今夏の高校野球もベスト8が揃い、いよいよ白熱してきたところですね。
新潟産大附属高校や菰野高校、石橋高校は初勝利を挙げ、大社高校、掛川西高校は60年ぶりに夏の勝利の校歌が流れ、私もこれらの校歌を聞いて感慨深いものを感じました。
このように高校野球では甲子園だけでなく地方大会でも球場で流れるのが普通になったこともあり、常連校ともなると母校でなくとも歌えるくらいに定着?するようなものになってきています。古くはPL学園や池田高校がその最たるものでしたね。
今まででも郷土の歌研究や、高校野球や高校サッカー(昔は高校サッカーでも校歌が流れていました)を入口に校歌に興味を引いた人のために校歌に関する多くの書籍が発行されています。
校歌の誕生 | 須田 珠生 |本 | 通販 | Amazon
校歌斉唱!:日本人が育んだ学校文化の謎 (新潮選書) | 渡辺 裕 |本 | 通販 | Amazon
この2冊は私が最近手にとって読み終えたものです。
『校歌の誕生』レビュー
このブログでは以前「古い校歌シリーズ」として10何校かを紹介しましたが、最後の2校が昭憲皇太后御下賜の歌を校歌代用としていたことはこの本でも触れられています。著者は「校歌の代替としての唱歌《金剛石》は、尋常小学唱歌に採用されたこともあって当時の小学校や高等女学校でよく歌われていた…」と言及しておられます。
またテーマの性格上、ほとんど戦前までの校歌の特徴として”音楽学校に依頼”、”替え歌の校歌”、”文部省による認可”なども取り上げられています。著者が博士学位論文として提出したものを加筆修正したそうで、黎明期の校歌の歴史書として読んでもよいものだと思いますね。
『校歌斉唱!』レビュー
こちらは私がやっていることに少し近い感じを受けました。6章(序章含めれば7章?)からなるテーマは、どれも著者視点の切り口と学校史や学校新聞を元にした資料に基づいていて、そこから導かれる考察は素晴らしいものだと思います。
「成り立ちからあやふやな旧校歌」「軍歌や寮歌の替え歌校歌」学制改革や教育環境の変化に伴い「変えざるを得なかった校歌」校歌と応援歌の切っても切れない関係性なども私にとっては興味深く面白い描写でした。
最後はまるまる一章分を春日部高校の校歌の考察に費やしています。現校歌の前に存在していたとされる校歌の詳細、CDやYouTubeで公開されている音源の演奏テンポの速さ、春高祭りの「春高ジェンカ」「臙脂の集い」で歌われる校歌についてなど、よくここまで掘り下げたものだと良い意味で感心します。
このブログでも韮山高校や新発田高校、呉港高校など似たような事例を取り上げていましたが、長年の調査の結果他にも面白い事例がちょこちょこ判明していますので、こうしたテーマの学校も機会があれば紹介していきたいと思いましたね。