【映画】クライマッチョ
クライマッチョは、年老いたカウボーイと少年のロードムービーだ。クリントイーストウッドが馬にまたがる姿はカッコよく決まっていて、とても90歳とは思えない。映画のいたるところで、彼がいままで演じてきた作品のシーンが蘇ってくる。許されざる人、ダーティハリー、マディソン郡の橋、グラントリノなど、集大成というキャッチコピーは少し大袈裟な気がするが、間違いではない。多くの人生を描いてきたイーストウッドだが、まさにこの作品は、自分の人生を映画にしたような印象を受ける。描かれるのは、映画と家族、友人への感謝と思いやりであり、あたかもイーストウッド自身が今の心境を語っているようだ。価値観の異なるキャストを明確に設定し、ドラマの中で人生にとってなにが大切かを描くテクニックは、まいどのことながら見事だ。そしてなにより、この作品をみて感じたことは、人生のすばらしさと儚さ、切なさだ。派手な展開こそないが、じわじわと感動が湧き上がってくる、そんな映画であった。(★★★★)