芸術に恋して★Blog★
私が日々生活をしている中で体験した「映画」「音楽」「アート」「写真」などの感想や感動を書いています。どうぞ気軽に、トラバ、コメントください。
  • 17Mar
    • 【映画】運び屋

      実在した90歳の運び屋に着想を得てこれだけのサスペンス映画を作り上げるって、さすが、クリントイーストウッド。しかも主演で88歳にしてこの演技。凄いとした言いようがない。人のいい老人が、こずかい稼ぎのつもりで始めた仕事は麻薬の運び屋だった。アリーは自分のやっている事に犯罪であるという事に気づきながらも、その仕事を請け負うようになるが、その行為は、人生の大先輩がすべてを悟った上で自分の意思でとった行動である所に大きな意味がある。なぜ彼は犯罪と知りながら運び屋を続けたのか?グラン・トリノの時と同じく、クリントイーストウッドから若い世代や、今の世の中に向けた、彼自身のメッセージともとれそうなセリフが心に残る。実際行っている事は決して許されるものではない。それにもかかわらず、彼が時折見せる人と人の関わりの大切さや、人間の弱さを見据えたやりとりに、人としての深さを感じる。「運び屋」は一人の老人の晩年を描いた作品であるが、その中には、家族や友人、隣人といった社会的な環境の中で後悔をいだきながら生きてきた、一人の人間として(父として)の慈愛がある。インターネットの普及で便利になったが、人との関わり合いが希薄になりがちなこの世の中、人は何を信じて、どう生きて行くべきなのか?そんな教訓が沢山つまった作品だ。(★★★★☆)

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  • 10Mar
    • 【映画】ファースト・マン

      アポロ11号の月面着陸。人類が月に行くという夢のような話は子供ながら衝撃だった事を憶えています。無謀とも思えるこの挑戦に当時の英知を結集して挑むアメリカ。そして綱渡りのようなこのミッションを成功させたアームストロングの半生。ファーストマンになるべくしてなった彼のエンジニアとしての命をかけたチャレンジに感動させられる。監督はラ・ラ・ランドのデイミアン・チャゼル。脚本はペンタゴンペーパーズのジョシュ・シンガー。政治的なミッションとエンジニアとして使命、命を失った友人への思いや、家族との関係など、命を賭けた彼のチャレンジを見事に描いている。映像も素晴らしく、まるで月面着陸を追体験しているような気持ちになった。そしてあのコメント「人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍だ」が生まれる。(★★★★☆)

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  • 03Mar
    • 【映画】グリーン・ブック

      人種差別が色濃く残る、60年代アメリカの実話に基づく物語です。この作品で考えさせられるのは、人種差別の問題はもちろんですが、それ以上に人として生きることの意義や、人の幸せとはどういうことなのか?といったテーマです。人の幸せに関しては、主観的な部分が多分にあるので、共感できるかどうかは見る側次第ですが、生きることの意義については共感できる部分が多いと思います。黒人ピアニストのドクターとイタリア系アメリカ人のトニー。この二人の関係性が絶妙で、運命の出会いとしか思えない。お互いが持っていない部分を補いながら、人生の旅をする。背景には人種差別や生活格差に関わる悩みがあり、与えられた宿命の中でどうやって自己の存在を肯定し、前に進んで行くか?といった人生哲学的なものも感じた。「世間は長い目で見れは正しく、暖かい」今の自分を作っているのは自分であり、責任を持つのは自分である。そんなことを改めて感じさせてくれる作品でした。(★★★★☆)●グリーン・ブック公式サイト

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  • 26Feb
    • 【映画】アリータ

      「アリータ」面白い作品でした。CGの仕上がりといい、スピード感といい、さすがキャメロン監督といった感じです。主人公のアリータは、好きになりそうなくらいキュートで、感情までしっかり表情に現れているところがすごいですね。機械の体のもリアルで美しく質感もよかった。原作が日本人の木城ゆきとの銃夢という事もあってか、所々で石ノ森イズムや手塚イズムを感じました。人型のサイボーグが戦うという世界感は、石ノ森のサイボーグ009に繋がるものがあったし、アリータの誕生に関わる設定や生命的な部分は手塚のエッセンスを感じます。かなり先の未来の話ですが、手塚や、石ノ森で育った我々日本人は、こういった設定、意外とすんなり受け入れられるかもしれません。(★★★★)

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  • 14Jan
    • 【映画】クリード 炎の宿敵

      フィクションだけど、フィクションではないように思えるところがこの映画のすごいところだ。ロッキー他の出演者は皆、リアルに歳を重ねているし、フィラデルフィア美術館正面の大階段にはロッキーの銅像も作られている。これはもうロッキーという映画がアメリカの歴史の一部になっているといっても過言ではない。物語は、親の仇を子供達の世代で決着をつけるといったよくある話だ。WBCの世界チャンピオンになったアポロの息子クリードが、アポロを死なせたイワンの息子ドラゴと対決する。もうこれだけでドラマになるが、これまでのロッキーシリーズでの出来事が蘇ってくるので、思い入れが増す。お決まりの特訓のシーンはもちろん、試合のシーンも十二分に楽しめる。親子の絆、立ちはだかる試練、アメリカとロシア、ベタなんだけど、やっぱり感動してしまいます。(★★★☆)◎クリード 炎の宿敵 公式ホームページ

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    • 【映画】ホイットニー 〜オールウェイズ・ラブ・ユー〜

      同世代の彼女の人生を、こうやってドキュメンタリーとして見せられると、とても切ない気持ちになる。彼女は歌を歌いたいだけ、人に愛されたいだけの自分に素直な女性だった。映画は家族や関係者インタビューを踏まえながら、彼女の家庭環境や生い立ちから始まる。ここ最近ミュージシャンのドキュメンタリー映画が多く作られているが、共通していえるのは、あることがきっかけて、有名になり、巨額の収入を得ることで本人がその急激な変化に対応で自分を見失ってしまったり、周りの対応の変化に対応できなくなってしまうといった状況だ。彼女を支えるはずの家族や友人が嫉妬やお金によって彼女の追い詰める結果となってしまう。彼女は何も悪いことをしていないのに、どうしてこうなってしまうのか?やりきれない思いを感じた。劇中に彼女の歌う記録映像色々紹介されるが、その中で最も心に響いたのは、第25回スーパーボールでの「星条旗」、国歌斉唱だ。かすかに記憶に残っていたが、改めて彼女の歌声を聞いて鳥肌がたった。享年48歳、早すぎる。もっと彼女の歌を聴きたくなってCDを買ってしまった。(★★★☆)◎ホイットニー 〜オールウェイズ・ラブ・ユー〜 公式サイト

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  • 05Jan
    • 【映画】暁に祈れ

      麻薬使用でタイで捕まったボクサーが刑務所内のボクシングクラブでタイ式ボクシングを学び、自分の未来を切り開いていく。と簡単に話せる内容ではなかった。台詞は少なく、タイ語の字幕もない。何が起こっているのか、ただ展開を見守るだけの時間が続く。刑務所の環境は想像を絶する劣悪な状態、まさに地獄。あしたのジョーの少年院どころではない。人権などあるわけもなく、看守の対応も金次第。主人公のビリーは麻薬の禁断症状に苦しみ絶望的な状況から、ボクシングに希望をかけるが、その結末は?このドラマの裏側には、希望のない最悪の環境をどう生き抜いていくかという問題提起と同時に、自分にどう向き合うかという哲学的な要素が含まれている。クローズアップのシーンが多く、その場にいるような臨場感を感じる。(★★★☆)◎暁に祈れ公式サイト

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  • 31Dec
    • 【映画】2018年外国語映画年間ベストテン

      今年も個人的に恒例の映画ランキングを発表します。今年の外国語映画鑑賞本数は24本。第1位「SEARCH」(4.5点)第2位「スリー・ビルボード」(4.5点)第3位「ダンガル きっと、つよくなる」 (4点)第4位「デトロイト」(3点)第5位「ウィンドリバー」(3点)第6位「テルマ」(2点)第7位「悪女」(2点)第8位「ボヘミアン・ラプソディ」(2点)第9位「シェイプ・オブ・ウォーター」(2点)第10位「1987、ある闘いの真実」(1点)【コメント】 スリー・ビルボードに決まると思いきや、SEARCHの斬新さ、サスペンスホラーとしての面白さが それを上回った。注目作品は、ヨアキム・トリアーのテルマ、悪女などがあった。 ---------------------------------------------------------------【監督賞】 作品名[アニーシュ・チャガンティ] (「SEARCH」)【コメント】 若干27歳のインド系の監督。 その斬新さはM・ナイト・シャラマンを思い起こさせる。 【脚本賞】[マーチン・マクドナー] (「スリー・ビルボード」)【コメント】 2018年の映画賞の脚本賞を総なめにしているだけあった。 娘を失った母親の罪悪感、行き場のない怒りにとどまらず、そこに暮らす人々の人生を社会的視点で見事に描いていた。 【主演男優賞】[ラミ・マレック] (「ボヘミアン・ラプソディ」)【コメント】 フレディの特徴をよくぞ、ここまで表現した!仕草の研究がすばらしい。 【主演女優賞】[サリー・ホーキンス] (「シェイプ・オブ・ウォーター」)【コメント】 口がきけない意志の強い女性、怪物に恋をするという特殊な役を見事に演じていた。 【助演男優賞】 [サム・ロックウェル] (「スリー・ビルボード」) 【コメント】 アカデミー主演女優賞は彼の助演がなければ、取れなかったかもしれません。 【助演女優賞】[ニコール・キッドマン] (「聖なる鹿殺し」)【コメント】 苦悩する彼女の演技は、ラースフォントリアーの ドック・ウィルを思い起こしてしまいます。 【音楽賞】[QUEEN](「ボヘミアン・ラプソディ」)【コメント】 映画を見終わったあと、しばらくQUEENを聞いていた。 過去1000年のベストソング、ボヘミアン・ラプソディの楽曲のすごさを再認識。 【ブラックラズベリー賞】「オーケストラ・クラス」【コメント】 今年もっとも期待はずれ度が大きかった。なさけない教師、学級崩壊、 感動もなかった。 -----------------------------------------------------------------【後味悪いで賞】[聖なる鹿殺し]【コメント】 映画的には面白かったですが、あと味悪すぎです。

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    • 【映画】2018年邦画年間ベストテン

      今年も個人的に恒例の映画ランキングを発表します。まずは邦画から今年の鑑賞本数は15本。ちょっと少なめですが、いきます。第1位「止められるか、俺たちを」(4点)第2位「カメラを止めるな」(4点)第3位「沖縄スパイ戦史」 (3.5点)第4位「泣き虫しょったんの奇跡」(3点)第5位「斬」(3点)第6位「散り椿」(3点)第7位「教誨師」(2.5点)第8位「万引き家族」(2点)第9位「ちはやふる〜結び〜」(2点)第10位「羊と鋼の森」(1点)【コメント】 今年は「カメラを止めるな!」圧勝かと思っていたが、それ以上に共感できたのが「止められるか、俺たちを」。映画愛にあふれ、現実に向き合いながらも映画に向き合う姿がよかった。これは青春映画です。 ---------------------------------------------------------------【監督賞】 作品名[井上淳一] (「止められるか、俺たちを」)【コメント】 内容がこんなにどろくさいのに、見終わった時のこの爽やかな感覚はなんだったんだろう。 【脚本賞】[上田慎一郎] (「カメラを止めるな!」)【コメント】 ワンカットノンストップ映画を製作側視点で回帰するといういままでにない発想が 面白い。低予算でも企画次第でこれだけ面白い映画ができることを証明した。 【コメント】[松田龍平] (「泣き虫しょったんの奇跡」)【コメント】 いつものひょうひょうとした演技がばっちりはまった。 【主演女優賞】[門脇麦] (「止められるか、俺たちを」)【コメント】 自分を見つける為に苦悩する女性を見事に演じきっていた。 【助演男優賞】[井浦 新] (「止められるか、俺たちを」)【コメント】 若松孝二監督の事を良く知らないのに、若松孝二の人間性を感じた。 【助演女優賞】[蒼井優] (「斬」)【コメント】 久しぶりに蒼井優の叫びを聞いた。やっぱりいい。 【ニューフェイスブレイク賞】[佐々木みゆ] (「万引き家族」)【コメント】 最近CMにも出ていますね。あの寂しげな表情は何とも言えません。 【音楽賞】[パフューム](「ちはやふる〜結び〜」)【コメント】パフュームあってのちはやふる?【ブラックラズベリー賞】蝶の眠り【コメント】 中山美穂と韓国青年のからみ、微妙。 -----------------------------------------------------------------【勝手に○×賞】[大杉漣で賞]◎「教誨師」【コメント】 最初のプロデュースにして、最後の主演作品。大杉蓮集大成に拍手!

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  • 22Dec
    • 【映画】アリー/スター誕生

      映画、アリー/スター誕生は、夢をあきらめない、自分を信じる事の大切さを教えてくれる直球勝負の作品だ。レディ・ガガの歌、自然体の演技はもちろん素晴らしかったが、なんといっても助演のブラッドリー・クーパー(ジャック役)の演技がいい。この作品では、アリーが夢を切り開いていく物語と、ジャックの健康面や家族の問題で苦悩の物語が、並行する形で語られるが、ジャックの物語なしではこの映画は語られない。人生とはどのようなものか、スター誕生の裏にある物語こそが、この映画を奥深いものにしている。少し残念だったのは、構成がいまひとつだった事だ。単純な直線構造ではなく、構成をもう少し工夫すれば、ラストはもっと感動的になったのではないかと思う。アカデミー賞は助演男優が有力かな?(★★★☆)

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  • 20Dec
    • 【映画】十年

      この作品は2015年に香港で制作され話題になった作品を、是枝監督がプロデュースした日本版「十年」。タイトル通り、今から十年後、社会はどのようになっているかを、新進気鋭の監督が制作している。本作は1作品は30分程度のショートムービーで、5作品を集めたオムニバス形式になっている。ショートムービーのテーマは、「高齢化社会」「AIと教育」「環境」「個人データ」「防衛」の5つ。10年というそう遠くない未来を描いているだけあって、現在社会の問題点の延長線上のある意味リアリティを感じさせる内容になっていた。どのテーマに共感するかは、人それぞれだと思うが、私が最も関心を持ったのは「個人データ」の問題を扱った杉咲花主演の「DATA」だ。ライフログなどのデジタルデータは持ち主が亡くなったあとはどう処理されるべきなのか?プライバシーはあるのか?といった問題である。亡くなったとはいえ、その人の個人情報である。デジタル遺品として遺族に渡される事になるのだろう。故人しか知らないネットワーク上のデータはどうなるのか?といった問題もある。そんな問題を、家族のドラマとして描いたこの作品が、心に残った。(★★★☆)

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  • 08Dec
    • 【映画】すばらしき映画音楽たち

      今までありそうでなかった、映画音楽についてのドキュメンタリー。ハリウッド中心なので、若干偏りがある気もするが、映画の歴史と共に発展してきた映画音楽というジャンルについて、作曲家や映画監督のインタビューを使い資料性の高い作品に仕上がっている。無声映画の時代、映画館で生演奏されていた時代から、現代に至るまで、音楽は映画にはなくてはならないものであり、映画の出来を左右するものであることは言うまでもない。映画音楽は我々の記憶に残り、音楽を聞いただけでその映画のシーンや感動が即座に蘇る。歴史的な点では、やはり、ジョン・ウィリアムスのフルオーケストラ演奏による作品が、大きな転換期であることがわかる。スター・ウォーズやスーパーマン、ジェラシック・パークなどテーマから続く音楽は、単なるサウンド・トラックに止まらない楽曲としての音楽性を高めている。この映画でポイントとなるのが、作曲家目線での映画音楽ならではの創意工夫や仕事に醍醐味についてである。映画音楽のルールとは何か?そしてそのルールの真の意味はなんなのか?それぞれの視点から大変興味深い話がきけるので、その点も注意して鑑賞していただけると良いと思う。(★★★☆)◎すばらしき映画音楽たち公式サイト

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  • 02Dec
    • 【映画】かぞくいろ-RAILWAYS わたしたちの出発-

      今度のRAILWAYSは血のつながらない親子の物語。両親を無くした子供、夫を無くした妻。頼ったのは鉄道運転手の義理の父。血のつながらない子供の親という難しい役に有村架純。鉄道一筋の義理の父役に國村隼が演じている。両親を無くした駿也は鉄道が大好き。駿也の心の親になるために鉄道の運転士をめざす晶(有村架純)であったが、現実はそう簡単なものではなかった。この映画で感じたのは、鉄道の線路が遠い目的地までずっと続くように、親の愛も続いていくという事。本作では、その対象が鉄道であり、人をのせて走る鉄道が人生とオーバーラップする。多くの苦難を乗り越えて、前に進んでいく。そんなイメージが海岸沿いを走る肥薩オレンジ鉄道の美しい風景とあいまって、不思議な暖かさを感じた。(★★★)

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  • 25Nov
    • 【映画】斬(ざん)

      塚本晋也監督、初の時代劇は「斬(ざん)」。なぜ人は人を斬るのか?その一点を表現るために作られた時代劇であると言っても良いだろう。剣術の腕は立つが人を斬ることに疑問をいだく浪人、丞之進役に池松壮亮。躊躇なく人を斬る凄腕の浪人澤村役を塚本晋也監督自身が演じている。そして、この対立関係の間に割ってはいるのが蒼井優演じる、農家の娘ゆうである。例によって、手持ちカメラによる寄りの映像と、ディティールカットによって、ぐいぐい塚本監督の世界に引き込まれていく。なぜ斬らなければいけないのか?人を斬るとはどのような状態になることなのか?そして人を斬った人、斬られた人はどういう心理状態になるのか?そういった点を極限状態のシーンの中でしっかりと表現しているところが凄かった。忠義のため、仇を討つため、仲間や自分を守るため、人が人を斬るにはさまざまな理由がある。映画を見終わった時、この作品のテーマは現代に通ずる普遍的なものであることに気づかされる。(★★★★)池松壮亮の剣さばき、本物です。塚本晋也監督いままでで一番カッコいい。久しぶりの蒼井優の絶叫、やっぱりいいです。

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    • 【映画】止められるか、俺たちを

      まさに、青春。なんて、自由。映画を作ることに人生をかけたチームがそこにあった。本気でなければ続けられない、本気でないと伝えたいことが伝えられない。独立系プロダクション、若松組にとって今、世界で起こっている現実こそが、描くべき世界だ。そこには、映画にみせられた若者達が集まってくる。主人公のめぐみも映画作りに見せられて、若松組の門を叩いた一人だ。しかし、自分が作りたい映画とは何か?伝えたいこととの何か?自分の中で答えを見つけようと、とにかく現場で頑張る彼女であったが、現実はそう甘くはない。若松孝二役の井浦新がいい。まるで、若松監督が乗り移ったような存在感。実際の若松監督の撮影風景を見たことはないが、本物のように思えてきた。そしてめぐみ役の門脇麦、飾らない自然体の演技が素晴らしかった。映画「止められるか、俺たちを」。新宿歌舞伎町のゴールデン街、高度成長期、ベトナム戦争や学生運動など、激動の時代において行かれないように奮闘する若者たちの、なんとも言いようのない自由と青春を感じた。(★★★★)

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  • 24Nov
    • 【映画】search/サーチ

      最初から最後まで、PCの中で展開されるという奇抜な映像手法。1秒も画面から出る事はなかった。カット割りはパソコンのカメラやスマートフォンのカメラの切り替え、PC上の操作で行われる。ウィンドウが制約されている分独特の緊張感があり、これが物語の展開とあいまって、今まで、味わった事の無い、不思議なサスペンスを感じた。映像はワイドスクリーンサイズで、自分がパソコンを捜査している感覚に近いため、日頃PCやスマホを頻繁に使っている人はすぐにその世界に入っていけるだろう。物語は娘の失踪に気付いた父親が、警察に協力を仰いで、ネット上の手がかりをSNSなどのライフログを頼りに捜査を行っていくのであるが、このあたりも見所の一つだ。なりすましや、フェイクニュース、無責任な投稿などで、捜査は難航。予想もつかない展開が繰り広げられる。今年話題になった「カメラを止めるな!」はカメラの外で起こっている出来事の描写がポイントだったが、本作は、facetimeやトーク画面などのマルチウィンドウ表示によって、別の現場で起こっている出来事を一つの画面で表現している。この点が大きく違う所で、多元的なライブ中継による緊張感をそのまま、スクリーン映し出すといった意味で、いままで味わった事の無い面白味を感じた。(★★★★☆)

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  • 18Nov
    • 【映画】ボヘミアン・ラプソディ

      1,000年のベストソング投票で1位に輝いた「ボヘミアン・ラプソディ」。映画「ボヘミアン・ラプソディ」はこの名曲を生み出した、フレディ・マーキュリーとクイーンの結成からその後の活躍と苦悩を描いた作品だ。フレディが他界してから、クイーンは何度もテレビなどで取り上げられているので、その活動の概要は知っていたつもりであったが、こうして、フレディの視点から彼の半生を追体験させられると、やはり感極まるものがあった。ライブエイドなど、実際の映像を見た事があったので、それは超えられないと思っていたが、当時のディテールが見事に再現されており、物語としてリアリティがあった。フレディをはじめ、ブライアン、ジョン、ロジャー4人のメンバーの特徴がよく再現されていて、それぞれの個性が台詞やシーンの中からよく伝わってきた。ゲイとしての苦悩や生い立ちに関するコンプレックス持ちながらも、メンバーや家族、恋人、ファンの為に全力で立ち向かっていくフレディの姿、そして音楽を通じて響きあうメンバーとの熱い絆に心揺さぶられる。(★★★★)

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  • 11Nov
    • 【映画】華氏119

      11月9日に「華氏119」を見てきた。アメリカ大統領中間選挙の結果が出たあとだったが、トランプ氏がなぜ大統領になったのか?アメリカが抱える民主主義、資本主義の問題点を、例によってマイケルムーア監督のアポなし取材や記録映像で切り込んでいる。映画を見終わって思ったのが、こんな事で、こんな結果になってしまったのか?という落胆と、アメリカに真の民主主義が存在するのか?という疑問である。自由の国アメリカの裏側には、不平等と人種差別、偏見が根強く存在し、一部の権力をもった人間によって、正当化された権力至上主義がそこにあった。本作では、過去の映画や記録映像が効果的に使われており、このあたりが実にマイケルムーア監督らしい編集になっている。米中の貿易戦争が激しくなる中、世界情勢を読み解く一つの事実として、この映画を見る価値があるかもしれない。(★★★☆)

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  • 28Oct
    • 【映画】教誨師

      死刑囚6人と教誨師の対話によるワンシチュエーション作品。映画のほとんどが、拘置所内に一室。死刑囚との対談シーンだ。教誨師についての詳しい認識がある人は稀有だろう。私もハリウッド映画などの死刑執行シーンで、牧師さんが出てきた程度しか認識がなかった。なんと厳しい職業だろうか。この映画にあるように実際もあまり変わらないのではないかと思ってしまう。この映画はなんといっても大杉漣とその他俳優陣の熱演に尽きるところがあるが、脚本、構成もすばらしい。対話のシーンはかなりの長台詞を強いられるが、これをカット編集してしまっては、迫力やリアリティが伝わらない。顔のアップ、表情の変化、役者の力量が試される。教誨師と死刑囚との本音のぶつかり合いは見所十分。「なぜ、生きるのか」というテーマが心に突き刺さる。死刑囚の心の救済と改心を導くの大杉漣さん、初プロデュース作品にして最後の主演作となってしまったが、生きることを深く見つめる良い作品でした。心よりご冥福をお祈りいたします。(★★★★)

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  • 21Oct
    • 【映画】テルマ

      映画「テルマ」は、鬼才ラース・フォン・トリアー監督を叔父にもつ新鋭ヨアキム・トリアー監督のサイキックホラー?主人公テルマは不思議な力をもっている、彼女自身、どうなっているのか良くわからない、制御ができないのだ。この作品で興味深いのは、無意識下の欲望によって、その力が具現化されてしまう恐ろしさだ。この作品と良く比較される映画キャリー(1976)とは似てはいるが、まったく異なるものである。テルマ自身、その力を恐れるが故に、自分を抑え、禁欲的な生活を強いている。本当の自分を出すべきか、抑えるべきか、顕在意識と潜在意識との間で悩むその姿は、多かれ少なかれ、現代人が持っているものだ。本作ではこの部分が増幅され、人間の精神面に迫ってくる。映画の中で描かれる、イマジネーションの世界も芸術性が高く、見所の一つになっている。(★★★★)

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