重たいですが、自然との共生や、人の営みの根元を感じる映画です。
舞台は18世紀末の東北の寒村。米の不作にあえぐ村社会、閉鎖的な村社会の同調圧力と、身分差別が村民を支配する。
そこで、起きる一つの事件をきっかけに、主人公、凛は村を捨てて山に入る。
この映画は柳田邦夫を遠野物語に着想を得て制作されており、
作品の後半に、人々の生活の中に根付く、信仰や自然に対する畏敬の念のようなその世界観を感じる。
表向きは楢山節考のように社会的に耐えがたい物語であり、終始暗いイメージの中で進行するが、その裏に描かれる人と自然との関係、八百万の神を尊ぶ精神的な感性が日本人としての様式美や美意識につながるような気がする。(★★★☆)