芸術に恋して★Blog★
私が日々生活をしている中で体験した「映画」「音楽」「アート」「写真」などの感想や感動を書いています。どうぞ気軽に、トラバ、コメントください。
  • 29Feb
    • 【映画】ミッドサマー

      この作品は前段のシークエンスが重要だ。主人公に起こる悲劇。そしてそこから舞台は白夜のスウェーデンに移り、カルトなミッドサマーが始まる。なんとなく、想像は付いていたがヴィジュアルデザインが個性的で、なんとも言い様のない不思議な怖さを感じる。淡々と進む儀式、逃れようにも逃れられない、それは群集で起こる同調。理不尽な状況も受け入れてしまう心理的な恐怖がこの映画のもっとも重要なテーマだろう。これは宗教とも言い難い、殺人さえもが正当化される世界。死別の悲しみは死別を持って制すのか?このあたりの価値観はいかにも西洋らしい。(★★★★)

  • 11Feb
    • 【映画】リチャード・ジュエル

      クリント・イーストウッド監督が本作で注目した記事はアトランタオリンピック時の爆破テロ事件。第一発見者のリチャード・ジュエルは爆破予告前に不審物を発見し、適切な対応によって被害を少なくし、多くの人を助けた。これにより、彼はヒーローになったが一転、容疑者として疑いをかけられることになる。FBIの行き過ぎた権力による捜査や、メディアの過熱報道の、誰もが被害者や加害者になってしまう危険な社会がそこに存在する。見所はなんといってもFBIと過激弁護士と戦うリチャードだが、リチャードの母役のキャシー・ベイツの演技が素晴らしかった。この事件は24年前の出来事だが、現在も変わっていない。SNSでだれでも簡単に情報を配信できる時代、配信する側、見る側の責任がますます問われるようになってきていることを考えると、恐ろしさを感じる。(★★★☆)

    • 【映画】ラストレター

      ロマンティックでありながら、非現実的過ぎず、リアリティのある映画でした。青春時代の初恋の思い出は誰しもある。そしてその思い出は自分の心の中にしまっておきたい大切な宝物だ。本作は岩井俊二監督の脚本でまさに集大成ともいえる作品。ラブレターからは24年ぶりとなり、中山美穂、豊川悦二が出演。四月物語で主役だった松たか子も重要な役で出演している。物語は初恋の相手であった姉の葬式から始まり、妹が姉の同窓会で小説家となっていた乙坂と再会したことで展開を見せる。この作品で面白いのは、配役の設定。成長した姉妹の子供と、回想の姉妹の役を広瀬すず、森七菜が演じており、この設定が過去と現在をつなぎ、なんとも切ない雰囲気を作り出している。キャストでは岩井作品初出演の森七菜が印象に残った。なんとも言い様のないはにかんだ表情や透明感のある高校生らいしい演技はとても自然で、映画全体をピュアなものにしている。もし、この役が彼女でなかったら、この映画は女々しいジメッとした作品になっていたかもしれない。出会いと別れ、そして再会、恋をすることの素晴らしさをこの映画は教えてくれる。(★★★★★)●ラストレター公式サイト

  • 19Jan
    • 【映画】パラサイト 半地下の家族

      全員失業中で半地下に住む家族、高台の豪邸に住む社長の家族。この二つの四人家族が格差社会の象徴として描かれ、思いもよらぬサスペンスを生む。とにかくこの映画、脚本が素晴らしく、観客の予想を裏切る展開が面白かった。配役の点では、最近大活躍のソン・ガンホの演技も良かったけど、全てのキャストのキャラが立っていて、それぞれがいい演技をしていた。作品としては、パラサイト(寄生虫)という主題の中に、貧富の差や家族愛、幸福とはなにか?といったテーマが作品の構成として生かされているところが秀逸で、映画としてパルムドールも頷ける内容であった。(★★★★★)それにしても社長の妻役のチョ・ヨジョン、松嶋菜々子に似てるなあ。

  • 12Jan
    • 【映画】フォードVSフェラーリ

      これほどロマンを感じたのは世界最速のインディアン以来だ。もうフォードがフェラーリに真っ向勝負を仕掛ける物語と聞いただけで気持ちが高ぶってしまう。白羽の矢がたったのは、マッマッド・デイモン演じるカーデザイナーのジェルビー、そして彼がドライバーとして選んだのは、クリスチャン・ベイル演じるイギリス人ドライバーのマイルズだ。この映画の見所は、なんといってもこの二人の男の友情も物語、共にクルマとレースを愛する二人が試練に立ち向かっていく姿は感動もの。映画はフォードとの対立や、マイルズの家族のドラマを語りながら、クライマックスのル・マンのレースに突入する。フェラーリとの激闘、ピット内で繰り広げられる緊迫した人間ドラマはリアリティがあって本当に面白かった。映画を見終わったとのクルマの運転には注意しましょう。(★★★★)◎フォードVSフェラーリ公式サイト

  • 31Dec
    • 【映画】2019外国語映画年間ベスト10

      今年も個人的に恒例の映画ランキングを発表します。今年の外国語映画鑑賞本数は25本。ジョーカーとワンス・アポン〜は僅差で、ジョーカーが1位 モノクロ映画らしい映像美とドキュメンタリー性の高さでROMAが3位。第1位「ジョーカー」(4.5点)第2位「ワンス・アポン・ア・タイム・ハリウッド」(4.5点)第3位「ROMA」 (4点)第4位「ハウス・ジャック・ビルド」(3点)第5位「運び屋」(3点)第6位「ハリウッド1969 シャロン・テートの亡霊」(3点)第7位「ファースト・マン」(2点)第8位「グリーン・ブック」(2点)第9位「Yesterday」(2点)第10位「スノー・ロワイヤル」(1点)【コメント】---------------------------------------------------------------【監督賞】 作品名[クエンティン・タランティーノ] (「ワンス・アポン・ア・タイム・ハリウッド」)【コメント】 引退作品となった本作。まさに集大成。素晴らしい映画を作ってくれた感謝の意味も含めて今年の監督賞です。【脚本賞】[アルフォンソ・キュアロン] (「ROMA」)【コメント】家政婦の視点で、これだけの人生ドラマが描ける凄さ。美しい脚本でした。【主演男優賞】[ホアキン・フェニックス] (「ジョーカー」)【コメント】今年の主演男優は、彼で決まり、役作りが素晴らしかった。【主演女優賞】[ヒラリー・ダフ] (「ハリウッド1969 シャロン・テートの亡霊」)【コメント】これだけの臨場感を感じたのは彼女の演技によるところが大きい。【助演男優賞】[ブラッド・ピット] (「ワンス・アポン・ア・タイム・ハリウッド」)【コメント】彼の助演なくしてこの作品は語れません。やっぱりブラピはカッコイイ。【助演女優賞】[リリー・ジェームズ] (「Yesterday」)【コメント】主演の存在感はこの作品では大きかった。【音楽賞】[60’sカルチャー](「ワンス・アポン・ア・タイム・ハリウッド」)【コメント】音楽を聞いているだけで、当時のハリウッドの世界に引き込まれる。【ブラックラズベリー賞】「イメージの本」【コメント】ゴーダールは難解。同じ映像の繰り返しが多くてよくわからなかった。-----------------------------------------------------------------【賛否が別れるで賞】[アメリカン・アニマルズ]【コメント】物語としては面白いかもしれないけれど、私はダメでした。

  • 30Dec
    • 【映画】2019年邦画ベストテン

      令和元年も個人的に恒例の映画ランキングを発表します。まずは邦画から今年の鑑賞本数は13本。ちょっと少なめですが、いきます。第1位「洗骨」(4点)第2位「カツベン」(3点)第3位「駅までの道を教えて」 (3点)第4位「蜜蜂と遠雷」(3点)第5位「影踏み」(3点)第6位「男はつらいよ50 お帰り寅さん」(3点)第7位「ねことじいちゃん」(2点)第8位「町田くんの世界」(2点)第9位「フォルトゥナの瞳」(2点)第10位「イソップの思うツボ」(1点)【コメント】群を抜いて良かったという作品はなかったが、ガレッジセールのゴリこと照屋俊之監督の「洗骨」が最も印象に残った。沖縄の風習を取り上げ、その中から生きるとは何かを問う秀作だった。---------------------------------------------------------------【監督賞】 作品名[照屋俊之] (「洗骨」)【コメント】テーマがしっかり抑えながらも、クスッと笑える独特の世界観がよかった。【脚本賞】[片島章三] (「カツベン」)【コメント】活動弁士という日本の文化を再認識させるとともに、日本映画の歴史を振り返ることができました。【主演男優賞】【コメント】[成田凌] (「カツベン」)【コメント】今年大活躍の成田凌。活動弁士の実演も見事でした。【主演女優賞】[松岡茉優] (「蜜蜂と遠雷」)【コメント】彼女の演技の幅の広さには驚かされます。【助演男優賞】[滝藤健一] (「影踏み」)【コメント】彼の演技は、完全に主役を食ってましたね。【助演女優賞】[黒島結菜] (「カツベン」)【コメント】メリハリのある演技がよかったです。今後の活躍が楽しみ。【ニューフェイスブレイク賞】[新津ちせ] (「駅までの道を教えて」)【コメント】負けん気の強い、大人顔負けの演技が良かった。【音楽賞】[桑田佳祐](「男はつらいよ50 お帰り寅さん」)【コメント】渥美清の寅さんのテーマを歌えるのは桑田さんしかいない。【ブラックラズベリー賞】よこがお【コメント】テーマが身近すぎて少し重かった。-----------------------------------------------------------------【勝手に○×賞】[二匹目のドジョウとはいかなかったで賞]◎「イソップの思うツボ」【コメント】アイデアは面白かったけど、前作は超えられなかったですね。

    • 【映画】男はつらいよ 50 お帰り寅さん

      22年前、子役だった満男少年は小説家として成功を納め、初恋の人、イズミは国連難民高等弁務官事務所の職員となり、ヨーローッパで活躍している。そんな二人が再開し、寅さんの思い出とともに、二人が前に進んで行く物語だ。男はつらいよシリーズが始まって50年である。これだけ長く日本人に愛された映画は他にないだろう。だからこそこの映画が成り立つ、同じキャストが同じ場所で昔と今を演じている映像が見られるなんてほかにない。当然カットバックも自然だし、なにより作り手と観客が同じ気持ちになれるのが凄い。正直、全作品を見たわけではないが、スキーや修学旅行などのバス旅行やTV放送で寅さんを自然に鑑賞している。渥美清が演じてきた寅次郎の執着のない粋な生き方を見ていると、一人の人間として、家族、友人、恋人といった人との繋がりが、生きて行く上で、いかに大切かを感じずにはいられない。日本に寅さんがあって良かった。(★★★★)

    • 【映画】スターウォーズ 〜スカイウォーカーの夜明け〜

      まさに交響曲のグランドフィナーレといった感じ。スターウォーズ全作の流れを見事にまとめている。作品は前作にも増して、レイとレンのフォースによる表裏一体的な繋がりがクローズアップされる。そしてその中で、ジェダイと帝国との対立が最終局面となり、物語は一応の決着を見る。見所は何と言っても宇宙空間での戦闘シーンとレイとレンの対決シーン。特にパワーアップしたフォースのぶつかり合う場面は多少やりすぎ感があったが、それなりに見応えがあった。物語の繋がりとしては1作目のエピソード4、新たなる希望との結びついきが強く、ここに戻ってくることで終焉を意識させている。(★★★★)

  • 20Dec
    • 【映画】カツベン

      日本に無声映画時代は存在しなかった。それは活動弁士という存在があったから。映像をみるより、活動弁士を目当てに劇場に足を運ぶという感覚はとても面白い。映像を見ながら話すカツべンは、アフレコのようなもの、解説や味付け弁士にゆだねられ、弁士次第で映画が面白くもつまらなくもなる。物語は、老舗映画館の青木館と新興のタチバナ館との商売敵の対立をどたばた喜劇風に描いてる。一番の見所は、染谷俊太郎役の成田凌が弁士の力量で危機を乗り切るところであるが、飲んだくれの弁士、山岡秋聲を演じた永瀬正敏の一時代を作った先任者の存在感や、俊太郎のロマンスなどもみどころの一つだ。(★★★★)

  • 14Dec
    • 【映画】ドルフィン・マン ジャック・マイヨール、蒼く深い海へ

      映画「ドルフィン・マン」は、フリーダーバーの先駆者として活躍した、ジャック・マイヨールのドキュメンタリー。彼に関する書籍や映像集はいろいろ出ているが、彼の人生を綴ったドキュメンタリーは本作が初めてかもしれない。彼はリュックベッソン監督の「グラン・ブルー」で取り上げられ、一躍有名な存在になったが、彼の人生は輝かしい記録とは裏腹に、悲しみと苦難を伴った波瀾万丈なものであった。映画は多くの関係者や、フリーダイバーへのインタビューと、彼自身の記録映像や写真。そして、蒼い海とイルカ達の映像で構成される。私は少年期に「すばらしい世界旅行〜知られざる世界」というTVドキュメンタリー番組でジャック・マイヨールを初めて知り、その10年後、グラン・ブルーで再び彼の存在を再認識する。映画グランブルーは私の人生観を変えた映画の一つとなり、今でも大切な一本として心にとどめている。自由奔放であり、楽観主義者であった彼は、多くの人と係わり合い、多くの人の人生に影響を与える存在であった。そして彼が作り出した哲学や文化は彼らによって引き継がれている。(★★★☆)

  • 08Dec
    • 【映画】ドクター・スリープ

      「シャイニング」の40年後を描いた、スティーブン・キング原作の映画化である。シャイニングを見たことのある方は、どんな展開になるのかと興味をそそられながらも、シャイニングのイメージをそのまま持っておきたいという気持ちではないだろうか、私もそのうちの一人で、見るかどうか少し迷ったが見ることにした。ドクター・スリープは、シャイニングを継承しているが、映画としては別物で、むしろ、ドリーム・キャッチャー的なホラー作品に近い感じを受けた。特別な能力をもった人間達の善と悪の対立構造からストーリーは展開され、その力はどのように使うべきなのかといった生と死に関わるスピリチャルな要素も強く感じる。この作品の面白いところは、別の物語をテーマによって過去と、現在、そして未来に繋げていくストーリーの妙にあるだろう。映像的にも、シャイニングのファンを裏切らない、むしろシャイニングの解説とでもいうような展開は、うれしかった。劇中、キューブリック監督のシャイニングの映像やサウンドが登場するが、これらの受け止め方で、本作の評価が変わってくるのではないだろうか。(★★★★)

  • 17Nov
    • 【映画】影踏み

      篠原哲生監督と山崎まさよし「月とキャベツ」のコンビ以来の久々のタッグだ。本作も篠原監督らしい人間味あふれるドラマに仕上がっていた。主演の山崎まさよしが挑む役は、心に傷を負ったノビ師(泥棒)という難しい役だ。映画を見る前は、単純に、ノビ氏である主人公が、様々な事件に巻き込まれていくハードボイルド的なドラマをイメージしていたが、実際は双子を持つ兄弟と家族に関わるヒューマンサスペンスであった。タイトルの「影踏み」というキーワードはテーマの本質を言い表す言葉として示されるので、これから映画を見られる方は注意して鑑賞していただきたい。山崎まさよしの演技は、プロの俳優ではないので若干厳しい面もあったが、脇を固める俳優陣の演技がすばらしく、彼の役柄をうまく引き立てていた。特に良かったには滝藤賢一の演技。山崎まさよしとの共演シーンでは、主役を食っていた。原作は「クライマーズハイ」の横山秀夫。若干映画の展開がわかりにくい部分があるので、小説を読んでから見ると、より映画を楽しめると思う。(★★★★)◎影踏み公式ホームページ

  • 10Nov
    • 【映画】永遠の門 ゴッホの見た未来

      ゴッホは何を見、何の為に絵を描いたのか?そんなゴッホの内面を、本作は丁寧に描いている。監督は「潜水夫は蝶の夢を見る」のジュリアン・シュナベール。我々は、ゴッホの視点で捕らえた手持カメラの近視眼的な映像を通して、彼が見ていたであろう世界を追体験する。そこには、彼の苦悩と飽くなき芸術への思いが映し出され、彼を取り巻く環境の厳しさを痛感する。劇中、誰もが一度は見た事のある有名な作品の制作シーンが何度も映し出されるが、この手法のおかげで、彼の作品の理解が高まり、制作者としてのゴッホの興味が高まる。ゴッホ役のウェルム・デフォーの演技も素晴らしく、本物のようだ。実際、彼はどのような人だったのかは、生前を知る人が存在しない現在、文献や言い伝えに頼るほかはない。彼が亡くなった後のシーンはとても悲しく、寂しいものだったが、画家として生きた彼の人生を物語っていた。現在、上野の森美術館でゴッホ展が開催されているが、この映画を見て鑑賞すれば、いっそう彼の作品に対する理解が深まるに違いない。(★★★★)◎永遠の門 ゴッホの見た未来 公式サイト

  • 04Nov
    • 【映画】YESTERDAY

      もし、世界中の誰もが知っているビートルズを自分しかしらない世界になっていたら?というシチュエーションストーリー。なんといっても主人公ジャック役のヒメーシュ・パテルが良いです。歌もすばらしく最初のYESTERDAYの弾き語りのシーンでしっかり心をもっていかれました。物語はビートルズの楽曲の力で有名になっていくジャックのミュージシャンとしての物語と幼馴染で売れないシンガー時代から彼をずっと支えてきたマネージャーのエリーとの恋の葛藤を描く。劇中演奏されるビートルズの曲が二人の心情を効果的に描き、クライマックスへ進む。コメディ的な要素やファンタジー的な要素に加え、青春映画的な要素もある。実際のビートルズのエピソード ?を 絡めた追体験的なシーンもファンとしては嬉しい。ビートルズの曲の素晴らしさとダニー・ボイル監督のビートルズ愛を感じる一本です。(★★★★)

    • 【映画】駅までの道を教えて

      この映画、少女の成長物語のように書かれているが、それだけではない。心に傷を負い、前に進めないでいる人々に向けてのメッセージが含まれている。原作は伊集院静の同名小説、登場人物の細かい心象描写がすばらしい。愛犬ルーとサヤカの秘密の場所。フセの思い出の海。すぐ近くに存在しそうな不思議な空間が良い。そして、サヤカとフセが出会い語らう喫茶店、どこかで見た風景だとおもったら、横浜野毛のJAZZ喫茶ちぐさだ。知っている場所がロケ地になっていたせいか、さらに身近な感じがした。ラストの不思議な世界、小説ではイマジネーションを働かせるシーンだが、とても美しく仕上がっている。見終わったあと、優しい気持ちになれる秀作です。(★★★★)◎駅までの道を教えて公式サイト

  • 06Oct
    • 【映画】蜜蜂と遠雷

      国際ピアノコンクールを舞台に繰り広げられる4人のピアニスト達の物語、場面のほとんどはコンペティション会場。挑戦する理由はそれぞれだが、ピアノと音楽に対する情熱は同じのはず?物語の進行としては特異ではなかったが、4人の心象がとてもわかりやすく描かれていた、役者のキャスティングもさることながら、やはり主演の松岡茉優の演技が特に良かった。演奏自体はもちろんプロのものだが、演奏中の体の使い方などは、良い感じだった。ボブカットの髪型はアリス=沙羅・オットーを意識したわけではないだろうが、なんとなくダブってしまった。それから、ストーリー展開に合わせ劇中で演奏されるクラシック音楽のフレーズがとても良い、これは小説では表現できない演出。タイトルの蜜蜂と遠雷の意味も考えながら見ていただくと良いです。(★★★★)

    • 【映画】ジョーカー

      この作品はご存知の通り、悪のカリスマ「ジョーカー」が生まれる物語を描いたもの。心優しい青年アーサーがどうして「ジョーカー」になってしまったのか?この問いかけだけでも興味が湧いてしまいます。そしてこの「ジョーカー」は見事にこの期待に見事に答えてくれました。弱者に無関心な社会でアーサーが生きる為にとった行動、信頼関係の崩壊など、見事なサスペンスでグイグイと物語に引き込まれていきます。なんといっても主演のホアキン・フェニックスの演技がすばらしい。(2020年アカデミー主演男優賞は固いのではないでしょうか?)笑いの演技はもちろん、感情の表現、動作、全てにおいてリアリティを感じさせます。後半では、ヒース・レジャーの演技に繋がっていく印象すら受けました。設定は1981年のゴッサムシティということになっていますが、現在、世界中で起きているデモや紛争を考えると、ただのフィクションではない強いメッセージ性を感じる。(★★★★★)

  • 22Sep
    • 【映画】アド・アストラ

      久しぶりにSFらしいSFを見たような気がする。人間の生活圏は科学の力で、地球から宇宙に向かい、宇宙での知的生命体の調査が続けられている。海王星の調査で連絡がとれなくなった父、父のことが大好きで、宇宙飛行士になった息子。宇宙をまたぐ、精神的な心の繋がりの中に哲学を感じた。思いは時空を超え、二人を結びつける。科学の進歩によって、生活が便利になり、人の行動範囲が広がる裏には、システムに人間が管理され、自由にコントロールできない世界が多くなる。人の精神が科学についていけない状況が起こるのだ。この状況は現在の社会においても思い当たるふしがある。宇宙構造探求がSFのテーマとすれば、アド・アストラはまさに王道を行っている作品と言えるのではないでしょうか?アド・アストラとはラテン語で「星の彼方へ」の意味。(★★★☆)

    • 【映画】ある船頭の話

      オダギリジョーが監督・脚本を手がけた初の作品。脚本はさておき、豪華なキャストに驚かされる。主演の船頭役に柄本明を配し、永瀬正敏、蒼井優、伊原剛志、浅野忠信、橋爪功、草笛光子、細野晴臣、村上淳、笹野高史が出演している。物語は、渡し舟の年老いた船頭が、様々な客と出会う中で起こる出来事を描いた作品だ。ほとんどのシーンが渡し舟のある川で撮影されているため、単調ではあるが、キャスト陣の演技によって深みのあるドラマに仕上がっている。特に主演の柄本明の演技はすばらしく、彼以外にこの役を演じられる俳優はいないのではないだろうか。そしてもう一つ素晴らしかったのがクリストファー・ドイルの映像である。この作品はシネスコサイズ(12:5)が使われており、川に浮かぶ渡し舟や川の広がりがリアルに感じられ、ゆったりとパーンする映像は、あたかも船に乗っているようにも思えた。普段なにも起こらない日常から、どんなテーマやドラマを作り出すか?脚本的には予定調和的なところもあったが、初監督・初脚本としては上出来ではないだろうか?オリジナル脚本が少なくなった邦画の為にもオダギリジョー監督には今後も是非頑張ってほしいと思う。ただ、このシチュエーションではちょっと尺が長すぎか?(★★★☆)