京都の宿
その宿で彼に出会った
一枚のポスターが結びつけた
偶然の出会い
出会った時から惹かれていた
それは - - - 彼も同じ
旅先で出会った軽い恋なんかじゃない
もっと運命的なもの - - -
彼も私も
アメリカに留学して
長い年月を
アメリカという国で過ごしていた
私には配偶者がいる
だから最後まで何も起こらなかった
それで良かったと思う
彼は言った - - -
「もっと早く君に会いたかった
君は僕の理想の女性だ
君は強いひとだけれど
傷つきやすいひとでもある
だから君を悲しませたくない」
彼は私が結婚していることを知って
それ以上は踏み込まなかった
彼の私の立場を尊重する
気持ちと
私への気持ちを
外国人らしく
ストレートに告白してくれたことが
とても嬉しかった
でも - - - もう充分に傷ついているのよ
あなたとの別れが - - - すぐそこまで来ているから
私たち - - -
出会わなければ良かったのに - - -
何度そう思ったことだろう
彼は母国イギリスの寄宿学校で
18歳までを過ごして
アメリカの大学に留学した
文学好きシネマ好きの彼とは
趣味や性格など共通点が非常に多かった
日本の古典文学にも詳しかった
宿の朝食を食べながら
映画の話に熱中して
女子大の時に参加していた
映画サークル時代に
戻ったような気分になった
彼と話していると楽しくて楽しくて
時間が経つことさえ忘れていた
一度だけ夫のことを聞かれた
「私の夫はイギリス人
でも性格は全然違うの
思考回路も違うわ
文学よりも空手のひとなのよ」
彼にそう言った時の
あの淋しそうな表情が忘れられない
どうしてこうも
イギリス人に縁があるのだろう
3日目の朝
彼が出国する日
私たちは宿で朝食を食べて
その後
哲学の道を一緒に歩いて
最後に俳句を詠んだ
彼が私のことを想って詠んだ
英語俳句は - - -
とても美しかった
「君が結婚していなかったら
ここで君にプロポーズをしていたはずだ
君のことは決して忘れない
ありがとう - - - 」
彼のことは
たった3日しか知らない
だがその3日間は
私の人生のなかで
最も密度の濃い3日間になった
「あなたのことは忘れないわ 」
私は - - -
リチャードに別れをつげた - - - ✨
by 映美🧚♀️🧚
旅先で出会った恋には
必ず別れがあります
お互いに旅人だから - - -
彼はね 私よりもかなり年下だったんですよ
私の年齢を聞いてびっくりしてました
若いからかキラキラして
真っ直ぐで情熱的なひとだった
いつか素敵な女性が現れて
幸せになってほしい
この年齢になって
まだ女として見られることに
ずっと驚いてました
夫は私のことを信じてくれています
だから彼を傷つけたくないんです
てもね人間には感情があるから
たとえ結婚していても
ふとしたことで恋することってあると思うの
そんな気持ちを否定したくはないんです
彼は若いけれど 大人でしたね
多分 私なんかよりも
ずっと大人
最後にありがとうと言ってくれたんですよ
私はそう言おうとしても
言えなかった - - -
そこまでまだ
気持ちの整理がついていなかったから
でも今なら言える
「ありがとう」って - - -
映美✨
(この文章は今月初めに書きました)