1980年度(米)ロバート・レッドフォード第1回監督作品。
『普通の人々』
正統派二枚目俳優ロバート・レッドフォードが初監督し、マスコミから大絶賛され、アカデミー作品賞と、監督賞を受賞した作品です。
平凡だが、平穏な日常生活を送っていた家族4人の家庭に、長男の事故死、続いて次男の自殺未遂という事件がが起きる。
この出来事を契機として、愛情と信頼によって固く結ばれていたはずの一家が、激しく揺り動かされる。
目に見えない緊張が家の中を支配し、3人がそれぞれの苦悩を抱えて、噛み合わない歯車のようになったお互いの関係に直面する。
平凡な生活を支えてきた秩序がいかにもろいものであったか。
当然と思い込んできた正常で健全な日々がいかにはかないものであったか。
普通の人々のありふれた日常にひそむ虚妄性が表面に浮かび上がってくる。
現代社会において親と子、夫と妻の絆とは一体何なのか。家庭の在り方とは一体何なのか。鋭い問題提起をはらんで見るものに厳しい自己との対峙を迫り、各人各様の回答を要求する秀作である。
(公開当時のプログラムより)
キャスティングは、一家の父親カルヴィンに、ドナルド・サザーランド。
母親ベスにメリー・タイラー・ムーア。
そして、ストーリー展開の軸になる17歳の息子コンラッドにティモシー・ハットンが好演している。
シカゴ郊外の静かなたたずまいの家で平穏に暮らしているように見える家族。
結婚して21年になるカルヴィンとベス。今でも愛し合いいたわりあう。いかにも理想的な夫婦である。
だが、息子コンラッドは毎夜悪夢に眠りを妨げられる。
数ヶ月前、兄のバックとともにボートで遠出し嵐に合い、ボートは転覆しバックは溺死してしまう。
コンラッドは、兄バックをコンラッドにとって自分の模範として尊敬していた。
その兄を助ける事が出来なかったのが、コンラッドのトラウマになってしまっていたのだ。
コンラッドの心の空洞を埋めるために父カルヴィンは精神科医を勧める。
自分だけが生き残ったという罪悪感から、コンラッドは手首を切って自殺未遂をはかる。
数ヶ月の入院期間のあと退院して、外観的には元通りの生活を送っているが、何かが狂って失われていた。
誰よりも兄バックを愛していた母親のベスは、時々コンラッドを見て凍ったように口を閉ざしてしまう事がある。
こうして、家族の絆が少しずつ綻びていき・・・
![あの時の映画日記](https://stat.ameba.jp/user_images/20090921/10/hal-9000hn/0a/5a/j/t02200293_0240032010257930136.jpg?caw=800)
実に淡々と静かに進む物語です。
秋の夜長にじっくりと観るのに適していると思いますよ。
がちゃん