カメラを止めるな | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます

 

 カメラを止めるな(2017)

 

自主映画で制作され単館上映。

観客の反応良く、上映館を拡大。

予算300万円ながら、31億円以上の興行収入をたたき出し、ブロックバスター作品となった話題作です。

 

制作陣による「ネタばれ禁止令」を観客が律義に遵守したことも成功の大きな要因になりました。

 

僕も、できるだけストーリーには触れずに、一映画ファンとして感じたことを書いていきます。

 

本作を観て、最初に思ったのは、

「トビー・フーパーの“悪魔のいけにえ”とフランソワ・トリュフォーの“アメリカの夜”を足したような作品だな」ということ。

監督の、上田慎一郎初め、スタッフ・演者とも本当に映画作りが好きで、その情熱がストレートに伝わってきました。

 

 

 

タイトルにもなっている「カメラを止めるな」という言葉は、英語においての「The Show Must Go On」にも通じると思います。

デ・パルマ作品のような長回しも、少々ぎこちないがちゃんと計算されているし、ウディ・アレンがやりそうな楽屋落ち的ギャグも嵌っている。

 

三谷幸喜の影響は受けているのかな。

撮影中に次々とトラブルが起こるというところが、ラジオ生ドラマ中に次々と設定が変わる「ラヂオの時間」を連想した。

 

また、園子温ほど激しくはないが、「地獄でなぜ悪い」のような、なにがなんでも「いい」映画を作る!という映画製作への思いも詰まっている。

 

これら名前を挙げた作品へのオマージュを意識して作られていたとしたら、映画ファンにとっては、ホラー版「ニューシネマ・パラダイス」といってもいいと思います。

 

それらの作品に全く影響されず、このような構成の作品を作り上げたのだとしたら、上田慎一郎の劇作能力は天才。

まるで、オーソン・ウェルズ。

 

実際のところはどうなのでしょうね。

 

見せかけだけのCGなどを使わなくても、いいアイディアと優れた演出力、構成力があれば、低予算でも十分面白い作品が作れるという、いいお手本となりました。

『カメラを止めるな』(2017)日

上田慎一郎監督 96分

2017年(平成29年)11月先行公開・2018(平成30年)年6月一般公開