コロナ・自然災害・人、そして園庭や地域 1 〜JT生命誌研究館 中村桂子さんのお話より〜 | 心と体と学びをはぐくむ園庭を

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幼稚園 保育所 認定こども園の園庭を、子どもが伸びやかに豊かな育つ場所にしませんか?

こんにちは、園庭研究所の石田です。

 

新型コロナウィルスの問題、近年毎年のように起きている大雨や地震による重大な災害…。

 

自分の暮らしや環境を、近年改めて考えされられている方も多いのではないでしょうか?

 

大雨による災害については、地球温暖化による陸地や海水温、大気環境の変化が指摘されています。

また、土砂崩れや洪水については、本来は雨を土中に蓄える役目を果たす森林が、手入れ不足や、道路や建物など人工物構築により土中の水の流れが分断されることによって、土壌の保水力が低下していることを指摘する森林・造園の専門家もいます。

 

都市環境では、雨が降れば浸透していくはずの土の地面が、アスファルトやコンクリート等で覆い尽くされていまます。このため、雨水は水路や河川へ流れるしかなく、水路や河川が氾濫しやすいことも指摘されています。

 

コロナについても、都市部など、経済的効率を求めて人口を集中させたことの問題も絡んでいます。

 

このように、自然自体の問題というより、人間による問題でもあります。

 

 

こうした中で、JT生命誌研究館 中村桂子 名誉館長さんは、以下のようにおっしゃっています。(JT生命誌研究館 HP

 

 

コロナウィルスについて。

 

生き物の世界に単純な勝ち負けはありません。ライオンは強いけれど、小さなアリの方が世界中にはびこって生きています。

 

 生き物は、妥協や矛盾を抱えながら共存していくものです。

 

 その中で、人間も生き延びるための方法を探っているに過ぎません。

 

 ウイルスに勝つためではないのです。ウイルスはウイルスで存続し続けるでしょう。

 

「ウイルスとどう向き合う 中村桂子さんが語る生物の視点」朝日新聞デジタル 2020.5.6 より(https://www.asahi.com/articles/ASN5501LGN52ULBJ00V.html

 

 

 

そして、自然災害について。

 

私は生きものの研究をしておりまして、その中で一番大事なことは、地球上にいる生きものはとても多様だけれど、でもその大本は38億年前の祖先であり、全部仲間だということだと思っており、ここに絵巻という形で示させて頂きました。(絵巻は以下のリンクをご覧ください。)

 

 人間もその中にいて人間はアフリカから出て、今73億人以上いる人みんなが祖先は一つだ。

 

 そういうことを明らかにしたのが一番大事で、これを生かして30年を考えたいと思って、「生命誌」を始めたのが平成の始まりだったのです。


 人間は生きもので自然の中にいるということを大事にする。

 

 それは自分が自然の中にいるということです。


 私たち今、文明の社会にいますと、自然を外から見て生きものなどいろいろなものを支配するという考え方になりがちですけれども、「みんな一緒だ仲間だ中にいる」と考えたい。

 

 私はこれを「中から目線」と言っているのですが、そういう考え方でいきたいと思ってきました。(略)

 

 最後に大事なのは自然との向き合い方。

 

 実は、阪神・淡路大震災 東日本大震災、その後の多くの地震や噴火や豪雨など、私たちたくさんの自然災害に出合いました。


 ここでやっぱり人間は自然の中に生きてるんだ、自然と向き合わなければいけないということを、強く感じたと思うのですけれども、その後の私たちの生き方を見ると、何かちょっと忘れてしまってるところもあるように思います。(略)

 

 大事なのは自然は複雑だということです。
 

 それに向き合うということを、忘れてはいけないと思います。
 

 多様性を認めて一人一人を大切にする社会、そういうことで始まった平成ですけれども、むしろ何だか競争の中でそれを失ってしまったという気がします。

 

「平成の終わりに④ 生きることの本質」NHK解説委員室 2019.2.12 より(http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/314682.html

 

 

 

では、今を生きる、そしてこれからの未来を創っていく子どもたちへ、園庭や地域環境は何ができるのでしょうか?

 

これについては、次の記事で書きたいと思います。

 

 

最後に。

今大雨やコロナウィルスの事で大変なご状況にいらっしゃる皆様にとって、少しずつでもご状況が落ち着き、安心して過ごせますよう願っております。

 

(つづきます)

 

 

園庭研究所 代表 石田佳織

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【園庭や幼児と自然のについての著書】

『園庭を豊かな育ちの場に:質向上のためのヒントと事例』

園庭園庭全国調査に基づいて、園庭での保育・教育の質をより高めるための視点や工夫をご紹介しています。面積が小さな園や制約がある園での工夫や、地域活用の工夫もご覧いただけます。

* 2019こども環境学会賞【論文・著作賞】を頂きました。

 

『森と自然を活用した保育・幼児教育ガイドブック』

石田は以下を担当させていただきました。→第1章5「幼稚園施設整備指針と園庭調査を踏まえた屋外環境のあり方と自然」東京大学Cedep園庭調査研究グループ/第1章8「幼稚園教育要領等の5領域に合わせた先行研究」北澤明子, 木戸啓絵, 山口美和, 石田佳織

 

『保育内容 環境 第3版』

石田は第6章4節「自然環境と持続可能な社会」を担当させていただきました。