地獄(1960)
前回の記事『地球は女で回ってる』で、少し中川信夫監督の『地獄』について触れましたので、軽くレビューだけしておこうと思います。
中川監督の『東海道四谷怪談』(1959)は大人になった今でもトラウマになっているほどの恐怖映画です。なんなら邦画ホラーの歴代1位の地位を私の中では占めております。
そんな中川監督が手掛けたシネマスコープ大作で、当時最先端の特殊技術で頑張っております。
お話は、前半いろんな罪を犯した者が地獄に堕ちて責め苦を味わうというストーリー。
唐突に現れる死んだ恋人と瓜二つの女性(三ツ矢歌子)。メフィストよろしく主人公の四郎(天知茂)につきまとう田沼(沼田曜一)。
戦地で水を奪って戦友を死なせてしまった恋人の父親などがめまぐるしく交錯します。
お色気カットなどもあるのですが、
話がまったく前に進まないんですよね。
ちょっと前進したかと思えばまた振出しに戻るという展開の繰り返しで、クライマックスになるはずの地獄めぐりのシーンは正直、飽きてしまいます。
『東海道四谷怪談』はあんなに怖くてショック演出もあり展開もすこぶる快調だったのに本作では一体どうしちゃったのでしょうね。
新東宝映画の限界か。
閻魔大王の役で嵐寛寿郎がちょこっとだけ出演。
三ツ矢歌子さんはお美しい。
『地獄』(1960)
中川信夫監督作品 101分
1960年7月公開