やくざ刑罰史 私刑!(1969) | あの時の映画日記~黄昏映画館

あの時の映画日記~黄昏映画館

あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます

 

 やくざ刑罰史 私刑!(1969)

 

庶民の娯楽の王様だった映画が、その地位をテレビに奪われつつあった頃、邦画各社はより一層強い刺激を作品に加えて映画館に客を呼び戻そうとしていました。

 

トップを走っていた東映もいろんな手を打ちました。

それまでの任侠路線が下火になるにしたがって、エロ・グロ強化に舵を切ることになりました。

 

本作は、そんな東映グロ部門代表作ともいえる一篇です。

 

江戸末期、明治・大正、そして戦後の三つの時代を背景にしたオムニバス作品。

いずれの作品もヤクザ同士の内輪もめによる残酷リンチシーンが見せ場です。

 

ヤクザ映画でおなじみの指詰めシーンなんか甘いもので、

眼をくりぬいたり耳をそいだり、

眼を焼いたり、生きたままコンクリート詰めにしたり、

ヘリコプターで引きづりまわしたり、人間が乗ったまま車を圧縮してスクラップにしたりと、

目を覆いたくなるような拷問シーンの数々。

 

職人監督・石井輝男が嬉々として演出している様子が手に取るようにわかります。

 

70年安保目前だったこの時代。

深読みすると、

組織内の内ゲバによる暴力を比喩していたのかもしれません。

 

キャストも、

菅原文太、大友柳太郎、石橋蓮司はじめ、意外と豪華です。

 

特に第3話の爆破シーンやカーチェイス、撃ち合い場面など気合入ってます。

 

拷問シーンを見せるのが目的と思われる作品ですので、そういった描写が苦手な方は避けた方がいいかもしれません。

 

オムニバスにしたせいで、

気合が入っている割には作品が軽くなってしまいました。

 

予告編は年齢制限有

『やくざ刑罰史 私刑!』(1969)

石井輝男監督 96分

1969年6月公開