アメリカン・ビューティー(1999) | あの時の映画日記~黄昏映画館

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 アメリカン・ビューティー(1999)

 

最近スキャンダラスな話題でお騒がせの・ケヴィン・スペイシーが主演した風変わりな家庭崩壊ドラマ。

第72回アカデミー作品賞を受賞しています。

 

広告代理店に勤めるレスター・バーナムは、郊外に一戸建て住宅を構え、妻と年頃の娘と幸せな生活を送っているように見えた。

 

しかし、実は見栄っ張りの妻キャロラインとの関係はぎくしゃくしており、娘には距離を置かれていた。

 

ある日、娘の高校へ娘の出場するチア・リーディングを妻と鑑賞していたレスターは、娘と一緒に踊っていた娘の友人アンジェラに一目惚れ。

 

その日をきっかけに、レスターの性格が徐々に変わっていき・・・

 

ストーリー自体はそんなに奇抜なものではない。しかしオープニングのレスターのモノローグで自分の死を予告してから始まるので、物語が進むにつれて妙な緊迫感が漂う。

 

性に関する大胆なスラングが連発され、アメリカの家庭生活のタブーが描かれているのは風俗的に面白い。

タイトルになっている『アメリカン・ビューティー』とはアメリカ原産のバラの品種名であるらしいのですが、たびたび現れるこの赤いバラが物語の象徴となっているのもうまいところです。

 

家族三人での夕食シーンは静かなクライマックスで、舞台劇を観ているような雰囲気がある。

 

 

主人公レスターを演じるケヴィン・スペイシーはなかなかうまく演じていると思う。

これが、ロバート・デ・ニーロならくどいし、ロビン・ウィリアムスじゃファンタジィ―色が強くなりすぎてこの作品の持つ毒が消えてしまいますね。

オスカー受賞も納得です。

 

それから断然いいのは、レスターが夢中になる小悪魔的美少女・アンジェラ。

レスターはいけない妄想に突き進むのですが、ミーナ・スヴァーリ演じるこの少女に夢中になるのはわかります。彼女が演じていることによって物語に作り物感というか嘘っぽさがなくなった。

若い頃のジョディー・フォスターを思い出しますね。

 

ストーカー的気質をを持った娘の彼氏のビデオカメラのズームを使ってのサスペンスの醸造も見ごたえあります。

 

なにか希望を持たせるようなバッド・エンド。

独特の余韻を残しますね。

同じ家庭崩壊物でオスカーを受賞した『普通の人々』(1980)から時代も変わったなあと深く感じました。

 

 

 

『アメリカン・ビューティー』American Beauty(1999)

サム・メンディス監督 122分

2000年4月公開