「ねーあなた御近所のM子さん1週間前になって
 ドタキャンしたそうよ」


「ドタキャンか 女は怖いね」


といいながら、ご主人様は独身のころのある記憶をたどり始めました

当時の、ある深夜、電話のベルがなった
しばらく前にあきらめた女性からだった
すぐ車で来てほしいという


彼女の部屋のドアの前に到着すると、ご主人様を、押しのけるように出てきた女性は
ドライブして
と促した


しばらく車を走らせ、深夜の川に沿った駐車場に車を止めると、
彼女は2週間後に結婚すると告白した
そしてなぜ一度も連絡しなったのかと彼女はなじった

彼女のつれない態度にあきらめたつもりであったご主人様は、その話を聞いて
以外に思い、
また少しわがままなような気もしたのだった


しかし、もとより追いかけていた彼女である
油絵の具のつややかな黒のような闇に、

街燈の光に照らされた川の漣が窓の外に
ゆれ
抱き合い一緒に逃げようと、ささやくのもしぜんのなりゆきだった


数日後、彼女から電話があった
実行を促す内容だったが、ご主人様は日常からかけ離れた異常さを感じ
あいまいに返事をしてしまった


その後彼女は結婚式を破談にし、相手から損害賠償を請求されたとのことだった
それは数ヵ月後に聞いた話だった


それきり一度も彼女から電話はなかった
男性から見て、魅力的だった彼女は男には不自由はなかったようで
しばらくして結婚したとのうわさを聞いた


彼女にとってドタキャンは何を意味したのだろうか
男は社会のしきたりを尊守する。しなければ誰からも相手にされなくなってしまう
が女性にとっては愛が最優先

社会のしきたりを破壊すればするほど、それらより愛を優先したことになり
愛の価値は高まる


「あなたはむかしドタキャン教唆したのよねー」
 
 奥様がご主人様に言いました


「俺は女性に利用されただけだよ。
 いうなれば愛のいけにえだよ」


ドタキャンされた男性がかわいそうです 

ワン わんわん

ご主人様と、奥様はご近所のおじさんがガンの手術をして
入院したと聞き、お見舞いに行ってきました。

おじさんは笑いもでたほどで、いたって元気だったそうです

数日たった朝まだおじさんは入院していましたが、電話が鳴りました。
おじさんの奥さんが亡くなったという連絡でした
奥さんは脳梗塞で長年入院していて、おじさんが長年看護していたのです

「おれがちょっと留守にするからというと、
かみさんがしばらくじーっと俺を見つめてなー。
わかるんだなーほとんど寝たきりなのに」

病院でのおじさんの話を思い出し

奥様は「わかっていたのね」
ご主人「何がだ」
奥様 「別れよ
....それが夫婦というものなんだわ」
ご主人「....」

おじさんは奥さんを浮気でだいぶ苦しめた事もあったそうです
奥さんが発作で入院してから
十三年の月日がたっていました。

おじさんにとって介護の日々は決して短い年月ではなかった事でしょう
お悔やみに伺ったご主人様に、
今より若い生前の奥さんの遺影の写真を見ながら
おじさんは
「惚れ直したよ」

と笑ったそうです

ワン しっぽフリフリ

ご主人様の奥さん
ご主人が仕事から帰ってくると、パソコンで韓国ドラマを見ていました
韓国ドラマ「1パーセントの奇跡」なんかは
10回もみています。
きょうも

ソファーにごろりと「なんか最近物足りないなー」
「そうだ、やっぱり一日、3本は韓国ドラマ見ないとだめだわー」
との賜っています

かのヨンさまの「太王四神紀」も放送中
ところがこれちょっと前までNHKBSデジタル放送
なので近所のヨンサマファンのおばさんに頼まれ録画を撮ってやっていました。
NHKの戦略では地上波放送は最後にしてBS契約を稼ごうとのことのようです

今やってる地上波は声が若く

韓国語の声が知れ渡っているのにNHKはへんだとみな思ってるようです

その奥さんの去年の12月最大のイベント (もっとも今年も埼アリーナなどに行ってますが)
シンスンフン、クリスマスコンサートも
この日は、旦那のことも、子供の事も忘れ、光るペンライト
を振って、ひたすらおばさん数万軍団と化していたようです

「どうもよくわからん時代になったもんだ」
とご主人様はぼやいている

このごろです

犬ワン


ご主人が仕事から帰ってソファにくつろいでいると 奥さんが隣に座って勢い込んで言いました


「ねーねーあなた。

この間亡くなったMさんの50歳のご主人の話しだけど

家のローンがあったけどやっぱり完済になったんですって」


「そりゃそうだろう、保険の免責事項に適用になったわけだからな」

すると奥さんはご主人の顔をみつめて


「それがね、去年たくさん返済してしまったんですって。

Mサン残念がっていたわ」 というと再び

ご主人の顔を見つめて

キャハハと笑いました


「何でそれを俺に言うわけ」

「なんとなくあなたに言ってみたかったの」

といいつつ

ニヤッとわらい

立ち去っていきました


「なんだー、どういう意味だ」

「ローンとおれの死ぬ時期は彼女にとって重大な損得勘定なわけってことだな


男ってなんだかさびしい生き物だな


動物は損得計算できないものな

ケンタお前だけだよ俺の味方は」


といってご主人様は私の頭をなでました


(大丈夫ですよ

家族は損得勘定とは違いますよ ご主人さま) しっぽフリフリワン

ご主人さまのバイクが壊れたので駅まで坊ちゃん(通学)と一緒に
奥さん運転でご出勤
我輩も同乗である。 わんわん

坊ちゃん「ホームでそばによって話しかけないでよ。

      せっかくの学校モードなんだから。

      朝から壊れるよ」

ご主人「なにいってんだ。お前の学費稼いでやってるんだから

     話しかける権利ぐらいはあるぞ」

坊ちゃんは駅に着くと後も見ず走っていってしまった

ご主人はあきれたように奥さんのほうを振り返ると
奥さんはご主人に行ってらっしゃいと手を振りました
奥さんにとってはおもしろくて仕方がないようで満面にこにこです。

ご主人は坊ちゃんの後姿と
奥さんのうれしそうな顔をみて、
何がそんなにうれしいのかと、釈然としないようすで改札口に歩いていきました。

ワン犬

朝ご主人様と一緒に散歩していると

向こうから顔なじみの山田の爺さんがやってきた


「やーおはようございます。今日も元気ですね」


「イヤー最近寝るのが早くなって、きのうなんか8時には寝てしまいましたよ あっはっは」


「へー そうですか

でも、そんなに早く寝ちゃうと起きるのも早いでしょう」


「そーなんですよ。3時には目が覚めてしまってね」


「いったい何をしてすごすんですか。そういう時は」


「いや新聞を読んでますよ。

 死亡欄なんかをね。

 あっはっは 」


「どんな人が亡くなったか、やはり興味があるんですか」


「いやね私が見るのは、

 何歳でおっちんだかの

 死亡年齢ですよ。死亡年齢

みんな何歳で死んでいるんかいなと。

 

すると 私のお迎えが来るのは何歳ごろかなと、大体わかってくるでしょう

 あっはっは」


「ナ、ナルホド。。。。」


ご主人は妙に納得した表情で、山田さんの後姿を見送っていました


しっぽフリフリ ワン



「パパ大変よ」
「なんだ」
「うぐいすの林がとうとう切られちゃったのよ」
 霧 霧 霧
窓の外の見慣れた景色、

そこの小さな林たちが切り取られたように
青空になっている
道路の新設で、その真ん中に立ちふさがっていた10本ほどの小さな林

いつかあの木々たちが伐られてしまうだろうことを
ご主人様は心配していたのである。

毎年梅の花の咲くころ

ホーホケキョ  ホーホケキョ  ホーホケキョ
  
       ホーホケキョ  ケキョ ケキョ

と初春の季節、近所に鳴き声が響くいた

ご主人様はある時、その鶯の声を追跡して
近くのあの木の下にたどり着いたのでした。

林の木々の見えないながらも
下から見上げた、その木のどこかに巣があるようでした

やがて車の行き交うアスファルトの路は、何事もなかったように完成し
林も人々の記憶から消えてしまうだろう

ご主人様と、奥様は林のあったほうをみつめ

「うぐいすはどうしたろうね どうなったのかな」

と心配そうに眺めていました

「近くの木から、今年も鳴き声はきっと聞こえてくるとおもうわ」

と奥様がつぶやきました


ワン 霧しっぽフリフリ

仕事から帰ってきたご主人様

「今日面白い話聞いたよ
職場の先輩の田村さんなんだけどさー
独身のころ、ストリップ劇場に朝の10時から、夜の11時までかぶりつきで見ていたんだってさ、それも一日、二日じゃなかったらしいよ」

「えー、変態じゃないの」

「いや、あれはすばらしく芸術なんだとしみじみ言ってたよ
 特に、外人さんはスタイルも抜群でね...」

「でね。あるとき、踊り子さんが、”お客さんずいぶん長居して見てるわね ”
と言ったんで、そんな事ないよ、とあわてて返事したんだそうだ
そうしたら、”そおお、お客さんでも頭が真っ白よ”
といわれたんだそうだ」

「どういうこと?」

「それがね、かぶりつきで見ていると、踊り子さんの白い化粧だのが
降ってきて、かぶりついている、客の頭に降りつくわけだ
だから、そのー、真っ白という事は、そうとう長くいないとそうならないってことだな」

「まあ」

犬 わん

「私たちは出所してきたんです」
「殺人罪で服役してたのです。...
 息子を二人で殺したんですよ」
ご主人「....そういえば何年か前事件が報道されていましたね」

「そうです。
家庭内暴力です。

息子の暴力がだんだんひどくなり
このままでは妻も私も殺されると思うほどになったのです
どうすることもできなかった

何を言っても、息子の暴力は止む事がなかった
思いあまり、妻と殺すしかないと、決心たのです

そして、私は息子の首を絞め、妻は自分が生んだ息子の頭をかなづちで殴りつけました。

頭蓋の陥没する鈍い音

叫び声

飛び散る血潮

ああ悪夢です。

しかしまぎれのない現実だった
私たち家族の

刑務所で

何のため

なぜ

と なんども眠れぬ夜月期日とともに

過ぎゆきました


けれど納得いく答えなど返ってはもちろんきませんでした

誰のせいでもないでもない、私たち一家の宿命とあきらめるしかなかった。


.......




人間って大変な生き物だな  わんわん

私の名前はケンタ、柴犬である
ご主人と出会ったのは子犬のころ、私がゴミ集積所にいたときでした
ご主人がその前を通りかかった時私と目があったのです。
ご主人は腰をかがめて、私の頭をなでてくれましたた。

そうして立ち去ろうと歩いてゆくその後を、わたしはコロコロついっていったのである。
時々振り返っては、ついてくる私を見ながら家路をたどるご主人さま

私はとうとう家までついてきてしまった。
ドアを開けながら振り返り、私を見つめたご主人に、ちょこんと座って私は尻尾を振って

ワンと一言ほえたのである

しばらく思案顔のご主人

「まあ仕方ないな」

といってドアの内側を指差してくれたのです。

私は一目散に駆け込みました

「まあかわいい」
「どうしたのパパ」と、中学生の娘さん ,高校生の息子さん
「かわいいわね」と奥さんもだきあげなでてくれました
「勝手に離れずついてきたんだよ」と、ご主人

朝の散歩がご主人と私の日課である。
「おはようございます」と行き交う散歩仲間の常連さんに
挨拶を交わします。
そんなある日、老夫婦が話しかけてきたのです
このご夫婦は川原のゴミを二人でいつも清掃しているのです
どことなく品のあるご夫婦でした
しかしなぜなんだろうと言う疑問を皆さん持っていたのです
そのご夫婦が実はお話ししたい事があるといって
きたのです。
そしてそれは実に衝撃的な話しだったのです