ダン・ブラウンの同名小説をロン・ハワード監督が映画化。
ハワード監督自身最も稼いだ作品となった本作ですが、
何度観ても私には飲み込みにくい作品です。
聖書にも記される聖杯を追ってのサスペンスミステリー。
キリスト教信者でもない私にしては何をそんなに必死になっているのかという感想しか持てません。
この作品の面白さがわからないのは、
ひとえに私の浅学さ故だとは思うのですが、
キリスト教が根付いている欧米ではわかるとしても日本でそんなにヒットするとはね。
サイレントの時代から映画は、
『画』で見せるもの。
しかしこの作品は説明のためのセリフが多すぎる。
欧米人に浄土宗や浄土真宗、
西本願寺、東本願寺の違いを分からせようとしても難しいだろう。
それをわからせるにはセリフも多くなるだろう。
しかし名監督はそれを『画』でわからせてくれるのだ。
そして、
その宗派の違いから相手を歴史から抹消しようとするストーリーも理解できない。
八百万の神が存在する日本において、
アラーやキリストなどという絶対的な神の存在の重さは軽い。
鍵になる謎のヒロインの魅力も乏しく、
作品のスケール感(外観)の大きさが空しく感じる。
主役のトム・ハンクスも、
シリアス演技に魅力はない。
監督のロン・ハワードも、
多額の予算を持て余しているような感じがする。
彼は大作の監督ではないのだ。
この宗教的な対立を、
適度なアクションシーンを絡めて面白くみせようとしたのだろうが、
彼はそこまで器用ではない。
例えば、『スプラッシュ』(1984)や『コクーン』(1985)など、
肩に力の入っていない作品でこそ彼の魅力が引き立つ。
『ウィロー』なんていうクラシック感あふれる伝記ロマンっぽいお話も良かったし、
『バックドラフト』もよかったね。
『アポロ13』が彼の最高傑作であると思うが、
こちらも力んでいない。
そして私自身偏見と自覚しつつ、
『ガンホー』などというトンデモ映画を彼が作ってしまったことが、
どうしても彼の作品を好きになれない一因となっている。
国辱映画『ガン・ホー』
『アメリカン・グラフィティ』でのスティーヴを演じていた彼が、
妙に懐かしく感じられます・。