウスダコタ州。母を病気でなくし将来に不安を感じている16歳のホリーとごみ収集作業員キッドの恋の逃避行の物語だ。ボニー&クライドよろしく、人殺しを重ねながら、モンタナに向かう二人。二人の逃亡生活はどこか夢の中のよう、現実感や緊迫感がまるでない。ロードムービーが、旅の過程で成長・変化し、自己発見をするものであるならば、二人はこの旅で何をみつけたのか?キッド役は後に『地獄の黙示録』に主演するマーティン・シーン、ホリーは『キャリー』のシシー・スペイセク。50年以上前の作品なのに、なぜか新鮮さを感じた。(★★★★)
Jホラーのエッセンスが詰まった秀作です。人が消える山、みつからない廃墟、残されたビデオテープ。これだけ聞いただけでもそそられます。物語は、日頃は疾走した人を探すボランティアをしている兄が、失踪者の子供を救出した出来事をきっかけに、幼い頃、山でかくれんぼ中に失踪した弟を、一本のビデオテープを手掛かりに捜索をするという話だ。救出劇の取材をきっかけに、地元の新聞記者が過去の未解決失踪事件にからんでいくことで、視聴者は、第三者の視点で展開を見ていくことが出来る。なぜ、弟は突然いなくなってしまったのか、そこに「見える人」、「見えない人(見ない人)」という心霊的な要素が加わり、恐怖がじわじわ増していく。まとわりつく気味の悪さに、謎解き的な要素が加わり、ハリウッドにはない、Jホラーならではの面白さがあった。(★★★★)◎ミッシング・チャイルド・ビデオテープ公式サイト
妻に先立たれ、20年間一人暮らしの元大学教授。連載の執筆と講演の仕事を続けながら、残された人生を悠々自適に送る毎日。お金の心配もなく、食べたい料理を作り、夜は行きつけのバーで友人と酒を飲む。いつか来るXデーに備えながら、規律正しく、完璧な老後の人生を送っていた。そんな男の前に、思いもよらぬ「敵」が忍び寄ってくる。「敵」とはいったい何なのか?多くの人が、晩年対面しなければならないであろう現実。決して逃れることが出来ない老いと、高齢化社会の問題点が、物語を通してあぶりだされる。主演は、かつてOLの理想の上司として人気のあった長塚京三。難しい老人の役を見事に演じている。全編モノクロームの映像が、現実的な恐怖を煽る。定年を迎えた方必見の秀作。人生は美しく、恐ろしい。(★★★★)◎「敵」公式サイト
70年代、テレビがメディアの中心の時代、視聴率を上げるために、オカルトや超能力といった生番組が日本でも話題になっていたが、この映画は、悪魔を生放送で登場させるという、前代未聞の番組を舞台にした映画だ。まるで、70年代にタイムスリッップして当時のテレビ番組を見ているようだ。何かが起こりそうな緊張感と、登場人物のプライベートに関わるゴシップ。生放送の切迫感が相まって、視聴者はスクリーンに釘付けになる。本番中もさることながら、CM中のやりとりが面白い。ON AIRになったら後戻りはできないし、生放送だからやり直しは聞かない。脚色された番組と、舞台裏の現実的なやりとりの対比も効いている。マジシャンと霊能者との対決、クライマックスの予想外の展開も見事だった。あえてB級映画的な表現をしているところも愛嬌があってよかった。(★★★★)◎悪魔と夜ふかし公式サイト
アポロ11号の月面着陸はリアルか、フェイクか?いわゆる、アポロ11号は月着陸の映像は地球で撮られたものだとする都市伝説を、ドラマ化した作品が、フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン。主演は、スカーレット・ヨハンソン。彼女が演じるのは、敏腕PRマンであり、この時代の行き過ぎたPRを皮肉った設定だ。時代は、米ソ宇宙開発競争、泥沼化したベトナム戦争への反戦運動が行われている最中、アポロ計画は実行された。人類は月の上に立つという、世紀の映像を、偽物とすり替えて全世界に発信するという暴挙、そんなことが本当にできるのか?「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な一歩だ」あまりにも有名なアームストロング船長のこの言葉が、この映画を見る上で重要な意味をもってくる。映画自体は、シリアスというより、陽気なハリウッド映画という感じで、友情や、ロマンス、当時の男女の人生観や価値観が投影される。美術もすばらしく、当時のアメリカの世界観を味わえる。アポロの月面着陸はなんとなく記憶にのこっている程度だが、スクリーンに映し出される歴史的な現場の再現を見て、少しノスタルジックな気持ちになった。(★★★★)
エンツォ・フェラーリの半生は、まさに情熱と狂気に満ちた人生だ。フェラーリの歴史はある程度知っていたが、これほど激しいものであったのかと、本作を観て改めて思った。「車を売るためにレースに出るのではなく、レースに出るために車を売る」というエンツォの印象的な言葉があるが、まさにこれが、彼の人生を物語るものなのだろう。私生活では、長男ディーノを病気で失い、愛人とその息子ピエロとの二重生活。会社経営は破産寸前。そんな苦境の中で、挑むのが伝説の公道レース「ミッレミリア」だ。彼にとって、このレースに勝つことだけが、彼の人生を肯定するものとなる。主演のアダム・ドライバーの演技もさることながら、妻役のベネロペ・クロスの熱演も素晴らしかった。彼女の演技によって、ドラマとしての緊張感が生まれ、物語を劇的なものにしている。映画「フェラーリ」はカーレースファン、必見の作品です。(★★★★☆)合わせてみたいDVDフォードvsフェラーリ 4K UHD [4K ULTRA HD+ブルーレイ] [Blu-ray]Amazon(アマゾン)${EVENT_LABEL_01_TEXT}フェラーリ スーパー・ファクトリーのすべて [DVD]Amazon(アマゾン)${EVENT_LABEL_01_TEXT}F1 LEGENDS F1 グランプリ 1990〈3枚組〉 [DVD]Amazon(アマゾン)${EVENT_LABEL_01_TEXT}グレートカーズ~『フェラーリ』 DVD DSS04-006Amazon(アマゾン)${EVENT_LABEL_01_TEXT}
名古屋駅の駅裏に「シネマスコーレ」という小さな映画館がある。名古屋人の私にとっては、馴染みの名画座だ。実はこの映画館、映画監督、若松浩二が作った映画館であり、その開館とその後を描いたのが本作である。本作の時代背景が、まさに私の大学時代と重なっており、私の友人が支配人と知り合いということもあって、開館について、なんとなく話を聞いた気がするが、実際に、このようなドラマがあったとは‥。物語は、若松監督が、伝手をたよって支配人を依頼するところから始まるのだが、アルバイトの女性が、愛知学院大学の映画研究会が絡んだ設定になっていたり、河合塾が映画を作る話がエピソードとして盛り込まれていたりなど、私の身近な世界で起こっていたことが描かれていることに驚いた。映画自体も、シネマスコーレで観た。当然、スクリーンに映画館の入口や試写室などが映し出されることになるのだが、これがなんとも言いようのない不思議な感覚だった。特に舞台挨拶のシーンはより不思議な感覚だった。若松監督役は、井浦新さんが演じているが、本作が2作目ともあって、若松節が自然すぎて全く違和感がない。主人公の井上淳一は、本映画の監督本人のこと、つまりこの映画は井上監督のことであり、監督自身の自叙伝にもなっているところも面白い。(★★★★)●青春ジャック 止められるか、俺たちを2<関連記事>●止められるか、俺たちを
リュック・ベッソンの今回の作品は、ドッグマン。そのタイトル通り、犬と共に生きた主人公の苦悩と、自身との戦いの半生を描いた作品だ。実際にあった事件をもとにベッソン自身が脚本を描いている。冒頭、十数匹の犬をトラックに乗せた女装男性を、警察が止めるシーンから始まるが、状況がまったくわからない。ただ、怪我を負っている状況から、事件性があることだけはうかがい知れる。何かあったのか?この作品は、心の痛みや、信頼や絆を、犬との無垢な関係から描いている。「家族と犬とどっちを愛してる?」この答えが、その後の彼の人生を決める。従順な犬たちには、善悪はわからない、ただ主人との深い絆があるだけ。ここで描かれるのは、理不尽な社会と厳しい現実だ。犬との関係性は、「グラン・ブルー」のイルカとの関係性を、バイオレンスシーンは「ニキータ」や「LEON」を彷彿とさせる。映画「ドッグマン」は人生の激しさと、切なさを感じる、ベッソン監督らしい作品。私の好きなタイプの映画です。(★★★★☆4.3)ニキータ (字幕版)Amazon(アマゾン)グラン・ブルー 完全版 -デジタル・レストア・バージョン- Blu-rayAmazon(アマゾン)レオン 完全版 (字幕版)Amazon(アマゾン)
モノクロ版を観て、ドラマの秀逸性を改めて実感した。カラー版では、良い意味でも、悪い意味でも、映像に意識が行ってしまったが、モノクロ版では色がない分、物語に集中することができた。2回目ということもあったかもしれないが、感動が違った。よく見えない分、より恐さを感じたし、ゴジラの泣き声や、役者の台詞回しがストレートに入ってきた。伊福部昭のゴジラのテーマが心に染みる。モノクロ版が上映されると知った時、「そうきたか」と思った。これは、怪獣映画の金字塔、キングコングや、初代ゴジラへに対するVFXでの挑戦だ。同じモノクロにすることで、同じ条件で比較することができるのだ。カラー版とモノクロ版を比較するという意味でも面白いし、ゴジラならではの見事な企画だ。(★★★★☆)◎ゴジラ-1.0/c予告編