地獄でなぜ悪い | あの時の映画日記~黄昏映画館

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あの日、あの時、あの場所で観た映画の感想を
思い入れたっぷりに綴っていきます


あの時の映画日記

地獄でなぜ悪い
2013年度 園子温監督作品

♪全力歯ぎしりLet's Go~
ヤッちゃいましたね、園子温監督。
ヒミズ 」「希望の国 」から、こうも180度反転した作品を作れるというのは、
まさに”鬼才”と呼ぶにふさわしい監督だと思います。

園子温版「ニューシネマパラダイス」いや「グットモーニング・バビロン」の方が近いかな。
これは紛れもなく日本映画に対する、特にヤクザ映画に対してのオマージュ。
観れば笑える、くすぐりどころがいっぱいの作品です。

自転車吐息 l」を先に観ていてよかった。
あの作品の映画小僧がまだ映画小僧してる。
もちろん、映画技術、語り口は格段にうまくなっているけれども、
間違いなくこれは、映画小僧が作りたくてたまらない作品だ。

映画に道徳観やメッセージ性のみ求める観客には、
眉をひそめたくなる作品だろう。

だが、これはコメディなのだ。
すべてのシーンを笑い飛ばしてやればいい。
首が飛ぼうが、腕が飛ぼうが、
「シャイニング」の血の洪水のシーンも霞んで見えるほどの、
流血シーンもだ。

流血シーン。
園監督はお気に入りだ。
「自殺サークル」も相当なものだったが、
今回に比べたら、おとなしかったといってもいいかもしれない。

8ミリ作品しか取ることができなかった映画小僧が、
35ミリで映画を撮ることができるなんて、
本当に夢なのだ。

死んでしまったカメラマンから、
フィルムを奪い、走り出していく、
こんな純粋に映画への愛を語ったシーンがあっただろうか。

出演陣が、今までの園作品と変わったのも新味かな。
でも、でんでん、神楽坂恵、つぐみ、諏訪太郎など、
園ファミリーの人間もちょこっと顔を出している。

國村隼と堤真一の両親分は、貫禄と言っていい演技。
無言で包丁を持って組員を追っかけ回す友近もすごいけど、
前作「ヒミズ」とこれまた180度違ったミツコを演じる二階堂ふみがすごい。

前回「希望の国」のレビューを書いた時にもいいましたが、
園監督にかかると、役者はみんな神がかった演技を魅せる。

徹底的に振り切ったブラックコメディー。
でも、深刻に観る必要は全然なし。
これぞエンターテイメントという作品を、園監督は撮りきったのだ。

★園子温監督レビュー
愛のむきだし
冷たい熱帯魚
恋の罪
ヒミズ
紀子の食卓
自転車吐息
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