エレベーター | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます

エレベーターって怖くないですか?

ほとんど無音で扉が開き、

無音のまま目的階につくわけですが、

その時の光景が(当然なんですけど)変わっていて、

時々ギョッとなります。

 

そんな我々の思考をうまく切り取った映画に、

死刑台のエレベーター』(1958)があるような気がします。

 

ルイ・マル監督による本作。

至極の犯罪映画ですが、

完璧と思われた完全殺人事件が、

犯人がエレベーターに閉じ込められてしまうことにより、

行き場を失ってしまうあたりに唸ってしまいました。

 

本編とは直接関係ないのですが、

キューブリック監督によるホラー、

シャイニング』(1980)におけるエレベーターの存在も、

作品の個性を際立させていると思います。

 

ダニー少年の見る流血の悪夢が、

エレベーターの前で血の洪水として具現化されるわけですが、

このシーンも螺旋階段の前では画にならない。

ドアが閉ざされたエレベーター前でこそ、

その悪夢が表現される訳である(と、僕は考える)。

 

男女関係にもエレベーターは劇的な効果をもたらす。

ロバート・ベントン監督の、

クレイマー・クレイマー』(1979)でメリル・ストリープ演じる妻が、

夫ダスティン・ホフマンに別離を切り出すシーン。

 

夫のダスティン・ホフマンが妻のメリル・ストリープに弁解をしようと試みるもエレベーターのドアは問答無用で閉まってしまう。

これが階段だと、

ホフマンはストリープをずっと追いかけてしまうだろう。

ストリープの意思の強さをサラリと見せる名シーンが出来上がった。

 

高層ビルのエレベーターに一人で乗っているときに、

着いたその階になにか潜んでないか。

時々怖くなる僕です・・・

(作品タイトルはレビューにリンクしてますので、よろしければお越しください)