今日は定例の大垣への水汲みの日、お昼は2人で「洋食mais (マイス)」の日替わりランチ(1100円)をいただきます。おいしいカニクリームコロッケと海老のフライそしてハンバーグがオシャレにお皿に盛られ、お店の雰囲気も落ち着いていて、ほとんど女性客ばかりのお店です。おいしかったです♪ごちそうさまでした♪。
大垣市領家町2
今日は定例の大垣への水汲みの日、お昼は2人で「洋食mais (マイス)」の日替わりランチ(1100円)をいただきます。おいしいカニクリームコロッケと海老のフライそしてハンバーグがオシャレにお皿に盛られ、お店の雰囲気も落ち着いていて、ほとんど女性客ばかりのお店です。おいしかったです♪ごちそうさまでした♪。
大垣市領家町2
あらすじ
宙には、育ててくれている『ママ』と産んでくれた『お母さん』がいる。厳しいときもあるけれど愛情いっぱいで接してくれるママ・風海と、イラストレーターとして活躍し、大人らしくなさが魅力的なお母さん・花野だ。二人の母がいるのは「さいこーにしあわせ」だった。宙が小学校に上がるとき、夫の海外赴任に同行する風海のもとを離れ、花野と暮らし始める。待っていたのは、ごはんも作らず子どもの世話もしない、授業参観には来ないのに恋人とデートに行く母親との生活だった。代わりに手を差し伸べてくれたのは、商店街のビストロで働く佐伯だ。花野の中学時代の後輩の佐伯は、毎日のごはんを用意してくれて、話し相手にもなってくれた。ある日、花野への不満を溜め、堪えられなくなって家を飛び出した宙に、佐伯はとっておきのパンケーキを作ってくれ、レシピまで教えてくれた。その日から、宙は教わったレシピをノートに書きとめつづけた。
ひと言
2年前「52ヘルツのくじらたち」で本屋大賞をとった町田 そのこさん。昨年はさすがに2年連続受賞は……。と思った書店員さんの投票で「星を掬う」は10位となりましたが、とてもいい作品でした。この作品の「君がしていることは、暴力なんだよ」というフレーズはハッとさせられる言葉で、一生忘れられない言葉になると思います。それにしても今年の本屋大賞は非常にレベルが高いなぁと思いました。読者としてはうれしい限りです。また町田 そのこさんの他の作品も読んでみたいと思いました。
「家族って、ちゃんとした意味知ってる? あたし、一度辞書で調べたんだ。家族とは、夫婦とその血縁関係にある者を中心として構成される集団。つまり、『母親』も『子ども』も、ひとつの条件のもとの集まりの中での名称に過ぎないの。そしてね、いまの世の中は辞書に載っていない、いろんな繋がりの『家族』ができてる。新しい意味の『家族』には、『母親』も『子ども』もない。助け合って生きていく集団のことを指すわけ」
(第二話 かつおとこんぶが香るほこほこにゅうめん)
真顔でじっと見下ろしてくる遠宮が怖いのか、少年が逃げ出そうとする。しかし遠宮はそれよりも早く少年の手首を掴んだ。「痛い! 何だよ、離せよ」「お前、あそこに二度と行くな」「なんで。オレは謝りにいかないといけないんだ」少年が言う。そういうギムがあるんだ。オレは赦してもらえるまで、いかないといけないんだ「赦してもらえるわけないだろ」きっぱりと遠宮が言い、少年がぐっと唇を噛む。「というより、赦されたらだめだ」え、と少年が声を漏らす。「さっきの様子を見て、よく分かった。赦しを乞うてはだめだ。そんなこと、傷ついた側にさせたらだめなんだ」遠宮が考えながら言う。うまく説明できないけど、多分そうだ。絶対にしてはだめなことだと思う。「いいこと言うねえ」不意に軽やかな声がして、宙が振り返る。そこには花野が立っていた。「カノさん! なんでここにいんの」「葬式以来お参りしてなかったなと思って、たまたまお邪魔してたの。チャイムが鳴ったとたんに智美さんが玄関に飛び出て行って怒鳴りだすし、おばさんもいなくなるし、驚いてたらすっかり出遅れた」花野は遠宮に手を摑まれた少年に近づき、屈んで視線を合わせた。「あのねえ、あたしからもお願い。二度とあそこに行かないで」「何でだよ。だってオレはお父さんのしたことのお詫びをしないといけないんだ!」「君がしていることは、暴力なんだよ」
穏やかに花野が言い、少年が「は? なんで」と声を荒らげる。穏やかに花野が言い、少年が「は? なんで」と声を荒らげる。「亡くなったひとの家族はね、失った辛さや寂しさを乗り越えるのに精いっぱいなんだ。罪を赦す余裕なんてないし、そもそも赦す必要なんてない。だってそうでしょう? 大事なひとを不条理に奪われただけで残酷なのに、どうしてその罪まで赦してあげなくちゃいけないの」少年はまだ、ガーベラを握りしめていた。鮮やかに咲いた花がぶるぶると揺れる。「君の『ごめんなさい』は君が赦してほしくてやってることだよ。相手の気持ちをまったく考えてない。こんなに謝ってるんだから、いいでしょう?赦してくれたっていいでしょう? って相手に赦しを強制してるんだ。それは、暴力でしかないんだよ」「じゃあ……、じゃあどうしろって言うんだよ。オレは本当に、お父さんのしたことを謝りたいんだ。しなくちゃいけないんだ!」少年が地面に花を投げつけた。それを花野が拾い上げる。[その気持ちは、いいと思う。でもね、だからって相手に押し付けていいことじゃないんだ。君がしないといけないことは、ずっと覚えていること」花を少年の胸元に押し当て、花野は言う。失った命を、傷ついたひとの涙を、忘れないで。そして、二度とこんな哀しいことが起きないように、考えるの。どうしたらいいのか、考えて、行動するの。それが、償いだと思う。「それが、つぐない……?」少年がぽつりと言って、それから俯いた。すぐに、ぽたぽたと涙が落ちる。
(第五話 ふわふわパンケーキは、永遠に心をめぐる)
すっと息を吸い、目を閉じる。泣きながらここに来たあの日が、鮮やかに蘇る。パンケーキのやさしさ、その向こうにあった笑顔。何もかもが、愛おしい。あの日から、料理は宙の傍にあった。悲しいとき、嬉しいとき、やるせないとき。いつだって宙を生かして育ててくれた。これからも、わたしはここで料理を作って生きていく。誰かをやさしくする料理を、ここで目指していく。「あらま。夜遅くまで支度をしてたってのに、もういる」声がして、振り向けば勝手口に花野が立っていた。「どうしたの、こんな時間に。オープン後に、ママと一緒に来るんじゃなかったの」……。「オープン前にさ、パンケーキ、食べさせてよ」にっと笑う口元から、八重歯がこぼれた。「ここを宙が継いだその日の朝に、あの窓辺で一緒に食べたいと思ってたのよ」「ああ。それは、サイコーな提案」顔を見合わせて、笑う。料理が繋いだ縁は、いくつもある。たくさんの出会いがあり、別れがあった。でも、たくさんの料理を同じ食卓で囲み続けた縁は、とても太くしっかりと結ばれた。宙は思う。
あの日のわたしに教えてあげたい。あなたが絶望することなど、何もないと。
あの日の彼に、教えてあげたい、あなたの遺志は、目の前の幼い女の子がしっかりと継ぐと。
あの日のふたりに教えてあげたい。これからたくさんのごはんが、あなたたちを母娘として育くんでくれるのだ、と。
(第五話 ふわふわパンケーキは、永遠に心をめぐる)
あらすじ
ある朝、目を覚ますと手首から腕にかけて「神様当番」と太くて大きな文字が書かれていた! 突如目の前に現れた「神様」を名乗るおじいさんの願いを叶えないと、その文字は消えないようで……。「お当番さん、わしを楽しませて」幸せになる順番を待つのに疲れた印刷所の事務員、理解不能な弟にうんざりしている小学生の女の子、SNSでつながった女子にリア充と思われたい男子高校生、大学生の崩れた日本語に悩まされる外国語教師、部下が気に入らないワンマン社長。奇想天外な神様に振り回されていたはずが、いつのまにか彼らの悩みも解決していて……。
ひと言
この前に読んだ青山 美智子さんの「月の立つ林で」がよかったのでもう一冊借りました。「お当番さん、みーつけた!」「わし? わし、神様」という設定も面白く、読了後、ほのぼのと温かい気持ちにさせてくれる本でした。
友達、かあ。私はいったん、スマホをテーブルに置いた。私は自分からフェイスブックの友達リクエストをしたことがない。それどころか、ごはんを食べようとか、映画に行こうとか、こちらから誰かを誘ったことはたぶん一度もない。自分から誘わないのは、ひとえに断られるのが怖いからだ。もしくは、断られないまでも本当はイヤイヤOKなんじゃないかと不安だからだ。知り合いかも。うん、そうだ。キタガワ……喜多川さんとは、知り合いかも。それが、ブルーのボタンを押すことでそんな簡単に「友達になる」ことなんてできるんだろうか。人の気持ちって、人間関係って、そんなにシンプルなんだろうか。今回のユイちゃんとのことみたいに、どっちかが片思いのうわべだけの関係がいっぱいあふれてるんじゃないか。
待てよ、と私はスマホを手に取り直す。私のタイムラインに喜多川さんか出てくるということは、彼女のほうにも私が「知り合いかも」で登場しているってことだ。咲良って名前は覚えていてくれてたし、共通の友達が梨恵になっているから、喜多川さんがその気ならあっちから友達リクエストをしてくれるかもしれない。そしたら私は喜んで承認ボタンを押して、一粒の不安も持たず友達になれる。私はうなずいてまたスマホを置き、箸に手をかけた。………でも。でも私、またこうやって、待つのかな。合コンでもワークショップでも、私はただ話しかけられるのを待っていた。楽しいことを、運が回ってくることを、ずっとずっと動かずに待っていた。このまま待つの? 誰の名前も、覚えようともしないで。
(一番 水原咲良(OL))
「ねえ、葵ちゃん。私、やっぱり白馬の王子様とも出会いたいよ」私が言うと、値札をつけ直していた葵ちゃんは聞き取れなかったようで、「なんか言った?」と聞き返してきた。「なんでもない」私は笑って首を振る。でも、王子様に迎えに来てもらうんじゃない。私も自分の馬に乗れるようになりたい。並んで乗るんだ、それぞれの馬に。そしていろんなところに行くんだ。時々、別行動でお互い好きなところに行って、どこかで待ち合わせたりするのもいい。私を楽しませるのは私。順番なんて、もう待たない。自分から世界に参加していこう。腕を伸ばして、この手でしっかりとつかんで。
(一番 水原咲良(OL))
中田はカメラにそっと手をやりながら言った。「好きな人に良く思われたくて、かっこつけて、がんばって、それでできるようになるのって、ちっとも悪くないと思うんだ」初めて見る中田の穏やかな表情を見て、思ったままの言葉が僕の口をついて出てきた。「……中田はさ」「ん?」「七回トライしようって思って、でも、八回トライしたんだな。そこが一番、すごいな」中田はくしゃっと顔を崩して満足そうに笑った。「おう、話せるじゃないか、友よ」中田はグーを突き出してくる。僕も笑ってグーを合わせた。友達みたいだった中田と僕は、これでリアルに、友達になれた気がした。
(三番 新島直樹(高校生))
視線を感じて振り返ると、菊子が立っていた。来てくれたんだ。腕時計を見ると、果たして、猫の目は針だった。「見てた?」「……うん」僕は菊子に近づいていった。「下手だろ」菊子はどうしたらいいのかわからない様子で、少しだけ笑った。「うん」ボールを脇に抱えたまま、僕は思いきり頭を下げる。「ごめん。レギュラーなんて、嘘なんだ。バスケ部には、おととい入り直した。これからがんばる」「おととい?」菊子はさすかに驚いて声を上げる。僕はしっかり菊子の顔を見て言った。「本当にごめん。自分の友達に菊子を見られたくなかったんじゃなくて、嘘つきな自分を菊子に知られるのか怖かったんだ。僕は、しょうもない男だ。嘘つきで、いくじなしで、見栄っ張りで。バスケ部を二日で辞めるほどの根性なしで、スクパのライブなんて申し込み方もわからなくて、YouTubeで雨の音ばっかり聴いてるようなダサいやつだ」菊子は、じっと僕を見ている。僕は言った。「菊子に、カッコいいって思われたかった」ほろっ、と一粒、菊子の頬に涙が伝った。「……アザミのアカウント、消しちゃってごめんね。ちゃんと話もしないで、一方的にごめんね。仲良くなりたいのは私だけで、直樹くんには嫌われちゃったと思い込んで、もう忘れようって。私、すごく弱虫なの。傷つくのがこわかったの。消したあと、すごく後悔した。やっぱり、やっぱりまた会いたいって。だから未練がましくネットからオクラのアカウソト名探して、それで……」僕はベンチにボールを置き、代わりに花束をそっと抱えた。
(三番 新島直樹(高校生))
今日のお昼は神宮前に2カ月ほど前にオープンしたお店「熱田味噌拉麺ぶりゆ」です。美味しいと評判のお店で、開店15分前にお店に到着して11人待ち、開店時間には20人を超える行列になっていました。みそらーめん 味玉のせ(1020円)をいただきます。先ずはスープから、自家製の白味噌をベースとし、名古屋コーチンの丸鶏を煮出した濃厚白湯スープを合わせているとのこと。濃厚ですが、甘めの白味噌が抜群のおいしさとなっています。大きな雲呑の皮もとてもいいアクセントになっておいしいです♪しばらく経つと無性に食べたくなる絶品の味噌ラーメンで久しぶりに感動もののおいしさ大満足の一杯でした。ごちそうさまでした♪。
名古屋市熱田区神宮3
今日のお昼は金山の「つけめん 豆天狗」へ つけめん玉子入り中盛り(1020円)を食べに行きました。お箸がつるつるで麺をつけ汁へ運ぶのに苦労しましたがおいしかったです。欲を言えばつけ汁が最後の方では冷めてくるのがちょっと残念でした。ごちそうさまでした。
名古屋市中区金山1丁目6
あらすじ
長年勤めた病院を辞めた元看護師、売れないながらも夢を諦めきれない芸人、娘や妻との関係の変化に寂しさを抱える二輪自動車整備士、親から離れて早く自立したいと願う女子高生、仕事が順調になるにつれ家族とのバランスに悩むアクセサリー作家。つまずいてばかりの日常の中、それぞれが耳にしたのはタケトリ・オキナという男性のポッドキャスト『ツキない話』だった。月に関する語りに心を寄せながら、彼ら自身も彼らの想いも満ち欠けを繰り返し、新しくてかけがえのない毎日を紡いでいく。最後に仕掛けられた驚きの事実と読後に気づく見えない繋がりが胸を打つ、心震える傑作小説。
ひと言
3年連続の本屋大賞ノミネート10作に選ばれた青山 美智子の作品で、2022年の「赤と青とエスキース」、2021年の「お探し物は図書室まで」は惜しくもともに2位でした。今回の「月の立つ林で」も今年の本屋大賞で必ず上位に入ってくる素敵な作品でした。こういう素敵な作品に出会えるから読書はやめられませんね。素敵な作品をありがとう。まだ読んでいない青山 美智子さんの他の作品も読んでみたいと思います。それにしても今年の本屋大賞ノミネート作品はいい作品ばかりだなぁ。
「旅行、いかがでしたか」麦茶の入ったグラスをふたつお盆に載せ、居間に向かいながら私かそう言うと、樋口さんはルナを抱いたままちょっと首をすくめた。「……旅行、っていうかね。ごめん、友達の家に行ってたの。結婚する前、近所だった仕事仲間なんだけど」「家に?」「うん。突然電話がかかってきて、すごく落ち込んでたの。五十歳間際で、いきなりの失恋とリストラのダブルパンチよ。彼女にしてみれば、大事なものを全部失ったような気持ちになっちゃったのね。それで私、いてもたってもいられなくなって、すぐに行くから、あんたが泣きやむまでそばにいるから待ってなさいって叫んで電話切っちゃったの。ルナも連れていこうと思ったけど、そういえばあの子のマンション、ペット禁止だったって気がついて」すごい行動力だ。こんな友達がいたら、さぞ心強いだろう。私は言った。「とにかく、何かしてあげたいって気持ちだったんですね」樋口さんは、さらっと首を横に振る。「ううん、私には何もできないわよ。恋人とよりを戻させることも、リストラを止めることも。だけど、私かいるよってことだけ、知ってほしかったの」ルナがちょっと体をよじらせた。樋口さんはルナを床に下ろし、のんびりした口調でほほえんだ。「悩んでるときって、自分を見失ったりするじゃない。私がいるよっていうのは、あなたがいるよって伝えるのと同じことだと思うの。彼女を想ってる私の存在が、彼女の存在の証しになるんじゃないかなって」私がいるよというのは、あなたがいるよと伝えること。そんなふうに考えたことがなかった。そうかもしれない。あれこれ考えて特別なことをしなくても、ただそれだけで、人は自分を取り戻せるのかもしれない。
(一章 誰かの朔)
「俺から見たら、キラキラしてるよ。ポンは気づいてないと思うけど」「僕が?」「うん。ポンは自分のことぜんぜんダメだって思ってるかもしれないけど、俺は友達として誇りに思ってるよ。ひとりで東京に出て、誰の助けも借りずに自活して、夢を抱き続けて。すごいよ、ポンは」「だって……だって、その夢はぜんぜん叶えられてないじゃないか」「叶えなかったらダメなのかな。夢を持ってるっていうことそのものが、人を輝かせるんじゃないかな」レゴリス。ああ、そうだ。僕は思い違いをしていた。レゴリスは、きれいに見せるために手をかけたまやかしの化粧じゃない。もともと月に「備わって」いるものなんだ。不意にそんなことがすとんと俯に落ちて、僕は思わずため息をついた。うわべだけのお膳立てじゃなくて、青森を出たときから僕が携えているありのままの想いが僕を輝かせてくれるなら……。やっぱり僕はまだ……いや、もう一度、お笑いをやってみたい。別れ際にしみじみと、てっちゃんが言った。「話せてよかったなあ、ずっと気になってたから。ありがとな」そのまんま、こっちのせりふだった。
(二章 レゴリス)
「ところで今日は、新月です」タケトリ・オキナは軽快に言った。「太古の昔から、新月に願い事をすると叶いやすいと信じられていて、それはこの現代でも続いています。不思議ですよね。新月って見えないのに、姿のない空に向かって願いをかけるって」そうか、新月は見えないんだった。わかっていても、あらためて言われるとなんだかびっくりすることってたくさんあるな。「そんなまじない的な行為、迷信と言ってしまえばそれまでだけど、でも僕は、それでもいいじゃないかって思います。新月って文字通り新しい月で、始まりの日ですよね。お正月に初詣で願い事をするのと同じって考えたら、すごく納得いったんです。神様だって姿が見えるわけじゃないし」たしかにそうだ。見たことないけど、ここぞというときは神様を拝むし、うまくいかないと恨むよな。それって、見えなくてもどこかにいるって思ってる……感じてるからかもしれない。「ただ……僕は、月って、願いよりも祈りがふさわしいと思うんです。願いは自分でなんとかしようって強く思って行動できるようなことで、だけど祈りは、なすすべのないことにただ静かに想いを込めることなんじゃないかな」 そこまで言うとタケトリ・オキナはちょっと声のトーンを落とした。「自分にはどうにもできないってことが、世の中には本当にたくさんあって……。月はそんな僕たちに、大きな見守りをくれる気がするんです」僕は網戸をスライドさせた。漆黒の空の向こうにいるはずの月を想う。見えない新月に、願いをかける。そしてそのあと、祈りを込める。そこに変わらずいてくれる大きな存在に。願いを叶えるために、僕は僕にやれるだけのことをしよう。だからどうか、どうか見守ってください。この弱くて愚かで、ただ懸命な僕たちを。
(二章 レゴリス)
「最近知ったんだけどよ、太陽と月って、ぜんぜん大きさが違うのに、地球から見ると同じぐらいのサイズに感じるだろ。あれ、なんでか知ってるか」俺がすごいことを教えてやろうという気でいるのに、信彦は無表情でこう答えた。「月と太陽の大きさと、地球からの距離の比率が同じなのでしょうか」「………まあ、そうだな」なんだ、頭のいい奴っておもしろくねえな。俺は憤慨しながら続けた。「太陽が月の四百倍のでかさで、地球からの距離も四百倍っていう、偶然の一致なんだってよ」「そうなんですね、四百倍」信彦は真顔で首をこくこくさせた。そういうんじゃなくてさあ、「へえー!」とかリアクションしてくれたら楽しいんだが。「天体、お詳しいですね」気を遣って話を繋げようとしているらしい信彦に、俺もなんとか言葉を絞り出す。「いや、俺は詳しいわけじゃないけど、お月様が大好きっていう人が言ってたのを最近聞いてな」信彦は眼鏡のフレームをそっと上げた。「僕、前から不思議だったんですけど」「ん?」「月のことをお月様、太陽のことをお日様とかお天道様って言うのに、他の惑星はまとめてお星様ですよね。木星様とか金星様って言わないのはどうしてなんだろう」「………それは俺も知らんが」よくわがらん男だな。そんなことを前から疑問に思ってたのか。「思うに、神格化かもしれません」「しんかくか?」「神として扱っているんだと思います。他の星は全般として一括りですが、人間にとって太陽と月は特別な力を持った神と同じ大きな存在で、だから願い事をかけたりするのかもしれない」
(三章 お天道様)
「ところで、毎月の始まりを、ついたちって言いますよね」口調が明るく変わった。私は先ほどのもやもやとした引っかかりをカフェオレと一緒に喉に落とし込む。「旧暦では、新月が一ヵ月の始まりとされていました。月が始まる、月が立つ……つきたち、そこから、ついたちとなったそうです。新月を『月が立つ』という表現、すごく素敵だな、いいなあって、僕は思います」月が立つ。たしかに、惹かれる言葉だった。
(五章 針金の光)
今日は、この3月末でリニア新幹線の工事のため、閉鎖になるメイチカの「銀座ライオン」へお昼を食べに行きました。名物の味噌とんオムライス(1180円)をいただきます。店内は、1957年(昭和32年)のメイチカ地下街の誕生とともに60年以上名古屋の人たちに愛されてきた「銀座ライオン」との別れを惜しむ人たちで満席でした。ビアホールとしての方が有名な「銀座ライオン」だけあって昼飲みを楽しまれている方も…。味噌かつとデミグラスソースのオムライスは相性抜群でとてもおいしいです♪。メイチカで食べるこの名物オムライスはもう最後になるんだなぁと思いながらしっかりと味わっていただきました。また無性にこのオムライスが食べたくなったらサカエチカのお店に伺うことにします。長い間ほんとうにお疲れさま、そしてほんとうにありがとう。
名古屋市中村区名駅3 メイチカ 一番街
あらすじ
些細な傷害事件で、とぼけた見た目の中年男が野方署に連行された。たかが酔っ払いと見くびる警察だが、男は取調べの最中「十時に秋葉原で爆発がある」と予言する。直後、秋葉原の廃ビルが爆発。まさか、この男“本物”か。さらに男はあっけらかんと告げる。「ここから三度、次は一時間後に爆発します」。警察は爆発を止めることができるのか。爆弾魔の悪意に戦慄する、ノンストップ・ミステリー。
ひと言
読み終えてすぐ石川啄木の「人といふ人のこころに 一人づつ囚人がゐて うめくかなしさ」について調べてみました。およそ人間であるかぎり誰もが持っているエゴは、野放図に表面化しないよう社会と自分自身によって心の奥に押し込まれている。表に飛び出したいと、囚人のようにうめくエゴのどうしようもない切なさ。という訳がありました。「囚人」は何を意味するのだろう。「それ」は誰の心の中にもあって、誰もが「それ」を押さえ込んでいて、押さえ込まれた「それ」は表に飛び出したくてうめいている。そういう「それ」は1つしか考えられない。エゴ(利己心)であると…。最後の爆弾は…それぞれの人の心の中に自分でも気づかずに存在している「囚人」なのかも知れないと思いました。
立ち上がろうとする清宮の肩を、類家がつかんで押しとどめた。「規律に従って、人が死ぬぶんには平気だと?」「―― 何がいいたい?」「道の向こうで暴漢に襲われている人間を、赤信号だからといって傍観しますか? 仕方ないんだと納得しますか?」童顔が、息がかかる距離まで寄った。「悔しいが、ここは奴がこしらえたステージです。お飾りの信号機に立ち止まってる場合じゃない。あなたが無理なら、おれがやる。だから協力してください」
(第二部 2)
「おれは倖田と、矢吹とも、そこまで親しいわけじゃない。はっきりいって顔と名前がわかる程度だ。でも、あいつらが仲間なのは間違いない。間違いないんですよ」思いが伝わってきた。仲間が傷つけられたのだ。報復を望むのは当然じゃないか。警官としてではなく、人として。等々力は黙って車を発進させた。それも同感だと、本音で思った。そして同時に、スズキとのちがいはなんなのかと、濁った疑問にとり憑かれた。
仲間じゃないから殺してもいいと考える男と、仲間の仇だから殺すのも仕方ないという思想が、等々力の中で混じり合い、落ち着かない色味を醸しだしていた。どろどろの絵の具がグロテスクな抽象画となり、その支離滅裂さは、同時にある調和を形づくって、色味と色味の狭間で自分は息を止めているのかもしれなかった。無差別殺人の絵の具と、報復の絵の具はちがう。法に照らせばおなじ違法行為でも、たしかにちがう。直感的に、そのちがいは明白に思える。だがつぶさに絵の具を、絵の具の粒のその粒まで見つめていけば、ほとんど変わらない粒子にたどり着く気もするのだった。
(第三部 1)
人といふ人のこころに 一人づつ囚人がゐて うめくかなしさ
スズキはなめらかに暗唱し、そして黙った。つづきを待ちかまえたが、スズキはぴくりとも動かなかった。その晴れ晴れとした瞳が雄弁に語っていた。出題は終わった。さあ解け ――。類家が首をひねった。清宮もおなじ気持ちだった。暗号? しかし取っ掛りすら見いだせない。ともかく調べるよりないと清宮は検索バーに文字を打ち込もうとし、同時に類家がタブレットではなく自分のスマホヘ手をのばした。「―― 啄木です」清宮の横で、伊勢が遠慮がちにいった。「それは、石川啄木の詩です。鉄幹じやありません」体温が沸騰した。石川。ありふれた苗字は、一瞬で意味を成した。この数時間で幾度も目にした二文字だ。辰馬の苗字。つまり、長谷部の別れた妻の姓。「あの母娘が」類家の身体が強張った。「おまえの動機だったのか」スズキが笑った。歯を剥き出しにしてほほ笑んだ。心から、うれしくて仕方ないという笑みだった。快感に悶える笑みだ。おぞましい、人の顔をした化け物の笑み。
(第三部 5)
今日は西尾で四十九日の法要があり、その後二十数名で「うなぎ割烹 みかわ三水亭」へ行き、ひつまぶし+肝焼きをご馳走になりました。本場で食べる久しぶりの鰻でおいしかったです。ごちそうさまでした♪。
西尾市一色町坂田新田西江