ドリーム・スタジアム(1997) | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます

 

 ドリーム・スタジアム(1997)

 

いよいよ今年も待ちに待ったプロ野球ペナントレースが始まりました。

 

我がスワローズも開幕2連勝を遂げ、セリーグ3連覇に向けて好ダッシュを見せてくれました。

 

さて、そんなプロ野球開幕を祝しまして、本日は野球関係の珍品映画のご紹介です。

 

大森一樹監督が監督した本編。

オープニングから、“この作品は野球に関するおとぎ話です”という案内があるので、真面目に観ていると呆れてしまうような出来栄えですが、スクリーンに、あるいは液晶画面に突っ込みつつ苦笑しながら鑑賞をおススメします。

 

夢はあっても努力は嫌い。

如何にして楽して儲けるかしか考えていない25歳の若者・田沼洋介は、ある日福岡ドームでホームランの打球が頭に直撃し、失神してしまう。

 

目覚めた彼はふとバッティングセンターに誘われるように入っていく。

 

そこで打席に入った彼は野球経験がないはずなのにホームラン級の当たりを連発。

 

それを見ていたバッティングセンターの経営者・西山朋江(桃井かおり)はその快打連発に驚き、プロ野球チーム「福岡ダイエーホークス」の入団テストを受けるように勧める。

実は、田沼は失神した時に、

元プロ野球南海ホークスのドラフト1位選手が憑りついていて、打席に入ると大木の幻影が現れて、それが見えるとホームランが打てるようになっていたのだ。

 

晴れて、王監督も見守る中、

ホークスに入団することのなるのだが・・・

 

本気で怒ってはいないことを前提としてこの後は読んでいただけるといいのですが、

ストーリーにあまりにもオリジナリティがない!

『天国から来たチャンピオン』(1978)と『フィールド・オブ・ドリームス』(1989)と『ナチュラル』(1984)を混ぜ合わせたパクリじゃないですか(笑)。

 

 

そのまんまのシーンも出てくるし、

これを堂々と作ってしまう心意気には呆れを通りこして清々しさを感じてしまう。

 

主演の田沼を演じる・萩原聖人の貧弱なことよ。

いくら野球経験のない役だとは言え、あのスゥイングでスタンドインするのはありえないでしょ。もうちょっと役作りしてほしかったですね。

主人公の人物像に全く共感できないのも困ったもんだ。

 

だから、野球ファンは物語以外のところに楽しみを見つけるといいでしょう。

 

まず、オープニングの大阪難波の住宅展示場。

ここは昔、南海ホークスが本拠地としていた大阪球場の跡地で今はショッピングモールとなっています。

球場があった時も住宅展示場の時も今もずっと知っている場所なので感慨深いです。

 

余談ですがこの大阪球場。

客席の傾斜がものすごくて、

上段で躓いたら転落死するんじゃないかと恐怖を覚えるほどでした。

まさにすり鉢。

 

回想シーンの形で、

昔の南海対巨人の日本シリーズが出てくるのもいいですね。

王や長嶋、金田、野村などみんなが若々しく躍動しているシーンは胸熱です。

 

そして、現代のシーンで、

名球会入りしたメンバーが集結して現役のホークスの選手たちと試合をするのもいい。

 

みなさん結構お年を召されているのに、

身体がよく動くんです。

だから萩原聖人の緩慢さが目立ってしまうのが痛しかゆし。

 

金田投手がジャイアンツのユニフォームじゃなくスワローズのユニフォームで出てくれたのもなんだかうれしかったですね。

 

こういったところを楽しむ作品だと思えば腹も立ちません。

 

あ、でも作品の唯一のいいところがあります。

ヒロインの牧瀬里穂がめちゃくちゃ可愛いこと。

 

『ドリーム・スタジアム』(1997)

大森一樹監督 103分

1997年6月公開