→ 「マリア2 受胎告知の謎」プレイ日記1 1周目「共通編~逃亡編」1話~3話

→ 「マリア2 受胎告知の謎」プレイ日記2 1周目「共通編~逃亡編」4話~6話

→ 「マリア2 受胎告知の謎」プレイ日記3 1周目「共通編~逃亡編」7話~エンディング

→ 「マリア2 受胎告知の謎」プレイ日記4 2周目「究明編」分岐点~第5話

→ 「マリア2 受胎告知の謎」プレイ日記5 2周目「究明編」第6~エンディング

 

 

 

 PSソフト「マリア2 受胎告知の謎」の2周目からプレイ出来る「究明編」を今回はやっていきます。1周目のクリアデータから読み込んでスタート(周回プレイ)すると究明編に分岐して1周目の「逃亡編」とは違う展開が楽しめます。

 

 まず1~3章までは「共通編」となり、必ず通ることになります。分岐は3章のリアルタイムパートからになるので、この記事ではそこから記録していきます。1~3章の流れはプレイ日記1でやった通りになりますのでそちらをご参照ください。※選択によって大きく変わる部分がありますが、今回は変化のある選択肢は選んでいませんので。

 

 それでは、スタートです。いつものことですが、ネタバレは派手にやっています。

 

 

 

【第3話 6時33分の謎 (慈愛堂生物研究所リアルタイムパート)】

 

 今回は4階の所長室(亜門博士の部屋)まで到達し、パンチカードが必要になるという連絡を受けた後からの攻略です。入手するアイテムが多く、移動も多いです。

 

 

東棟四階 所長室前でパンチカードが必要となることを知る。

東棟四階 401号室影山研究室にあるTHEくすりマニュアルを入手。※中を確認すると3つの薬がどの部屋にあるかメモしてある。

東棟一階 医務室の薬棚で睡眠薬ネムリンを入手。

東棟一階 保存室で反応薬トロレラ(くすりガイドには抑制液とある)を入手。

西棟二階 合同実験室で気化剤ガスールを入手。

西棟三階 科学実験室でガスマスクを入手。奥にあるドラフトチェンバー型薬品調合器に入手した3つの薬をセットする。THE くすりマニュアルを元に、トロレラ赤(14)・ネムリン緑(7)・ガスール青(13)のメモリを合わせると催眠ガス入手。

※メモリは不安定という設定なので(法則はあるけど)合わせるのが大変な場合は、下記を試してみてください。

 

・ネムリン(緑)のメモリを+11にする。(トロレラ15・ネムリン11・ガスール0)

・トロレラ(赤)のメモリは最高値15だが、更に+6回押す。(トロレラ15・ネムリン5・ガスール12)

・ガスール(青)のメモリを+1回押す。(トロレラ14・ネムリン7・ガスール13)

 

・西棟三階 資料室のエアシューターに催眠ガスを使う。イベント発生。

 

 

 エアシューターで催眠ガスのカプセルを守衛室へ送り込んで確認した警備員はガスが効いて眠り込む。※今回は守衛室には入れなくなる。

 

・受付でパンチカード入手の手順から亜門博士の部屋の謎解きは逃亡編と同じ。

・影山から電話で二階堂が研究所に入って行ったと連絡を受けるので移動。

 

 

 影山と合流した真里亜は、眠る警備員に気を取られている二階堂を後目に無事研究所から脱出する。

 

 

 

【第4話 禁断の木の実】

 

 研究所から脱出した真里亜と影山は、比奈子が運転する車で比奈子の叔父の家まで無事に帰り着くことが出来た。

 

 

 3人はミッションコンプリートのお祝いに、比奈子の叔父が置いていったというワインをあけることに。

 

 景山は研究所から脱出する時、本当は後ろから追いかけられてきているかもと考えると、気が気ではなかったという。それは真里亜も同じであった。亜門博士の研究室に侵入したからには後に戻れないことを自覚する。

 

 真里亜は戦利品「書きかけの博士の論文」「慈愛堂生物研究所のあゆみ」という冊子、「人魚の涙」と書かれたデイスク、人魚の足ヒレのカギ、盗聴器の5点について入手方法などを説明する。そして皆でざっと内容を確認したが、分からないことは多かった。※逃亡編と同じ部分は割愛

 

 

 翌朝のニュースを見ると、慈愛堂生物研究所に侵入者があったこと、亜門博士の殺害事件との関連を調べているといった内容のことを報道している。犯人の手掛かりはなしとのアナウンサーの言葉にホッと胸を撫で下ろす真里亜と影山。

 

 真里亜と比奈子はいつも通りに出社することにした。その間景山は昨夜EVEの部屋から持ってきた亜門博士の論文「禁断の実にふれた人間たち」を読んでおくという。

 

 

 さくらテレビに到着する真里亜と比奈子。比奈子は真里亜が手に入れた「人魚の涙」のディスクに入っていた人名リストと、亜門博士が安藤に渡そうとしていたディスクのパスワード解析を進める。

 

 真里亜がいつも通りに社会部で勤務していた所、水谷という人物が真里亜を訪ねてきてロビーで待っていると社員から伝えられる。

 

 真里亜は全く心当たりがない人物に困惑しながらも、水谷が待っているというロビーへ行く。水谷は若い男で、真里亜の名前を知っていた。男の正体は慈愛堂生物研究所の警備員、あの受付にいた人物だった。

 

 

 水谷は真里亜に見てもらいたいものがあると言って一枚の写真を出す。それは上からのアングルで、真里亜と影山が慈愛堂生物研究所の廊下を走っているところだった。間違いなく、昨夜忍び込んだ時のものだ。

 

 水谷はここに写っているのが真里亜だと断定していたわけではなかったようだが、真里亜の態度で確信したようだった。警察にこの写真を持っていったらどうなるかなどと脅迫めいたことを言う。

 

 

 水谷曰く、この写真はわけあって内緒で作動させていた防犯カメラのものだという。このカメラがあったことを知っているのは水谷だけで、カメラのことは警察には伝えていない。それはこれからのビジネスのためだと水谷は嘯く。そして真里亜と取引したいと言い出す。

 

 真里亜がテレビ局に勤めていることに目をつけた水谷は、情報が手に入りやすいはずとふんだのだった。水谷は二人の男について調べて欲しいと真里亜に二人の写真を見せる。一人は真里亜の部屋を訪ねてきた刑事、二階堂巌(にかいどう いわお)37歳。もう一人は政治家の鷲崎豪だった。取引に応じれば、真里亜が映ったビデオと写真はゆずるという。

 

 水谷の目的はあくまで写真の二人であり、真里亜は小物だと見下す。水谷の話を聞いていると、警備員という仕事に嫌気がさしていること、楽して大金を手に入れたいという計画性のなさが伺えた。

 

 

 真里亜は水谷の言う通り、二人について調べると約束する。そのかわり、この二人について知っていることを訊き出そうと試みる。水谷は「誰かが亜門博士の車のハンドルのボルトを外し、事故に見せかけて殺害しようとした」などと具体的なことを言うが、誰が犯人かは教える気はないようだ。そして自分だけが、景山の無実を証明出来る、その証拠が映ったビデオも持っているというのだ。

 

 亜門博士が殺害された日も、真里亜たちが忍びこんだ夜と同じように防犯カメラはこっそり回されていた。カメラは所長室に行く前の網膜虹彩機の所に一台、EVEの部屋の前にあったアダムにもう一台仕掛けられていた。水谷はもっと仕掛けられているが、これ以上の情報は言わないという。最低二台、殺人事件があった日には稼働していたということだ。

 

 

 真里亜はカメラがその二台のカメラが目の前にあったのに全く気付かなかったことに驚く。一見では分からないように細工したのは亜門博士だったのだ。殺害される1週間前に水谷の所にやってきた亜門博士は、1週間程午後5時以降に秘密裏に防犯カメラを作動させたいと言ってきたという。何かあれば、そのビデオを警察に提出するようにと…。

 

 真里亜は水谷が亜門博士に言われたのに、事件後警察にビデオを提出しなかったことを非難する。そのせいで景山が容疑者として追われることになったのだから。しかし水谷はいずれ提出するつもりだが、その前に稼がせてもらうだけだとそっけなく言う。ことが済んだら匿名で送りつける、そうすれば証拠隠匿罪には問われないと考えているようだ。

 

 真里亜は渋々、男たちについて調べることを承諾する。そして自分達が映っているビデオだけではなく、亜門博士が殺害された日のビデオも確認させるように要求する。そこに二階堂か鷲崎、それとも二人が映っていて真犯人だとしたら…。

 しかし水谷はこの二人が真犯人だとは言っていないと、慎重な態度だった。真里亜が映っているビデオは兎も角、殺人事件の真犯人が映っているだろうビデオまでは見せたとしても渡すつもりはないようだ。

 

 

 2日後に研究所の警備員室で待ち合わせすると水谷は帰って行った。

 

 面倒なゆすりに合ってしまったが、景山が犯人じゃない証拠があるということには希望が持てる。真里亜は早速二階堂と鷲崎の情報を集めるために動くことにした。


 

 社会部にやってきた比奈子に、先程合ったことを話して聞かせる。水谷という慈愛堂生物研究所の警備員が訪ねてきたことから、取引の内容までを。

 

 警察に突き出せば早いかもしれないが、真里亜は水谷に対しては慎重に接した方が良いと判断していた。自分が研究所に忍び込んだ時の映像を持っているらしいことは、写真も見せられているから分かっている。しかし亜門博士殺害時の映像は見ていないのだ。水谷のハッタリの可能性もあり、警察に通報してビデオが無ければ研究所へ無断で侵入している件で逮捕されてしまうのは真里亜の方なのだ。

 

 

 ここは大人しく水谷の言う通りにしておくことにする。比奈子が心配するように、水谷の言う通りにしてビデオが全て手に入るわけではない。交換条件では、二階堂と鷲崎の詳細を調べても確実に手に入れられるだろうビデオは真里亜が映っているものだけだ。

 

 水谷は二階堂と鷲崎のどちらか(両方かもしれない)をゆするつもりなのだから、何かしら水谷が確信する何かを持っていることは確かだが。

 

 

 二階堂と鷲崎のことを調べるため、局の資料室へやってきた。二階堂はともかく、鷲崎ならば昔のフィルムなど沢山あるはずだ。資料室にあるフィルムなどは膨大な数だが、資料サーチシステムで検索は簡単になっている。まず鷲崎豪から入力して資料を見てみることに。

 

 資料はフィルムだけではなく、新聞記事までもまとめてあった。まず見つけたのが鷲崎初当選の記事。まだ26歳の鷲崎豪が女性と写っている写真だ。そして次の記事は投票日翌日に鷲崎事務所に暴漢が乱入したという記事で、代議士を庇って手を怪我したという緑川という女性が写っていた。この女性は当選時にも一緒に写っていた女性だ。

 

 真里亜は記憶の底から引っ張り出し、彼女が現ヒール財団の理事長・緑川冴子だということに気が付く。緑川は昔鷲崎の選挙事務所でボランティアをしていたのだ。

 

 真里亜は子供の頃に見たこの事件のニュースを妙に覚えていたのだった。女の人が男の人を庇って怪我をしたということが印象的だったという。もしかして、緑川は鷲崎が好きだったのだろうかと真里亜が呟くと、誰かが資料室に入ってきた。

 

 

 さくらテレビの看板アナウンサー・後藤海人だった。

 部署が違う真里亜と比奈子が二人で資料室にいることを不思議に思っている後藤に、比奈子は仕事だと言い訳し、真里亜はサボりだと正直に答える。後藤も眠くなるとここでこっそり休憩していたため、今日もそのつもりでやってきたらしい。

 

 比奈子が鷲崎豪の記事を見ていたことに気が付いた後藤に、真里亜がヒール財団の緑川を知っているか尋ねる。すると思いがけない答えが返ってきた。

 

 ワイドショー担当の後藤にとってはよく知っている話で、鷲崎豪と緑川冴子は昔付き合っていたのだという。何故別れたのか直接の原因は分からないが、当時鷲崎は首相の娘との縁談話が持ち上がっていた。それを断るのは難しいことだろうと後藤は考えていた。当時無所属であった鷲崎だが、当時の首相清田正次郎の娘礼子と結婚したことで民由党に入党している。礼子と結婚したのは初当選直後だから、鷲崎と緑川が別れた原因はそれじゃないかという。

 

 

 真里亜と比奈子は怒り心頭だが、当時その鷲崎の判断で人気が落ちることはなかったという。それだけ鷲崎が政治家として信頼されていたのか、有権者が何も考えていなかっただけなのかは分からない。

 

 比奈子は鷲崎豪についてはもっと調べれば色々と出てきそうだと考えた。そして家に直接取材に行く事を提案する。鷲崎マリアの取材を装って礼子夫人に直接話が訊けないかというものだ。さくらテレビだったら一度取材しているから、受けてくれるかもしれない。

 

 

 その場で社会部の真里亜が取材を申し込んだ所、今日だったら都合が良いとのことでOKをもらった。

 

 早速鷲崎豪の自宅へ向かった真里亜と比奈子は、鷲崎家から出てくる意外な人物を見てしまう。二階堂と鷲崎マリアが仲良さげに並んで出てきたのだった。

 

 

 

 「二階堂のお兄さん」と親し気に呼ぶ鷲崎マリアに、友達だからまた会いに来ると優しく答える二階堂。二人はどういう関係なのか…。

 

 

 

【第5話 優しいお兄さん】

 

 真里亜は比奈子に、鷲崎マリアと一緒に出てきた男が真里亜の自宅を訪ねてきた刑事であり、水谷が調べて欲しいと言った二階堂だと説明する。

 

 比奈子と話し合った結果、鷲崎マリアとヒール財団への取材は社会部で取材慣れしている真里亜がやることになった。比奈子が顔を覚えられるのもあまり良くない。比奈子は局へ戻ることに。

 

 

 真里亜が鷲崎家のチャイムを鳴らすと、鷲崎マリアが出てきた。年の割にしっかりした応対をする鷲崎マリアに感心する真里亜。しかし、自分が取材対象だと知ると、少し不満気な様子である。天才少女として取材が殺到しているようだ。真里亜は自己紹介をし、自分が鷲崎マリアと同じ名前だと言うと、少し雰囲気が和らいだようだったが。

 

 真里亜は先程鷲崎マリアが一緒にいた人物について訊いてみることにした。鷲崎マリアは一緒にいた人物が二階堂という人物で、大好きな人だとあけすけに答えた。

 何故二階堂のことが気になるのかと鷲崎マリアに尋ねられた真里亜は、どこかで会ったことがあるような気がしたが気のせいだったと誤魔化す。しかし鷲崎マリアは真里亜がウソをついたことに気が付いたようだった。天才少女とよばれるだけあって、観察眼も優れているのかもしれない。

 

 

 鷲崎礼子夫人に迎えられ、応接室に通される真里亜。少し前に鷲崎マリアがさくらテレビの番組に出演していることからも、礼子夫人の印象は悪くないようだった。後藤海人が気を回したおかげのようだ。

 

 鷲崎マリアの顔出し出演にNGを出したのは鷲崎豪だという。礼子夫人も芸能人とは違うのだからと、夫と同意見のようだ。

 

 

 真里亜は取材と称した情報収集を開始する。礼子夫人も鷲崎マリアも、テレビ出演に関しては消極的で気が乗らない様子だった。

 テレビ局に問い合わせされたり等、後々の事も考えて天才少女の日常生活を追うドキュメンタリーで、企画段階だからまだ番組としてテレビで放送できるかは分からないということは言っておく。

 

 

 なんとか説得し、鷲崎マリアの子供の頃などから訊く事になった。礼子夫人は鷲崎マリアが生まれた時のことを語る。

 

 結婚して数年子供に恵まれなかったという鷲崎夫妻。慈愛堂病院での人工授精で授かったのがマリアだった。元々礼子夫人のかかりつけが慈愛堂病院であり、当時の院長の神田利一に相談したところ、慈愛堂病院が不妊治療…人工授精で有名だと知ったらしい。神田利一院長は、鷲崎夫妻にとって神様…鷲崎マリアはコウノトリのおじいさんと呼ぶ程尊敬しているようだ。

 

 

 礼子夫人が持ってきたアルバムを見せてもらうことになった。妊娠中の礼子夫人の写真や産まれたての鷲崎マリアの写真などを見ながら、真里亜は胎教についてや鷲崎マリアが赤ちゃんの頃は他の子供と何か違うことがあったかなどを尋ねる。

 

 

 周囲が鷲崎マリアが天才ではないかと気付いたのは幼稚園の時のIQテストであり、ことの他高い数値が出たことがきっかけだったという。礼子夫人にとってマリアは、幼いころから今でもごく普通の娘だが、気になっていたのは他の子供と遊ぶより一人で遊ぶことを好む傾向があることだった。親としては人付き合いが苦手なのかと気になっていたようだ。

 鷲崎マリア本人としては周りが「天才」として宇宙人のように扱うことが不満だっただけのようだが…。

 

 鷲崎マリアは特別な勉強をしているわけではなく、宇宙関係の本を読むことが好きだという。将来アメリカの航空宇宙局NASAで働きたいとまで言う。これには礼子夫人は驚いていた。そんなこと今まで一度も両親に言ったことがなかったと…。

 

 鷲崎マリアはずっと前から考えていた夢だったようだが、親を心配させるかもしれないと黙っていたようだ。

 

 

 真里亜が、誰か他に夢の話を知っている人物はいるか訊くと、鷲崎マリアは嬉しそうに「秘密」と答える。詮索しても教えてくれそうにないので、真里亜はそれ以上は追求しなかった。

 

 小学校に上がった頃の鷲崎マリアは、学校の勉強では物足りないと言い出す。それで中学の教科書、高校の教科書と与えるが、次々と終えてしまった。それで大検を受けてみたということらしい。しかし、通常大検は中学を卒業していないと受けられない。それは文部省にいる鷲崎豪の知人が特別にはからったという。

 

 

 真里亜はアルバムに、二階堂と鷲崎マリアが写っている写真があるのを見つけた。

 

 10年前…鷲崎マリアが3歳の時に腎臓に障害が出て、臓器移植の必要に迫られた。その時に臓器提供のコーディネートをしたのが…二階堂だったのだ。礼子夫人は二階堂が臓器バンク関係の仕事をしていると思っているようだった。ドナーの遺族と鷲崎マリアの担当医の橋渡しをしたのが二階堂であることから、そう考えても不思議ではない。そして鷲崎マリアの移植手術は慈愛堂病院で行われた。

 

 真里亜が思い切って、二階堂が警察関係の仕事をしていると聞いたことはないかと礼子夫人に尋ねる。礼子夫人はそのような話はきいたことがないと言うが、マリアはその話を聞いたことがあるという。二階堂は鷲崎マリアに、時々警察のような仕事もしていると話していたようだ。

 

 礼子夫人は二階堂については詳しくなく、医療関係者という認識しかないことは分かったのでこれ以上礼子夫人から二階堂の話を訊き出すのは難しそうだ。

 

 

 真里亜が二階堂のことを知りたがっていることに鷲崎マリアは気付く。しかし真里亜の本当の目的には気付いていないようで、二階堂がハンサムだから真里亜が興味を持ったと思っているようだった。鷲崎マリアの言葉の端々や表情から、二階堂に対して親しみ以上のものを感じる。

 

 礼子夫人は10年前の7月6日の今日が、マリアの移植手術をした日だと思い出す。運よくマリアにぴったりと適合するドナーが見つかった日だと…。

 移植後全く拒絶反応が出ないという幸運にも恵まれた。勿論亡くなった提供者のことを考えると幸運という表現は不適切かもしれないが。その分マリアには元気に生きてもらわなくてはと礼子夫人は言う。

 

 

 その後も二階堂はちょくちょくマリアの様子を見にくるようになったという。真里亜はここまで二階堂が鷲崎マリアを気にかけるのが何故なのか、気になった。鷲崎マリアにとって二階堂は優しく接してくれる大人という以上に、話が合う相手でもあるようだ。礼子夫人も、マリアの質問に答えられる人物はそうそういないからと、二階堂に対しては好印象であった。

 

 真里亜は、二階堂と鷲崎マリアが一緒に写っている写真を暫く貸して欲しいと礼子夫人にお願いする。難色を示す礼子夫人だったが、真里亜はルポを書く時には当事者の顔を見ながらじゃないと書けないと言い、一週間以内に返すと約束して借りることが出来た。

 

 取材を切り上げる真里亜であったが、鷲崎マリアは真里亜の目的が自身の取材ではないことに気が付いていたようだった。

 

 

 かなり冷や汗ものの取材だったが、休んでいる時間はない。次はヒール財団へ取材の申し込みをする。緑川の秘書が応対し、1時間後であれば緑川の時間があくので、その時に来て欲しいとのことだった。しかも撮影や録音は禁止とのことで、かなりガードが固い。

 

 1時間後、約束通りの時間にヒール財団に着く真里亜。4階理事長室で待っていると、緑川が入って来て開口一番に、これから行く所があるから長時間の取材は出来ないことを念押しされる。それとどうやら真里亜の身元をさくらテレビに確認したらしい。これだけ大きな組織であれば、警戒心も強いのかもしれない。

 

 持ち時間は30分しかない。思い切って賭けに出ることにした。真里亜はヒール財団を訪れたのは取材のためではないと切り出す。そのことで緑川を警戒させてしまったが、人の命に関わる大事な話しがあると食い下がる。

 

 

 鷲崎豪と二階堂巌について知っていることがあれば教えて欲しいと言うと、緑川の態度は更に硬化してしまう。鷲崎の名前を出すのはやはり良くなかったようだ。もし知りたいことがあれば、昔の新聞の三面記事を見れば良いと言われてしまう。二階堂と言う名前についても知らないと…。

 

 

 そこに泉川と名乗る人物…秘書が、緑川の元に注文していたという品物を届けに来た。それは白いユリの花束だった。真里亜はそのみごとな花束をここに飾るのかと尋ねると、緑川はこれから訪ねる少女へのお土産だと答える。

 

 真里亜は緑川の態度から、もう話は訊きだせないと感じ諦めようとしたその時…

 

 

 理事長室に置いてある写真立てに何故か鷲崎マリアの写真が飾ってあることに気が付く。しかし緑川はこの少女は自分の娘の「まこ」だと言う。緑川には一人娘がいて、その娘が鷲崎マリアにそっくりということは…。真里亜は父親は鷲崎かと疑うが、緑川はプライバシーの侵害だと教えてはくれなかった。

 

 「マリア」が誰なのか興味を持った様子の緑川に、真里亜は先程鷲崎家から借りてきた鷲崎マリアの写真を緑川に見せる。あまりにも似ていることに、緑川は「まこは生きていた」と呟く。その言葉を真里亜は聞き逃さなかった。その言葉の意味を問い質すと、緑川は娘のまこが既に亡くなっていることを打ち明ける。元々まこは身体が弱く、それが原因だと…

 

 

 調べれば調べるほど不思議な事実が出てくるということに、真里亜は混乱していた。緑川にまことマリアは双子の姉妹なのか緑川に尋ねるが、緑川はまこは自分で産んだ子供で、今まで一度も鷲崎マリアには会ったことがないと言う。現在鷲崎マリアは13歳だが、10年前に7歳で亡くなったまこは生きていれば17歳になる。双子であるはずがない。そしてまこが亡くなったのは10年前の7月6日。緑川は命日に必ず花を供えていたのだった。

 

 真里亜は7月6日にまこが亡くなったという緑川の言葉に驚愕した。ある事柄と一致する。鷲崎マリアが腎臓移植を受けた日だ。そして二階堂はその時に臓器のコーディネーターとして鷲崎マリアと関わっている。緑川は真里亜が話したその事実にもショックを受けたように見える。

 

 

 緑川は鷲崎マリアがどこの病院で手術を受けたのか真里亜に訊く。慈愛堂病院だと答えると、何か思う所がある様子だった。

 

 真里亜が再びまこの父親の話をしようとすると、緑川は頑なな姿勢を貫く。二人がどれだけ似ていても、ただの偶然に過ぎない、と。過去に鷲崎を庇って負った怪我のあとが消えずに緑川の手に残っているのを見た真里亜は、何故そうまでして鷲崎を庇ったのかと訊くが、もう緑川は真里亜の質問に答えるつもりはないようだった。

 

 真里亜はもし何か話したい事があればと電話番号を書いた名刺を緑川に渡すと退出する。

 

 

 緑川は早速秘書の泉川に電話し、慈愛堂病院に鷲崎マリアという少女の記録があるか調べさせる。そして苦々しい表情を浮かべるのだった。

 

 

 

 

 家に戻った真里亜を比奈子が出迎える。景山はずっと部屋に籠って亜門博士の論文を読んでいるようだった。夢中で読んでいるようなので、真里亜はまず比奈子に今日調べてきたことを一通り報告する。

 

 今日初めて会った鷲崎マリアに対する真里亜の印象は、天才少女ともてはやされることに対する反発心を感じたし、どこか寂しそうにも見えた。

 

 真里亜は何より一番驚いたこと、緑川にまこという名前の一人娘がいたことから詳しく話すことにした。その子供が鷲崎マリアとそっくりだということ、10年前に7歳で亡くなっていたということを。

 

 17年前に産んだということは鷲崎豪と別れたくらいの時になると考え、真里亜は父親は鷲崎豪ではないかと変わらず考えていた。ただ、父親が同じだとしても、鷲崎マリアとまこは瓜二つであり不自然に感じられた。年が違うから双子ではないのだから。

 

 

 真里亜は例え似ているのが偶然だとしても、二人には見えない繋がりを感じていた。緑川まこが亡くなった日に鷲崎マリアは3歳で腎臓移植を受けている。その臓器提供の間を取り持った人物は二階堂だ。

 

 整理してみるとこうだ。

 

付き合っていた鷲崎豪と緑川冴子。しかし鷲崎豪は清田玲子と結婚する。

鷲崎から離れた緑川はヒール財団と関わるようになり、未婚でまこを出産したのが17年前。

4年後に鷲崎豪と礼子の間にマリアが産まれる。

3年経ち、鷲崎マリアは腎臓を患い、移植することになる。そこで二階堂がドナーとの間を取り持つコーディネーターとして鷲崎家と接触。

まこが7月6日に7歳で亡くなり、一方でマリアは腎臓移植を受ける。

何故か緑川まこと鷲崎マリアはそっくりである。

 

 

 まとめてみても何か分かったことがあるわけでもなく、二人で悩んでいると、景山が論文を読み終えて部屋にやってくる。「禁断の実にふれた人間たち」は研究論文というよりも、亜門博士の告白に近いかもしれないと影山は言う。亜門博士の研究の足跡が丸々書いてあると。

 

 まず40年程前、60年代初頭こと。南極に近い島から一頭の動物の凍結死体が日本の研究者によって発見されたことから始まる。それは1万年前に絶滅した海牛の一種であった。現存するマナティーやジュゴンの先祖にあたると考えられたその氷漬けの動物は「祖ジュゴン」と呼ばれる。この祖ジュゴンの調査にあたった一人であったのが亜門博士だ。

 

 亜門博士がやっていた研究は、祖ジュゴンを現代に生き返らせることだった。

 

 

 かつてマンモスを現代によみがえらせようと試みられた時の方法がある。永久凍土などで見つかったマンモスの精子に生殖能力が残っていれば、それを現在のゾウに受精させる。生まれたゾウに再びマンモスの精子で受精させるということを繰り返す。そうすれば受精させる度にマンモスに近い遺伝子になっていく。その方法を亜門博士は祖ジュゴンに応用しようとした。

 

 しかし、理論上可能でも簡単にはいかない。祖ジュゴンの復活がもし実現していればニュースで耳にしそうなものだが、その話は誰も聞いたことがなかった。

 

 

 長い研究の結果…亜門博士は思わぬ副産物を手に入れた。祖ジュゴンの脳下垂体から今まで知られていなかったホルモンの一種を発見したのだ。博士はそれを「Mホルモン」と名付け、そちらの研究に鞍替えしたのだ。Mホルモンは生物の細胞分裂を促したり、突然変異を起こさせたりという強力な作用を持っていた。

 

 植物などは体細胞を使った繁殖は比較的容易に出来るため、農業や園芸で実用化されやすい。ところが動物は体細胞の持続的培養が難しい。だから動物のクローンをつくる際の実験では卵細胞が用いられたのだ。卵細胞クローンとは、受精卵の核の中の遺伝子を別の個体のものと入れ替える手法である。

 

 何故動物の体細胞の培養が難しいかというと、決まった回数分裂するとその細胞が死ぬようになっているからだった。Mホルモンはその枷をはずし、細胞分裂をさらに促すという研究者にとって夢のようなホルモンなのだ。

 

 

 人間のクローンが作れるかもしれない、と考えられたが、やはり祖ジュゴンを蘇らせることと同じように、理論と実践は違う。亜門博士は試行錯誤を重ね、最初の実験を行う。人間のクローンをつくろうとしたのだ。というよりは、この技術が医療に応用できないかと考えてのものだった。しかしこのことは亜門博士自身、後悔していたという。それは亡くなる前に景山に言った「間違っていた」という言葉からも伺える。

 

 亜門博士はまずMホルモンを用いて遺伝子組み換えベビーを作ろうとした。37年前、体外受精させた卵子を母体に着床させることは成功したが、流産してしまった。この実験に協力したのは慈愛堂病院の神田利一という医師だった。当時もし成功していれば画期的なことだったかもしれない。初の試験官ベビーの誕生は21年前だからだ。

 

 真里亜は今日の取材にも出てきた名前だったことを思い出す。鷲崎家のかかりつけ医のような存在だ。

 

 

 もし37年前に遺伝子組み換えベビーが誕生していたら神田医師は脚光を浴びただろうか? 注目をされるのはMホルモンを発見し抽出に成功した亜門博士だっただろう。

 

 比奈子はその精子と卵子の持ち主が誰なのかと問うが、亜門博士の論文には母親は神田医師が不妊治療をしていた外来患者のNさんとしか記載されていなかったらしい。父親に関しても全く何も書かれていない。流産で亡くなった子供に関しても一切記述がないのは若干不自然に思えた。

 

 最初の実験が失敗に終わった上、次の実験へと移るのは難しい状況になる。それはMホルモンの絶対量の不足である。亜門博士は再び祖ジュゴンの復活計画に戻ることになる。希少動物の保護や繁殖というのは表看板だった。

 

 そして実験は続けられ、遺伝子組み換えクローン、卵細胞クローンの段階では成功率が高くなってくる。そうして生まれた子供は、自分がクローンだと知らない。親すらもだ。しかもクローンの子供たちは7年ほどしか生きられなかった。

 

 亜門博士はそれらの問題を抱え、経済的にも行き詰っていく。そんな亜門博士の元に一大転機が訪れた。十数年前にある青年が慈愛堂生物研究所にやってきたのだ。

 

 

 その青年が二階堂巌。表向きは刑事として動いているが、政府直轄の特別研究員だという。この時二階堂が持ち込んだ話が博士にとって渡りに船だったと言える。政府が極秘にヒトクローンの研究を進めていること、「M計画」という暗号名の下にこの技術のプロジェクトチームを組もうとしていることを二階堂から聞かされた亜門博士はその計画に参加するのだった。

 

 政府の目的はMホルモンを用いた純粋な体細胞クローン技術の開発。その技術は「日本民族優性化計画」のために使われると亜門博士は書いている。

 

 研究はヒール財団の最新設備を備えた地下研究棟で行われた。博士の研究は組織によって全面的にバックアップされたのだ。資金は全てヒール財団から、希少生物の保護活動費用という名目で流れてくる。それらは政府が出していたから税金ということになる。

 

 論文には博士の苦悩…後悔が書かれていた。なぜなら…二階堂が言っていた政府の研究の話が全てウソであったことが判明したからだ。「M計画」はすべて…二階堂一人の構想によるもの。二階堂の復讐計画だった…

 

 

 M計画から降りると言う亜門博士。しかし二階堂はそれを許さない。人魚の涙は止められない。

 

 

続く

 

 

 今回はここまでです。逃亡編でも一度書いたような内容ですが、一応話の流れ的にはしょらない方が良いかなと思ったことは書いてます。逃亡編と同じように見えて微妙に表現が変わっているため、物の見え方が変わって来て面白い作りだと思います。逃亡編と全然違う展開で、話を聞ける人も違ったりするのでその違いが楽しめるのも良いですね。

 

 それでは、今回はこの辺で。

 

 

→ 「マリア2 受胎告知の謎」プレイ日記5 2周目「究明編」第6~エンディング