映画、音楽、アート、小説、料理など芸術に関する話題について、思いつくまま気の向くままアットランダムに書いていきます。★★★★★
イラン映画らしい、人の心の奥底を揺さぶる映画だった。第78回のカンヌ国際映画祭パルムドールということもあってそれなりに期待をしていたが、なかなか見るのがしんどい作品であった。暗い夜道で起こった小さなアクシデントから、過去の忌まわしい出来事が蘇り、一つの行為が、台風のように同胞を巻き込みながら、とんでもない事態に発展していく。荒涼とした大地で繰り広げられるイラン映画特有の憂鬱さ、人生を狂わされてしまった人々の苦しい胸の内が重 くのしかかる。本作では、政治的な側面もあり、日本人にはなかなか理解しがたい所もあるかもしれないが、人の奥底にあるプライドやアイデンティティといったものの重要性は物語の展開から十分伝わってくる。どうなってしまうのか?最後はそれぞれが生きた証と、人間性が試される。(★★★★)シンプルアクシデント公式サイト
スターウォーズの世界観でのアナザーストーリー。主役は今まで脇役だった、賞金稼ぎマンダロリアンとグローグー。正直あまり期待していなかったが、結構楽しめた。従来のエピソードでは、対立構造として、ジェダイと帝国軍といった組織的な戦いの要素が強かったが、本作では、一匹狼の賞金稼ぎが主役だ。ライトサーベを持ったジェダイの騎士は登場しないし、グローグーという守るべき相棒の存在も新鮮だ。一作目のエピソード4「新たなる希望」は黒澤明の隠し砦の三悪人を参考にしていることが有名だが、本作は、よく言われている子連れ狼、あるいは、ブラックジャックとピノコといった、組織に属さない、アウトロー的な人生が描いているところが見どころ。アーマーをまとったマンダロリアンは、めちゃくちゃ強く、グローグーはめちゃくちゃ可愛い。ともに謎のあるキャラクターだが、それが帰って物語のユニークさにつながっている。(★★★★)
「人はなぜラブレターを書くのか」。このちょっとした問いかけが、作品全体を通して心に響く、そんな感じの映画でした。この映画は、日比谷線脱線事故で、犠牲になった当時高校生だった富久信介さんにまつわる奇跡のような実話をもとに制作されており、それを思うとある種、ドキュメンタリーのような現実感も感じられた。24年後に届いたラブレター。これが何を意味するか?一見不思議なことのように思えるが、物語の中で、それは自然な気持ちとして受け入れらる。「思いを伝えたい。」ただその純粋な気持ちが、人と人とを繋ぐ大切なことなのだ。恋愛であれ、友情であれ、家族であれ、相手を思う気持ちは変わらない。サイドストーリーとして、事故の犠牲になった富久信介さんのボクシングのエピソードがあるが、ここで登場する大橋ジム(井上尚弥が所属している)での友情物語も実に感動的で、このエピソードだけでも作品がつくれそうだ。信介さんの先輩、川島役を演じる菅田将暉の演技も素晴らしかった。(川嶋勝重プロが実際に世界戦で戦う実際の映像はYouTubeでも配信されている。)↓↓- YouTubeYouTube でお気に入りの動画や音楽を楽しみ、オリジナルのコンテンツをアップロードして友だちや家族、世界中の人たちと共有しましょう。www.youtube.comそして、綾瀬はるか演じるナズナの家族の物語。毎日顔を合わせている家族だからこそ、思いを伝えるのが難しいこともある。夫役を妻夫木聡が演じているが、どうしても二人が初共演した行定監督の「JUSTIS」(Jamfilms)のイメージが強くて、その後の物語のようにも思えてしまう。Jam Films [DVD]Amazon(アマゾン)高校時代のナズナを演じた當真あみの恋心をいだく初々しい演技もよかった。「人はなぜラブレターを書くのか」映画を見終わってから、じわじわくる作品です。(★★★★)
映画、「木挽町のあだ討ち」は、時代劇ミステリーに、歌舞伎の要素を加えた極上のエンターテイメント作品だ。この仇討ちは真相はなんなのか、元藩士総一郎役の柄本祐が、その真相に挑む。江戸時代には公認されていた仇討ち、公衆の面前で見事に親の仇討ちを果たした菊之助は、ある種美談として語り継がれていた。見事な脚本、見事なキャスティング。ゾク ゾクする謎解き。そして、美しい歌舞伎演出。どれをとっても新しい時代劇映画の形として、とても興味深い作品であった。物語の背景には、当時の江戸の生活や武士や庶民がどのようなものであったかや、娯楽としての歌舞伎の面白さを、舞台芸術的な視点体感できる点も面白い。気楽に何度でもみられる、今年一押しの邦画だ。(★★★★)
HELP/復讐島は、単に「パワハラ上司を無人島ふたり きり」というシチュエーション設定の復讐劇ではなく、人間の強欲やその怖さを感じさせる深い作品であった。極限状態で生き延びるには、動物的なたくましさが必要だ。しかしその意味では、主人公のリンダは経験豊富で、すでにパワハラ上司を超えている。いつ助けがくるかもわからない状況、命をかけたサバイバルな出来事が二人に次々と襲い掛かる。無人島で男女二人きり、普通なら恋物語にもなりそうな気配を残しつつも、ふたりの間にはそれ以上のわだかまりが存在していた。この映画の面白いところは、上司と部下といったヒエラルキー的な復讐にとどまらず、人間の善的な部分と邪悪な部分をストーリーの中で描いている点である。一見するとサム・ライミ監督の悪ふざけ的な演出がシーンとして記憶に残るが、映画を見終わってから、こういうタイプの人間がいたらと思うと、怖くなる。(★★★★)●HELP/復讐島公式ページ
ランボーや、アメリカンスナイパーなど、除隊後PTSDで苦しむ兵士を描いた作品はいくつおあるが、日本自衛隊による国連平和維持活動を題材にした作品は、本作が初めてかもしれない。この作品では、日本の花火が火器の隠喩として取り上げられており、日本の文化、精神性といった視点で、戦争に対する意識や、自衛隊とは何かについて深く考えさせられる作品となっている。南スーダンで友人を失った経験を持つ山本は、日本のとある駐屯地近くの花火工場で働くことになる。彼を含め、自衛官たちの戦争は日本にもどっても終わっておらず、その苦しみから逃れるため、自信を肯定するために彼らは行動を起こす。どうしようもないジレンマの中、山本は花火作りを通して、日本人としての誇りを取り戻し、心に咲く花(火の華)を見つけることはできたのか?(★★★☆)