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→ 「マリア2 受胎告知の謎」プレイ日記5 2周目「究明編」第6~エンディング

 

 

前回のあらすじ→ 慈愛堂生物研究所の所長で生物学者である亜門京介が殺害され、真相を知っていると思われたさくらテレビ社会部室長の安藤乱も事故死する。同局社会部に勤め、安藤乱の部下である国友真里亜は、亜門殺害の容疑者として手配されている景山純とともに友人の桜沢比奈子の力を借りて亜門博士の遺した物品を手に入れる。

 しかし研究所に忍び込んだ時に、景山を容疑者となるようしむけたとみられる刑事・二階堂に追い詰められる。冷酷にも警備員を殺害する二階堂から逃げる事が出来た景山と真里亜であったが、予想通りその殺人事件さえも景山の容疑になるよう仕組まれてしまったのだ。真里亜も名前は報道されていないが、共犯として特定されるのは時間の問題と思われた。

 

 慈愛堂生物研究所とヒール財団の関係を調べていると、ヒール財団理事の緑川冴子が二階堂と繋がりがあることが判明、緑川を尾行して希望の丘教会へ辿り着く。周囲には一人娘の真子は生きているかのように振る舞っていた緑川であったが、実は真子は亡くなっていた。しかも真子は政治家鷲崎豪の娘鷲崎マリアとうり二つ。事件には関係ないと思われたこれらのことが、真里亜と景山を追い詰める二階堂の前に立ちはだかったある男によって一つに繋がる。

 

 それは、死んだと思われた安藤乱であった。真里亜は安藤から二階堂や緑川が拘る「M計画」のMがマーメイドで、マーメイドとは人造人間・ヒトクローンのことを表すことを聞かされる。鷲崎マリアはクローンだったのだ。

 

 

 「マリア2 受胎告知の謎」プレイ日記3回目で、今回は「逃亡編」のエンディングまでをプレイしています。このゲームはマルチエンデイングになっていますので、まず一つのエンディングをプレイし、あとは分岐についてとちょっとだけ内容に触れるだけにしておきました。

 

 今回もまたネタバレ派手にやっております。それでは、スタートです。

 

 

 

【第7話 人魚の涙】

 

 真里亜は希望の丘教会で待ち合わせした安藤乱の口から衝撃の情報を聞くことになった。

 

 二階堂とヒール財団の緑川冴子理事長は知り合いで、M計画を実行するために亜門博士が残した「人魚の涙」を手に入れたがっていた。その緑川の一人娘、緑川真子は優秀な遺伝子同士を受精させ、さらに受精の段階で遺伝子操作をされて産まれてきた、人の手が加えられた天才という存在であった。

 

 

 真里亜は天才の遺伝子と聞いて、亜門博士を思い浮かべる。しかし安藤が亜門博士から聞いた所によると、緑川真子は鷲崎豪と緑川冴子の遺伝子とのこと。そして緑川真子をコピーしたのが鷲崎マリア。鷲崎マリアはクローンだった。

 

 優秀な鷲崎豪と緑川冴子の遺伝子を掛け合わてさらに手を加え、遺伝子を組み替えて「天才」を作り出したのだ。

 

 クローンというのは現在二種類ある。「受精卵クローン」と「体細胞クローン」だ。違いは以下の通りとなる。

 

 

【受精卵クローン】受精卵がある程度細胞分裂した段階でその細胞の一つから核を取り出す。その核をあらかじめ核を取り除いておいた未受精卵に移植する。その受精卵を二人の女性の子宮に戻せば、母親が違っても100%同じ遺伝情報を持つ受け継いだ子供がそれぞれ産まれる。核提供者はその受精卵(子供)のクローンのみを作ることが出来る。

 

【体細胞クローン】成熟したヒトの体細胞から核を取り出し、それを別の核抜き細胞に移植する。核提供者自身のクローンを作ることが出来る。

 

 鷲崎豪と緑川の受精卵(緑川真子)をコピーし、鷲崎礼子のお腹から産まれた鷲崎マリアは受精卵クローンである。理屈では体細胞クローンは提唱されているが、これまでの技術では受精卵クローンしか作れないからだ。

 

 

 人間は夥しい数の細胞で成り立っている。成人のヒトであれば60兆を超える細胞の数が、たった一つの受精卵から始まる。細胞分裂を繰り返しそこまで増えるのだ。

 細胞分裂を起こした細胞には受精後数週間だけ「全能性」という能力がある。その期間だけはどの細胞も体のどの器官にでもなれるという能力だ。通常脳の細胞は脳に、皮膚の細胞は皮膚にとそれぞれ決まっており、例えば皮膚の細胞を培養すれば皮膚にしかならない。全能性を持った期間だけ、細胞は肺にもなれるし心臓にもなれる、手や足にもなりえるのだ。

 

 体細胞クローンが難しいのはここに理由がある。すでにヒトとしての形が決まった細胞は他の命令は受け付けなくなっている。同じヒトは作れない。全能性のある細胞しか手を加えることが出来ない。成熟した細胞の全能性を再び復活させることを「細胞の初期化」という。

 

 亜門博士は偶然にも、細胞を初期化する方法を発見してしまう。体細胞クローンを可能にするホルモンを抽出、培養に成功したのだ。30数年に及ぶ研究の結果であった…。

 

 二階堂や緑川が欲しがっている人魚の涙…「Mホルモン」である。

 

 

 亜門博士は二階堂に悪用されないよう、Mホルモンを人魚の涙と誤認させるように仕組む。そして本物のMホルモンをどこかに隠してしまった。その在り処は安藤すら知らない。二階堂は真里亜たちがMホルモンを持っていると思い込んでいる。それで真里亜と景山は生かされ、泳がされている。

 

 「M計画」、「マーメイド計画」とは、このMホルモンを使って体細胞クローンを作る計画のことだ。この計画が成功すれば、優秀な遺伝子をそっくりそのまま後世に残せる。

 

 亜門博士が残した「人魚の涙」のリストは、このM計画の実験段階で作られた遺伝子操作の子供と、その受精卵クローンのリストだった。亜門博士が何故こんな非人道的ともいえる研究を続けたのか?真里亜が会った亜門博士の印象から、この事実は信じ難かった。

 

 

 それは30数年にわたる話だった。30年前、南極で見つかったというジュゴンの凍結死体。日本の調査船によって回収された凍結死体は解剖され検査された。結果現存のジュゴンとは違う、1万年近く前に絶滅したと考えられていた「祖ジュゴン」であることが分かった。この「祖ジュゴン」のサンプルは早々に亜門博士の研究グループに渡り、研究が始まる。

 

 生物の進化を辿って行くと、ジュゴンの先祖はゾウではないかと推測されている。「祖ジュゴン」の特徴はゾウと現存するジュゴン、両方の生態を持っていたらしい。見た目はジュゴンであるが、肺などの内臓機能には陸上生物の名残があった。

 

 亜門博士は調べていくうちに、「祖ジュゴン」の脳下垂体に生物の細胞分裂を促進する効果があることを発見する。当初亜門博士はこのホルモンを希少生物の人工繁殖やふ化に利用できないかと思った。しかし「祖ジュゴン」の遺体の保存状態は悪く、実験を続けられるだけの量を確保することは出来なかった。

 

 

 そこで亜門博士は「祖ジュゴン」を復活させれば、実験に必要な脳下垂体の抽出が行えると考えた。「祖ジュゴン」の精巣の細胞は破壊されず残っていたことから、精子を取り出し、それと現存のジュゴンを人工授精させたのだ。生まれたジュゴンと再び「祖ジュゴン」を交配するということを繰り返す。戻し交配という方法だった。

 

 こうやって「祖ジュゴン」の遺伝子の濃度を高めていく。やがてほぼ100%に近い「祖ジュゴン」が生まれる。これには何十年とかかったが、これで純粋な「Mホルモン」が抽出出来る。亜門博士はこれで絶滅危惧種の人工繁殖とふ化の成功率を上げることができると考えていた。

 

 

 しかし、このホルモンの噂は慈愛堂病院に流れていた。慈愛堂病院を通じこのことを知ったある政府関係の組織は、これを人間に使うことが出来るのではないか考える。それがヒトクローン実験であった。ヒトクローン研究を進めるこの組織に、二階堂は所属している。この謎の組織については、これ以上は安藤でもつかめなかった。

 

 この組織はヒール財団を介して亜門博士に「祖ジュゴン」の脳下垂体研究に資金援助をすると持ちかける。ヒール財団の援助も、表向きは希少生物保護のための研究だから大義名分が立つ。

 

 真里亜には腑に落ちない点がある。ヒール財団の理事長である緑川は、受精卵を秘密裏に利用された被害者だと考えられる。何故このような研究・計画に協力するのか理解出来なかった。

 安藤も調べてみたというが、緑川の目的は調べられなかったようだ。しかし、もし自分が被害者であると知らなければ…?しかし彼女が積極的に協力するメリットが今は思いつかない。

 

 

 ヒール財団からの資金援助によって亜門博士はMホルモン抽出の研究を続けることが出来た。20年近くヒール財団に協力してきたのだ。亜門博士はそのホルモンがヒトクローンに利用されるとは知らず、「祖ジュゴン」の戻し交配に成功する度に、生まれたジュゴンの脳下垂体をサンプルとしてヒール財団に提出していた。

 

 真里亜は脳下垂体を取られたジュゴンは死んでしまうのでは、と心配したが、採取する量はほんの少しで、それを培養する方法をとっていたということに安心する。こうやって苦労して採取したホルモンも、まだ未完成なのだ。「Mホルモン」は100%の遺伝子を持つ「祖ジュゴン」からしか採取できない。

 

 未完成ホルモンとはいえ、遺伝子組み換えをした細胞の分裂を促し、受精卵が子宮に着床する確率を飛躍的に上げる効果がある。これを使って秘密裏に遺伝子操作をしたり、受精卵クローンを作ったのだ。それが「人魚の涙」のディスクに載っていた子供たちだ。

 

 

 何故鷲崎豪と緑川冴子の遺伝子だったのか?それは例の黒幕の組織が関係していた。組織は遺伝子組み換えに最適なDNAを持った人間を全国からリストアップしていた。その中の二人が鷲崎豪と緑川冴子だった。

 

 遺伝子組み換えした真子は緑川が、その真子のクローンを鷲崎が育てることになったというのは何か意味があるのかただの皮肉な運命かは分からない。

 

 

 緑川は鷲崎マリアの存在を知らないし、鷲崎夫妻も自分たちの娘がクローンであることを知らないはずだと安藤はいう。M計画の実験過程と、その結果産まれた子供を知っているのは二階堂と組織の人間だけと考えられる。

 

 亜門博士もまた、自分がプロジェクトの一員として利用されていることをつい最近まで知らなかった。

 

 真里亜は誰にも気付かれないで遺伝子組み換えをすることや、その子供を産ませることが可能かどうか疑問だった。例えば、鷲崎豪の精子と緑川冴子の卵子を勝手に採取して受精させ、本人以外の人間に産ませるのは可能なのかという話だ。

 

 しかしこれはある程度説明出来る。鷲崎豪は幼い頃から優秀であったが、苦学生であったという。しかも政治家になるという野心はあったが、後ろ盾はない時代もあったのだ。その鷲崎豪を支えていたのが、当時の恋人だった緑川冴子だったのだ。

 

 若く政治家として勢いのあった鷲崎豪に目を付けたのが今の鷲崎礼子夫人の父で当時の内閣総理大臣だった清田正次郎だった。娘の礼子との見合いを側近にセッティングさせ、清田の狙いは成功し、二人は結婚することになった。結果、緑川は鷲崎に捨てられる形となってしまった。

 

 

 緑川は鷲崎と別れたあとに妊娠に気付く。そして慈愛堂病院に診察に行っている。この点は偶然なのか、組織の手引きがあったのかは分からない。しかし少なくとも、当局が最適DNA保持者としてリストアップした二人の受精卵が組織の手に入ることは確かだ。

 

 何も知らない緑川を診察したのは慈愛堂病院の医師で前医院長、神田利一。神田は二階堂に買収されており、亜門博士が抽出して提出した未完成Mホルモンを使用し緑川の受精卵の遺伝子組み換えを行った後、再び緑川の子宮に戻した。更に神田は子宮に戻す前にコピーを作り、特殊凍結保存をし保管していた。

 

 

 安藤は神田の通帳を入手し、17年前から二階堂の名義で毎月多額の入金があることを確認している。そして通話記録などからも、二階堂と頻繁に連絡を取り合っていたことが分かった。

 

 真里亜はこの話に違和感があった。17年前から二階堂が関係しているのは不自然ではないか?というものだ。二階堂は現在37才で、当時20才という若さなのだ。たった20才で大きな病院の院長を買収するのは可能なのだろうか。いくらバックに大きな組織がついていたとしても。

 

 

 しかし神田をこれ以上調べることは事実上不可能だ。彼は行方不明になっているという。表向きは医療ミス事件を巡るトラブルとのことだが…。他の病院で二階堂が買収をしている可能性はないから神田が見つからなければ証言させることも出来ない。

 なぜなら「人魚の涙」のリストに載っていた子供たちは全員慈愛堂病院で生まれている。受精卵をコピーしたりそのコピーを別の母親の子宮に戻すのも全て神田一人で行っていた。

 

 何故組織がここまで複雑なことをしてまでクローンを作ろうとしているのか?天才を作りたいというだけだったら緑川真子のように遺伝子組み換えだけでも成功しているようなものではないだろうか?何故体細胞クローンを成功させたいのだろうか。

 

 

 安藤は遺伝子組み換えの成功率の低さを理由の一つにあげる。亜門博士の抽出したホルモンを利用してすら、30年間で数えるくらいしか天才は生まれていない。一人天才を作る度にそのコピーを作り凍結保存しておけば、手間が半分で済む。体細胞クローンが成功すればもっと手間がかからない。そう考えているのではないかと。

 

 遺伝子操作の子供も受精卵クローンも体細胞クローンを完成させるまでのステップに過ぎない。勿論緑川真子も、鷲崎マリアもだ。二階堂は真子が3才になるときに天才として上手く育っていることを確認、凍結されていた真子のコピーの受精卵を鷲崎礼子に移植したのだった。礼子夫人は何も知らないまま、夫とその元恋人の子供のクローンを産む。成長した子供は13才で大検の合格点をとり、天才として世間を騒がす存在となった。

 

 

 本当に鷲崎豪は何も知らないのだろうか?礼子と結婚し、清田一族の後押しがあったとしても、ここまで成功するものだろうか?二階堂と接触があったかどうかも今は分からない。

 

 やっと真子とマリアの遺伝的父親と母親の関係が分かったが、あまりにも残酷だと真里亜は落ち込む。しかもリストにある子供たちを調べたことからも分かるように、遺伝子操作で生まれた子供たちは、何らかの理由で7年以上生きられない。

 

 ヒトクローンを研究してきた組織もこれだけは解明できていないようだった。M計画の実験過程で生まれた子供たちは7才になると突然原因不明の病気を発症するという。

 

 それは臓器の老化だった。急速に広まる臓器の老化は治療のしようがない。遺伝子組み換えの子もクローンの子も同じように発症する。

 

 唯一今13歳の鷲崎マリアだけが、7歳の壁を越えた。

 

 

 緑川真子だけは臓器の老化が広まる前に亡くなってしまった。その残った腎臓を当時すでに臓器の老化が始まっていた鷲崎マリアに移植したのだ。そのおかげもあって、鷲崎マリアは命を繋ぎ止めた。元々同じ遺伝子を持つため、拒絶反応は起きなかった。移植後に臓器の老化現象も起きていない。鷲崎マリアはM計画の実験過程で生き残った唯一の生き残りで成功例第1号なのだ。

 

 何十年も続けて成功者がたった一人。そもそも遺伝子とは人間の手に負えるものではないと真里亜は憤る。ここまでする組織の真の目的はなんなのかと改めて安藤に問う。クローンは過程に過ぎないはずだ。

 安藤は組織の狙いを、将来日本に特殊能力チームを作りたいと考えており、そのための人材を育てたいというのがあるのではないかという。例えば日本は他の先進国に比べてノーベル賞受賞者が少ない。クローンで作った優秀な人間を各分野に送り込み指導者とすることで日本全体のレベルアップをはかるつもりかもしれない。「日本民族優性化計画」ということだろう。

 

 亜門博士の話では、実は各国で秘密裏にヒトクローン研究は進められており、組織としても遅れをとりたくないというのもあるのかもしれない。原爆・核兵器の開発、宇宙開発、クローン研究…常に各国が争っている。

 

 

 研究者たちは互いの顔も知らずに研究に没頭している。それを可能にしているのがヒール財団の地下にあるという秘密研究所だ。研究者には決まった曜日があてがわれていて、顔を合わせることはない。亜門博士も別の科学者とは会ったことがないらしい。

 

 希少生物を救う研究がヒトクローンの実験に使われてしまった亜門博士は、これまで30年かけて研究してきたものを捨ててでも、M計画を阻止することに決めた。しかし亜門博士は殺され、研究データとMホルモンだけが残ってしまう。

 

 

 真里亜はMホルモンを抽出する「祖ジュゴン」が今どこにいるのか、気になっていた。100%完全な祖ジュゴンが生まれているはずだ。しかし祖ジュゴンは亜門博士が殺される前日に海に逃がしたようだ。だからもう「祖ジュゴン」が捕まらない限り、Mホルモンは手に入らない…と思ったのだが。

 

 安藤は秘密研究所に「祖ジュゴン」復活の記録とMホルモンを抽出・培養をする方法が残されたままだった。秘密研究所のデータは外部に持ち出すことが出来ないが、研究所内部でそのデータを元にしてMホルモンを入手することは不可能ではない。データが残っている限り。

 

 

 安藤と亜門博士は最後の手段としてある計画を立てていた。クローン研究の記録や研究データをすべて抹消すること。博士が残したデータも含めてこの世から消すしかない。実験や研究は秘密裏に行うため、すべては秘密研究所内部だけで行われてきた。それが幸いし、データは全て秘密研究所に集約されている。秘密研究所のシステムを利用すれば、全部消去することは可能だ。それは研究内容が漏えいした際に全てのデータが消去出来るシステムだ。

 

 すべてなかったことにする。そういうシステムが備わっている。真里亜は希望の丘墓地に眠る「人魚の涙」のリストの子供たちの存在までは消すことが出来ない、子供たちのDNAが証拠になるはずだと考えた。しかしそれも当然のように組織の計画に入っていた。墓は亜門博士が後から建てたものであり、中はすべて空なのだ。子供たちの遺体はすべて処分されている。

 

 

 真里亜はだったら秘密研究所から証拠を持ち出し、世間に公表するべきだと安藤に詰め寄る。関係者にそれなりの償いをさせるべきだというのが真里亜の考えだった。

 

 安藤は違うことを考えていた。それは一人生き残っている鷲崎マリアのことだ。日本のマスコミは必ず鷲崎マリアを見つけ出すだろう。その時どんな報道がされるか、マスコミの人間である安藤には想像できてしまったのだ。

 

 安藤の懸念を聞き、真里亜は関係者の罪を暴くことよりも、博士の意志を継いで最後のクローン鷲崎マリアを守ると決める。万が一にでも、持ち出したデータから再び同じ過ちが起こらないとも限らないからだ。

 

 

 まずはヒール財団から秘密研究所に入らなければならない。真里亜が見つけてきた「人魚のカギ」をエレベーターで使うことで、地下の秘密研究所に降りることが出来る。そしてデータを消すためには、亜門博士が残した言葉が重要になる。「カギは二つ必要」というものだ。あれが緊急プログラムを作動させるヒントだったのだ。二つのカギは研究所内にあるようだが場所までは亜門博士も知らないらしい。

 

 まず安藤が二階堂を研究所から呼び出し足止めしている間に、真里亜が忍び込むということになった。秘密研究所に忍び込むことを決めたが、真里亜は一つ迷っていることがあった。隠れ家に残してきた景山と比奈子に、このことを話すかどうかである。

 

 真里亜は全てを無にするためのミッションを一人でこなすことを決意した。

 

 

 ヒール財団施設へ潜入する真里亜。地下への表示がないエレベーターに人魚のカギを使うと、エレベーターは自動で地下へと降り始めた。いよいよ秘密研究所へ辿り着く。

 

 

 

【リアルタイムパート -ヒール財団地下研究所-】

 

※リアルタイムパート攻略の部分はいつも通りの文体での説明をします。攻略順は最短のものではないです。

 

 久しぶりのリアルタイムパートになります。一応広さは慈愛堂生物研究所よりは広くないそうです。下記にはどの階にどの部屋があるか書いておきますが、逃亡編では入らない部屋もあります。

 

 第8話開始が間に入ります。それまでは普通に攻略しても良いと思います。多分行動によってエンディングに影響があることはないと思います。

 

 個人的な難関はプッシュ音を覚えるロック解除でした。4ケタのコード解析もこのプッシュ音もランダムらしく、その都度パスコードが変わってしまうようです。だからパスの数字は今回も書いてません。

 

 

LEVEL1・・・入り口と警備スペースのある階。主な部屋はプレゼンテーションルーム・備品庫・緑川執務室・研究主任室があります。

 

LEVEL2・・・リフレッシュルームと機材倉庫があります。

 

LEVEL3・・・更衣室・エアーシャワー・P-4バイオラボ・サンプル保管庫・解剖手術室・見学スペース・システムCPUルーム・システム監視室・緊急管制室

 

 

LEVEL2機材倉庫でクランク入手、リフレッシュルームのシステム解除(パネルを全てマイナスにする)

LEVEL3更衣室でセキュリティカードを入手。P-4バイオラボからサンプル保管庫へ入り亜門のDNAサンプルを入手。

LEVEL1警備システムにセキュリティカードを使い、ロック解除。

LEVEL1緑川執務室で比奈ハッカーを使用しパスコード解析。ロックのかかった机にパスワード入力。ヒントは執務室の写真。(MAKO) スティックキーA(赤)、施設管理マニュアル入手。

LEVEL1クランク使用ポイントでクランク使用。研究主任室のユリの絵を調べ金庫を見つける。亜門のDNAサンプルを使う。スティックキーT(黄)入手。

LEVEL1プレゼンテーションルームではホワイトボードを確認。電話の短縮番号のプッシュ音を覚える。奥の備品庫のロッカーでI.NのロッカーからスティックキーC(青)入手。※実川のロッカーには名刺(URL)

LEVEL3緊急管制室前のロックに3つのスティックキーを使用。※プレゼンテーションルームのホワイトボードを参照。

LEVEL3緊急管制室内でエマージェンシーキー1(黄)を入手。中央の監視カメラを確認すると景山と比奈子が捕われて機材倉庫の隠し部屋に閉じ込められているのを発見。エマージェンシーキー1(黄)を使用。

 

 

二階堂が鷲崎豪、マリアとともに施設にやってきた所を監視カメラで確認するイベント。

 

 

 二階堂が鷲崎マリアを連れて解剖手術室に入って行く。真里亜は解剖手術室の使用予約が二階堂の名義でされていることを見ていた。真里亜は二人を追って解剖手術室に向かうがロックされていたため、見学スペースへ行く。

 

 見学スペースからは解剖手術室で待つ鷲崎マリアの姿が見えた。真里亜は窓を叩いて危機を知らせようとするが、強化ガラスか防音ガラスなのか、全く鷲崎マリアには聞こえていなかった。

 

 

 そうこうしていると、鷲崎マリアの背後に白衣の人物がそっと近づいていた。それは緑川冴子だった。緑川は注射器を持っている。真里亜は消火器を窓に叩きつける。ガラスに穴が開くほどの衝撃音で鷲崎マリアは振り返る。背後の人物に気付いて身を引く。緑川と鷲崎マリアが顔を合わせる。

 

 

 緑川は目の前の少女が自分の一人娘、緑川真子に似ていることに驚愕し、娘の名を呼ぶのだった。

 

 

 

【第8話 真子とマリア】

 

 涙しながら真子の名を呼ぶ緑川に、困惑する鷲崎マリア。

 

 

 

 そこに真里亜が現れ、緑川と話があるからマリアには外で待っていて欲しいという。素直にマリアは後で戻ってくると言うと、退出した。

 

 

 緑川は状況が分かっていなかった。真里亜はさくらテレビ社会部の国友と身分を明かす。緑川は名前だけは二階堂から聞いて知っていたようだった。何故真里亜がここにいるのかと、問う。

 真里亜はこれ以上幼い被害者を出さないためだと答える。M計画のために犠牲になっていったクローンの子供たちのような被害者はもう出さないと。

 

 真里亜の話は緑川が知っている話と食い違っていた。緑川はクローンの子供たちは病気がちではあるが、生きていると思い込んでいたのだ。

 

 

 真里亜は鷲崎マリアが、緑川真子のクローンであること、政治家鷲崎豪と礼子夫人の一人娘として育てられていること、13歳にして天才少女として世間を騒がせていることを緑川に話す。そしてそのことを亜門博士が残した「人魚の涙」で知ったことを明かす。

 

 緑川は「人魚の涙」を「Mホルモン」だと思い込んでいた。だったら「人魚の涙」とはなんなのか?そう緑川に尋ねられた真里亜は、真の「人魚の涙」とは、マーメイドのコードネームの下に作られ、涙を流して亡くなっていった子供たちのリストだと答える。

 

 緑川はマーメイド…クローンたちが生きていると思っていた。M計画のことを全てまかせていたという二階堂に、そう聞かされていたのだった。13年前に真子のクローンである鷲崎マリアが誕生していたことも、緑川は知らされていなかった。

 

何も知らなかったことを、緑川は自嘲する。

 

 

 緑川がM計画を進めていたのはたった一つの目的のためだった。真子が息を引き取った時に、もう一度産んであげると約束したことを叶えるため。もう一度真子を産み、今度こそ守るためにこの計画を進めていたのだ。

 

 その言葉に真里亜は、緑川が手を組んでいる二階堂こそが真子の死に関係していると言う。内蔵疾患で自然に亡くなったと思わせられていたが、実際には遺伝子組み換えされた子供は7歳で死んでしまう。

 

 緑川は自分がお腹を痛めて産んだ子供で、遺伝子操作などしていないと主張する。真里亜は安藤から聞いたことをそのまま緑川に伝える。民族優性化計画を進める政府の秘密組織が遺伝子組み換えに最適だとリストアップしていたDNA保持者であった鷲崎と緑川に偶然子供が出来たため、慈愛堂病院がその窓口になり受精卵は遺伝子操作されたのちに再び緑川の子宮に戻された。

 

更に遺伝子操作された受精卵はその時にコピーが作られ、凍結保存された。

 

 

 全ては体細胞クローンを作るための過程に過ぎない。緑川真子も、真子のクローンの鷲崎マリアも。

 

 二階堂は臓器バンクに勤める研究員という立場で緑川に近付いていた。真子が7歳の時に原因不明の内臓疾患を患った際、腎臓移植しかないということで、二階堂に世話になったと緑川は言う。結局真子は助かることはなかったが、真子の腎臓の一つが臓器バンクを通じてある女の子に移植された。

 

 二階堂は、内蔵疾患で苦しむ子供たちを救うためには臓器移植しかないが、今の日本では現状移植希望者が移植を受けられる機会は少ない。体細胞から臓器のクローンを作り、内蔵疾患の人々を助けたいと言っていたという。

 

 緑川は自ら、真子のクローンの話を二階堂に持ちかけた。自分がヒール財団理事長に就任したら、臓器複製の予算をこれまで以上に強化する。そのかわり、秘密裏に真子のクローンを作ってほしいと…。それを二階堂は引き受けたのだ。緑川には二階堂の考えは希望だったのだ。

 

 

 緑川にとっては「M計画」のMは…真子(MAKO)のMだった。二階堂は緑川に、体細胞クローンの技術が確立されたら必ず真子を生き返らせると約束していた。緑川は10年間その約束を信じ続けていた。ヒトクローンが倫理にふれる問題であったとしても、緑川は真子を諦められなかったのだった。

 

 二階堂は10年前に真子の腎臓を移植した少女を探し出し、ここに連れてくることを約束する。そして今日、7月7日にその少女の腎臓の細胞を採取し、その細胞から真子を作る予定だったという。

 

 鷲崎マリアは検査があるという口実でここにやってきた。そして一目顔が見たいという緑川の希望から、緑川が麻酔薬を打つことになったのだった。

 

 「M計画」は病気で苦しむ人を救う、そして病気で子供を失った親のためにクローニングで子供を生き返らせる夢の計画。苦しみを知らない人間には理解出来ないだろうと緑川は言う。

 

 

 真里亜は理解したくはなかった。クローンとして産まれた子供が外見やDNAが同じであっても、時間の穴を埋めることは絶対に出来ない。違う環境、時間を過ごすことになるその子供が、オリジナルの子供と同じであるはずかない。その人物はまた別の人間になる。失ってしまったものはもう二度と戻らない…。

 

 クローニングは親の呪縛から逃れられないロボットを創ろうとしているようなものだと真里亜は厳しい言葉を緑川にぶつける。緑川にとってはただ娘に会いたいという気持ちと、苦しむ子供たちを救うことも出来る研究だということが感覚を麻痺させていた。

 

 健康であったかもしれない受精卵をリスクの高い遺伝子操作でいじられた上、すでに真子のクローン(受精卵ではあるが)の鷲崎マリアは誕生していた。二階堂が全て緑川に隠していたことは確かだ。しかもこの計画を阻止しようという動きを見せた亜門博士をも殺害してしまった。

 

 緑川はM計画の…二階堂の真の目的はなんなのか、今日緑川が鷲崎マリアに麻酔薬を打つことを許可したのは何故なのかという疑問を口にする。緑川がマリアの顔を見たら騙されていたことに気付くのは分かり切っていることなのに。

 

 

 それは、緑川をもここで殺すためであった。

 

 見学スペースで真里亜が割ったガラスから覗く、よく知った顔…二階堂が緑川にそう告げる。真里亜は二階堂の脅しに屈することなく、「M計画」の真の目的を問う。二階堂の裏にいる本当の黒幕は誰なのかと。

 

 二階堂は日本の未来のためだと言い放つ。この世の中には役に立たない連中がごろごろいるし、そういう人間はどんどん増えてしまう。仕方がないから、優秀な人間が増える手伝いをしているという。それが日本民族優性化計画。核や宇宙開発と同じように、クローン技術に関しても各国が競い合うのは自然の流れであり、すでにその流れは始まっていると言う。

 

 

 しかし、真里亜は二階堂とは逆の流れが来ると二階堂に対抗する。人間は自然と共存する時がくる。そう選択するのだと…。しかし真里亜の主張を二階堂は夢物語だと鼻で嗤う。すでに人間は品種改良、家畜や血統書付きのペットのように意図的な交配を行うことで人間に都合がいい種を生み出すことを当然のように行ってきた。二階堂はそれを人間でやるだけのことだと考えていた。

 

 ペットや家畜と人間のクローニングを同一に語るのは次元が違う問題かもしれないが、その次元が違う話をマスコミ…真里亜が勤めるテレビ局では同列に扱い、無責任な世論はそれに同乗する。二階堂の弁舌に真里亜は翻弄されてしまい、ついに二階堂は銃を取り出す。

 

 

 邪魔な人間には消えてもらうと言う二階堂。真里亜からか、緑川からか…

 

 

 緑川が真里亜を庇って腹部に被弾してしまった。そして次に真里亜を狙う二階堂を阻止するため、緑川は緊急用のシャッターを作動させる。これで見学ルームから容易に二階堂は出てこられなくなった。

 

 

 そこに鷲崎マリアが戻ってきて、瀕死の緑川を見て心配する。真里亜は鷲崎マリアに外に出て助けを呼んでくるよう頼む。

 

 鷲崎マリアが助けを呼びに行こうとすると、その前に電気をつけて顔をよく見せて欲しいと緑川が懇願する。言われた通りにする鷲崎マリアの顔を見た緑川は満足したような表情をする。

 

 

 鷲崎マリアが部屋を出ると、緑川は真里亜に緊急プログラムを発動させて欲しいとエマージェンシーキー2(赤)を渡す。

 

 

 

【リアルタイムパート -ヒール財団地下研究所-】

 

 再びリアルタイムパートです。ここのリアルタイムパートはとても短いですが、エンディング分岐の肝のパートとなります。今回はまず「逃亡編グッドエンド」を目指していきます。緑川からエマージェンシーキー2(赤)をもらいますので、ここは素直にこれを使う所へ直行しましょう。

 

LEVEL3緊急管制室でエマージェンシーキー赤を使う。カウントダウン(5分)が開始。

LEVEL2機材倉庫の奥のコンソールで比奈ハッカーを使用して4ケタパスコードを解く。※パスコードが解けたらカウントダウンが止まるので、時間ギリギリでも気にしないでよし。

景山と比奈子を救出。エンディングイベントへ。(グッドエンド)

 

 

 緊急プログラムはデータを全て消去するだけではなく、地下研究所ごと崩壊させるものだった。景山と比奈子を救出した真里亜はここが何処かも分からない二人を誘導して出口を目指す。

 

 唯一の研究所への出入り口のエレベーターまで来ると、鷲崎豪と、鷲崎マリアが合流する。真里亜は詳しい説明は後でするとし、今は建物が崩れるから外に出るよう指示する。しかし鷲崎マリアが、緑川が手術室にいなかったと言う。血痕がエレベーターに続いていたとは言うが…。

 

 

 この建物に一番詳しいこと、そして緑川が古い友人だからと、自分が探しにいくと申し出る鷲崎。娘のマリアを真里亜たちに託すと、研究所内へ戻って行く。 

 

 影山はまず鷲崎マリアを安全な所に避難させることを優先しようとするが、建物は揺れ、どこからか衝撃音が聞こえて来る。

 

 

 呼んだエレベーターが着き、扉が開くと誰かの気配がした。それは緑川ではなく…二階堂であった。

 

 二階堂は誰一人外には出さないと銃を取り出す。データを全て消すために研究所が崩壊することはもう止められない。どうせなら全て消す手伝いをすると言い出す二階堂。生き証人がまだ残っている。それは…鷲崎マリアだ。

 

 二階堂は鷲崎マリアに真実を教えようとする。マリアは、二階堂の言うことならどんな内容でも信じるから教えて欲しいと言う。マリアは二階堂を心から慕っていたのだった。

 

 

 二階堂は真里亜たちは脱出しても良いが、その代わり鷲崎マリアを残していくよう要求する。しかし、そんなことを真里亜たちが承諾出来るわけもない。

 

 二階堂は鷲崎マリアと一緒にここで死ぬつもりだった。銃を構え、立ちはだかる真里亜とのにらみ合いが続くが。突然開いたエレベーターには緑川が乗っていた。緑川が撃った弾が二階堂に当たる。

 

 

 爆発が始まり、激しく建物が揺れる中、ダメージを受けた二階堂はバランスを崩し、吹き抜けから落下する。辛うじてクレーンのフックに引っかかっても二階堂は真里亜たちに銃を向けた。

 

 

 しかし狙っていたのは真里亜たちではなかった。二階堂は引っかかっていた自分のスーツの裾を撃ち抜くと、真っ逆さまに爆炎の中に落ちて行った。

 

 

 鷲崎マリアは緑川に駆け寄る。緑川は鷲崎マリアに出逢えたことで満足した様子で、早くここから逃げるように言うと目を閉じるのだった。

 

 

 

【第9話 日本民族優性化計画】

 

 真里亜たちは緑川の遺体を運ぶことも出来ないまま、命からがら建物の外に脱出する。秘密研究所だけではなく、ヒール財団自体が崩壊してしまった。

 

 

 そしてヒール財団の建物が崩壊したその日、警察庁のホームページの投書コーナーに、匿名である動画が送られたという。その動画には、慈愛堂生物研究所の所長室で二階堂が亜門博士を刺す映像が映っていた。その後景山が現れて亜門博士に駆け寄る姿も、ハッキリ映っていたのだ。この映像が証拠となり、景山純の容疑は晴れた。

 

 

 ヒール財団に立ち寄る真里亜たちは、事件を振り返る。二階堂の犯行の様子が映ったビデオを誰が撮って誰が送ってきたのか。もしこれを知っていたなら、何故ずっと隠していたのかということ。それは結局分からず仕舞いだった。

 

 安藤乱も警察で事情聴取を受けているという。身を隠していた理由が証明出来れば、悪い方向にはいかないだろう。あの車の炎上で亡くなった人物が誰だったのか、それも今は分からない。

 

 警察は今大騒ぎになっている。警察関係者が事件に関与していたことが判明したからだ。しかし動機が判明することはない。ヒトクローンに関係するものはすべて瓦礫の下に埋もれてしまったからだ。

 

 二階堂は目的が日本民族優性化計画のためだと言っていた。しかし、二階堂自身のメリットに関しては何一つ話していない。二階堂は最後に「一緒に死のう」と言って鷲崎マリアを道連れにしようとした。あまりにもらしくない。

 

 影山は夏目漱石の「吾輩は猫である」の一文を思い出していた。崩壊寸前の建物内にいて、死の恐怖に追い詰められていた自分達と二階堂は全く違った。何も恐れておらず淡々としていた男が、マリアを道連れにしようとした時だけ違う顔が見えた。「どこか悲しい音がする、人間の心の底」景山には二階堂がそう見えたのだった。

 

 

 それに最後の、落下していく瞬間に浮かべていた笑みも、解放されたような安堵の笑みにも見えた。

 

 

 比奈子の提案で、希望の丘教会へ3人で行ってみることにする。緑川真子の墓に、事件が解決したことを報告する。まだ緑川が何処に埋葬されるか決まっていないようだが、緑川が娘の横でゆっくり眠れると良い、そう皆で考えた。

 

 緑川を探しに戻った鷲崎豪は、秘密研究所の瓦礫の下で辛うじて命が助かった。これまで掴んだ話だけ聞くと、出世のためにかつての恋人であった緑川を捨てた男であることは確かだが、あの時友人を助けに行くと言って戻ったことで見直したという比奈子。きっと緑川の墓が建ったら、彼は墓参りにきてくれるだろう。

 

 緑川真子の墓前で事件の解決を報告しながら、真里亜は緑川がどういう思いで真子の墓にユリを沢山持ってきたのか考えていた。

 

 

 それは緑川冴子の、再び真子が誕生するという思いが込められた受胎告知。

 

 真里亜はユリの花束を交換して、今度赤いバラを持ってこようと提案する。赤いバラは…

 

 丁度教会の「希望の鐘」が鳴り出した。まだ6時33分にはほど遠い時間である。真里亜はこれを神父からのプレゼントととる。大地と風と水、3つの要素の調和の音が希望の丘に眠る人達、事件で亡くなった人達に聞こえますように。

 

[終わり]

 

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と、いうわけで。「マリア2 受胎告知の謎」の1周目「共通編」~「逃亡編」グッドエンディングをプレイした内容を綴って参りました。今回のブログなんかは特に書いてて「???」ってなってた部分が多くて、自分が分かってないのに書いててコレヤバイなって感じです。すみません…。多分今現在の生物学・科学系の常識とは違う部分もあるかもしれませんし、用語が違うこともあります。作中で使われている話は当時の技術知識であることをご理解戴ければ幸いです。

 

以下は私がプレイした範囲ではありますが、エンディング分岐の条件と、簡単に結末について書き出してみました。

 

 

 

【ノーマルエンディング 第9話 我が友に光あれ】

 

 このエンディングは最後のリアルタイムパート(カウントダウン開始)の際に閉じ込められていた景山・比奈子を救出せずに出口に辿り着くことが条件です。ほぼグッドエンドと同じ流れです。爆発に巻き込まれたとみられる景山と比奈子のシーンがツライ…。当然ここで連れ出せなければ犠牲者としてニュースで放送されます。

 

 しかし最後に、なんだか希望があるような終わりなのです。都合が良い解釈をすれば。

 

 

 

【バッドエンディング 第9話 封印された黙示録】

 

 最後のリアルタイムパート(カウントダウン開始)の際、脱出出来なかった場合のエンディングです。失敗してもちゃんとエンディングが用意されているという…。イベントは短いですが。

 

 結果あそこにいた人たちは生き残れません。ただ、一人だけ救出されます。それが鷲崎マリアであることと、章タイトルの黙示録に何の意味があるかは…分かりません(怖)

 

 

 

 今回は1周目必ず到達する「逃亡編」をプレイしましたので、次は2周目以降から分岐する「究明編」をプレイします。これは3章のリアルタイムパート(慈愛堂生物研究所)で1周目と違う行動が出来ることがポイントになります。そこから第4章で究明編に突入する形となります。

 

 このゲームの大きな特徴は、1周終わらせるだけだと分からない謎が残ることです。全部のエンディングを見ることも謎を知るには重要な要素ではあるんですが、途中の選択肢で別の展開に繋がって、そこで判明することもあります。例えば今回私が通ってきたルートだけでは、安藤の代わりに亡くなった人物が何者なのか判明しませんでしたし。安藤が自分の娘について二階堂と取引した内容は明かされませんでしたし…。

 

 それでは、長くなってしまいますのでこの辺でお暇致します。ここまでお付き合い、有難うございました!!

 

 

→ 「マリア2 受胎告知の謎」プレイ日記4 2周目「究明編」分岐点~第5話